─あなたは、どの世界線にいても1人じゃない─
──わたしがいる──
超対称性のパラダイムシフト
塩基配置 ヒトゲノムと確認
霊器属性 善性 中立と確認
ようこそ、ここは人理継続保証機関 カルデア
指紋認証 声帯認証 遺伝子認証 クリア
魔術回路の測定 完了しました
登録名と一致します。貴方を霊長類の一員である事を認めます。
「フォウ…?キュウ…キュウ!? 」
…なんだ?脳がグラグラと揺さぶられたように頭がひどく痛いし気持ち悪く気分が悪い…。そのせいだからかリスなのか猫なのかよくわからない生物の幻聴が聞こえてくる。
「フォフォフォッ!フー、フォーウ! 」
…ん?いま、頬を舐められたような…。
それに体がバキバキに凝っているようだ。
はて?ラボのソファーはこんなにも寝心地が
悪かっただろうか?まるで布団も無しで床にでも
寝ているような…。
「……………あの。朝でも夜でもありませんから、
起きてください、先輩 」
んん??先輩??我がラボにこの俺、狂気のマァァっっドサイエンティストこと鳳凰院凶真を先輩などと呼ぶラボメンなどいないはずだが…?ひどい車酔いにも似た倦怠感をなんとか抑えて瞳を開いてみると…
「だっ、誰だ貴様は!? わ、我がラボにいっ、いったいどうやってやって侵入した!!?? 」
「? いきなり難しい質問で、返答に困ります。名乗るほどのものではない…とか?それから我がラボといいますが、その言葉が所長の耳に入ると何時間お説教されるか分かりませんので、あまり口にしない方が賢明ですよ、先輩 」
「フォウフォウッ!ンキュッ!!」
白衣を着た眼鏡のよく似合う少女と聞いたことのないようなやかましい鳴き声の犬?猫?リス?がいた。
いや待て!そんなことはどうでもいい!いやよくもない訳ではないがそんなことよりも!
ここはどこだ?窓もない広く長い近未来チックなデザインの廊下?いやいや待て待て!
今自分の格好を確認してみる。うむ、いつもの白衣を着ていて、特に変わった様子はないな。
次に眠っていた前のことを思い出そうとしてみる。俺は昨日助手とまゆり、ダル、ルカ子、フェイリス指圧師、ミスターブラウンやシスターブラウン達と助手の来日パーティをしていたはず…。ダルの注文したピザやルカ子の作ったカレーを食べ…ラボメン対抗雷ネット大会フェイリスに惜しくも(ここ重要)敗北してしまい…その間に助手が残ったピザとカレー+αで生成してしまった味覚破壊暗黒物質ダークマターをダルと押し付けあって…まっ、まぁ涙目になった助手が可哀想になったとかそんなものではなく、ダークマターの犠牲になった食材が勿体無いから仕方なく食べ…そして口にした途端意識が遠のいて…そして…
「……思い出せない……?」
「いえ、名前はあるんです、ちゃんと 。でもあまり口にする機会が無かったので…印象的な自己紹介ができないと言いますか、なんといいますか…。どうしましたか、先輩?顔色が優れない様ですが、カルデアの廊下で寝ていて、風邪をひいてしまったのではないんですか?」
「カルデア?何のことだ、俺はそんなものは知らないぞ!それにさっきから気になっていたのだが、貴様は何者なんだ?それからなぜ俺のことを先輩と呼ぶ?俺はまだ大学1年だぞ!」
「いっ、一度にたくさん質問されても困ります! 一つずつ答えますから落ち着いて下さい、先輩!」
メガネをかけた自称後輩もこの状況に困惑しているようだ。確かにいきなり聞くには質問が多すぎたがそれでも俺にとってみれば見知らぬ場所で、見ず知らずの少女や説明しづらい猫っぽい生物に囲まれているのだ!聞きたいこともそれなりに多くはなる!しかし…ここはメガネの少女の言う通り、少し落ちついて話しをしなければ会話もままならない。
「す、すまん。俺も冷静じゃなかった、謝ろう…では一つずつ質問させてくれ。まず貴様…いや、君は何者だ?」
「マシュです。マシュ・キリエライト。カルデアに所属している、マスター候補の一人です 」
「俺は狂気のマッドサイエンティスト!鳳凰院凶──」
「偽名ですよね?先輩、本名を教えてください 」
「岡部倫太郎だ。日本電機大学一年、よろしく… 」
くっ…冷静になったらいつも通りのテンションで会話してしまったな。流石に今この場では鳳凰院凶真はいったん封印だ。自分の置かれている立場がまだ全くわからん状況であるからな。
「はい、私のことはマシュと呼んでください。それからこちらのリスっぽい方はフォウ。カルデアを自由に闊歩する特権生物です。私はフォウさんにここまで誘導され、お休み中の先輩を発見したんです 」
「フォフォフォウ…ンキュ、フォーウ!」
フォウとやらが俺の方を向いて一声鳴くと、廊下の奥の方へ走り去っていった。ふむ、見たことのない生物だった。マッドサイエンティストの血が疼く!いや待て岡部倫太郎、鳳凰院凶真は封印だとさっき決めたばかりではないか!
「…またどこかへ行ってしまいました。あのように特に法則性もなく散歩しています 」
「不思議な生物なのだな… 」
「はい。私以外にはあまり近寄らないのですが、先輩は気に入られたようです。おめでとうごさいます。カルデアで二人目のフォウさんのお世話係の誕生です 」
「あまり嬉しくもないんだがな。それでは二つ目の質問だ。ここ…カルデアとはいったい何なのだ?俺にはここにいる理由に全く心当たりがないのだが 」
「先輩、本当に分からないのですか?カルデアにいるのなら、ここで何らかの役職があるはずなのなのですが…先輩が嘘を言っているようには見えないですね 」
役職?ここは俺の通っている大学で、そこの研究棟なのか?いや、そんなはずはないか。あの大学はこんなに綺麗な棟などないはずだからな…。
ではカルデアとはいったいなんなんだ、とマシュに質問を続けようとした時…
「ああ、そこにいたのかマシュ。ダメだぞ、断りもなしにで移動するのはよくないと… おっと、先客がいたんだな。君は…そうか、今日から配属された新人さんだね 」
シルクハット帽の長髪の男が声をかけてきた。配属…ここはどこかの研究院なのか?
「私はレフ・ライナール。ここで働かせてもらっている技師の一人だ。君の名は…?」
「鳳──あーいや、岡部倫太郎です 」
「ふむ、倫太郎君と。招集された48人の適正者、その最後の一人というワケか。ようこそカルデアへ。歓迎するよ。一般公募のようだけど、訓練期間はどれ程だい? 一年?半年?それとも最短の三ヶ月?」
「え?あっいえ、訓練は…していません 」
「ほう?ということは全くの素人なのかい?ああ….そういえば数合わせに採用した一般枠があるんだっけ。君はその一人だったのか。 申し訳ない。配慮に欠けた質問だった 」
訓練?採用?ますますわからん。…が、今は話を合わせておこう。このレフとかいう男、気さくな笑顔を浮かべているが、どうにも気に食わん…気持ち悪いのが治りきってないからイライラしているのか?俺は…?
「けど一般枠だからって悲観しないでほしい。今回のミッションには君達全員が必要なんだ 」
「 ? ミッションですか? 」
「む?聞いていないのかい?おかしいな、事前に説明してもらっているはずだが… 」
「あの!もしかしたら先輩はカルデア入館時にシュミレートを受けたのではないでしょうか? 」
「なるほど、道理で少し寝ぼけた反応をしている訳だね。霊子ダイブはあまり慣れていないと中々脳にくるからね 」
「シュミレート後、先輩は意識がはっきりせずにここまで歩いてきて、倒れてしまったのでしょう 」
なんだか話が勝手に進んでいるようだが、今度は霊子ダイブなどという言葉が…。助手が聞いたら非科学的だのと言って興味津々で実験漬けに…
…非 科 学 的 …? まさか…そんなはずは…!
「マシュ…さらに質問ができてしまった…。 いや…!さっきの質問よりも重大な質問だ…!」
「 ? なんです──ッ! 先輩っ!どこか具合が悪いのですか!? 顔色が真っ青ですよっ、先輩! 」
「──いいからっ!答えてくれ!今は……今は西暦何年だ!!答えてくれっ!!! 」
「せッ、西暦ですか? 先輩やっぱり体調が優れていないんですか? ─────今年は──────
──────2015年ですよ?───────
世界変動率 ??.597312%
短めで申し訳ありません。こんにちは、電磁パルス6号と申します。最近シュタゲにハマったので配信時からプレイしているFGOとのクロスオーバーSSを投稿しました。では、また近いうちに。エル・プサイ・コングルゥ