仮面神姫   作:黒城優輝

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早苗さん「あれ?アーンヴァル型のショップのイベントって、私がヒロインじゃ…なんでっ⁉︎」


第6話 番長逆ナンされる

〜〜オフィシャルショップ〜〜

 

 

陽介とゲーセンに遊びに行った翌日、大学の講義が終わったあとに、ニャル子と神姫の武装を見に来た悠。

 

「はは〜ん、なるほどなるほど」

 

「どうだ?良いのあったか?」

 

「とりあえず分かったのは…

レールアクションでかめはめ波撃つくらいなら、普通にランチャーぶっ放した方が効率良いみたいですね」

 

「いきなり夢の無いこと言い出した⁉︎」

 

そう言うと、ニャル子は、「私も適当に見て回りますね〜」と、1人で店内の何処かへと消えてしまった。

そんなニャル子の発言に内心ガッカリしながらも、初心者コーナーの武装をチェックしていく悠。

 

(お?これなんて良さげじゃないか?)

 

手には取らずに、1つ1つ眺めていた悠だが、ティンと来た武装があったようで、手を伸ばすと…

 

「あっ」

「あっ」

 

隣に居た女の子と手が触れ合う。

どうやら同じ武装に目をつけていたようだ。

ポニーテールに勝気な印象で、目鼻立ちの整った可愛い子。服装はブレザータイプの制服。

おそらく高校生だろう。

 

「…す、すみません」

 

「いや、こちらこそ。えっと、はいどうぞ」

 

「え?」

 

反射的に手を引っ込め、謝ってきた女の子に、悠は棚から武装を手渡す。

 

「ん?これがほしかったんじゃないのか?」

 

「でも、これ…最後みたいなんだけど?」

 

「え?あっ……いや、君が持っていっていいよ。俺は他のを探すからさ」

 

「あ、ありがと…」

 

「じゃあね」

 

悠は内心、「カッコつけるんじゃなかった…」とちょっと後悔していたが、気を取り直し、再び武装を物色する。

 

「……………………」ジー…

 

「ん?」

 

が、先ほどの彼女がレジに行かずに、悠のことを見つめている。

 

「あっ、あのさっ!」

 

「どうした?」

 

悠のことを見つめていた彼女は、意を決したのか、若干固くなりながらも悠に話しかける。

 

 

 

「あんたも神姫バトルやってんの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜休憩スペース〜〜

 

 

 

「私は''小早川 千歳''あんたは?」

 

「俺は鳴上悠だ。よろしくな」

 

「ふーん…悠ね!よろしくっ!で、こっちが私のパートナーのリリスよ!」

 

「紹介に預かった、千歳のパートナー、ストラーフmk.2''リリス''だ。よろしく頼む」

 

「よろしくなリリス」

 

なぜか、武装を譲ってあげた彼女…小早川千歳と話をすることになった悠。

立ち話もあれなので、千歳の買い物を済ませた後に、店内のベンチで自己紹介から始めているが…

 

「ねえ悠、あんたの神姫は?」

 

「あー…アーンヴァル型のニャル子って言ってな。

一緒には来てるんだが、1人で武装を見てくると言ったきりだ。

小早川さんが会計してる間にちょっと探して見たんだが、見つからなくてな…」

 

「ふーん、その子1人で大丈夫なの?」

 

「…いや、分からん。余計な事をしてなきゃいいが…」

 

「そっか、じゃあ私も一緒に探してあげるわ!」

 

「いや、そこまで気を使ってもらうわけにも…」

 

「いいから行くわよ!」

 

「わ、分かった。じゃあ頼むよ小早川さん」

 

「あ!あとさ、その『小早川さん』ってのやめてくれる?普通に『千歳』でいいわよ」

 

「…分かったよ千歳」

 

「ふふっ!それでいいわ!ねぇリリス、どこから探す?」

 

「そうだな…」

 

(はぁ…この子、グイグイくるな。俺、年上なんだけどな…)

 

 

 

 

 

 

〜〜武装コーナー〜〜

 

 

しばらく3人で、ニャル子を探つつ、雑談を交えながら店内を回る。

 

「…それでね?私の友達には神姫バトルやってる子いなくて…」

 

「そうなのか?女子はともかく、男子とかは何人かはやってそうだが…クラスには居ないのか?」

 

「そのやってる連中って話しかけづらい人種なのよ…」

 

「あ〜…」

 

「あんたの方はどうなの?」

 

「ん、俺は親友から一緒にやらないかって誘われた口だからな」

 

「何それ。なんかずるい」

 

「ずるいって何さ…」

 

「2人とも、そうやって仲良く話をするのも良いが、ちゃんと探してるのか?」

 

「だ、大丈夫よリリス!ちゃんと探してるわ!ねぇ悠!」

 

「ああ、どうやら武装コーナーには居ないみたいだ。まったく…どこに行ったんだ…」

 

 

 

 

 

〜〜神姫雑貨コーナー〜〜

 

「うぅっ…やっぱり神姫ハウスは高いわ…」

 

場所を変え、神姫の為の雑貨コーナーにやって来た悠たち。

ニャル子を探すのもそこそこに、ウィンドウショッピングを楽しんでいる。

 

「なあ千歳、これは普通のドールハウスと何が違うんだ?」

 

「これはね、ベットの部分がクレイドルになってるの。あとは、全部サイズが神姫の規格に合わせてあるのよ?」

 

「へぇ〜…5万8000円か…」

 

「千歳、私はこんな物は要らない。今の環境で充分だ」

 

「そっか〜。まあ高いし、現実的じゃないよね」

 

(ラージサイズだと複数部屋があるみたいだな。…9万9800円か。さすがにこれは難しいな)

 

「千歳、そろそろ別の商品も見に行こう。さすがにこれは手が出せん」

 

「うぅ…うん!決めたわ!いつかは絶対買ってやるんだから!就職するまで待ってなさい!」

 

棚にデカデカと展示してある神姫用のドールハウス売り場を後にし、次は神姫のリラクゼーショングッズのコーナーに目を向ける。

 

「ベット型のクレイドルか。布団は別売りって…狡い…」

 

「マオチャオじゃらしだって!ほら〜?悠〜?」フリフリ〜

 

色々と商品を見ていると、どこで見つけたのか、千歳が、マオチャオじゃらしなる物(普通の猫じゃらしとどう違うのか分からない)を持ってきて、悠の目の前でフリフリしている。

 

「……ニャッ!」ペシッ!

 

 

 

 

「…………………………」

「…………………………」

 

「悠よ、なぜ悪ノリした…」

 

とっても気まずい。

 

 

「プッ…フフフッ!あはははっ!

聞いたリリス?ニャッ!だって!ニャッ!よ!あはははっ!」

 

「そっとしておいてくれ…」

 

目に涙を浮かべながら大笑いする千歳。

穴があったら入りたいとはきっとこういう状況を指すのだろう。

 

(恨むぞネコショウグン…)

(ニャニャッ⁉︎)

 

「はぁ…千歳、悠、ウィンドウショッピングもいいが、本来の目的も忘れるな」

 

「す、すまんリリス。ん?あれは…」

 

ふと、悠の視界に入った"神姫をダメにするクッション''の展示品。その中に見覚えのある白が沈み込んでいる。

 

「……………」

 

「うひぃ〜♡こりゃたまんないですぬぇ〜…

あ〜^ダメになる〜♡」

 

「おい」

 

「ヤッベェ〜、これちょーほすぃーわ〜」

 

「ニャル子〜?」

 

「ZZz…」

 

「寝るなよっ!!」

 

「はひっ!寝てません!すみません!

…あれ?悠さん?」

 

悠のツッコミで、ようやくこちらに気がついたニャル子。

 

「武装を見てるんじゃなかったのか?」

 

「5分で飽きました」

 

「大変正直でよろしい」

 

「そんなに褒めないでくださいよ〜♪」

 

「皮肉を言ってるんだ!まったく…別の売り場に行くなら声をかけてからにしてくれ…

心配するだろ?」

 

「あっ…それは失念してましたね…すみません…」

 

「次からは気をつけてくれよ?」

 

「はい!了解です!」

 

「あんたの神姫ってなかなか個性的な性格してるわね…」

 

「まあ、これでもスペックは高いんだがな」

 

「おや?そちらの方は?ご友人ですか?」

 

「ああ、さっき知り合った…」

 

「小早川千歳よ!よろしくね!」

 

「ストラーフmk.2のリリスだ。よろしく」

 

「はい!私はアーンヴァルmk.2のニャル子と申します。よろしくお願いしますね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず自己紹介を終えたニャル子だが、未だにクッションから起き上がろうとせず、そのまま埋もれている。

 

「しかし、悠さん!私のいない間にこんな可愛いJK引っ掛けるなんて…浮気ですか⁉︎私とは遊びだったんですか⁉︎」

 

「いきなり何言ってるんだお前は!誤解を招くようなことを言うな!てか、その前にそのクッションから降りろ!」

 

「え〜…嫌ですぅ〜!これ、なまら気持ちいいんですよ!そうだ!リリスさんもご一緒にどうですか?」

 

「わ、私か⁉︎ふむ…まあ、物は試しだ。

千歳、いいか?」

 

「ええ、構わないわよ」

 

「では…」フニョンッ

 

「これは…!気持ちいい…確かにダメになるな」

 

「でしょでしょ〜!ねえ悠さ〜ん♡お願いがあるんですけど〜♡」

 

「駄目だ」

 

「まだ何も言ってないじゃないですかっ!」

 

「なあ千歳」

 

「わかったわ。それも買っていこっか!」

 

「あ〜!リリスさんだけずるい〜!

悠さ〜ん!私にも買って買って買って買って買って〜!!!」

 

「分かった!分かったから駄々をこねるのをやめろ!」

 

「よっしゃああ〜!」

 

「はぁ…今回だけだからな…」

 

 

 

 

 

アリガトウゴザイマシター

 

 

 

 

 

〜〜繁華街・オフィシャルショップ前〜〜

 

 

 

「結局武装買えなかった…」

 

あれからクッションを買った一行は、もういい時間ということもあって、店を出ていた。

悠の収穫は、結局クッション1個ということで、ガックリと肩を落としている。

 

「あははは!じゃあ今度は一緒に来ましょ?私が選んであげるわ!」

 

「いいのか?」

 

「えっと…その、悠が嫌じゃなければなんだけど」

 

「いや、こちらからお願いしたいくらいだ」

 

「えっ⁉︎いいの⁉︎じゃ、じゃあ連絡先!交換しましょっ!」

 

「ああ、もちろん」

 

 

千歳と連絡先を交換した。

 

 

 

「ふふっ!じゃあね悠!今度はバトルもするわよ!」

 

「その時はお手柔らかに頼む。

じゃあ気をつけて帰れよ?じゃあまたな!」

 

「ええ!今日はありがとね〜!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜帰り道〜〜

 

 

「悠さ〜ん…顔、にやけちゃってますよ〜?」

 

「はっ⁉︎いや、新しい友達が出来たのが嬉しくてな」

 

「そうだとしても…ねぇ?」

 

「あー、実は、小さい頃…中学時代までは、親の仕事の都合で転校が多くてな。

こう、友達に飢えてるっていうか、その時の反動みたいなものだ。ちょっとくらいは見逃してくれ」

 

「あ、あはは…すみません。地雷踏んじゃいました…」

 

「そこまで大げさにすることでもないさ。

今はその分、たくさんの良い縁に恵まれたからな!」

 

「そうですか!では!気にしないことにします!」

 

「是非そうしてくれ」

 

「ときに悠さん?」

 

「ん?」

 

「その縁には、私は含まれてますか?」

 

「何言ってるんだ?もちろんだ!まだ出会って3日だけど、俺はニャル子のことを家族だと思ってるぞ?」

 

「悠さん…♡」

 

「ほら、もう家に着くぞ?」

 

「あっ!ちょっと待ってください!私を先に家に入れてもらってもいいですか?」

 

「ん?いいが…ほら」ガチャッ

 

「ありがとうございます!あ、ほんの一瞬、間を空けて入ってくださいね?」

 

「ああ、分かった」

 

 

 

 

「…入るぞ〜?」ガチャ

 

「お帰りなさい悠さん!くぅーっ!これ!これが言いたかったんですよ!」

 

「あはは!なんだ、そんなことか!

ただいま!ニャル子!」

 

「はい!悠さん!」

 




次回は不良に絡まれる⁉︎まぁ悠さんなら大丈夫でしょ?byニャル子

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