バカと9人の女神と召喚獣 バカテス×ラブライブ!   作:星震

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約束の康太回です!!
今回少しシリアスですがお付き合い下さい。。


ではどうぞ!!


僕と動画と踊るムッツリ捜査線

 

[朝]

 

「ふあ~あ…

 眠い……昨日パソコンいじりすぎたかな…」

 

僕、吉井明久は寝不足である。

なぜ寝不足かというと、

先輩が発売日を忘れていて買えなかった伝説のアイドルDVDボックスの

オークション画面と朝までにらめっこしていたからだ。

僕より高い値段を入札した人がいたら

数分後に値段を上げて…を朝まで繰り返した結果がこの有り様である…

 

「まぁいいや……

 数学の時間にでも寝ちゃお…」

 

「あっきひっさくぅぅぅん!!」

 

「おうふっ!?」

 

後ろから誰かに抱きつかれる…

あぁ…いい匂いする…………

…って駄目でしょ!!!

 

「こっ…高坂さん!?」

 

 

「おはよ!

 あっ、明久君、まだ眠そうな顔してる~。」

 

うりうり、と僕のほっぺをつつく高坂さん。

 

「……可愛い」

 

ん?

今すごく男として傷つくセリフが聞こえたような…

秀吉っていつもこんな感じで言われてるんだね…

 

よし、これからは可愛いじゃなくて

天使のように可愛いよと言うことにしよう。

 

『不本意じゃ!!』

 

あれ?何か秀吉の声が聞こえたような…

「あっ!そうだ!

 明久君!これ見て!!」

 

「ん………?

 この間のライブの…?」

 

高坂さんがスマホで動画を見せてくる。

 

「誰かが録ってたんだね…

 でも僕たち以外に人なんて……」

 

「あぁ…それなんだけどね…

 投稿者の名前は分かってるんだけど…

 誰が録ったのかまでは…」

 

「そうなんだ…

 ちなみにその投稿者の名前って?」

 

「えっと…確か………」

 

「穂乃果ちゃん!おはよ~。」

 

「おはようございます、穂乃果。」

 

「あ、ことりちゃん、海未ちゃん!

 おはよー。」

 

「よ、明久。」

 

「雄二!

 どこ行ってたの?

 先に学校行くなら連絡くらい…」

 

「あぁ、生徒会の手伝いでな。

 朝から今まで働いてたんだ。

 あ、あと明日お前の番な。」

 

「分かった。

 じゃあ明日は朝食作り置きしておくよ。」

 

「すまんな。」

 

「え……!?えぇ………!?」

 

あれ?

どうして高坂さんたちは震えているんだ…?

 

「あ…あの………明久…」

 

「吉井君と坂本君って一体どんな関係…!?」

 

園田さんと南さんがワナワナと震えながら言う。

 

「ま…まさかDクラスの人たちが

 言ってたみたいに本当に………!?」

 

「おい南。

 その情報誰から漏れたか詳しく」

 

あらん誤解を受けて雄二は怒っている。

顔は笑っているが心では何を思ってるんだか…

 

「僕と雄二、秀吉に康太は

 同じ学生寮に住んでるんだ。

 家から音ノ木坂までは凄く遠いから…」

 

「そ…そうだったんだ……(ホッ…)」

 

安心する南さん。

 

「…っでもでも!!

 どうして吉井君が朝食を……!?」

 

「いやだって…同じ部屋だし……」

 

「えぇっ!?同じ部屋…ですか!?」

 

驚く園田さん。

 

「前の学校から部屋を別にすれば

 いいものを一軒家を学生寮とか呼んで

 そのまま渡されたからね。」

 

「ま、親もいないし最高なんだけどな」

 

「うぅ~…

 穂乃果もそんな生活してみたい…」

 

「ところで明久たちは何を話してたんだ?」

 

「あぁ…

 この間のライブを誰かが録ってた

 みたいでさ。

 それがスクールアイドルのサイトに

 投稿されてたんだよ。

 ほらこれ。」

 

僕は雄二にスマホで動画を見せる。

 

「ほぉ、よく録れたもんじゃのう。」

 

「……何をしているんだ」

 

「あ、秀吉に康太。

 これ、誰かがアップしてたみたいで…」

 

「!!」

 

「こ…康太?どうしたの?

 その『やべぇ…』的な顔は…」

 

「な…何でもない…」

 

動画を見てすぐに康太の顔色が変わる。

不味いものをみたかのような顔に。

 

「んで高坂。

 投稿者とか分からねぇのか?」

 

「あぁ…一応投稿者は分かるんだけど…

 これペンネームだよね?」

 

高坂さんが投稿者の名前をクリックする。

 

「ほら、これ。

 ムッツリーニ…だって。」

 

「「「はい………?」」」

 

男三人は固まった。

そして僕ら揃って康太の方へ目をやった。

そうすると自然に高坂さんたちも目を向ける。

 

「こ…康太……これって…………」

 

「お…俺は…………………」

 

「……………………」

 

「……………………」

 

「ダッ!!(康太が逃げる音)」

 

「「捕まえろ!!」」

 

僕と雄二は叫ぶ。

 

「ま…待つのじゃ康太!!」

 

だがここに不幸が襲いかかる。

 

「ぬおっ!?

 吉井に坂本、またお前たちか!!

 廊下は走るなといつも……」

 

「今はそんなこと言ってる場合じゃない

 んですよ鉄人先生!!

 康太が………」

 

「貴様補習室に送られたいか」

 

「ごめんなさい西村先生」

 

「あぁそれと…

 土屋なら早退したぞ。

 気分が悪いそうだ。」

 

「なっ!?」

 

「くっ…打つ手が速すぎる!!

 先手を打たれたか!!」

 

「とにかく席に座れ。

 放課後にでも見舞いに行ってやれば

 いいだろう。」

 

「そうですね…」

 

僕らはやるせなしに放課後まで待った……

 

 

 

 

 

 

 

 

【放課後】

 

「よし!!

 終わった!!

 行くぞお前ら!!

 ムッツ……康太を探すぞ!!」

 

「でもどこを探すのさ?

 康太が行きそうな場所ってよく

 分からないけど…」

 

「時間もあるし手当たり次第探せば

 いいんじゃねぇの?」

 

「アバウトな作戦じゃな……」

 

「明久君!!

 私たちも手伝っていい?」

 

「高坂さん!

 でもどうして?」

 

「うん…

 考えたんだけどね…

 私、土屋君にμ'sのカメラマンを

 お願いしたいの!」

 

「明久の反応を見るからに

 ムッツリーニとは土屋さんのことなの

 でしょう?」

 

「ばれてたの…」

 

流石、園田さん…鋭い。

 

「お前あれで隠せてると思ったのか?」

 

雄二が顔に手を当てて言う。

 

「あはは…

 けど…引き受けてくれるかは

 分からないよ?」

 

「駄目もとなのは分かってます。

 ですがあんなに綺麗に録れる技術を

 持っているのは土屋さん位だと思うんです。」

 

「だからお願いするだけしてみようと

 思うの。」

 

「…分かった。

 見つけたらそっちに連絡するよ。

 手分けして探そう。」

 

「分かりました。

 じゃあ…その………連絡先を…」

 

「え?」

 

「連絡先を教えてくれませんか…?

 まだ…知りません……」

 

「あぁ…そうだね。分かった。」

 

僕たちはお互い連絡先を交換した。

 

「あ…明久のアドレス……

 ~~~~~~///」

 

何かいいことでもあったのかな園田さん…

凄く嬉しそうなんだけど

 

「それじゃ、後でな。」

 

「うん!また後で。」

 

僕たちはそれぞれ色んな方向に別れた。

踊るムッツリ捜査線が始まったのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『土屋君?

 まさかその写真を証拠にしようだ

 なんて考えてないよねェ?』

 

『…!!

 ………これは違…』

 

『ザコがでしゃばってんじゃねぇぞ!!』

 

『ぐっ!?』

 

『ったくよォ…

 女子のこと庇ってヒーロー気取り

 なんだろーけどザコすぎ~。

 さて…次は吉井の野郎か…』

 

『や……やめろ…

 明久は……!!』

 

『嫌だね。

 バレれば高校の合格が取り下げになる

 かもしんねーし。

 そこで寝てろよ偽善者クン。』

 

『『ギャハハハハハハハハハ!!』』

 

『くっ…!!

 くそっ………!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ!!」

 

………夢か。

何年前の夢だったか思い出せない…

………いや。

本当は分かっている。

俺がムッツリーニと名乗らなくなった

あの日。

あれから俺は自分を捨てた。

ムッツリーニであることを捨てた。

 

「……結局明久はあの子を守れたん

 だろうか…」

 

 

俺があのとき負けなければ、

そうすれば明久が守ろうとしたあの子

だってもっと早く助かったのに…

 

「くっ…………」

 

「何してるん?

 こんなところで。」

 

「あ……」

 

聞き覚えのある声がした。

いつも放課後に聞く声だ。

 

「………副会長…」

 

「今日は体調不良で早退したって

 聞いたんやけどなぁ。」

 

「……これも一種の体調不良。」

 

「ふふっ…何それ。」

 

笑いながら言う副会長。

 

「何か悩み事?」

 

副会長は俺の隣に腰かける。

 

「……まぁ」

 

「そっか」

 

「………」

 

「そういえば…動画のこと…

 バレちゃったんやね。」

 

「………まぁ」

 

「土屋君は…どうしたいん?」

 

「…………?」

 

「μ'sのライブを見て何を感じたの?

 きっとそれが答えなんよ。」

 

「………俺は…」

 

気がつけばカメラを手に取っていた自分がいた。

距離を置こうと決めたカメラを。

あの日…ムッツリーニを捨てた自分が

ムッツリーニへと戻ろうと思ったのは…

 

「………俺は……

 美を感じた。

 観客も全くいないというのに

 精一杯踊る三人…μ'sの中に

 美しさを見出だした。

 そして……輝いていた。

 誰も知らない輝きを伝えたいと思った。

 だから……あれを録った。

 会長から貰った方ではなく自分が

 録った方を投稿したのも自分が

 見た美をありのまま伝えたかった…」

 

「やっぱりえりちも録ってたんやね…」

 

「あっ……」

 

「あっ、もしかして

 内緒だとか言われてたん?」

 

「……不覚」

 

「康太君。」

 

「……?」

 

「今だからこそ…

 今しかできないこともあるかも

 しれんよ…?」

 

「……………」

 

「編集なんかしなくてもあれだけ綺麗に

 録れたのは康太君が本気だったから。

 康太君が見つけた美が動画を

 見た人にまで伝わるのは何か特別な

 感情があるからやと思うんよ。」

 

「あっ……」

 

副会長は少し微笑んで言う。

俺は二回もこの笑顔に救われてしまったようだ。

 

「………聞かないんですか」

 

「何を?」

 

「……過去」

 

「今はまだ康太君の過去に何があったか

 は聞かないでおく。」

 

「………………」

 

「だけど……もしうちが心を許せる

 存在になれたときは…

 その辛い気持ちも…過去も全部…

 分けっこしてな…?」

 

「………(コクリ)」

 

「さて、康太君の気持ち、決まった?」

 

「……俺は……………」

 

「ふふっ…

 それを今、示すときみたいやよ?」

 

「…えっ?」

 

「康太!!

 やっと見つけたよ!!」

 

息を途切れさせながらこっちに来る影があった。

 

「……明久」

 

「康太!

 μ'sの皆が待ってるんだ!

 話を聞いてくれないかな?」

 

「……分かった」

 

「ふふっ…」

 

「あ…あれ副会長!?

 どうしてここに!?」

 

「偶然康太君を見つけたんよ。

 一緒にお話してただけやよ。」

 

「そうだったんですか…

 康太を借りてもいいですか?」

 

「うん。

 あ、あと康太君。」

 

「………?」

 

「自分の気持ちに嘘言うたら…

 思いっきりわしわしするで?」

 

「!?」

 

……鼻血が

 

「こ…康太?」

 

「………何でもない。

 ………行こう」

 

「うん。

 それでは副会長。また。」

 

「うん。」

 

 

 

 

 

 

 

「うちも自分のこと…

 言えんな……」

 

二人の後ろ姿を見送りながらそう呟く

希がいた。

 

 

 

 

 

 

 

【音ノ木坂学院屋上】

 

「康太。良かった。

 元気そうだな。」

 

「……心配かけてすまなかった」

 

「今度から隠し事は無しじゃぞ?

 ワシらは親友じゃろう。」

 

「……あぁ!!」

 

「それで康太。

 μ'sの皆が康太と話がしたいってさ。」

 

「聞いてもらえるかな?」

 

高坂が俺に言う。

 

「……分かった。」

 

「土屋康太さん。

 私たち、μ'sのカメラマンになって

 下さい!」

 

「……………」

 

「こ…康太……泣いて………」

 

「えっ……」

 

自分がいつの間にか泣いていることに

気がつかなかった。

このくだらないと思っていた才能を

他人に認めて貰えることがこんなにも

嬉しいことだとは知らなかった。

喜びの涙だ。

 

「高坂、園田、南…

 俺は…………………………」

 

「土屋君……………」

 

「土屋さん……………」

 

「俺は……

 自分の才能は他人の為に使える筈の

 ない物だと思っていた…

 助けたい友も助けられず、

 迷惑ばかりかけていたこの才能が…」

 

「康太……あの事ならもう…」

 

「……いや、違うんだ。

 あのとき俺はお前が助けたかった

 女子を助ける為の証拠を持っていた…

 だが、奴等に怯えた俺はそれを

 奪われてしまった…!

 だから、まず……

 ここで謝らせてくれ、明久!!」

 

俺は頭を下げた。

精一杯の謝罪を込めて。

 

「頭を上げてよ、康太。」

 

「明久…」

 

「僕の都合で康太まで巻き込んで…

 あの子は助かったけど…

 それは君の勇気があったからでも

 あるんだよ?

 だから…ありがとう。康太。」

 

「…明久……」

 

俺は涙を拭った後で高坂たちに向き直った。

 

「……聞いての通りだ。

 もし、これを聞いて尚、

 俺のつまらない才能を必要として

 くれるなら…

 俺に…

 μ'sのカメラマンをやらせてくれ!!

 高坂、園田、南!!」

 

俺は彼女たちの方を見て言う。

三人の目を見て。

心に偽り無く。

 

「はい………

 こちらこそ!!

 これからよろしくね!れ

 土屋君!!」

 

「………あぁ…ありがとう。」

 

「良かったよ!!康太!!

 ついにムッツリーニの復活だね!」

 

「………いや、

 今まで通り康太と呼んで欲しい。

 俺はムッツリーニとしてではなく、

 お前たちの親友としての土屋康太

 でありたい。」

 

「そっか。分かったよ康太!!」

 

「よーし!!

 これでμ'sは四人だよ!!

 私たち以外にも部員が増えたんだ!」

 

「このやろう!!

 カッコいいこと言いまくりやがって!

 この!!」

 

「………忘れてくれ」

 

雄二がからかってくる。

少し顔が熱いのは…気のせい。

 

「じゃが…康太は新しい一歩を

 踏み出した。

 わしもきっと………」

 

皆が喜んでいたそのときだった。

 

「あの!!」

 

「………?」

 

俺たちが振り返るとそこには三人の少女がいた。

 

「小泉さん…星空さん………」

 

「先輩!!だから凛にゃ!!」

 

「ご…ごめん。

 り…凛ちゃん………」

 

「そうにゃ!」

 

「西木野…

 お主までなぜ…………」

 

「先輩…

 ここにいたんですか。

 音楽室にもいないから……」

 

「それで三人はどうしてここに…?」

 

園田が訪ねた。

 

「それは………」

 

 

 

 

 

 

「「この子(かよちん)をメンバーにしてほしいんです!!」」

 

この一言が始まりでμ'sは大きく動き

始めることになる。




ムッツリーニとしてではなく親友として。
それが康太の選ぶ道。
そして康太にとっての大切な存在になりつつある希。
これからの二人の展開にご期待下さい!
次回はまきりんぱな編最終回です!!
そして次回は秀吉が…!?


今回もありがとうございました!!

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