マジですみませんでした!!
服や行かない私に服屋なんか無理でしたごめんなさい!!
もっと投稿早くします……ごめんなさい。
後少しで総合評価が4000行きます。皆さんのお陰です。本当にありがとうございます!!
それでは、最近萌え要素が少なくなってきたから次回から頑張るという気持ちも込めて。
どうぞおおおお!!!
葵が帰宅してから数時間後。俺と桜、永大と葵は早速デパートへ行こうという話になった。葵が疲れてないかが心配だったが、本人が気丈に大丈夫と言っている。という事でぱぱっと着替えて、家を出たのは二時くらいだった。
道すがら、葵はひっきりなしに桜へと話しかけていた。永大と俺は特に何を言うでもなく、黙々と歩いている。
夏の外は暑く、アスファルトがじりじりと焼けている。陽炎も遠くに見えて、街路樹の蝉が五月蠅く鳴いていた。せみ時雨の中で歩く俺たちはそのまま数十分歩き、この町で一番大きいデパートへ。中に入ればクーラーが効いている涼しい空気が肌を優しく包み込んだ。
「……さて、じゃあ桜の水着を選ぶか」
「私のも、です」
俺が何となく呟くと、葵は厳しく言葉を発した。
「いやお前そんなに成長してないじゃん……」
「兄さん、実は私学校で護身術を習ってるんです。少し組手でもしますか?」
「すみませんでした買いましょう」
殺気を出した葵にひれ伏し、俺たちは水着売り場へ。夏も真っ盛り、水着売り場には多数の人が居た。
商品の並んだ台の真ん中を歩く。時折立ち止まり物色しては、また次の水着を手に取る。葵と桜が楽しそうに選ぶ中で、水着を変える必要が無い俺と永大は後ろからゆっくりと着いて行っていた。
「いやあ……若い美少女が水着を選んでるのって眼福ですなあ」
「お前は何歳だ」
永大がしみじみと言い、俺はすかさず突っ込んだ。
しかし、その気持ちは分からなくも無い……と言うか、全面的に同意である。美少女二人が楽しそうに何かを見ているのは何というかこう、心が洗われる的な何かがあるのだ。
母親似の葵に対して、父親似の俺は何ともまあ平凡である。これでも母親の血は通っているんだけど。
因みに葵の味覚は父親似だ。あの人もねるねるねるねとかが好きだった。ルートビアやドクターペッパーを主飲料とした生活を送り、母親に良くあきれられていた思い出がある。
やがて水着が決まったのか、桜と葵はそれぞれ一つずつ手に持って俺たちへと振り返る。二人は服の上から適当に水着を体に当てて、首を傾げた。
「どうかな?まあ、そんなに何時もと変わらないんだけどさ」
桜の水着は水色のビキニ。
彼女の言う通り、桜は毎年モノトーンの水着を選んでいる。地味な筈なのに、一番華やかに見えるから恐ろしい。永大もただただ無言で拍手を送っていた。
対する葵は、無言で俺をじっと見つめている。
手に持っているのは黄色のパレオ……とか言う奴だ。サイズは恐らく発育の良い小6と同サイズ。中学校三年生なのに、と思いながらも似合っているのは確実。
「似合ってる。良いんじゃない?」
「そうですか。……そうですか。じゃあこれにします」
葵は俺の言葉に二回頷き、満足げに水着を抱きかかえた。
お昼も食べたし、水着も買った。用は全部終わらせたが、直ぐに帰るのはつまらないと言う事で喫茶店へ。大きいパフェを永大と葵は黙々と食べて、俺と桜はそれぞれショートケーキとモンブランを食べていた。時間は三時くらい。丁度おやつの時間だ。
「この後はどうする?俺はどこでも良いぜー」
パフェをいち早く食べ終えた永大がそう言うと、桜も小さく頷き同意した。葵もそれで良いらしく、じゃあそこに行こうかと言う話になる。
「葵ちゃんの行きたいところに行くのは?」
「俺は別に良いぞ」
「ボクも良いよ。葵、どこがいいとかある?」
「えっ、えーっと……」
突然話を振られ、葵は珍しく戸惑ったように首を傾げる。暫く天井を見つめながら考えて、彼女は口を開いた。
「洋服を見たいかなって……思います。永大さんが居るのであまり女の子だけが楽しめる所は避けてたんですけど……」
「俺は全然問題ないぜ!寧ろ葵ちゃんと桜さんに色々なお洋服を着せたい」
「……では、良いでしょうか?」
「ボクも少し服を見ようかな。じゃあ、行こうか」
葵の問いに頷いた全員はさっさと食べ終え、席を立つ。先に会計を済ませておくタイプの店なのでそのまま出て、目指すは服屋。
歩いていると、突然葵が俺に駆け寄ってきて、そっと耳打ちした。
「ありがとうございます、兄さん。毎回何も言わずに、行きたいところに連れて行ってくれて」
「ん。まあ、可愛い妹の為ですよ」
「……えへへ。私もお兄ちゃんの事、カッコいいと思ってるからね」
屈託のない、純粋な笑顔を葵は浮かべた。
砕けた口調に、普段見せない表情。直ぐに彼女は離れて行ってしまったが、俺は久々に見た妹の姿に感慨深い物を感じていた。
……あいつ、高校はどうするんだろうか。まさか、俺や桜と同じところには来ないよな。
葵が気を抜いた時にだけ見せてくれる顔を見てから数分後、やっと洋服屋についた。
「さて、じゃあ葵ちゃんと桜さんの服でも選びますかね」
「結城、どんな服が見たい?なんでもいいよ?」
「メイド服かチャイナドレスか裸エプロン」
「兄さんは一回紐なしバンジーしてきたらどうですか……?」
さらっと妹に死ね発言をされる兄。俺ですね。
良く考えれば水着着用の裸エプロンなら見たことあるな、と思いながら四人で棚の列を見ていく。良さそうな奴があったら手に取って桜にかざしたりしてみるも、こいつと服屋に来ると困る事が一つ。
「……どうしたんだい、頭を抱えて。そんなにその服が気に入ったの?」
桜は、全部の服が似合いすぎるのだ。
雑誌に載ってるモデルがうんたらこうたらとかの次元をぶち壊して、格が違う。きっと白ワンピースをかざしただけで向日葵畑と青空が浮かぶのはこいつだけだ。
葵の白ワンピースは見たから、桜のも見たい。パーカーに短パンもみたい。スカートも見たい。
「あのさ、結城。ボクは言ってくれればどんな格好でもするよ?時と場合によるけど」
「メイド服でも?チャイナ服でも?」
「う……う、まあ。その、結城が言ってくれるならやぶさかではないよ?でも、誰にも見せるわけでは無いからね?あと、その前に色々夜戦の準備をしておいてね?」
「桜さん、色々暴走してるぜ!?」
「桜お姉さん、そろそろストップです」
夜戦……夜戦……?夜の戦……?
魚雷は用意出来ないぞ……。
「まあ、それは良いんだよもう!結城、早く服選んで!」
「え?お、おう。お前はどんなのが良い?」
「キミが選んでくれた奴なら何でもいい!結城が喜んでくれる奴!」
全部なんですがそれは。
さて、一番似合うやつって何だろうか。黒髪ロングの女の子に、……。和服だよなあ。和服って無いもんなあ。洋服で似合うのは、ワンピースとパーカー短パンだろうか。というか俺、服をそんなに知らないぞ。
でも確かそれらは全部桜が持っている筈。去年、麦わら帽子もプレゼントしたし。
どうしよう。他に服って何があるんだ……?
……。
………青白のチェック、とかはどうだろうか。
うん。それにしよう。組み合わせは他に選んでもらおう……。何より、青と白はかなり組み合わせとして良いと思う。縞パンだって、青白か黒白だし。
一度頷いてから、近くにあったシャツを取って桜に渡す。
「おお、まさかキミが普通のをボクに渡すなんて」
「今までマイクロビキニとかしか渡した事ないだろ。変なものとか渡してない!」
「それが変な物なんですよ兄さん。変態ですよね兄さん。甘えすぎですよ屋上からダイブして下さい兄さん」
「葵、お前俺に結構辛辣だよね」
「兄さんですから」
泣きそうだ。
桜を見ると、どうやら気に入ったらしい。そのまま服を買いに行こうとする。
……が、それを止める。振り向いた桜に、恥ずかしながら告げた。
「……それ、俺、買う」
「何で片言なのさ。……ありがとうね、結城」
服を俺に手渡した桜は、照れくさそうに笑みを咲かせた。
これだけで幸せになれるんだから、俺は何て安い男なのだろうか。それも、悪くはないが。
葵の服もついでに買って、家に帰る事になった。途中で永大と別れて、桜並木を通ってから坂を上る。
この坂からは町が一望出来て、その直ぐ向こうには青い青い海が一望できる。坂を上って、真っすぐ行くと緑溢れる山が並び、その一つの頂上に染井吉野神社があるのだ。
海と山が揃う、田舎の町。
夏の夕暮れ、今にも燃え落ちそうな空の下で蝉時雨を浴びて歩く。海に沈む太陽を、藍色に染まり始める空を見上げて、葵はそっと呟いた。
「やっぱり、良いところですね」
彼女は寮生活だ。この町に居るのは、夏休みと正月だけ。それだけに、故郷への思いは俺や桜が抱く物とは違うのだろう。
部活に入って居ない俺と桜、永大に凛やアイリスは基本的に暇人だ。
早く入りたい。どちらかというと、少人数の部活に。文化祭も、夏休みが終わったら直ぐにある。
……暇人、と言えば少し聞こえが悪いかもしれない。でも、その分時間があると言う事にもなり、その時間を如何に使えるかが重要になってくる。
この夏は、友達と何処かに行きたい。葵にも、楽しい思い出を残してやりたい。
暁結城としても、そして兄としての思いもある。それを両立出来るのかは、分からない。
けど、まあ何とかなるだろう。桜も永大も居る。何なら藻部にだって居るだろうし。
海を眺めて、揺れる水面に移る太陽を眺めながら、更に一つ、俺は考える。
――――桜とも、もっと近づきたい。
その為には何が出来る?だなんて、そんな事は考えない。答えはもう出ている。俺が攻めていく。今のままじゃなくて、変わる。
暁結城を進化させる。雪柳桜に並び立ち、その手を取るために、駆け上がるしか無い。
桜と葵が楽し気に坂を上っていくのを見ながら、一人距離が離されている俺はポケットからスマホを取り出した。電話帳を開き、登録されているメンバーの中から一人を選択。
もう、仕事は終えているだろう。全く、大企業の社長の秘書だなんてあの人も大変だ。
電話を掛けながら待つこと2コール。耳に当てたスピーカーから、直ぐに声が聞こえた。
『もしもし。どうしたの、結城』
「もしもし。えっと、少し聞きたい事があるんだけどいいかな?」
『良いわよ。子供の作り方?』
「ちゃうわ!えっとね」
若く聞こえる女性の声。聞きなれた、声。
その主に向かって、意を決してから俺は尋ねた。
「
太陽は消えていく。
だが、俺はまずここから始める。