Fate パラレルクロニクル   作:柊彩

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皆さんお久しぶりです〜。
今回はスカサハさんが出てきますねー。
僕の好きなキャラなんですよー、なんで活躍してもらいたい!…まぁ当たりませんでしたが泣
それではどうぞ。


聖杯問答(収束点)

第三十二章 運命の日(戦闘ⅱ)

~アインツベルン城外にて~

イスカンダルと武田信玄が鎬を削っていた頃、城外ではまた違った激戦が繰り広げられていた。

 

「…すばしこい雑種だ!」

ギルガメッシュの口から苛立った声が発せられる。

ギルガメッシュの誇るゲートオブバビロンからの宝具の連続は少なくとも30分以上は続いている。しかし、スカサハはそれでも疲れた顔を見せずに手に持つ朱槍と周りにある数本の同系統の槍によって凌いでいた。

ぐっ、と足に力を込めると、スカサハはギルガメッシュ目掛け一直線に飛ぶ。放たれる宝具の雨を払いながら。槍の射程にギルガメッシュを捉える。

槍がギルガメッシュに向け穿たれる。それに対し、ギルガメッシュは腕で何とかその槍を打ち払った。ただし、それにより、手の甲にあった黄金の鎧は砕けた。

スカサハは手を止めると

「…この感覚…貴様…神の類か…?」

「…半神だが?それがどうかしたか?」

それを聞くとスカサハは少し笑みを浮かべ、

「…いやな、久しぶりに狩りごたえのあるやつだとな!」

 

1方、2人の近くには藤丸とマシュがいたが、

「マスター!このような激戦では私達が出来ることってありますか?!」

「おおお、落ち着けマシュ!こんな時はあれだ。まず目を慣らすんだ!」

「ですが!スカサハさんがいくら強くても相手が英雄王であるなら安心とはいえません!手助けに行かなくては…!」

「だが変に介入しても危険なだけだ!まずはここで戦況を見て、スカサハが危ないと思ったらすぐ駆けつけるべきだ!」

それでも食い下がろうとするマシュだったが、藤丸の手が震えていることに気づいた。そしてそれは恐れではなく自分の非力を嘆いているからという事が伝わった。

「…っ。分かりました。」

 

「…さて、そろそろ決着と行くか半神。こちらも色々立て込んでいるのでな。」

「…不敬な。我と対峙しておきながらまだ勝ったことを考えるのか。」

「確かに、貴様のその宝具の数は素晴らしいがな、それに使い手の技量がついていってないではないか。せめて一つ、貴様が特化した武具を得てからかかってこい…!」

スカサハはそう言うと空中に浮いていた朱槍をもち、二槍流の構えをとる。そして、ギルガメッシュへと駆ける。

宝具の雨などもはやスカサハの進撃を止めるに足らない。

「刺し穿ち」

右手の朱槍がうなり、ギルガメッシュの体に触れた瞬間、ギルガメッシュは空に縫い付けられた。それはまるで十字架に掛けられたキリストのように。ギルガメッシュは全く身動きが取れなかった。

「突き穿つ!」

上空に固定されたギルガメッシュに狙いを定め、スカサハが力を込めた。左手の槍からは溢れる赤き魔力が渦をまく。

(身動きが取れずとも指が動くのなら我のゲートオブバビロンは使用可能…!もはや回避は出来ん!)

ギルガメッシュはなんとか指を動かした。スカサハの後方に黄金の空間が開かれ、そこからは最高峰の剣が出てきた。そして、その宝刀が勢いよく噴射される。

スカサハの心臓めがけて。

 

ガキィン!

金属がぶつかった音が響く。

それはマシュの盾が宝刀を弾いた音だった。

「何っ!?」

「スカサハさん!」

マシュの叫びにスカサハは少し頷き、

「突き穿つ死翔の槍(ゲイボルグオルタナティブ)」

槍が噴出される。朱槍は固定されていたギルガメッシュの体を貫いた。

 

「ごはっ、、」

ギルガメッシュの体は自由落下によって地面に叩きつけられる。粉塵がまった。

 

「スカサハさん!やりましたね!」

マシュがスカサハに近ずいてきた。それに対しスカサハも笑顔で応じた。

「ああ、だが、バカ弟子を倒したんだからもう少し骨があるやつだと思っていたのだがな。」

そう言って立ち去ろうとした瞬間、後方からとんでもなく膨大な魔力を感じた。

しかし、反応が一瞬遅れた。

スカサハは腹から強烈な痛みを感じた。

「がっ…!?」

見るとそこには立派な刀が2本、スカサハの腹と右足を貫いていた。思わず倒れそうになる体を何とか持たせ、粉塵に隠れたギルガメッシュの方へ振り返る。

そこには剣と言うにはあまりに歪な、回転している得物を持ったギルガメッシュが立っていた。ただし、先程と違い、上半身の黄金の鎧は砕けており、胸と肩の中間ぐらいには穴が空いていた。

「……我が槍は貴様の心臓を貫いた筈だがな。」

「ああ、本気で死ぬところだったぞ。よもや、即死を避けるのが限界とは。」

そう言いながらも口は笑っていた。

「マシュ、あの剣って…」

「はい、マスター、この魔力、あれは間違いなく英雄王ギルガメッシュの持つ最高の武具・乖離剣エア。」

「貴様は先程己の武器を定めてこいと言ったな。貴様の力、認めてやる。喜べ。貴様はエアの拝謁に値する!」

「槍は貴様に触れたのだな…」

スカサハは誰にも聞こえないぐらい小さな声で呟く。

「この一撃を受けること、誇りに思うがいい!エヌマ…」

エアからは2重3重となった渦が巻き起こる。そして、

「エリッ…」

刹那、スカサハの身体が消えたかと思うと

グサッ

鈍い音がした。それは、ギルガメッシュの心臓をスカサハが貫いた音だった。

「き…さま…何故っ…?」

「ルーンの魔術でな、相手の身体に刻印のようなものを埋め込んでそこへ座標移動の様なものが出来るんだ、覚えておくといい。」

「そんな…もの…あるはずが…」

「ああ、この魔術はこの世界に確定されている生者では使えぬ、私とてこれを会得したのは世界の理から外れた時。知らないのは当然だろう。」

「……はっ、、この世は全て俺の物だが…次はこの世ならざるものも獲得しに行くか…」

ギルガメッシュは少し笑うと黄金の光を残して消えていった。

 

「…これでほんとに勝てたんだな。」

藤丸はやっと少し安堵したが、城の状況を見て再び焦りを感じた。

「…っ!マシュ!」

「マスター?どうかしまし…っ!これは、、」

「孔明が危ない!」

 

孔明は死の覚悟を決める。

王と共に再び戦えた。そこに後悔はない。

友信が近づいてきた。正規の英霊でない自分は死んだらそこで終わりだ。が、そこに恐れもない。

目を瞑り、無心になる

孔明に友信の槍が振り下ろされ、、

ることはなかった。

数本の紅き槍が友信に向け出されたからだった。

「この槍は…」

孔明はこの槍の持ち主を知っている。藤丸のもつカルデアの最高戦力の1人、影の国の女王、スカサハである。しかし、そのスカサハは腹部と足に負傷していた。

「貴様はカルデアの者か? 」

「そうだ。そして貴様を倒すものでもある。」

「その怪我を負っていてか?」

「知らないのか?手負いの獣ほど恐ろしいのだぞ。」

友信はその言葉に笑いながら、槍を構えた。

そこに、マシュと、マシュに連れられた藤丸が現れる。

「孔明!ああ、よかった。間に合ったようだな。」

「マスター、すまん、しくじった。」

「構わないよ。死んでいないのなら孔明はまだ負けていない。マシュ!スカサハと敵を迎撃しよう!」

藤丸はマシュに戦闘を促す。だが、それはスカサハの言葉で効果を失った。

「不要だ。この者は私が倒す。マスターは孔明を連れて逃げろ。 」

「なっ…でも…」

藤丸は言葉に詰まったが、スカサハがその言葉の後に微笑むのを見ると、覚悟を決める。

「…っ!分かった。スカサハ!…ありがとう。」

「おいディルムッド。お前がそこのキャスター連れて守れ。失敗は許さんぞ。」

その言葉に長槍と短槍をもったランサー・ディルムッドオディナが答えた。

そして、藤丸はマシュに孔明はディルムッドに掴まり、そして

「あなたも来てください!ここは危険です!」

マシュはまだ瞳に涙を浮かべるウェイバーに告げる。

「なっ、なんで僕を気にかけるんだ?」

「いいからはやく! 」

気迫に押されウェイバーはマシュに近づく。

既にマシュは藤丸を持っていたが、そこにウェイバーも割と簡単そうに持っていた。

(だっ、だいぶ恥ずかしいな、これ、、)

しかし命にはかえられない。そして、ふたりを持っているとは考えられないくらいはやく、マシュは走り出した。

「そして、」

スカサハは更に、屋上の端でまだセイバーと戦っているランスロットを攻撃すると

「お前達もここからされ。別にいる必要もあるまい。」

「でもそれじゃあなたが…」

「アイリここはあの人の言う通り一旦退きましょう。」

「…分かったわ。退きましょう。感謝します、名も知らぬ槍兵さん。」

そう言うとアイリはセイバーに身を預けた。

バーサーカーはそれでも追撃しようとしたが、スカサハの槍に阻まれた。

「欲張りだねぇ、二人相手にするつもりかい?」

スカサハはその問いには答えず槍を構える。

「ま、良いがね。ところで、さっきの話本当か?」

友信はスカサハに尋ねる。

「何がだ?私がスカサハその人かという事か?」

「いやお前は知らんけれども…」

少しイラッとしたが寛大で寛容なスカサハはなんとか話を聞き続ける。

「あいつが孔明、即ち諸葛亮なのか?」

「知っているのか?」

「知ってるも何も超有名人だぞ。知らないものはいないくらい。道理であの信玄公も苦戦したわけだ。」

「ほほー、私とどちらが有名なんだ?」

「いやまずお前を知るものが少ないと思うんだが」

スカサハの頭の血管が切れる音が聞こえた気がした。

(いや、それいくらなんでもデリカシー無さすぎじゃねぇ!?)

詩音はついスカサハに同情した。

スカサハからは凶悪な笑みがこぼれた。

「足止めのつもりだったが、、気が変わった。お前は…コロス!」

スカサハから槍が放出された。

 

「ウェイバーベルベット、貴様はまだ心は折れていないか?」

「は?」

「お前はまだ未熟だ。戦える力を求めるか?」

「…僕は…力が欲しい…僕の王に並び立てたぐらい…」

「よし、喜べ。お前は再び戦いに呼ばれる。私の中の軍師がそう言ってる。その時、お前が戦える力をくれてやる。私の手を握り、そして念じろ…「それ必勝の術、合変の形は機にあるなり。」と。」

「えっと、それ必勝の術、…合変の形は機にあるなり。と。う、うわぁ!」

ウェイバーの体から光が発せられる。そして、、

そこに立っていたのは先ほどと変わらないウェイバーの姿、だが、その弱々しい体からは静かな魔力を感じる。

「これ、、は、、?」

「どうやら軍師様の目にもかけられたようだな。その力をどう使うかは貴様自身がかんがえろ。」

 

「ふっ、ここまでか、、残念だ…。」

スカサハの体には友信の槍が刺さっている。しかし友信の左腕はスカサハの攻撃でやられ、右腕だけで槍を握っていた。

よく言うぜ。腹と足怪我しててこれかよ。全力ならどんだけだったんだよ。」

友信の言葉に少し笑うとスカサハは空へと消えていった。

「ふう、まあ終わったぜマスター。帰るか。」

「ああ、そうだな。今日は疲れた。けど何とか勝てた。ライダーは失ったけど、得るものも多かったな。」

それだけ言うと詩音はバーサーカーの方に向いた。バーサーカーもスカサハの攻撃で所々から出血していた。

「お前もご苦労だった、ありがとう。」

「Aa…」

少しつぶやくと、バーサーカーは姿を消した。

「さて帰るか。また明日から忙しくなるぞ。」

詩音は帰宅の道をゆく。今日の夜だけでとても疲れた。はやく眠りたい。

(さて、、そう言えば雁夜の方は上手くやれているかね…)

夜の闇は深く、詩音達を包み込んでいた。




スカサハもっと出して欲しいという希望があった人、すみません泣
もっと無双させてあげたかったんですけど構成上これが限界でした。
あと、言うの忘れてたんですけど、作者の脳内ではこの物語のテーマソング的なのもあって詩音陣営は
Do as infinityさんの「誓い」
カルデアの方は
川田まみさんの「joint」
物語を通してなら
kalafinaさんの「夢の大地」
って歌が一応物語にあう歌だと勝手に思ってます。
どちらも素晴らしい音楽なので聞いたことなければ是非1度聞いてみてください!作者オススメですw
…これ、著作権とか大丈夫かな…
この際言っておきますが母里友信の宝具は雰囲気で言うとダンボール戦機のライトニングランスって技と似ています。それ見るとイメージしやすいかもです。&スカサハの座標移動ですがこれはNARUTOの4代目火影でもなくとあるのあの女(名前忘れた、アクセラレータに殴られたやつ)でもなくクーフーリンvsエミヤ二戦目の「加減なしで殺してやるよ。」
の件で着想を得ているのでそこら辺は誤解のないようお願いします。

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