ドラゴンクエストⅧ 空と大地と竜を継ぎし者   作:加賀りょう

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タイル通りです。
きりがいいので、ちょっと短めです。


闇の遺跡攻略②

 奥へ進む中、再び彷徨える魂と遭遇する。赤く燃え盛る魂だ。

 その動きはどこか興奮しているようにも見えた。

 

「オオーン! どうしたことか! さっきここでとても懐かしい、ラプソーン様のおちからを感じたのだ。肉体を持たぬ私には姿をみることができない。ここを通ったのはラプソーン様だったのだろうか」

「……これ何を言っているの?」

「……ドルマゲスのこと、だろうな。タイミング的に。さっき、と指すのがどの程度の時間間隔で言っているのかはわからないが」

 

 ドルマゲスが遺跡に来たのは、ギャリングを殺してからのことだ。

 レイフェリオたちがサザンビークにいき、トロデ―ン、アスカンタと寄り道をしている間、それなりの時間が経っている。

 ギャリングと戦った時に、ドルマゲスも怪我を負っているということだった。ならば、怪我の治療も行っているだろう。時間的に、既に治療が完了していてもおかしくはない。

 

 心に焦りを感じながら、仕掛けを解き魔物を倒しつつ先へと進む。ここでの魔物は闇の力が濃く出ており、そう簡単にとおしてはくれなかった。数をこなせば、それなりに疲労も蓄積してくる。

 

 階段が多くある部屋を攻略し、奥の部屋へと進むと壁に大きな絵が描かれていた。

 

「あれは……」

「鳥? と、何かしら?」

 

 鳥と姿は大きすぎて把握できないが、何か戦いを表しているようだ。暗黒神ラプソーンの神殿というのだから、鳥と対照的に描かれているのは、そのラプソーンかもしれない。暗黒神と比較されるほどの鳥。それは……。

 

「神鳥レティス……か」

「……だろうな。おとぎ話がまたここでもってか」

「何なんでがすか? そのレティスってのは?」

「俺も詳しいことは覚えていない……」

 

 その時、近くいた魂の声が届く。

 

「オオーン……。この奥にラプソーン様を祀る暗黒の祭壇があるぞよ。壁に描かれし憎き鳥レティスの翼を奪った者だけが、ラプソーン様のお傍に近づくことを許されるのじゃ。じゃが……肉体を失ったわらわには悪鬼の像を動かすこともできぬ。口惜しや……」

 

 魂が言うのは壁とそれに相対するように設置されている像のことだろう。二体の像からは、赤い光が漏れている。

 

「ということは、あの壁の翼をってことか……」

「やってみるでがすよ」

 

 ヤンガスがいの一番に像へと近づき、床にある仕掛けを動かしてみる。

 

「うぉっ!」

「ちょっとヤンガス、ちゃんと登ってなさいよ。こっちから指示するわ」

「ち、ちょっと驚いだだけだっ! ったく……」

 

 像が足を踏みながら動いたのに、ヤンガスは驚き仕掛けから離れてしまったのだ。ゼシカに怒鳴られ、しぶしぶ仕掛けに乗る。

 壁を見ながら翼に光が当たるように誘導し、二体の像が翼に当たると地響きと共に壁の正面にある床から階段が現れた。

 どうやらこの先が、祭壇らしい。そしておそらくそこには、ドルマゲスがいるはずだ。

 

 階段を下り、道の先にある扉を開くと、そこには水のような塊の中で蹲っているドルマゲスの姿があった。

 

「やっと追い詰めたでがすよ! ここであったが百年目覚悟するでがす、ドルマゲス」

「もう逃がさねぇぞ。てめぇは袋のネズミ同然だぜ」

「兄さんの仇……絶対にここでケリをつけて見せる」

 

 武器を構え、ドルマゲスにそっと近づく。やがて蹲っていたドルマゲスがその目を開き、レイフェリオたちを視界にとらえた。

 

「おやおや。こんなところまで追ってくる者がいようとは……確か貴方がたは以前マイエラ修道院で会ったトロデ王の従者たちでしたね……私を倒し王の呪いを解こうというわけですか」

「……それだけが理由ではない」

「……あの時の不思議な気配を持った……やはりあの時殺しておくべきでしたかね。ですが、タイミングとしては悪くない。身に余る魔力に耐え切れなくなりここで癒していたのですが、ようやく落ち着くを取り戻したところです。とは言っても、まだまだ絶大な魔力を扱うには物足りないでしょうが……まぁいいでしょう」

 

 水の中からドルマゲスが飛び出し、杖を構える。

 

「けれど、悲しい。……悲しいなぁ」

「……何が言いたい」

「せっかくこんなところまで来たと言うのに、その願いもかなわぬまま……皆私に殺されてしまうのですからっ!」

 

 言葉と共に、杖から魔力が迸る。

 レイフェリオは腕を盾に魔力の風から、身体を支えた。

 

「さぁて、どれほど私を楽しませてくれるのか。くっくっくっく」

 

 笑いながら両手を広げると、ドルマゲスの身体が一瞬透き通ったと思うと、ドルマゲスが三人になった。

 

「なっ!?」

「三人、だと」

 

 驚愕するレイフェリオ、ククール。一体でも手強いはずのドルマゲスだ。力が分散されたとはいえ、人数が増えるのはこちらにも不利になる。囲まれることのないように、ゼシカを後方へ。ククールはその中間。ヤンガスとレイフェリオは、前方へと陣形を取る。

 

「さぁ、それでは参りましょうか」

「……皆、油断するな。来るぞ」

「わかっているわ」

「合点でがすよ、兄貴」

「回復は任せろ」

 

 ゼシカ、ククールは呪文詠唱態勢へ。ヤンガスは斧、レイフェリオは剣を構えドルマゲスへと駆けた。

 

 

 

 




次回はいよいよ、です。

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