ゲームのキャラに名前を勝手につけてます・・・
マイエラ修道院を出ると、トロデ王が馬車の前で待っていた。
「漸く来おったか……ん?」
トロデ王はククールをみて首をかしげた。
「レイフェリオどういうことじゃ?」
「……共にドルマゲスを追ってくれるそうです。オディロ院長の仇を取ってくれと」
「おぉ! そうかそうか! 仲間が増えるというのは心強いのう!」
上機嫌でスタスタと御史台へと向かっていく。
「……ほんとにあれが王なのかよ」
「気にしたらダメでがすよ……」
疑いの目を向けるククールに、ヤンガスはポンと軽く肩を叩いた。
「けどこれからどこに向かうの?」
「……周辺で情報がないかを探すしかないだろうな。この先にあるのはアスカンタだから、まずはそこに向かおう」
「合点でがす、兄貴」
こうして一行は北へと向かった。
先程のサーファンとレイフェリオのやり取りについては誰も問答しなかった。何かを感じ取ったのかもしれないが、今はそっとしておいてくれた方がレイフェリオも楽だ。話せば長くなることだから。
メンバーにククールを加えたことで、戦闘も楽になった。ククールは力はそれほど強くはないが、僧侶であったためか回復、補助の呪文を会得している。今後も危険が増えることを考えれば、ククールが参加してくれるのは有り難いことだった。
魔物を倒していき結構な時間が過ぎた頃、前方に小屋が見えてきた。川を渡ったところには教会もあるようだ。
「兄貴、小屋があるでがすよ」
「そうね、話を聞いてみない?」
「ああ、行ってみよう」
まずは、近くにある小屋へと向かうことにした。
近くに人はいないようなので中の人を訪ねてみようとレイフェリオが扉をノックする。
コンコン。
「すみません、どなたかいらっしゃいますか?」
「はいよ、どちらさんで?」
快く扉を開けてくれたのは、老齢の女性だった。
「おやまぁ、旅人さんかい? こんな場所でも良ければ上がってくださいな」
「ありがとうございます」
「お邪魔するぜ」
レイフェリオ、ククール、そしてそのあとにヤンガスとゼシカも続いた。
女性はカーラ。夫婦でここに住んでいるらしい。以前は孫娘のキラも住んでいたが、今は城に勤めておりここにはいない。
仕事が休みの時は帰ってくるらしいが、ここ二年ほどそれもないということだった。
「キラは大層気のつく子でして、お城でもよく働いているそうなのですが……けれども二年も顔を見せないとなると、さすがに心配でしてね」
「そんなに仕事が忙しいのかしら……」
「城の小間使いってのが想像できないけどな。レイフェリオはどう思う?」
「えっ?」
まさか話を振られるとは思わなく、レイフェリオは驚く。ククールも他意はないのだろうが。
焦りを悟られないようにレイフェリオは少し考えてこたえる。
「……小間使いに限らず、二年も帰ってこれないということは普通はないと思う」
「そうでがすよね。まぁアッシには城勤め自体が想像できないでがすが」
「まぁ……そうだと思う」
城に住んではいたが、働いていたわけではないので嘘は言っていない。でも、ヤンガスと違ってその仕事については想像が出来る。
「俺も同意見だが、その城ってアスカンタだよな? 何か問題でもあったのか?」
「あった、と言えばそうなんでしょうね。実は……二年前に王妃様が亡くなられたそうで。それ以降はキラも帰ってこないので何とも」
王妃が、亡くなった。国に取っては一大事であることに違いないが二年も前なら話は違ってくる。
いくらなんでも二年も引きずるなんてことはないだろう。それ以外にも原因があるかもしれない。
「……行ってみる? もしかしたらドルマゲスかもしれないわ」
「可能性はゼロじゃないな。俺も賛成だ」
ゼシカにククールが賛同する。
この先にあるのはアスカンタ城。知りあいはいないが、少し気が引ける。と言っても今は旅人なので、顔さえ知られていなければ問題はないだろうが、王に会えばそうはいかない。特にサザンビークとしても交流があったわけではないので、レイフェリオの名前すら知らない可能性は高いが。
「……わかった。行ってみよう」
いずれにしてもドルマゲスの情報がある可能性を前に、行かないという選択はなかった。
「お城へ行かれるんですか? なら、この道を真っ直ぐですが、そろそろ日も落ちますし、教会で休んでいったらどうですか?」
「兄貴、一休みしてから向かうでげすよ」
「そうだね。カーラさんありがとうございました」
「いえいえ、お気を付けてね」
カーラの家を出ると、川を渡ったところにある教会へ行った。