ドラゴンクエストⅧ 空と大地と竜を継ぎし者   作:加賀りょう

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タイトル通りです。
リブルアーチに来ました。


呪われしゼシカ戦

 一気にリブルアーチへとたどり着いたレイフェリオは、気配を探りながらゼシカたちを探す。

 だが、探す間もなく彼らは見つかった。

 

 本調子ではない身体を無理やり動かし屋敷へと近づく。ゼシカと対峙していたククールとヤンガスに既に戦いは始まっていた。

 ゼシカの他にも影……シャドーが何体かいるようだ。

 杖を掲げ魔力が放たれると、炎の渦が二人を囲む。以前のゼシカにはない威力だ。否、力をみるにあの呪文はベギラゴン。ゼシカはまだ習得していなかったはずだった。

 油断している隙に、レイフェリオは魔力を溜めこみ呪文を放つ。

 

「ライデイン!」

「なっ!」

 

 稲妻がゼシカとシャドーたちへと落ちる。

 

「ククール、ヤンガス」

「なっ、レイフェリオ!?」

「兄貴!? どうしてここに!」

 

 ここにいるはずのないレイフェリオに、二人は目を見張った。しかし、今は説明をしている場合ではない。

 

「……お前、そうか。生きていたのね……好都合だ。ここで共に死なせてやるわ」

「ゼシカ……その杖の力なのか」

 

 ドルマゲスが持っていた杖。トロデ―ンの秘宝と言っていたが、何か訳アリなのだろう。それさえ、ゼシカから離すことができれば、元に戻せる可能性もある。

 

「ククール、あの杖をゼシカの手から離せるか?」

「弓で狙えってことか……できないことはないが、今の状態なら手放しはしないだろうな」

「そうか……なら、戦うしかないのか」

「兄貴……」

 

 ゼシカ自身に怪我を負わせることはしたくないが、多少弱らせなければ杖を離すことはしないだろう。ならば、やるこは一つだ。

 

「……ゼシカ、目を覚まさせてやる」

「レイフェリオ……そうだな。お前が来たのなら、多少はマシになるか」

「けど兄貴は……」

「悪いな。今の俺は前衛に立つことは無理だろう。ヤンガス、頼んだ」

「……わかったでがす、兄貴! まかせてくんなせぃ!」

 

 直接斧で斬りつければゼシカが怪我をする可能性もあるが、杖の魔力が多少は防いでくれることを祈り、ヤンガスは斧を抱えてゼシカへと突撃していった。

 一方でレイフェリオは、シャドーが余計な手出しをしないように呪文で牽制に入った。一体一体を倒していたのではキリがない。一気に片を付ける方がいい。ククールに目くばせをすると、力をため込んだ。

 

「ライデインっ!」

「バギマ!」

「キシャァァ……」

 

 一気に魔力を解放した二人の呪文がシャドーを一掃する。残りはゼシカのみだ。

 

「ククール、矢を放ってくれ」

「……ったく、わかったぜ」

 

 弓を構え、矢をゼシカへと放つ。その矢に合わせるように、レイフェリオが魔力を乗せた。ゼシカへと届く前に矢は炎を纏うと、そのまま命中する。

 

「ちっ!!」

「甘いぜっ!」

「くぅ」

 

 ヤンガスの斧がゼシカの腕を掠める。それでもゼシカは杖を離さない。

 

「ゼシカっ!」

「うるさいわね。本当に……もういいわ、この街ごと燃え尽きるがいい」

 

 ゼシカが空へと飛翔すると、杖を掲げる。頭上には、大きな魔力の塊。メラゾーマが巨大に膨れ上がっているようだ。放てば、この街など跡形もなくなってしまうほどの威力だろう。

 

「ゼシカ、止せっ! っ痛」

 

 走りだそうにも、身体が想う通りに動かないレイフェリオでは何もできない。

 その時、屋敷から飛び出してくる影があった。

 

「えぇい。邪魔じゃ! どけどけぃ」

 

 屋敷の前にいた人を押しのけ、レイフェリオの前までやってくる。恰好から見るに術者のようだ。

 

「どうやら間一髪だったようじゃな。結界が完成したわい。このわしの命を狙う不届き者め! わしの超強力な退魔の結界をくらえぃ!」

 

 そう叫ぶと、男を中心に光が広がっていった。

 聖なる力が辺りを包み、飛翔しているゼシカを吹き飛ばした。衝撃で杖がその手から落ちる。

 力を失ったゼシカはそのまま地面へと倒れ込んでしまった。

 

「ゼシカっ!」

「どわははは! こいつは相当効いたようじゃな」

 

 ククールとヤンガスがゼシカに駆け寄る。レイフェリオもゆっくりと近づいた。

 

「ククール、ゼシカは?」

「……大丈夫だ。脈はある」

「そうか……」

「お主ら、何をしておる。早くその女に止めを刺さぬか!」

「うるせぇ! おっさんは黙ってろ!」

 

 後ろで騒ぎ立てる男に思わずヤンガスが怒鳴りつける。当然だろうが、相手はこちらの事情を知らない。ゼシカをククールに任せることにし、レイフェリオは男に向き直った。

 

「……ん? なんじゃお前は?」

「失礼……俺は、レイフェリオ・クランザス・サザンビーク。彼女は、俺たちの仲間です」

「仲間? レイフェリオ? ……サザンビーク……ん? その紋章は」

 

 レイフェリオの額当てにはサザンビークの王家の紋章がある。サザンビークを知っている者ならば、一度は見たことのあるものだ。この男も流石に知っていたのだろう。

 

「まさか、サザンビークの王族か!? こんなところに何故……ごほん、わしはハワード。その女はわしの命を狙った不届き者じゃ」

「……命を? そうですか、恐らく彼女には杖の呪いが掛けられていたのでしょう。彼女の手に杖はありませんので、もう貴方を狙うことはありません」

「呪い? どういうことじゃ?」

「これ以上は我々もまだ状況の整理をしていないので、また改めてということで今は彼女を介抱してあげたいのですが?」

「……仕方ない。其方がそういうのならば、ここは任せるとしよう。そこの者たちには手伝いをしてもらったことじゃしな」

「ありがとうございます」

 

 納得がいったわけではないが、とりあえずゼシカのことはこれ以上責めることはないだろう。安堵するように、ため息を吐く。その時、ざわりとレイフェリオを悪寒が襲った。

 

「あっ……」

「ん? そういえば、わしの可愛いレオパルドちゃんはどこ行った? チェルスよ探してまいれ!」

「は、はい!」

 

 チェルスと呼ばれた男が走っていくのを横目で見ながら、何か見落としているような気がしてならない。漠然とした不安がぬぐい切れなかったが、レイフェリオ自身も体力の限界だった。

 ゼシカを連れ、一行は宿屋へと向かった。

 

 




あまり戦闘してませんでした。仲間を容赦なく攻撃するって言うのが、あまりしたくなかったというのもありますが・・・。

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