ケモ耳娘拾いました 完結済み   作:ソアさぁん!

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ケモ耳娘と休暇を謳歌しました(後編)

昼食のあと、俺達は先日アズキと来たことのあるショッピングセンターに来た。

アズキは探したいものがあるとどこかへ行ってしまった為、今はクロネの服を選んでいる。

 

「春斗、これとかどうかな? 」

 

「いいんじゃないか? 試着してみろよ」

 

クロネが持ってきたのは白いワンピース。俺が促すと、小走りで試着室へと入っていった。

……これは、あくまで俺の意見だが、スレンダー系の女の子、さらに背が小さいのなら尚更、ヒラヒラした服装が似合うと思う。

因みに身長の比較だが、俺>アズキ>クロネとなっており、クロネは目測で150cmくらいだ。胸は……B……いや、Aか……?

そしてアズキは目測で170cmくらいあると思う。意外とあいつはでかいのだ。色々と……。まぁ、俺は180あるけどな。

こうして無駄な考え事をしている間に着替えは終わっていたらしく、クロネは恥ずかしながらカーテンを開けた。

スカートの裾を握り、足は極度の内股になっている。

 

「あの、その、今までズボンしか履いたこと無かったから、スカートって落ち着かなくて……」

 

頬を染めながらの発言に、1部の愛好家さんたちは命を落としかけただろう。残念ながら、俺はロリコンではない。可愛いとは思ったが、流石に恋愛対象にはならない。

 

「どう、かな? 」

 

しかし

 

「似合ってる。可愛いと思うぞ」

 

クロネは俺の大切な家族になったんだ。だから、この位は良いだろ。

俺はクロネの頭をくしゃくしゃと撫でてやった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「春斗さぁん! 」

 

クロネのワンピースと他数点(下着を含む)を買い終えた丁度その時、アズキが笑顔で走ってきた。

おい、店内で走るなよ

 

「どうした? 」

 

「遂に見つけたんですよ! 」

 

見つけた?

なんだろう、こいつが欲しかったものがあったのかな……?

まあ、買うか買わないかは値段と相談だ

 

「見てください! 0.01mmですよ! 買いましょうよ! 」

 

「置いてこいエロ犬」

 

値段以前の問題だった。

突っ込みどころは多々あるのだ。いつから俺とお前はそんな関係になったんだ。とか、お前に羞恥心は無いのか! とか。だが、ここは店内。無闇に突っ込んだり、注意したりすれば他のお客さんの迷惑になってしまう。だから静かに、そして恐らくアズキが傷つくであろう言葉で突き放す事によって誰にも迷惑をかけないで商品を戻させる事ができるだろう。

しかし、今日のアズキは俺の予想の斜め上を行った。

 

「春斗さん、もしかして生がいいんですかぁ? 初めてが生だなんて、緊張します〜」

 

頬を染め、馬鹿な事を言い始める犬に思いっきりデコピンを食らわせ、その場を後にした。もちろん、アズキの持っていた商品は薬品売り場に置いてきた。

 

 

 

 

 

「うう、ご迷惑をお掛けしました……」

 

額を押さえ、涙ぐみながら俺の横を歩く。因みに顔は真っ赤である。

 

「どうしたんだ? 最近様子がおかしくないか? 」

 

出会って間もない頃にも少しだけあったが、最近は特にこいつのエロ言動が多すぎる。いきなり子作りしようとか言い出したり、公衆の面前で恥ずかしげもなく避妊具を抱えながら走ってくるし。

 

「……すみません、今は言いたくないです」

 

「春斗、女の子に聞いちゃダメ」

 

なんだ? クロネは知ってるのか?

俺は首を傾げながら先に進んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「春斗さん!見てくださいよ、着物ですよ、着物! 」

 

ショッピングセンターの中を見て回っていたら、端の方に女性物の着物を販売している店を発見した。

いつの間にか俺の腕に手を回していたアズキは目を輝かせて美しい着物に魅入っている。クロネも興味深々のようだ。

俺としては、こんなに目を輝かせている2人を見たら買ってやりたくなる。しかし、買えるはずが無かった。

着物は高い。今アズキが見ている展示品の値札がそう物語っている。さっき買ったクロネの服……1着はアズキと同じく結構高いところで買い、数着は安い所で買った。それでも、金額は5桁近くにはなっていた。しかし、目の前にあるソレは、ただの洋服とは次元が違う……。

0が、1つ多い……

2人には悪いが、幾ら何でも手が届かない。

 

「……アズキ、クロネ……」

 

「分かってます。別に、買ってもらおうなんて思ってませんよ。ただ、もう少しだけ見ていたいです」

 

「私も」

 

「ごめんな」

 

小さく呟いた俺の言葉は、着物に夢中の2人には届かなかったようだ

……そうだ

 

「アズキ、クロネ。夏休みになったら、花火大会に行かないか? 」

 

今度は耳に入ってくれたようで、2人とも着物を見つけた時と変わらない表情で振り返った。

そ、そんなに嬉しかったのか?

まぁ、喜んでくれるなら良いだろ。

 

「ほら、そろそろ帰るぞ? 俺、明日は仕事なんだから」

 

そう促すと、アズキが右腕にくっついてきた。

アズキと腕を組み、逆の手でクロネとしっかりと手を繋ぐ。

そう、これはまるで……

 

ラノベのハーレム主人公みたいだなんて言わないでくれ


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