俺とクーデレ幼馴染の日常   作:ラギアz

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えっと……その……
ごめんなさい。
とんでもなくお待たせしました。すみません。
毎回言ってますねこれ……直したいのに!!
毎度毎度、遅れてしまいすみません!もっと頑張って、投稿早くしたいと思います!!

後、UA21万ありがとうございます!!
凄い励みになります!更に上を目指して、頑張って行きたいです!

では、どうぞ!


俺と幼馴染と疎遠関係?

 二日目の朝。

 ……それは、初っ端から(何故か)BBQから始まった。

 肉と串と野菜、コンロなどは支給されるが、明らかに量が足りない。ならばどうするのか?

 そう。俺たち1-2の担任、社会教師はこう告げた―――――――。

 

『え? 足りない? ああ……釣れば良いんじゃない?』

 

 宿泊施設の敷地内にある川。そこでは今、男子勢が水しぶきを上げて駆け回り転び、釣竿を振り回し、素手で魚を握りしめていた。

 河原では班の女子がきゃっきゃわいわいと男子を応援していた。

 そう。決して働かない女子と、無条件で働かされる男子!!

 男子共は青く澄み切った夏空を見上げ、入道雲へと叫ぶ。

 

「「「「「「持ち物水着(男子限定)って……こういう事かああああああああ!!」」」」」」

 

☆★☆

 

 魚って、ぬるぬるしてるんだぜ。

 そう、掴んでも手からするっと抜けてしまう。釣り竿は釣りの経験がある藻部が使い、永大はどこからか取り出した網を振り回し、イケメンは女子から網を受け取っていた。

 どうも。素手の暁結城です!

「結城結城、その大きな岩に向けてちっちゃめの石落として」

「……なにゆえ?」

「魚は石の下に隠れるんだけどさ、そこに向けて強い衝撃加えるとぷかーって浮いてくるらしいんだよね。コナンで読んだんだよ」

「へー。あれか、じっちゃんの名にかけて! か」

「それは金田一少年だよ」

 ジャージを腕まくりして、川岸でしゃがんでいる桜。何時もは下している長い黒髪を、今は持ってきた白いしゅしゅでポニーテールにしていた。頬に浮かぶ汗を手の甲で拭う桜は、気だるげに俺を見ている。木陰に居れば良いのに、彼女はずっと俺と一緒に移動していた。

「……暑くない?」

「暑いよ。見てわかるだろう」

「日陰に行けば?」

「めんどくさい。主に日陰で休んでる女子と男子に囲まれるのがめんどくさい」

「ああ……モテる人間の特権か。どんまい」

「全く、何で女子も水着持って来ちゃダメなのさ。ボクだって川で遊びたいのに」

「遊んでないからな!? 今絶賛魚獲る為に奮闘中だからな!?」

「じゃあほら早く。今、向こうの学校の人がBBQの用意してくれてるからさ」

「ん。了解」

 時折、桜のアドバイスを貰いながら魚を集めていく。網を使っていたイケメンと、釣り竿使いの藻部は結構な数を取っていたが、幸いにも俺も同じくらい取れていた。

 クーラーボックスに魚を突っ込み、宿泊施設に戻り始めたのは丁度昼前。太陽がてっぺんに昇り、入道雲が空を白く覆っている。広がる青空を仰ぎながら、森の中の小道を歩く俺たち。最後尾を歩く俺と桜は特に会話をせずに、淡々と歩いていた。

 ……夏と言う季節を見るならば、それは俺と桜にとって波乱の季節でもある。

 今となっては過去の話だが、俺と桜が出会ったのも夏だ。

 そして、その頃。俺は桜に嫌われていた。もう、目を合わせる事すらしてくれなかった。

 本当にもう、仲良くなれたよなあと思いながら目を閉じる。

 蝉の声が、体に染み渡る様だった。その喧噪と暑さに取り残された様な、不思議な感覚が俺を包む。世界から隔離された――――――そんな気持ちが、体の奥から滲み出る。寂しさと安堵感を同時に味わいながら、目を開く。少し離れた所では、永大やアイリス達が笑っていた。

 残されてるのは、俺と桜のみ。クーラーボックスを肩に掛けなおして、少し急ごうと一歩踏み出した。

 が、何かに引っ張られてバランスを崩す。何とか立ち止まって後ろを見ると、桜が服の裾を掴んでいた。

「…………」

 何を言うでもなく、彼女は一歩前に出ていた俺の横に並ぶ。そのまま右手を、俺の左手に絡めてきた。

 俯いている桜の表情は見えない。繋がれた手は、恋人繋ぎでも無くただ握り合っているだけだ。

 それでも、俺は一気に引き戻された。蝉時雨は五月蠅い。暑さに、汗が滲み出る。

 お互いの手は、汗で濡れていた。だけど離す事は無くて、俺たちはそのまま歩き始める。地面を踏みしめる足は、やけにゆっくりと、しかし進んでいた。

 

 だけど。

 戻ってからが、一番、きつかった。

 

 ……魚を持ってきた頃にはもう、BBQの道具が全て設置され、元々支給されていた肉や野菜はしっかりと下ごしらえが完了。火が付けられていて、もう直ぐに焼ける状態だ。

「そういえば、魚はどうすんだ? 網の上で焼くの?」

 永大が呟くと、間髪入れずに向こうの班の班長が答える。

「塩焼きとかしたいから……薪でも取ってくる? さっき先生たちもそうしたら、って言ってたんだよね。ただし扱いには注意すること、だってさ」

「ふーん。じゃあ、誰か薪を……」

「あ、俺行くよ」

 真っ先に手を挙げたのは、紅月。あいつは一度俺たちを見渡すと、あろうことか。

「えっと、雪柳さん?だっけ。一緒に来てくれる?」

「え?ああ、良いけど」

(!?)

 桜を指名し、二人で森の中へ消えていった。向こうの班長が指示を出し、皆が動き始める。その中で唯一動けない俺は、永大に無理やり建物の裏手へと連れていかれた。

「……おいおい、やべえんじゃねえか」

 何も言えない。

「暁?へい暁!元気してるかーい!?」

 何も言えない。

「やばいぞこいつ。何言っても反応しない……。あっ、桜さんと紅月が凄く濃密に絡み合ってるー(棒」

「!?」

 殺す。

「嘘だよってか反応速すぎだろお前!後端的すぎるわ殺すって!」

「えっ、口に出してた!?」

「溢れ出る殺気がオーバーフローだわアホ野郎!」

 桜が紅月と共に薪を取ってきて、魚を塩焼きにする事に。担当は再び立候補紅月と指名桜、お手伝いで向こうの学校の男子。俺とアイリス、永大や凛はその他の仕事に掛かりっきりだ。

 準備が終わっているコンロの網の上に、まずは火の通りにくい野菜から置く。

「私、バーベキューって初めてです!楽しみですね!」

 と、アイリスは現在白状態だ。他の学校が居るからだろうか。上のジャージを腰に巻き付けて結び、腕には日焼け止めを塗っていた彼女は現在体育着+下ジャージである。

 汗かサイズの小ささか、ぴったりと体のラインが浮き出る服装。

 さっきからやけに近い彼女の柔らかい肌が当たるたびにびくっと跳ね上がってしまうのは如何な物か。

 俺だぞ俺。しっかりしろよ俺。

 でもまあ、しょうがないよね。許してくれ、アイリスはクラスで一番胸が大きいんだ。スタイルも桜に負けてないし、顔だって滅茶苦茶良い。はっきり言って桜が居なければ一発で落ちていたと確信できる。

「コーン、このくらいで良いでしょうか?暁さん、どうですか?」

 因みに今、桜は紅月と談笑している。ああっ、今塩焼き魚の串を持つ手が触れ合った!?

(……結城、無視すると今すぐここでディープキスするけど良いのね?)

「何かなアイリス!え?野菜が焼けたって!?そうかそうかなら追加しようか!」

 一瞬だけ降臨したアイリス(黒)に過剰反応。焼けた野菜を端へと退かしつつ、再び新しい野菜を投入していく。横目で見る桜と紅月は、楽し気だった。

 

☆★☆

 

 結局――――。

 あの後も、桜はずっと紅月と一緒だった。と言うよりは、丁寧な誘い方ながらも断らせなかった紅月と周囲の人間の手腕が大きいだろう。その分俺は(何故か)アイリスと一緒だった。

 ……正直、水まきを先生に頼まれて、途中で濡れ透けアイリスが見れたのは本気の眼福ですありがとう。

 そして夜。もう晩御飯が終わり、消灯時間も過ぎた。俺達の部屋でも就寝しようという話になってから数十分が経った頃、トイレに行こうと起き上がる。

 部屋に備え付けのトイレ。用を足した後ドアを出ると、そこには何故か永大の姿があった。

「なあなあ、少し抜け出そうぜ」

 小声だった。男からの誘いだったし、ましてや相手は永大である。

 それでも、あいつは有無を言わせずに俺の手を掴み、窓へと近づく。一階なのが功を奏し、俺たちはジャージのまま窓から部屋を脱出。12時近い深夜、二人っきりの逃避行。

 先生に見つかれば説教では済まないかもしれない。

 それでも、そんな事はどうでも良かった。一つの木が植えられた、小高い丘へと二人で上る。

 会話は、無い。さくさくと、草を踏み分ける音が夜風に消えていく。

 涼しい。

 真っ暗だ。

 

 星が綺麗な、夜だった。

 

 徐に丘の草むらへと寝ころんだ永大。それにならい、俺も仰向けに倒れる。頭の後ろで両手を組むと、そのタイミングで永大が口を開いた。

「……明日どうすんだ?」

 何を?何の事を?

 それは愚問。何の事かなんて、自分自身が一番良く分かっていた。

「さあ。……取りあえずは、先手打たなきゃ」

 雪柳桜。俺の幼馴染の事だ。

 もう、明日で最終日。林間学校で大した思い出を作れないまま終わってしまうのは、片思い中の青春男子としては相当辛い。

 それに。

「紅月に、負けてられないもんな」

「……うん」

 あんな会ったばかりの奴に、負けてはいられなかった。永大がわざわざこんな時間に抜け出したのも、この話をするためだったのだ。

「幼馴染は負けフラグ」

「ギャルゲーかよ」

「ギャルゲーだったら女の子が負けるけどな、敗因は大体が幼馴染って言うポジションに慣れすぎちゃって踏み出せなかった人間の末路だろ?だったら暁、お前もそうなるんじゃねえのか?」

「……幼馴染って言う事だけに甘えて、何もしない人か」

「それだよ。言っておくけど、積極性って結構重要だぜ。桜さんの視線に気づかなかったお前はちょっと酷いしな」

「えっ?」

「視線だよ視線。桜さん、ちょこちょこって言うかずっとお前の事見てたぞ」

 マジか。知らなかった。

「さて、で、明日なんだけど……暁、作戦ある?」

「……朝一に桜の所行くとか」

「それだと他の行動の時に紅月に後れを取るぞ。……と言う事でだな、今日凛と話したんだけどさ」

「うん?」

 永大の話が、大事な事へと変わり始めた気がした。満天の星空の下、草の上で寝っ転がる俺たちを夜風が涼しく撫でていく。暗い世界で、お互いの顔はぼんやりとしか見えない。時折空を駆ける流れ星が、儚く消えていく。

 そして、あいつは言った。

「明日凛が迷子になるから、一時間とか30分とか、お前と桜さんと二人っきりで話して来いよ」

「……は?」

 唐突なカミングアウト。

 

 ―――――――宣言する迷子って、迷子なんですかね――――――!?


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