仮面神姫   作:黒城優輝

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色々アドバイスをもらったけれどイマイチ生かし切れず、開き直っていくスタイル


第4話 番長初めての神姫バトル

〜〜ゲームセンタ〜〜

 

 

「というわけでやってきたのはゲームセンター!あっ!悠さん!私あっちのゾンビ撃ち殺すやつやりたいです!」

 

「後でな?それより今回は神姫バトルに来たんだぞ?分かってるのか?」

 

「んもぅ〜、分かってますって!何処もかしこも初めてばかりなのでちょっとくらいは大目にみてください!」

 

昼食後、神姫バトルをするためにゲームセンターへやってきた悠たち。

起動したてのニャル子には、見る物聞く物全てが初めてなため、色んなものに興味を持ってはしゃいでいる。

 

「おーい?もういいか〜?」

 

「ああ、すまん陽介」

 

はしゃぐニャル子とそれを宥める悠に声をかけたのは陽介。

ニャル子が落ち着くのを、神姫バトルの筐体の前で律儀に待ってくれてたようだ。

そんな陽介に一言詫びを入れ駆け寄る悠。

 

「うし!じゃあ始める前にこれやるよ。昨日の今日で武装なんて買ってないだろ?」

 

「陽介、これは?」

 

「俺がちょい手を加えた神姫バトルで使う武装。

えーと、神姫バトルで使う武装にはコストの制限ってのがあってだな、やっぱ始めたばっかだとその最大値が…

…えぇーい!まあとにかくあれだ!まどろっこしい説明するより慣れろ!

俺が渡した装備は初心者向けにカスタマイズしたやつだから、今の2人でも問題なく装備できるはずだぜ」

 

そう言って渡されたのは、2つの武装。

1つは神姫サイズの指抜きレザーグローブ。指の第一関節に当たる部分には尖ったスタッズが付いており、攻撃性が感じられる。

もう1つは、これまた神姫サイズまで小さくなったゴルフクラブ。初めてシャドウと戦った時のことを思い出させる。

 

「ニャル子様はこちらにどうぞ」

 

「はい!では悠さん、行ってまいります!」

 

「ああ、行ってこい!」

 

ハヤテの案内により、バトルフィールドに向かうためのリフトに乗り込むニャル子。

 

「悠、今回当たるのは間違いなくお前と同じ初心者だ。よっぽどのことが無い限りは大丈夫だと思うから…あー、月並みな言葉で悪りぃけど…楽しんでこい!」

 

「分かった。ありがとう陽介」

 

そして、悠も陽介のアドバイスを聞きながら準備を整える。

 

『聞こえるかニャル子?』

 

「バッチリですよ!」

 

そして、ヘッドセットからニャル子に声をかけ、最終確認を行い…

 

『よし…いくぞニャル子!』

 

「はい!アーンヴァルmk.2ニャル子、出撃します!」

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜バトルフィールド・コロシアム〜〜

 

 

バトル開始1分前…

 

「ふむふむ…これが神姫バトルのフィールドですか。加もなく不可もなく…あ、天井から下がってる出っ張りすげぇ邪魔ですね」

 

バトルフィールドに降り立ったニャル子。バトル開始までまだ僅かに時間があるため、周囲を観察していると…

 

『あ!こんにちは!』

 

「ん?あら、相手方のマスターがオープンチャンネルで挨拶してきましたよ?」

 

相手神姫も出てきたようだ。オープンチャンネルから聞こえる声は幼く聞こえる。小学生くらいの子だろうか?

 

『あー、テステス…こんにちは!』

 

礼儀正しく挨拶されたのなら返すのが礼儀。

悠もチャンネルをオープンにし、挨拶を返す。

 

『あの、僕初めてだから、手加減してくれると嬉しいな!』

 

「ダメですよマスター?相手に手加減を要求するのは失礼にあたりますよ?

すみません、私たち神姫バトル初めてで」

 

手加減を要求する小学生マスターをたしなめるアーンヴァル型の神姫。彼女たちもバトルは初めてのようだ。

 

『気にしなくていい、俺も初めてだからな』

 

『お兄さんも初めてなんだ!』

 

『初めて同士よろしくな!』

 

『はい!よろしくお願いします!』

 

和やかな空気の中、バトル開始10秒前となる。が、今まで会話に参加せずに周囲の観察に勤しんでいたニャル子が、突如口を開き…

 

「悠さん!そろそろ時間ですよ!

いいですか?相手が初心者の子供だと思って舐めてかかるのはいけません!一切の情け容赦を捨ててぶっ殺してやりましょう!」

 

「『( ゚д゚)』」

 

『ちょっ!おまっ!』

 

 

 

 

【3…2…1…】

 

【Lady…】

 

【GO!】

 

 

 

 

 

鳴上悠の初めての神姫バトルは、自らの神姫の、ぶっ殺す発言で幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ど、ど、どうしようプルミエ⁉︎殺されちゃうよ!逃げようよ!』

 

「だ、大丈夫ですよマスター!きっと比喩表現です!バトルに集中しましょう!」

 

ニャル子のぶっ殺す発言で動揺するマスターをなんとか落ち着かせながら、片手剣を構えこちらに駆けてくる相手神姫。

 

『過ぎてしまったことは仕方ない…ニャル子!』

 

「はい!なんなりと!」

 

『まずはお前がどれ位出来るのか見たい。

俺がいいと言うまで、ニャル子主導で相手の攻撃を回避し続けてくれ』

 

「Sea Maestro!」

 

悠もニャル子に指示を出し、それに合わせ駆け出すニャル子。

 

そして…

 

「いきます!てりゃあ!」

 

中央でかち合う2人。先に攻撃を仕掛けるは相手側。

 

「うおっと!いざ向かい合うと結構怖いですね!」

 

大振りな振り下ろしをバックステップで躱すニャル子。

 

「ていっ!はぁっ!とぉっ!」

 

なぎ払い、斬り上げ、袈裟斬り。

 

「うわっ!あぶねっ!何時まで避け続ければいいんですか〜⁉︎」

 

敵も拙いながら連続で片手剣を振るう。

そしてその剣を大きく後退して回避するニャル子。

両者とも、戦い慣れていないことが明白である。

 

 

 

 

 

 

 

(ふむ…大口叩いてた割には普通だな。そろそろいくか…ペルソナチェンジ、ザオウゴンゲン)

 

悠は心の中で一言呟くと、真・物理見切りのスキルを持つペルソナを装着する。もちろん召喚はしない。

 

『ニャル子!そろそろ次にいく!』

 

「やっとですか!早く次の指示を!」

 

『いいか?今から俺が相手の動きを先読みして、最小限の動きで躱すイメージを送る。

ニャル子はそれに合わせてくれ!』

 

「つまり悠さん主導で動けばいいんですね!」

 

『ああ!いくぞ!』

 

今まで見に徹していた悠は、今以上にニャル子へと精神を集中させる。

 

 

 

 

 

 

『プルミエ!今だ!』

 

「はい!てぇーい!」

 

悠がニャル子にプライベートチャンネルで策を伝えている僅かな隙をめがけ、相手神姫は再び大振りな攻撃を仕掛ける。

 

(よしっ!当たった!)

 

ニャル子の眼前に迫る片手剣。

 

しかし…

 

ガキィンッッ!

 

「キャッ!弾かれた⁉︎」

 

時すでに遅し。悠は、真・物理見切りで相手の剣の軌道を読み、レザーグローブのスタッズの部分を使い、振り下ろされる剣の腹に裏拳を叩き込んだのだ。

 

剣を弾かれ、よろめく敵の隙を見逃す悠ではない。

 

『今だニャル子!ブチ抜けえぇぇっっ!』

 

「逝きますよぉぉ!!」

 

悠の合図とともに、右腕を腰の後ろまで捻り、溜めの姿勢に入る。

 

「人越拳…」

『は?』

 

限界まで力を込めた拳を開くと、その指をまっすぐに伸ばし…

 

「ねじり貫手ェェェ!!!」

『それパクリじゃん⁉︎』

 

放たれる突き。その突きを放つ際に、更に腕を捻り、回転を加え、貫通力を飛躍的に上昇させる。

 

「キャア〜ッッ!」

 

キィーンッ、と金属を削るような音が響き、ダメージ値が連続で表示される。

 

ガッ!ガッ!ガッ!ガッ!ガッ!

 

ズドォーン!

 

5回ほどダメージが入った所で相手は吹き飛び…

 

 

 

「キュウ〜…」

 

【YOU WIN !】

 

相手神姫はそのまま倒れ、ニャル子と悠の目の前には勝利を告げるウィンドウが表示された。

どうやら一撃でヒットポイントを削り切れたようだ。

 

 

「うっしゃ〜!アーイムウィーン!」

 

『あ〜…うん。勝ったから、いいのか?』

 

勝利の雄叫びをあげ、喜びを爆発させるニャル子。だが、いまいち釈然としない悠であった。

 

 

 

 

 

 

〜〜ゲームセンター〜〜

 

 

「ただいま戻りました〜!どうでしたか?私の必殺拳は⁉︎」

 

勝利の興奮冷めやらぬニャル子。目をキラキラとさせ、悠からのお褒めの言葉をちょうだいしようと催促をする。

 

「あ、ああ。凄かったな。いったいいつの間にあんな技を?」

 

「実はですね…」

 

色々とツッコミたいところがあるが、あえて飲み込み、あくまで冷静にニャル子に今の技について問いかけるが…

 

「おいニャル子!今の何だよ!なんでナックルでドリルの攻撃モーション出てんだよ!」

 

「ニャル子さん!今ならまだ間に合います!チートなんて止めてください!」

 

何を勘違いしたのか、陽介とハヤテがニャル子に食ってかかる。

 

「いや、何言ってるんですか!チートじゃないですよ!説明しますからそんな詰め寄らないで下さ〜い!」

 

「はぁ…ほら3人とも、他のお客さんに迷惑になるから、別の場所に行こう。な?」

 

悠の提案を聞き落ち着いたのか、周りを見渡した3人は、周囲の視線を集めている事に気付き、バツが悪そうに悠に謝る。

 

「すまん…ニャル子の最後の攻撃が有り得ないもんでさ…」

 

「それは俺もそう思う。ニャル子、どこか落ち着ける所で話を聞かせてもらうぞ?」

 

「ええ、勿論です」

 

ニャル子の放った捻り貫手。陽介曰く、それはドリルの攻撃モーションらしい。

自分の神姫は、一般のものと何処かずれている。それは間違い無い。

この短い時間の中で、悠はニャル子の扱いについて早くも頭を悩ますのであった…

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は解説回になりますかね?独自設定なんで注意ですよ!byニャル子

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