突然ですが、すみません。アンケートを取りたいのです。
聞きたいことは、
文字数を減らして更新頻度を上げるか。
このままのペース、文字数で投稿するか。
この二つの、どっちが良いかを聞きたいのです。
活動報告の方で、アンケートを取りたいと思います。できれば皆さん、是非お願いします!
後は、シュチュエーションも何かあったらどうぞ。
シュチュエーションの要望が来たら、なるべく答えたいと思います。
それでは、アンケートをどうかよろしくお願い致します。
六話目、どうぞ。
部屋に荷物を置き、俺たちは長い自由時間に入った。
永大と俺―――――平均平凡、黒髪黒目の暁結城は他の班の男子二人と同じ部屋である。そいつらはまあまあ良い奴で、部屋に入ると俺に握手を求めてきた。さっきの告白良かったぞ、と言ってくれたし。
……というか、あれ告白予行演習何ですけどね。なんかもう、皆照れてましたしね。
さて、これで俺達は特にやる事も無く暇になったのだ。宿泊施設のゲームセンターに一日目から入り浸るのも少し気が引けるので、夕方のお風呂の時間までどうするか、と俺はベッドの上でごろんと横になって考える。今桜は実行委員の会議をしているし、永大はもう同室の奴らと三人でどこかへ行った。誘われたが、気が乗らず断ったのだ。
かといって、お昼ちょっと過ぎから約五時間時間を潰すとなるとそれはそれで選択肢が大分狭められる。
どうしよう。寝ようかな。
アニメは無いが、幸いラノベなら何冊か持ってきている。適当に暇を潰せるだろうと思い持ってきた。
というか桜が居ないと俺行動範囲狭すぎない?トイレとベッドの上で生活できそう。……そういえば、ここってテニスコートがあるんだよな。後で行ってみるか。
一人ぼっちの部屋は、やけに広く感じる。窓の外から差し込む太陽の光が明るく室内を照らし、どこかで鳴いている鳥の声が時折聞こえてくる。それと同じように聞こえるのは外で遊んでいる同学年の奴らの声。欠伸を噛み殺すと、俺は小さく呟いた。
「平和だなあ……」
「平和だね。天気もいいし温かいし、眠くなってくるよ」
「わっふう!?」
その誰も居ないはずの部屋で呟いた言葉に返事が返ってきて、俺は肩を跳ね上げる。
しかしその声は聞き覚えのありすぎる声。振り向けば、入り口の所には幼馴染が立っていた。
腰まで届くかという長い黒髪ロングストレートに、快晴の空のように蒼く澄み切った大きい瞳。端正に整っている、人とは思えない美しさを持っている美少女――――――雪柳桜は、何を隠そうベランダで行き来できる距離の幼馴染だ。今年で15年目。因みに俺たちは高校一年生なので、実質生まれてからずっと一緒ということである。
少し頬を赤くして、恥ずかしそうに此方を見る桜。実行委員の仕事が終わったばかりなのか、その手には冊子が握られている。
本を閉じて桜の方に向くと、彼女は小さく口を開いた。
「……その、今からお風呂まで結構時間があるし、どこか遊びに行かないかい?ボクは直ぐに準備が出来るから、キミさえ良ければどこかへ行きたいなって……」
「おう、良いぞ。桜とならどこでも行ってやる」
「どこでも、か。……ふへへ、じゃあ、ちょっと待ってて!」
「うい。焦らなくていいからなー」
ぱたぱたと、微笑みながら駆けていく桜。ラノベに栞を挟んでバッグにしまい、代わりに携帯と財布を取り出してポケットに突っ込む。
バスの中での事もあってまだ少し気恥ずかしいが、それでも桜とは付き合いも長いから何とか自然に接することができる。
まあ、平均平凡野郎と成績優秀容姿端麗の俺たちでは釣り合うことは無いだろうけど。ぐすん。
☆★☆
取りあえず、体を動かしたいと桜が言ったので、俺たちは宿泊施設に備え付けてある校庭的なところに出てきていた。
青空は遠くまで広がっており、空気は爽やかで気持ち良い。緑の付き始めた木々の間を縫うように進む桜の長い黒髪を揺らす風は、暖かかった。ここに備え付けてあるのはテニス、サッカー、バスケのコート等。小さな公園や丘、ベンチなどもありかなり充実している。
笑顔の桜と二人っきりでそこへ行くと、案の定そこには沢山の同級生が居た。
中にはイケメンも見える。それの取り巻きも。
「……あれ、永大とか居ないな」
「そうだね。きっと彼らはゲームでもしてるんだと思うよ」
一通り見まわしても、俺の友人の姿は見えない。じゃあ何をしようか、と桜に話しかけようとした所で、やはりというか、俺に対する言葉がどこからか叫ばれた。
「おい!そこの暁古城!」
「それどっかの第四真祖だろアホ!!暁結城だわ!」
「う、うっせえ!というかお前、よりにもよって雪柳桜さんと二人っきりで歩いているだとお……!?てめえ、自分のステータス理解してんのか!?」
「してるわ!平均平凡、顔面偏差値平均値だよ!」
―――――突然話しかけてきた、というか叫んできたのはイケメンの周りに良く居る男の一人。周囲の人間がスススっと引く中で、しかし彼はこの大衆の面前でも気にせず俺に喧嘩を売る。
名前は、………。えっと、こいつの名前は………?
あれ、なんだっけ。
「もっと低いわ!このナメクジ野郎!」
「泣くぞ!」
サッカーコートでイケメンと遊んでいたであろうそいつは俺へと段々近寄ってくる。黒髪に黒目は日本人だから当たり前だが、何よりも……眼鏡にバンダナである。
俗に言う、”これぞオタク”みたいな恰好をしているのだ。
意味の分からないイチャモンをつけてくる時点で性格に難ありとは分かるんだけど、あまりこいつには近づいてきてほしくない。
他クラスの人間だから知らないてのも一つ。
後は、
「……ボクは最近昇竜拳覚えたんだよね。見る?」
俺の隣から凄まじい殺気が溢れ出ているからである。
理由は不明だが、昔から桜は俺が馬鹿にされる度に怒る。それはもう大の大人すらビビらせる剣幕で、俺としては俺を馬鹿にしてきた奴よりも桜の方が怖いレベル。
「ナメクジ、さっさと雪柳桜さんから離れろ!その人の隣にはイケメンさんとかが相応しいんだよ!」
こいつ。
さっきから黙っていたら、好き勝手言ってくれたな。
……俺のメンタルがボッコボコだよ畜生。
「や、やめろよ藻部……」
「イケメンさん、あんなナメクジ野郎が調子乗ってるのが悪いんすよ」
あいつ藻部って言うのか。さすがモブ臭凄まじい奴だ。
だがしかし。そろそろ桜さんの機嫌がマッハで悪くなるので、それ以上藻部には近づかないで欲しい……というか周囲の人間は絶対楽しんでるだろこの状況。イケメンも本気で止めないし。
大体、ナメクジにも良いところはあるのだ。
例えば。
……く、駆除しやすいし!!
うわあ超小物!!俺めっさ小物じゃん!!
「お前なんてあれだよあれ!モブだろ絶対!!」
「俺は藻部だけど?お前何言ってんだ?」
「脇役っつってんだよ!どうせお前は作者のネタとして使われるんだろ!」
「て、てめえ!俺の気にしていることを……!!」
喚き返すと、藻部は俺の方へ歩む速度を速めた。
それと同時に、一歩前に出る桜。あ、と声が俺の口から漏れて、そして慌てて桜を止める。
彼女を何とか自身の後ろに回すと、俺は藻部へと一言。
「そろそろ止めた方が良いと思うよ?」
「戯言言ってねえで、さっさと失せr―――――」
あ。やっちゃったな。
藻部の言葉の途中で、小さい拳が彼の腹を穿ち言葉を中断させる。真上に数十センチ吹き飛び、地面に崩れ落ちた藻部に向けて―――――――昇竜拳を打ち終えた桜は告げる。
「ボクはイケメンよりも、結城が好きだから。覚えておけ!」
やけに大きく響くその声。
桜の一言に、周囲の人間は呆気にとられて、次に呆然と口を開く。イケメンと俺と藻部も固まって、そして奇しくも俺たち三人は恐る恐る口を開く。
「「「今……なんて?」」」
「ボクはイケメンよりも結城が好きだって言ったんだ―――――よ―――――ッッ!?」
最後の方で途切れる言葉。自分自身でリピートして、そして桜は気づいたらしい。
自身が告白紛いの事をした事に。そして、バス内でのやりとりを思い出したであろう一年二組、全員赤面状態である。周囲の人間は女子男子混じって呆然としている。そして頬を赤らめている。イケメンでさえも口元を腕で隠すレベル。
俺?hahaha、フリーズですが何か。
ぼんっ。 と音を立てそうなほどに一瞬で耳まで真っ赤になった桜は、ゆっくりと振り返り俺を見つめる。
赤い頬に、映える蒼い瞳。長く流麗な黒髪が柔らかな風に揺らされ、そして桜は右手を握りしめた。
「わ、忘れろおおおおおおおおおおおおお!!!!」
「理不尽だあああふごああっっ!!!」
昇竜拳が俺の鳩尾に突き刺さり、体が浮かんで吹き飛ばされる。
背中から地面に落ちて、頭を強く打つ。揺らいだ思考の中、最後に見えたのは桜の慌てた表情だった。
☆★☆
「ぐう……ふらっふらする……」
言葉通り、全身がふらふらしている俺は部屋へと壁に手を付きながら戻っていた。
桜に吹き飛ばされて気を失った俺は、あの後保健室へ。夕方、お風呂の時刻直前に目の覚めた俺は今こうして宿泊施設内を歩いているのだ。
桜とイケメンは今女子と男子に分かれてお風呂の注意事項を話しているらしい。集合時刻に間に合っていないが、これはお風呂の道具を取りに行くため。注意事項等は後で個別に教えて貰う手筈となっている。
一日目は、この後お風呂入ってご飯食べて少し自由時間あって就寝。
主なイベントは二日目である。確か、登山するとかなんとか。
キャンプファイアーもあり、これは結構楽しみな行事だ。
この予定で一杯になっている栞で、桜たちが実行委員でどれだけ頑張ったかが分かる。ぺらぺらと捲りながらお風呂用の小さなバッグを取り出した俺は、まだ重たい体を引きずりつつ部屋を出た。
宿泊施設はかなり大きい。普通のホテルとしても営業しているらしく、一般のお客さんもちらほらと見える。学校の行事で来るには豪華すぎるくらいの施設で、それだけでテンションがあがるのは俺だけだろうか。できれば桜と二人で来たかった。
まあ、夜も直ぐに寝ちゃうと思うんですけどね!
主に俺が原因で!ははは、ヘタレの童○に何をしろと!?
壁に手を付きつつ、来た道を戻る。途中で見回りの先生に捕まり体調を聞かれた後別れて、俺はふらふらとうろ覚えの脳内の地図を頼りに広大な施設内を辿っていく。
……そして、それが間違いだったのだ。
滅茶苦茶な方向に行き、迷った俺が風呂場に辿り着いたのは入浴終了時間の十分前。
暖簾の前で待っていてくれた桜は、俺を見つけると小走りで駆け寄ってきた。
「結城……その、昼間はごめん」
「大丈夫大丈夫。気にしないで。というか、桜お風呂入っちゃえば良かったのに」
「さすがにそれは、ね。これも実行委員の仕事だから」
「そっか。じゃ、早く入っちゃおうぜ」
「え?もう無理だよ?」
「………なんで?」
「だって、もう入浴時間終了してるよ?」
慌てて俺は腕時計を確認する。
しかし、そこに表示されているのは確かにまだ入浴時間内。それを桜に見せると、呆れた様に桜は自身の腕時計を俺に見せた。
「……ずれてる!?」
「盛大にね。もう皆部屋に帰っちゃったよ」
悪いことをしてしまった。
男子の俺は別に風呂に入らなくても何とかなるけど、桜はデリケートな女子だからそうもいかないだろう。お風呂道具は持っているものの俺を待っていたせいで入れていない桜は、だけど、と続けた。
「ねえ。結城は誰かと一緒にお風呂入っても大丈夫な人?」
「まあ気にはしないけど。どうしたの?」
桜はポケットから一つ、鍵を取り出した。
そこに書かれているのは、入浴場の文字で。桜は少し躊躇った後に、話し始める。
「ボクの日頃の行いが良かったのか、特別に入浴場の鍵を貸してもらえたんだよ。キミを待っていてお風呂に入れなかったからね?……ボク達の担任の先生に、結城も入れてないんですってことを話したら、許可も貰えたんだ。だから、今からお風呂に入れるよ?」
「……短く、端的に、一言で」
今聞いた言葉の内容を脳で確認しつつ、俺は尋ねる。
そして。
「―――――ボクと二人っきりで、一緒に、お風呂に入らないかい?」
それはどうやら、聞き間違いではなかったらしい。