Fate パラレルクロニクル   作:柊彩

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今回から(実は前回から)このパラレルクロニクル二つ目の山場の激戦編が始まりましたねー。今回が多分一番消えますねー。今回でも1人…。では、どうぞ!



激戦編1

~詩音・為朝vsアイリスフィール・アルトリア~

「待ちなさい!逃げるのですか!」

突然帰ると言い出した為朝にアルトリアが食い下がった。それに対し為朝は

「ちょっと事情があってな、どうしてもというのなら後ろから斬りかかってくればいい。どうせ避けるから。」

「私が…逃がすと思いますか?」

「…。はあ。残念だよ。お前とは再び戦いたかったんだが…ここで摘まなければならんとはなあ。」

為朝は詩音に念話で話しかけた。

(すまんがランサーは諦めてくれ。セイバーが行っているようだからそっちに任せよう。まずはこいつらが先決のようだ。)

そう言うと為朝は再び戦闘状態に入った。

ランサーが心配ではあるが詩音もここを離れるのも危険な為、動かずに戦いを見守ることにした。

矢を2本抜きその矢で二刀流の構えを取る。そして、アルトリアが動きから上段の構えと判断し、突っ込んでくるのを片手でいなしてもう片方の矢をアルトリアの首めがけて突く。

「くっ、」

アルトリアはなんとか体勢を崩してそれを避けたが避ける際(マトリックス的に)大きく仰け反ったため、死角 の下方で横からの腹を蹴る攻撃に対応が出来なかった。

「がはっ 」

為朝の後ろ回し蹴りが炸裂した。なぜ後ろ回し蹴りなのか詩音には分からなかったが今の情勢では為朝はセイバーに勝てそうだと思う。少なくともエクスカリバーが出なければ。単純な戦闘能力だけなら、為朝はアルトリアより強い。だが、そんな詩音の余裕はすぐに消された。

なぜなら。

「苦戦しているようだな、セイバー。」

霊体を解き、姿を現したその言葉の主は短槍と長槍をもったランサー・ディルムッドだった。詩音が何かを言う前にディルムッドは為朝に近づくと、

「いたぶるのはそこまでにしてもらおうか、アーチャー。こいつは殺すわけにはいかないんだ。」

「…はっ。」

為朝はすこし頭を下げると、

「はは。はははははは!そうか!殺すわけにはいかんのか!そうかそうか。」

ひとしきり笑うと、為朝は突然

「てことはお前はカルデアの刺客というわけか。舐められたものだな、俺も。」

「なんだと?」

「貴様など力不足も甚だしい。だが、ま、多少は力を持ってるか。退屈しなくて良さそうだ。二人一緒にかかってきな。」

為朝の一連の自信に満ちた回答は詩音を揺さぶらせた。

(ちょっ、アーチャー!二人相手に戦うのか!?ちょっと無茶なんじゃ?)

(はっは、まぁ見てな。戦は無茶な方が士気も上がるってもんさ。)

 

~信親・友信vs沖田~

「ランサー!」

信親が来た時は既に友信は体のあちこちから血が溢れ、特に左腕は健を切られたのか動いていないようだった。

信親は急いで戦闘状態に入る。その時、買い物袋は一応ゆっくりと地面に置いた。貴重な食料のため、無下に扱うのも些かもったいない。

「あなたは?」

沖田は一応現れた敵の名を聞いた。が

「おいセイバー!こいつの話に答えるな!途中で攻撃しやがるぞ!」

友信という思わぬ所から声が上がった。でも、今回はちゃんと聞いてあげるつもりだったのだが。

「あなたはそんな怪我を負ってるんだから安静にしていなさい!」

今度は明らかに若いセイバーがランサーを叱った事に沖田の脳内ではクエスチョンマークが浮かんだものの、すぐに、その思いは打ち消した。そんなもの、この戦場には必要が無い。ただ、目の前の敵を撃つことのみを考えるだけでいい。

沖田は刀を構える。目指すは敵セイバーの首。繰り出すは突きの一撃。

そして、スキル「縮地」によって神速と化した沖田の突きが放たれた。それは、回避することなどできない必殺のもの。…だったはずだった。

ガキィン!という硬いものがぶつかった音が響く。それは、信親が沖田の突きを刀を弾いて防いだ音だった。

「なにっ!」

必殺だと思っていた一撃を防がれた沖田に信親の右方からの刀が迫っていた。

(この刀、一体どうやって!?)

沖田に迫る刀は確かに存在している。なのに、それをするための予備動作というのが見受けられなかった。どんな攻撃をするにしてもそれまでに体はしようとする攻撃に合わせて動く。1番分かりやすいのを上げるなら刀を振り下ろす攻撃ならば刀を振り上げる事が必要となる。だが、信親のこの攻撃にはそれが見られなかった。まるでワープでもしたかのように。

「くうぅ!」

沖田はその攻撃を避けるのを諦め、ダメージを最小限にする為に刀の動きと同じ右へと飛んだ。だが、突然刀が止まったかと思うと信親の蹴りが左から飛んだ。刀のダメージを軽くする為に飛んだのが更に威力を上げた。

「がはっ」

沖田の体が飛んだ。華奢な彼女の体はその負荷に耐えるにはすこし無理がある。さらに

「こふっ…」

なんとか体勢を立て直した沖田の口から血が出てきた。

「…」

信親は無言で刀を構える。

「あなたの宝具は…一体…あの剣術は…刀がワープでもするんですか…」

沖田は血を拭って尋ねた。

「ワープ?ふ、そんな大層なものではありませんよ。私の宝具は『勝利への観察眼』具体的には相手の弱点や死角、それによる勝利への道などが分かる力です。体の構造上絶対によけれない攻撃をすることで不可避の攻撃を出したり相手の攻撃の弱い所を見極めることで必要最小限の力で対処出来たりします。」

「…では、以前、セイバーのエクスカリバーを叩き切ったというのも?」

「ええ、ああゆう魔力の放出というのは、本来形を持たない魔力をある形に定める核となるものがあります。それを切ることで魔力の形は失われ消滅することになります。ま、前のはその核が馬鹿みたいに多かったので2度とやりたくありませんが。」

「…聞き慣れない宝具名ですね。」

「当然でしょう。私の力は死の直前に開眼したので誰からも知られず死にました。それに、とても地味な宝具なので相手からしても超強い奴としか認識されません。私は本来聖杯戦争に呼ばれる程強力な英霊でもありませんし…」

「え?」

「…なんでもありません。さて、続けましょうか。」

沖田は無言で立ち上がると刀を構えた。敵の宝具は聞く限り近距離戦特化のものだが、向こうから馬鹿正直に言ってくれたものを鵜呑みにするのも危険な為、強引に突破することにした。つまり、

「一歩音越え……二歩無間……三歩絶刀! 『無明……三段突き』!!」

宝具による押し切りこそ最善と判断した。

“全く同時”に放たれる平突きで、放たれた「壱の突き」に「弐の突き」「参の突き」を内包するこの宝具は正しく、回避不能の一撃である。

だが、、

キイン、という音と共に菊一文字則宗のある「壱の突き」を母里友信の日本号が弾いた。しかし。

(無駄なことを。)

確かに唯一弾くことが出来るとすればこの「壱の突き」だろう。しかし例え「壱の突き」を弾いてももう二つの「突き」は同時に存在している。故に。

ドズッ、という鈍い音と共に信親を庇うようにした友信の体に新たな負傷が増えた。

「ごふっ、、っ。」

友信はなんとか日本号を振るも沖田はそれを悠々と躱した。

「な、ランサー!何を!?」

信親は思わず声を荒らげた。それに対し、

「…は、こいつは、、俺の獲物だ…!邪魔を…すんじゃ…ねぇ…!」

「馬鹿な!そんな」

食い下がろうとする信親だったがそこに念話で友信が語りかけた。

(落ち着け!あの宝具は危険だ!何の対策もなしに挑んでも攻撃を受けるだけだ。それに、マスターの方を考えろ。向こう、かなりキツそうだ。バーサーカーが向かってるみたいだがマスターの魔力量じゃ2人分でキツイんだろ?お前は帰れ。)

(な、では私が残ります!)

(分かってないなお前。あちらにバーサーカーを出させなきゃ意味がねえだろ!)

信親はすこし意味を考えて

(死ぬ気ですか?ここで?)

(ああ。)

(…。それで、良いのですか?)

(どのみちこの怪我じゃ魔力切れだ。せめて戦死とさせてくれねえか?)

(…分かりました。)

(あ、あと、餞別だ。お前に教えといてやる。この敵の宝具は攻撃は不可避だが刀自体は一つだけで右上にある。)

(……分かりました。では、ランサー。武運をお祈りしています。)

そう言うと信親は霊体化しこの場を後にした。

「あなたが残るのですか?」

「俺じゃ不満かい?」

「あなたのような死にかけが残ってもあまり意味をなしませんが。」

「は、言ってくれるじゃねえか。お前知らねえのか?手負いの獣ほど恐ろしいのは無いんだぜ、全く。」

そう言って両者は鎬を削り始めた。

 

~数分後。詩音・アイリスフィールサイド~

ディルムッドの加勢で為朝は少し押されていた。片方に攻撃を集中しようとおもえば、もう片方の奴から致命傷を負う恐れがあるため、踏み込んだ攻撃が出来ず、じわじわ削られていく。それでもほとんど互角だったが。

ディルムッドが長槍の突きを繰り出したのを柄を弾いて避けると、ディルムッドの後ろからアルトリアが飛び出し、横から攻撃した。

「おお!」

アルトリアの攻撃をもろに受けた為朝の甲冑が砕けた。

『風王結界(インビジブルエア)』によって不可視の攻撃は、セイバーのみの動きなら対処が出来たものの、別のサーヴァントと組んだのでは面倒くささは倍増だった。

(ちょっとだけキツかったかもな。)

そう思ったが為朝にはもう選択肢はない。なので、

「おおお!」

元々防御は得意ではない。なので、防御を捨てた攻撃にする事にした。まずは全力でアルトリアに矢で横薙の一撃を放った。ただ、大振りなため身をよじってかわされた。だがそんなものは関係ない。かわされたのなら畳み掛ける。蹴り、突き、そして、頭突き。アルトリアは遂に攻撃を受けた。獣の如き攻撃の前に凌ぐことが精一杯だった。また、ディルムッドも、同時に攻撃に晒され自分のことで精一杯だった。

だが、

アルトリアはその攻撃に一瞬の隙をみつけた。1人で2人を相手にしているとどうしても少しは隙ができる。そこに、デカイ一撃を加える。それは、

「爆ぜよ、風王(ストライク)」

聖剣エクスカリバーを少し引き、風を集める。この風の一撃は彼女の持つ攻撃の中でもトップクラスのものだ。

だが、放とうとした瞬間、彼女のスキルの直感は彼女が首を後ろから撥ねられる予知を出した。その為、アルトリアは体を捻り、後ろにむかって

「鉄槌(エア)!」

纏った風を一気に解き放つ。そして、そこには、

刀で空を切り、『風王鉄槌』を受けてもかすり傷程度のダメージのバーサーカーが立っていた。




さて、では人物紹介といきましょうか。
母里友信(通称太兵衛)
クラス…ランサー

外見はネットを参照

特徴…豪放磊落な性格で聖杯にかける願いも特になし。
酒とパチンコが好き。手先は器用。ラジコンなど
オモチャの扱いも上手い。

宝具…日本号
天下三名槍の一つで、そのうちの蜻蛉切を所有していた本多忠勝の逸話から三名槍には日本号より格下の武器の攻撃は槍が自動で防ぐ。例えるなら名刀電光丸。だが、聖杯戦争で呼ばれるサーヴァントの多くはその武器も一級品で特にギルガメッシュにいたっては全くこの効果は出ない。また、エクスカリバーのようなのも日本号より上位と判断される。また、この状態では槍の穂先から魔力の流れが生まれており、突きの攻撃時にその魔力を放つことで見えない衝撃波が可能。

『貫・日本号』…日本号の真の宝具。槍の使い方としてある、斬・貫・衝のうち、貫の力の代表。これは天下三名槍にそれぞれ振り分けられている。穂先から渦をまいて出ている魔力をドリルのようにまいて一気に解き放つ宝具。全力時は魔力の渦が体全体を覆う。その分魔力もとても必要となり、エクスカリバーの半分くらいの魔力を必要とする。また、この宝具の発動後はしばらく動けない。

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