fate/grandドンチャカ   作:( ∴)〈名前を入れてください

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この話は導入ですからくっそ短いです許してお兄さん


特異点 邪龍とかメッチャ良い素材になりそうなオルレアン その1

 

次元が違うと言う言葉を知っているだろうか。「○○とはまるで次元が違う」「○○は次元違いの強さだ」と使われる。次元とは空間の広がりを表し1次元ならば横線1本、2次元ならば横線は1枚の絵になり、そして3次元ならばそれに奥行きが加わり立体となる。

つまり、次元が違うという言葉は「存在そのものに圧倒的な差がある」と言う事なのだ。アリが象に踏み潰されるように、1枚の絵が人間に破られるように、存在そのものにどうあがいても手が届かない圧倒的な差がそこには有るのだ。

 

「故に、我はアヤツら如きに負ける道理は無かった。あの忌々しい神がいなければ我はアヤツらを鏖殺出来たものを」

 

「あぁ口惜しや、なんと憎たらしい事か。殺しても殺したらぬ、我が腸にアレを放り込めたのならばどれだけ幸せか。我が三又の矛を突き刺せれればどれだけ報われる事か」

 

「アレの懇願、悲鳴を聞きながら身を食らいつくすのはどれだけ甘美だろうか」

 

声が木霊する。憎悪に塗れた声が、怒りに満ちた声が、欲望の声が、それら全てが一人の存在に対して牙を向く。あぁ口惜しや、お前がいなければこうはならなかった。お前さえいなければこの結末は訪れなかった、あるべき一つの結末に向かう筈だったのに。

 

故に我は貴様を許さぬ、貴様がいなければ我はこうならなかった。生かしておけぬ、鏖殺し存在を滅ぼし尽くさねばならない。生かしておれぬ、滅尽滅相。必ず滅ぼしてくれるわ。

 

邪な仮面は忌々しく空を見上げ、腹に悪魔のような大口を持った邪神はその手に持った三又の矛を空に掲げ、複眼の獣は空に向かって咆哮を上げる。

彼等が見据える大空は点であり1枚の絵であり奥行きのある空間であった。形容し難い、常人ならば理解出来ない、無理に理解しようものならばその精神が狂い果ててしまうような空間。唯一理解出来るのは大空に広がる幾重にも重なった光の輪が彼等を見下すように頭上で光輝いているという事だけ。

 

──

「あぁ、良いぞ。お前如きが出来るとは思わんが、それを見るのも一興。せいぜいこの私を楽しませて見るのだな」

 

どうせ世界は人理の崩壊を持って終わりを告げる、須らく逃れる事は出来ん。ならばお前らが幕引くと良い。それはとても見応えのある歌劇になるに違いない

 

「お前らが悲願を達しようが達しまいがその結末は間違いなく愉快なものになる」

 

「ギャハ、ギャハハ、ギャハハハハハハ!」

 

「■■、■■■■■■■■!」

 

ここではない何処かで王は嗤う。酷く汚らしく、酷く残酷に愉悦に満ちた声色で、まるで彼等の存在そのものが体の良い玩具だと言わんばかりに。万象全てを理解し魔業を極めた王の笑い声と共に王の周りに存在している異形な存在も甲高い声を上げ笑う。なんと愉快な事か、なんと愚かしい事か、お前ら如きが何かを為せるとでも思っているのかと。

 

「この世界はこの魔術王の玩具に過ぎん。それが嫌なら止めて見せよ、出来るものならば、な」

 

「なぁ、○○ ○○よ?」

 

──

 

「……どうしましたか先輩?」

 

いや……凄い嫌な奴に何か言われた気がしたけど気の所為だった

 

「おいおい坊主。大丈夫かよ、まるで仕事中の何処ぞの守護者みたいな顔してるぞ?」

 

「それ以上言うならば私は君を座に送り返す事も吝かではないのだが?」

 

どうしようもない嫌悪感に襲われた貴方の姿を見てマシュやサーヴァント達が貴方を心配するような声を掛けるが貴方はそれを笑いながら大丈夫だと言葉を返す。

 

青く広がる大空、頬を優しく包む風。新緑豊かな大地。貴方が見渡した景色はとても綺麗であの最初の特異点冬木のような地獄の釜を開いたような地獄ではなく世界が滅ぶ前、テレビくらいでしか見た事のない美しい草原が……

 

「肉だー!」「槍を投げろー!」「どんどん放てー!」

 

「主殿の為にその首、寄越せ!この畜生共が!」

 

草原が……

 

「なぁ術の俺、ちょっとコレ焼いてくれよ」

 

「あいよ」

 

草原が……

 

「おっこれウメェな。神様も食ってみるか?」

 

「何を言っているのですかヒーロー!神様にこのような雑な料理を食べさせる訳にはいけません!取り敢えず私が」

 

「……それ、お前が食いたいだけじゃね?」

 

なんという事でしょう。美しい草原はワイバーンの血と肉で汚れ、泣き喚きながら逃げようとするワイバーン達をパタポンとサーヴァント達が乱獲しているではありませんか。

 

テレビで見た美しい光景は既に無く。何処を見渡せど

 

「■■■、■■■■■!」

 

「おっと、動くなよ?動いたら楽に殺してやれねぇからな」

 

「……爪とか牙とか翼とか鱗とか。何かに使えそうだな」

 

「そうだな。取り敢えず使えそうな所は全部剥ぎ取って持って帰るか」

 

ワイバーンの悲鳴が辺り一面で響く中、パタポン達がお構い無しに解体作業を行い

 

「コレに乗ったらかなり戦えそう」

 

「良いね。じゃあお前は鳥ポンからドラポンな!」

 

「■■、■■■■■!」

 

鳥に乗っていたパタポン達の中にはワイバーンを見て鳥からワイバーンに乗り換えたりする者がいたりとまるで希少性の高い生き物達が人間に乱獲される姿を彷彿とさせ、貴方から見れば哀れなワイバーンが蹂躙されている地獄絵図にしか見えない。

 

貴方はドクターの指示を受け新たなる特異点に来た筈なのですが、来た先で出迎えてくれたのは大軍のワイバーン。普通ならば蹂躙され皆殺しが妥当なのだが

 

「……ここまでくるといっそ哀れだ」

 

「サーヴァントである俺達がいるのに、さらにあのギョロ目達がいるんだからなぁ……」

 

エミヤと槍ニキの声を横で聞きながら貴方は高速で何度も頷く。大軍のワイバーンがなんのそのサーヴァント&パタポンは大軍のワイバーンを殲滅し逆に蹂躙を始め、人間を超越した英霊達と常日頃自分達よりも圧倒的な存在と戦っていたパタポン達にとってワイバーンなどトカゲ程度にしかならず、哀れワイバーンは返り討ち、こうしてこの現状が出来上がったのだ。

 

「主殿!首級を取ってまいりました!」

 

流石、牛若丸。ありがとう助かったよ

 

「天才ですから!」

 

「……なぁ弓兵よ。可愛らしい少女が全身を血に染め、ワイバーンの首を手に持ち近付いて来たらお前はどう感じる?」

 

「……ノーコメントだ。彼女に悪気はないしマスターもそれを受け止めている、ならばこれで良い筈だ」

 

牛若丸の頭を撫でながら横から聞こえてくる声をスルーし貴方は目の前の光景を見守る。

 

……取り敢えず、皆が満足するまで待とうか

 

「……先輩。私だけはどんな事があろうとマトモですから安心して下さい」

 

>俺の後輩が可愛過ぎてヤバい

マシュは天使

 

「ゴメンゴメン。ちょっと通信が乱れてて連絡が取れなかった……って何これ!?」

 

新たなる特異点、西暦1431年フランスの新緑豊かな草原で貴方は空を見上げる。空の幾重にも重なった円形の虹が光輝き貴方を見下ろす。まるで虹が貴方の姿を見張っているような感覚を感じるがきっと気のせいだろう、これから始まる人理修復の責任から感じる気負いのようなものと結論づけて貴方は好き勝手にしている皆を呼ぶ為に声を張り上げる

 

「ギャハ、ギャハハ、ギャハハハハハハ!」

 

何処から聞こえる貴方を嘲るような笑い声に気が付く事も出来ずに、貴方は仲間と共に特異点フランスを歩み出す。人理修復、世界を救う為に

 




(‘●)<荒ぶるソロモン

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