Fate パラレルクロニクル   作:柊彩

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前からだいぶ挟んですみません。
文章がなかなか出来なくて苦戦してました。
今回は戦い、、ビミョーですねw


聖杯問答(初戦)

第三十章 運命の日(戦闘ⅰ)

アイオニオンヘタイロイの中では、武田軍とイスカンダル軍との間で小規模な小競り合いが起きていた。突如として砂漠の中に現れた馬鹿でかい屋敷に潜入せんと進むが、中から石の礫が投げられ、櫓から弓矢で狙われたりと攻めあぐねていた。イスカンダルと孔明は先程まで軍の先頭に立ち、鼓舞していたが進捗のない戦いに一時戦略を練ることにした。

「征服王!いったん攻撃を中断するべきだ!このまま黙って見ていても有利になることはない!」

「では貴様にはこの状況を打開する策があると?」

「ある!少し兵たちをさげてくれ。一本道を作るイメージで。」

「何をするんだ?」

「どんな原理であんなもの作ったかは知らないがあれは正しく城だ。対城宝具を使う。セイバーに頼んでくる。」

イスカンダルの解答も聞かずに孔明は走り出した。

 

~武田本陣~

「さて、諸君。これより軍議を始めるが…議題は一つ。いかに勝つか。勘助、ヌシならどう攻める?」

「はっ、兵数に劣るのならば敵に数の優位を発揮させないのが一番かと。例えば屋敷にわざと侵入させ、入り組んだ道に引きずり込み潰すのが上策でしょうかな。」

「なるほど、昌幸はどう思う?」

「某も同じ意見にて。 」

「引きずり込むか、たしかに使えそうだが…マスター、そなたはどう思う?」

「え、と、悪くないと思うんですけど…」

「けど?」

「…敵のサーヴァントはとてつもない牛車も宝具として持っています。恐らくそれはこの周りを囲む土塁すら打ち砕くことが可能だと思います。」

「…それだとこの策は全く意味をなさんな。その宝具は厄介だ、他のサーヴァントどもでその牛車とやらを潰せるに我こそはと思うもんは居らんのか。 」

「ワシにこそふさわしい!」

詩音は突然の声にギョッとした。声の主はランサーであった。

「そなたは?」

「槍兵、母里友信。黒田家の家臣だ。」

「母里?知らぬ…。後世の英雄かな。」

「ちょ、ちょっと待てランサー!お前の宝具って蜻蛉切にちなんだ完全防御宝具じゃなかったか?!」

「ふ、甘いなマスター。あんなものはただの付属だろう。そもそもあれは天下三名槍と一般武具という格が大きく下位のものにしか効果がない。」

「え?じゃあ、、」

「ま、今回が本領を見せるに相応しいだろ。前に見たあいつが相手なら見せ甲斐もあるってもんだ。」

「話はまとまったか?そこの母里とやら、では牛車はそなたに任せる。」

詩音はあまり話についていけなかったが、とりあえず同意した。

「じゃあ今回はライダーとランサーが戦闘で俺の魔力で支援、これでいいか?」

その意見にライダー、武田勝頼が応えた。

「いや、我々には魔力支援はない。ランサーともう1人出して構わない。」

「あ、そうか、、ライダーは、、」

「ああ、魔力は俺の中にあるものを使うからな。」

ライダーはこの戦いの後に勝っても負けても消滅する。再契約は不可。そう聞かされた。その時一つ疑問が生まれたのでこの際に聞くことにした。

「ライダー、英雄、武田信玄を召喚するというのが武田勝頼としての宝具なのか?」

「ん?ああ、その通りだが?」

「正規のルートで召喚するんなら誰を召喚するなんて決められるものなのか?」

「なんだ、そんなことか。簡単だよ、俺自身が聖遺物になっているのさ。」

「え?」

「だからな、俺が、マスターであり聖遺物なんだ。」

「え?じゃあ…」

「話に水を指すようで悪いんだがマスター、一つ、いいか?」

「ん?ああ、なんだ?ランサー?」

「ワシに宝具許可をくれたのはいいんだがマスターの今の魔力では足らないぞ。ライダーの持ってったのも大分でかそうだ。こんな兵団出すぐらいのサーヴァントを呼んだんなら半分ぐらいは持ってかれたんじゃないのか?」

「まぁ正確にはこれは父信玄が武田24神将を呼び出して彼らが兵を呼ぶんだがな。確かにこれは魔力を莫大に要する。半分は持って行ってしまった。これでは宝具は…」

「…心配ないよ。俺の魔力で足りないなら聖杯に使わせればいいのさ。」

詩音は自分の手に刻まれた紅き紋様をトントンと叩いた。それが何を意味するかは即座に分かった。

「令呪を!?でもいいのか?俺達を服従させられる最後の依り代だぞ!?」

「構わないさ。それにそんなことに令呪を使ってちゃあいつらになんか勝てない。勝つために使うなら本望だ。」

「…心意気、しかと受け取った。この母里友信、必ずや戦功を立ててこよう。」

詩音はうなづいて、

「セイバー、それでいいか?」

だが返事はなかった。振り返ってみると先程までいたはずのセイバーの姿がなかった。

セイバー、と口にしようとした時、詩音は膨大な魔力の放出に気づいた。

「これは、、この魔力は…!」

 

~イスカンダル軍後方にて~

騎士王の手には世界で最も有名な聖剣が天を衝く光明を放っていた。その名を騎士王が告げると同時にその光の柱は敵に猛進する。抗う術のない絶対の暴力。

それがセイバー、アルトリアペンドラゴン・後にアーサー王として知られる者の宝具だった。

(ライダーには悪いがあいつらは危険すぎる。ここで倒さなければ…!)

孔明の脳裏にはこの戦いで最も不可解な存在の顔が思い浮かぶ。なんの目的かは知らないが、マスターに近ずけるには危険すぎる。今ここで葬らなければならない。

アーサー王は告げる。世界で最も名高きその名を。

「エクスカリバー!!!」

黄金の柱が振り下ろされる。まるで神の威光の如く。遮れるものなど何も無い。

と、その時、屋敷から1人の男が飛んだ。そして、孔明は己の目を疑った。

 

~躑躅ヶ崎館にて~

「間違いない!これはエクスカリバー!まずいぞ!城ごと吹き飛ばすつもりだ!」

信玄が答える。

「…対城宝具か。しかもこれは、、昌幸、防壁は出来るか?」

「おそらく不可能かと。あの光の前には紙も同然でしょうな。」

「ふーむ、詰み、、か、、む?」

武田信玄はそこで、矢倉から一人の男が飛び出したのに気づいた。

(これは…)

結論に至る前に、騎士王から絶対の一撃が放たれた。

「エクス!カリバー!」

黄金の柱は躑躅ヶ崎館を包み、粉砕する… はずだった。

「うおおおおおお!!!」

雄叫びが聞こえた。

本丸にいたもの全員がそこに走った。そこでは、、

「うおおおおおおららららあ!!!」

セイバーがエクスカリバーの光を刀で切っていた。と言うより傍から見たらただ刀を振り回していただけだった。それでも彼らがエクスカリバーを切っていると判断するのは、迫り来る光全てがセイバーの刀を振るうと虚空に消えていっていたからだ。その光景は数十秒ほど続いた。

「おららあああ!!」

セイバーが刀を振り終えると、最後のエクスカリバーの光の残滓も消えていっていた。

詩音は自分のサーヴァントとは化け物だと本気で思ったがそうでもないらしい。セイバーは光を叩き切ったあと、ゼーゼー息を切らしていたからだった。

「ぜぇ、はぁ、ぜえ、これ、魔力、うえ、多すぎ…」

今にも吐きそうな様子だった。

やはり頼りない。だが彼のおかげで詩音はエクスカリバーという宝具を受けてなお生存していた。

 

1方、自身の持つ最高の攻撃を防がれたアルトリアは何が起きているのかわからないと言ったふうに少し放心状態と言った感じになっていた。

(エクスカリバーを防いだ!?どうなっているのだ?)

孔明もまた、現実が受け入れられなかった。しかし、その状態も長くは続かない。イスカンダルの声が、孔明を現実に叩き返したからだ。

「これより我らは敵城に強襲をかける!皆続け!」

ジャリオットに乗ったイスカンダルの号令の元、イスカンダル軍が進撃を開始した。

「あのバカ!正面から突撃しても数の優位を活かせんだろうが。」

孔明は己の王を救う為に砂漠を駆ける。その時、敵の城から門が開かれたかと思うと小隊が二、三イスカンダルらの周りに走る。と言っても囲むというような素振りではない。というかそもそもそんな少数では囲むことなど出来るはずがない。これは、、

「…釣りか。」

自分達より数が多い敵にはよく効く戦法だった。今回なら小隊を潰す為にイスカンダル軍が左右に兵を回して中央突破をする本隊の数を減らすのが目的、と言った所か。

相手にする必要は無い。幸い、イスカンダルもそれらに兵を回してはいないようだ。

軍勢の中央くらいまでつくと馬を借りてイスカンダルの元へただ翔ける。彼の心の中ではこの攻撃自体が敵に踊らされているような気がしてならないからだった。

イスカンダルまでもう少しと言った所で、

ドゴォォ!と地鳴りがした。それはイスカンダルが敵の土塁をジャリオットで破壊した音だった。

「道は開けた!皆、余に続け!」

イスカンダルの声が聞こえる。周りからはそれに負けじと兵たちが雄叫びをあげてイスカンダルに続く。孔明もまた、イスカンダルの開いた道から侵入する。

もしかしたらこのまま勝てるかもしれない。そう思った瞬間敵城の中央部から膨大な魔力を感じた。

そこは今イスカンダルが向かっている方向だった。

 

「見事見事。本当にあの土塁を超えてくるとは。お陰で、」

友信は少し笑みを浮かべ、

「こいつが出せる…!」

その手には以前ランスロットを叩きのめした槍が握られていた。

「さて、その戦車、潰させて貰おうか。」




今回のはアルトリアファンの方からは非難されてもおかしくない内容でしたが…これは構想段階から考えていたことなので悪しからず。
詳しい説明はまた機会があればしたいと思います。
本当はこの戦い全部書きたかったんですが、時間と余力と文字数考慮で一旦分けます。
いろんな視点から書くのって、、ムズイ( ´•ω•` )

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