進藤ヒカルに転生してしまった男の物語 作:ケーキの実
すいませんorz
外来予選やるつもりが院生になってたでござる
当初はそのまま外来でプロになって駆けあがらせようと思っていました
ですが、それが出来ませんでした
申し訳ない
プロになったら殆どがプロ棋士との対局ばかりなります
はっきり言ってこのまま書きすすめてると原作の院生キャラ達が出せなくなりました
それを気付いたのが外来予選を半分書き終えたくらいでした
迷いました
結果が第03局になります
本当にすいません
8月1日は外来の予選日だった。
だったとは今日は既に8月8日である。
俺は予選日の前日にインフルエンザにかかり敢え無く参加出来なかった。
完全に治ったのが今日で、予選は完全に終わっていた。
一応棋院に連絡をしたらまた次回お待ちしていますと言われる始末。
何故こんなに不都合が起きるのか、原作から逸脱し過ぎると修正が入るのか?と疑問が湧いてくるも明確な回答には至らなかった。
佐為と相談するも次頑張りましょうと呑気な奴。やっぱ、轢かれたレールを行くべきか。
『なぁ、佐為。院生になる気ある?』
『院生ですか? 子供達が碁の勉強する場所ですよね?』
『お前より遥かに格下相手だから詰まんないと思うけどさ』
少し考えるそぶりをする佐為も俺を見て頷いた。
『行きたい!』
疑問符を浮かべるだけに終わった。
♢♢♢♢
日本棋院会館に俺とじいちゃんと佐為がやってきていた。
「院生か。ヒカルは本気なんじゃな?」
「まぁね。囲碁のプロを目指すなら経験しておこうと」
取って付けたような言い訳にじいちゃんは何度も頷いた。
「ヒカルが本気ならいいんじゃよ」
「進藤君だったよね。案内するから付いてきて」
エレベーターに乗り込み6階まで上がった。予約形式みたいだし、俺の前の奴もいるんだよな。
「こちらに座って待っててね」
案内された和室の部屋。碁盤が置かれ座布団が敷かれていた。
暫く待ちの状態。試験ってそんなに難しくない筈だよな。
ここら辺の原作はあんまり覚えていないからな。あ、来た。
「お待たせしてすまないね」
眼鏡をかけたおじさんが対面に座った。
「あ、大丈夫です。じいちゃん、時間かかると思うから喫茶店で待ってて」
「そうじゃな。先生、お願いします」
先生に一礼してからじいちゃんは席を外した。
「それじゃあ、まずは志願者と棋譜を見せてもらえるかな」
「あ、はい。これになります」
鞄から取り出した棋譜を渡した。
「3枚とも君が白番なんだね」
♢♢♢♢
「拝見させてもらいますね……これは!?」
手に取った棋譜を見て絶句した。古い打ち筋が垣間見えるが、相当な打ち手だ。
先程の棋譜を戻して一番上の棋譜に付いて尋ねた。
「進藤平八って人は?」
「さっき一緒に来てたじいちゃん」
おじいさんも相当打てている。それをあっと言う間に勝利しているのか。
「水田という方は?」
「碁会所の常連のおじさんです」
この水田という方は院生の上位陣と遜色ない棋力だと分かる。
その相手にも寄せ付けない碁で圧倒。凄いですね。
「最後は名前が空白ですね。この相手を教えてください」
「あ、そいつは塔矢アキラ」
そういう事ですか。先ほど絶句した理由が分かりました。
塔矢先生の息子をこうも翻弄するとは。
これは正しく指導碁ですね。ここまで差があるんですか。
将来が楽しみな子供が入って来ましたね。
♢♢♢♢
「……進藤くんの棋力は大体分かりました。ここまで打てるのでしたらそのまま合格でも構いませんが、私と打ってみませんか?」
突然振られた対局にどうするか迷う。正直、このまま打つメリットが皆無なんだよな。
合格ならさっさと帰宅してゲームでもしていたい。
「えーっと」
「申し訳ない。私の名前は篠田と言う。自己紹介遅れてすまないね」
どうやら誤解されたみたいた。
『ヒカル。打ちましょう』
『いや、でもさメリットないんだよ?』
『この者はヒカルの力を自らで試してみたいんですよ。だから、打ちましょうよ』
『あ〜もう、どうせ佐為が打ちたいだけな癖に。分かった。分かった。その代わりにさっさと仕留めてくれよ』
「あの、篠田先生。もし先生に勝てましたら1組から始めさてもらえませんか?」
佐為に打たせてる立場から言えば2組から初める理由ないんだよな。
原作だとヒカルが成長していく事に意味があった訳だが、俺の場合は佐為が打つから意味がない。
「……そうですね。規定ではみんな下から始めるんですが、私に勝てたら良しとしましょう」
「本当ですか!」
「正し、互い先での対局になります」
「構いません」
♢♢♢♢
繰り広げた上辺は既に死に絶えていた。3手前の返しを間違えてしまったと確信した。
私は眼前に広がる碁盤を見て溜息をついた。これが小学6年生の棋力だと言うのか。
確かに塔矢アキラとの棋譜は凄かったが、プロで揉まれた私も自信があった。
だが、この碁は終わっている。
「……負けました」
自らの敗北を噛み締め頭を下げた。完敗だった。
「ありがとうございました」
飄々とした彼を見て私は理解してしまった。
彼は私の事を見ていない。遥か先を見据えて打っているのかもしれない。
立ち上がった進藤くんに暫し待ってもらい、私は川田先生を呼んだ。
彼に進藤くんの案内を任せ、私は誰もいなくなった部屋ではじめて涙した。
負けた悔しさの涙ではなく将来のタイトルホルダーの誕生を垣間見たこの高揚感に。
この先、長い碁の世界に君は渡るだろう。
自分を信じて赴くままに進みなさい。
♢♢♢♢♢
『ふぁ〜勝った勝った。佐為どうだった?』
疲れた身体をコリコリしながら川田先生の後をついていった。
『大変、参考になる碁でした』
『そうなの?あの人プロだけど院生の先生だぜ?』
『教育者なんでしょう。彼の碁には人を導く碁の打ち筋でした』
「進藤くん、対局の組み合わせ表やお知らせはこの封筒に入れてあります」
そう言って渡された封筒の中身から対局表を取り出した。
「あの、対局が来週から組まれているんですが……?」
そこに書かれていたのは来週の土曜日すぐに対局が記されていた。
ちょっと早くないかな。普通は来月とかでしょうに。
「ん〜ごめんね。これは篠田先生が作成してるみたいだからどうにもならないだよ」
「そうなんですか」
ハァと溜息をつき、隣を見たら佐為は嬉しそうに組み合わせ表を見ていた。
「進藤くん、これからまだ時間あるかな?」
腕時計で時間を確認した俺は川田先生に頷いた。
「なら、少し研究部屋覗いて行ってみたらどうですか?」
院生が集まってる部屋だよな。
畳の引かれた部屋で60人以上の院生が碁を打っていた。
よく見ると俺より若い子供もいるな。佐為は院生達の対局を見て回り始めた。
俺は対戦表が置かれている場所に向かった。目的は原作で院生だった人の確認である。
伊角慎一郎 1組 06位
本田敏則 1組 14位
和谷義高 1組 17位
奈瀬明日美 1組 18位
飯島良 2組 17位
岸本薫 2組 20位
こんなもんか。他に知ってる名前はないかな。福とか越智がまだいないのか。
それより、和谷弱いな。この頃はまだ、こんなもんなんだな。
それから軽く、来週から1組で最下位から参加する進藤ヒカルですと挨拶をして部屋を後にした。
じいちゃんと喫茶店で落ち合い、院生に合格した旨を伝え家に帰宅した。
♢♢♢♢
院生の対局日になった。
エレベーターを上がり、靴を下駄箱に仕舞い研究部屋に入った。
時間的にギリギリに来た所為か、既にみんな座って対面の対局相手を見ていた。
「進藤くん、おはよう。少し遅いからもう少し早く来ようね」
「篠田先生すいません」
「今日の相手は吉野くんだね。右奥の空いてる所が進藤くんね」
言われた場所に向かい座布団に座った。
対戦相手の顔をチラと見て挨拶をした。
「はじめまして、進藤ヒカルと言います」
「こちらこそ。吉野剛ってんだ」
「それでは始めてください」
篠田先生の挨拶で対局が始まった。
「お願いします」
「お願いします」
♢♢♢♢
「……ありません」
「ありがとうございました」
佐為の力技による中押し勝ちだった。相手の吉野は口をパクパクさせてのされた碁を呆然と眺めていた。
俺の言葉は聞こえていないのか、相手からの返答はない。
仕方なく、席を離れ対戦表に白星を付けた。
「どう?勝った?」
「うわぁ」
突然背中を突かれて驚いた声を上げてしまった。目の前にいたの女だった。
「そこ!まだ対局中の生徒がいるので静かにしなさい」
二人で頭を下げ、研究部屋を出て行くことにした。
「記録をつけてるって事は勝ったって知ってるだろ」
「ふふふ。知ってた」
「えーっと、誰だっけ?」
「奈瀬!奈瀬明日美。貴方より2歳年上なんですからね!」
「んじゃ、改めて。はじめまして進藤ヒカルです。ヒカルって呼んで」
「私は明日美でいいわ」
それから暫く次の対局まで世間話をした。
中々整った容姿をしている明日美は囲碁のプロ棋士を目指し院生になったみたい。
親からも応援されて本人も努力している。
プロになるなら受かりやすい女流枠で受験したらと言ったら舐められるから嫌だと言われた。
彼女はちゃんとした道を同じ立場で進みたいと。眩しい。眩しすぎる。
だって、俺は他人(佐為)の力で囲碁をやっているんだから。
これが俺と明日美のはじめての邂逅だった。
♢♢♢♢
院生になって早、2ヶ月が経った。俺は今では1組1位になっていた。
そして遂に俺の正体がバレてしまった。
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次回はまだ?院生編
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