ロウきゅーぶ!~疾風迅雷の天才~   作:園部

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ガルパンばっか書いてて更新空けてすみません。
修学旅行の始まりです。
原作9巻ですね。


16話

今は新幹線の中。

慧心学園6年生は今日から3泊4日の修学旅行が行われる。

昴さんや葵さんも別口で京都に来るそうなので、もしかしたらあっちで合流できるかもしれない。

5年チームを見る人がいなくなるが、一応練習メニューを残してきたので問題ないだろう。

 

「空君どこ見てるの?」

 

俺がボーっと外を見ていたら愛莉が話かけてきた。

 

「富士山。初めてみたなーって」

 

あんなに大きいんだな。ただデカイだけなのになんでこんなにワクワクするんだろうか。

俺の富士山というワードに反応した真帆が窓に張り付いてデッカイ声を上げた。

 

「うおー!ひな見るんだ!富士山だぞ!フッジサーン!」

 

「おー。ふっじさーん」

 

「あんたら落ち着きがな「フッジサーン!」空まで!?」

 

富士山を見て何とか落ち着こうと思ったけどダメだった。

逆にテンション上がってしまいもう抑えられない。

 

「ほら智花も愛莉も見ろ!初めてだろ!こんなに大きいんだなぁ・・・」

 

「ほんとだぁ、もっと天気が良ければ頂上まで見えるんじゃないかな?」

 

「えへへ、私も初めてだけど生で見るとこんなに違うんだね」

 

正直言おう。前日はワクワクして全く眠れなかった(まほも)

 

「さぁ、紗季も一緒に・・・・フッジサーン!」

 

たまにはこうして羽目を外すのもいいだろう。

ただ純粋に楽しめればいい。

 

「空!?ホントにどうしちゃったの!?」

 

「そうだぞー紗季も一緒に・・・・もっかんとアイリーンも!」

 

「ふ、ふっじさーん」

 

「ふっじさーん。え、えへへ・・・・」

 

うんうん、2人とも凄い恥ずかしがってるけどやってくれるな。

俺も後で冷静になったら絶対後悔するけど・・・・

 

「絶対恥ずかしいわよ・・・・ふっじさーん」カシャッ

 

ふぅ、仕事したぜ。

 

「ナイスにーちゃん!」

 

「紗季のふっじさーんはちゃんと昴さんに届けるから安心しろ」

 

「安心できないわよ!バカ兄妹!」

 

紗季が俺の携帯を取り上げようとする。

 

「冗談だ紗季・・・・俺が本当に昴さんに送ると思うか?」

 

俺が真剣な目で紗季に語りかける。

 

「あ・・・そうね、さすが空。何だかんだ言ってもちゃんと「昴さんじゃなくて雅美に送ってやる」携帯よこせ馬鹿空!!」

 

俺は紗季に携帯を奪われて消去された。

 

「えー雅美なら絶対喜ぶと思ったのに・・・・」

 

「雅美に送ったら商店街中にバラまかれるでしょ!」

 

えー・・・・そこまでやるかなぁ。

せいぜい紗季をからかうネタにするくらいだろうし、そこまでしないと思うんだけど。

 

「ま、いいか。紗季の反応面白かったし」

 

「にーちゃんにーちゃん車内販売で何か食べようよ!」

 

車内販売!?これは見過ごせませんなぁ・・・

 

 

騒いで疲れたのか、みんな寝てしまった。

トイレに行きたいけどひなと真帆が俺の肩に寄りかかってるので動けない。

 

「騒がしいのが静かになったと思ったらこういうことか」

 

「夏陽か。まぁ、見ての通りだよ」

 

「ん・・・・夏陽?」

 

そういえば竹中を名前で呼んだのって初めてだっけ。

 

「中学からは俺も男バスに入るからなぁ・・・・まだまだ長い付き合いになるんだ。名前呼びくらいさせてくれ。それにお前の妹も竹中だし紛らわしいだろ」

 

「そうか・・・そうだな。お前が入れば来年の中等部は相当強くなるな。全国出場も現実的なものになるかもしれないし」

 

全国出場?コイツは本気で言ってるのか?

 

「何言ってんだ。全国出場なんて通過点だろ。狙うなら全勝だ。つまり、全国制覇だよ」

 

「・・・・ハハ、来年の中等部は本気で面白くなりそうだ」

 

話しているとひなが起きてしまった。

 

「ん・・・・そらぁ・・・?」

 

「ああ。起こしてしまったか?まだ着かないしもう少し寝てていいぞ」

 

ひなの頭を優しく撫でながら言う。

 

「うん・・・・そらぁ。あたたかい・・・」

 

再びひなは寝た、

 

「・・・・」

 

ん?夏陽の様子がおかしいな。

 

「どうした?何かあったのか?」

 

「何か・・・・じゃねーよ!なんだ今のやり取りは!」

 

ん?何か問題が・・・・・ああ、そういえばコイツってひなの事好きだっけか。

 

「何も問題はないだろう。まだ着くまで時間あるしな」

 

「そうだけど・・・そうじゃなくて!・・・お前まさかひなたの事が・・・」

 

ああ、好きな相手が異性に寄りそってるのが気になるのか。

 

「好きだよ」

 

「くぁwせdrftgyふじこlp」

 

面白いなー

 

「もちろん、まほも愛莉も智花も紗季もな」

 

「・・・・・え?」

 

「友達なんだ。好きなのは当たり前だろ?あ、まほは妹か」

 

脱力してその場に座り込む。

 

「はぁ・・・・本気で焦った」

 

「何でお前が焦るんだ?」

 

「い、いや・・・それは・・・その」

 

こいつはバレてないと思ってるのか?

残念ながら、お前がひなのこと好きなのはひな以外にはバレてるよ。

 

「さっきからうるさい・・・・」

 

ああ、まほが起きてしまったな。

 

「おはよう。でももう少し寝てても・・・」

 

「うーん・・・なにかあった?」

「いけない・・・・眠ちゃった・・・」

「・・・・おー?」

 

あらら、皆起きてしまったのか。

 

「夏陽・・・・・?・・・・・夏陽がしゃがみこんでひなのパンツ見てるぞー!!!」

 

うわぁ・・・・夏陽ドンマイすぎる。

今の車両中に聞こえたぞ。

 

「夏陽アンタ何やってんの!!」

 

ああ、タイミングが悪かったな。

脱力さえしなきゃ俺と話てる風だったのに。

 

「はぁ!?ふざけんな!そんな事実はねーよ!くそっもう知るか!」

 

そのまま自分の座席に戻っていった夏陽。

ま、この2人は本気で言ってるわけじゃないだろう。

夏陽ってそういう人間じゃないし。

 

「ま、反応が面白いのは分かるがほどほどにな」

 

「にしし、夏陽おもしれー」

 

ひなのパンツを覗いてたか・・・・そういえば・・・

 

「ひなのパンツって合宿中に無くなったんだっけ?」

 

「そうなのよ・・・・一体どこに行ったんだが・・・」

 

ふむ、合宿中かぁ・・・ま、そこまで気にすることないか。

うちはセキュリティは完璧だし外部犯はない。

あのとき学園にいた男って俺、夏陽、昴さん。

俺を抜かしてもあの2人が盗むようなマネはしないだろうし・・・

そのうちひょっこり出てくるだろ。

 

 

新幹線から降りて荷物をホテルに預けた後、俺達は最初に金閣寺を見物していた。

 

「見ろ!金だ金!」

 

うっわー本当に金閣寺って金なんだなぁ・・・

 

「おー。まっきんきん」

 

「キンカク!キンカク!」

 

まほも超興奮してるな。

 

「ほら3人とも・・・・もう少し静かにしなさい」

 

紗季に注意されるが、残念ながら聞く気はない。

お?智花がキョロキョロしてる・・・・昴さんを探してるのか。

 

「こーら智花!今は皆で金閣寺みようぜ。昴さん探したい気持ちは・・・・別に分からないけど」

 

だって金閣寺優先だし。

 

「ふぇ!?そ、そんなことないよ・・・」

 

分かりやすいなぁー。

 

「ま、昴さんとは明日の自由時間で会えるんだからさ・・・・今はこっちに集中!」

 

「う、うん・・・」

 

紗季のナイスなプランによって明日の自由行動では昴さんも一緒に行動できるようになった。

 

「でも本当に嬉しいな。昴さんや葵さんと一緒に京都を見て周れるのって・・・」

 

お、愛莉それは・・・

 

「なんだー俺らと一緒じゃ満足できないというのか」

 

「そ、そんなことないよ!空君やみんなと一緒に周れるだけで満足だよ!」

 

「冗談だからそんなに慌てることないって・・・・俺もあの2人と一緒なのって嬉しいしな!」

 

「うん!」

 

 

お次は八坂神社!

 

「恋みくじあるってよ!智花買ってくれば?」

 

「こ、恋・・・・どんなことが分かるんだろう・・・」

 

うーん・・・・良縁に恵まれてますとか?買ったことないしよく分からないなー

 

「想い人と上手くいくかどうかじゃない?」

 

ほう、想い人とな・・・

 

「おー?想い人?」

 

「きっとお相撲さんだ!」

 

「まほ惜しい!」

 

想いと重いの違いだな。

日本語って面倒だよね。

 

「違うから・・・物理的に重い人じゃなくて好きな人ってことよ」

 

「つまり・・・にーちゃんやすばるんとの相性も分かるのか!」

 

多分抽象的なことしか書いてなさそうだけどなぁ・・・

おみくじってそういうものだし。

 

「空君との相性・・・・ちょっと買ってくる」

 

おー愛莉の俊敏な動きってバスケ以外でも発揮されるのな。

 

「ひなもー」

 

「あたしもあたしも!」

 

あらら、ひなも真帆も駆け出しちゃったよ。

 

「智花や紗季はいいのか?」

 

「ど、どうしよう・・・・」

 

「私は占いなんてあてにしてないし!そういう空はどうなの?」

 

俺か―

 

「占いは面白そうだけど・・・・」

 

もし結果で、貴方の大事な居場所がなくなります。って出たらショックで吐く自信あるし・・・・

 

「うん。無理」

 

とりあえず真帆たちを追いかけて境内に入るとそこには夏陽もいた。

 

「お、夏陽じゃん。おみくじ引くのか?」

 

「は!?男で引くやつなんているわけ「ぶー。たけなかつまらない。ひなはがっかりです」ちょっと行ってくる」

 

ダッシュで引きにいく夏陽を見送る。

 

「どんな結果になっても面白いぞ。ちょっと観察しようぜ」

 

「いいわね。夏陽の反応が気になるわ」

 

「おー」

 

そして俺と紗季とひなで夏陽の行方を見守る。

 

「お、夏陽選手。いま自分の状況を理解しました」

 

「あれは周り女性ばかりで恥ずかしがってる様子ね」

 

「そして恥ずかしながらも恋みくじを確保!周りの大人の女性は皆夏陽を微笑ましい目で見てます」

 

「なつひ。かおまっかっか」

 

「そしてくじの中身を見る夏陽!あーっと出ました!orz!orzです!」

 

「これは凶あたりね」

 

ドンマイ夏陽。まぁ、いいことあるさ・・・・

 

「にーちゃん達なにしてんの?」

 

お、真帆と智花と愛莉か。

 

「夏陽。くじに敗れるの図を見てた。」

 

俺がいまだに肩を落としてる夏陽がいる。

 

「あっはっはははは!!!ちょっとからかってくるー!」

 

気をつけろ夏陽。爆弾がそっちに行ってしまったぞ・・・

 

「まぁ真帆のことは置いといて・・・結果どうだったんだ?」

 

「えっと・・・・吉だって」

 

ほう、智花は吉か。なんか微妙だな

 

「愛莉は?」

 

「私は中吉だって。今後の努力次第でしょうって書いてあったよ」

 

「なんかパっとしないなぁ・・・そういえばひなはどうだった?」

 

「おー。ひな大吉だったよ」

 

「やったじゃん!えっと大吉のときって木にくくりつけるんだっけ?」

 

「それ悪かったときでしょ・・・・」

 

ああ、そうなのか。

 

「ただいまー!」

 

満足したような顔をして戻ってきたな。

 

「じゃあそろそろ行くか。次はどこだ?」

 

「次って・・・・今日はもうホテルに戻るのよ」

 

なんだ・・・もっと遊びたかったのに・・・

 

「ビックリするほどテンション下がったわね・・・」

 

「元気出して空君・・・・また明日いっぱい見られるよ。それにほら、夜は一緒にトランプとかしようよ」

 

愛莉が俺を慰めてくれた。

確かにそうだ・・・夜はみんなで遊ぶんだ。

 

「そうだまだ初日は終わらない!夜通し倒れるまで遊びつくすぞー!」

 

「さすがにーちゃん!その言葉を待っていた!」

 

俺はそのまま真帆と一緒に走ってバスまで戻る。

 

「夜通しって部屋違うのに・・・・あれ?もしかして忘れてる?」

 

「今の空君ならあり得るかも・・・」

 

「おー。空と部屋違う・・・残念」

 

 

 

ホテルに戻った俺達。

そこにいたのは・・・・

 

「あれ?昴さんじゃないですかー!同じホテルですか!?」

 

「空!?それにみんなも・・・・というか、普段の空から考えられないくらいテンション高いね」

 

「気のせいですよ!」

 

お、葵さんも発見!

 

「葵さーん!」

 

「空君・・・・みんなも。そっか、団体さんって慧心だったんだ・・・・ありがとう」

 

何で礼を言われたんだろうか・・・

そして昴さんや葵さんと話してると夏陽に注意される。

 

「おい!紗季や空・・・・今日の空はいいや。紗季がいながら列から離れんなよ!」

 

ぶつぶつ文句を言いながら俺達に説教をする。

 

「なんだか竹中機嫌悪い?」

 

「ああ、それはおみくじの結果が悪かったからですね。あれは笑えました」

 

「ふふ、そうね・・・・では長谷川さん。私達はこれで」

 

「あ、夜になったら部屋でトランプとかするので来てくださいねー」

 

そして昴さんたちと別れた後部屋に行こうとするが・・・

 

「忘れてた・・・・部屋一緒なのはさすがにマズイから部屋だけは竹中達と一緒だった・・・」

 

「やっぱり忘れてたのね。普段の空ならあり得ないのに・・・・いくらなんでも浮かれすぎじゃない?」

 

はぁ・・・・

 

「そうかも・・・・とりあえず荷物置いて風呂入ったらそっち行くよ」

 

「はいはい。元気出しなさいよ」

 

部屋には夏陽含む竹中班の4人がいた。

 

「部屋割りだけだけどよろしくなー」

 

「あー気にすんな」

「三沢の優先順位はクラス全員理解してるし」

「お前に刃向うやつもいないしなー」

 

おう、気の良い連中だな。

折角だし女バスの連中以外とも交流深めますかね

 

「じゃあ早速風呂でも行きますかねぇ・・・お前らも行こうぜ」

 

俺が誘うと夏陽以外が乗ってくれた。

 

「夏陽いかねーの?」

 

「お、おう・・・・今から大事な用があるんだ」

 

旅先で大事な用事?

 

「ふーん・・・・ま、いいや。じゃあ先行ってるわ」

 

「お、おう・・・ゆっくりしてこいよ」

 

俺達は部屋から出て風呂場に向かう。

夏陽の大事な用事ってなにかねぇ・・・

 

「お前らどう思う?」

 

「告白!」「逆告白!「覗き!」

 

ふむ・・・・

 

「あるとしたら最後意外だろうな。夏陽ってそういうやつじゃないだろうし」

 

「いや分からないって!男のロマンだぞ!」

 

えー・・・・

 

「覗くなら逆に風呂に行くんじゃないか?」

 

「あーそっか・・・・じゃあ告白系?」

 

「相手はひなだろうけど・・・・アイツにそんな度胸あると思うか?」

 

「「「ない」」」

 

愛されてるな。

 

「じゃあ逆告白」

 

「「「もっとない」」」

 

なんだろう、夏陽が哀れに思えてきた。

脱衣所につきすぐに服を脱いで風呂に行く。

せっかくなので露天風呂に入ってると柵のほうから大きな音が聞こえた。

 

「何だ今の音?」

 

女子の方でも騒がしいし何かあったのか・・・・?

 

「ま、どうでもいいか」

 

 

俺は風呂から上がって早速真帆たちの部屋に向かう。

真帆たちはまだ帰ってないだろうけど、鍵は開いてるので好きに入っていいそうだ。

 

「物騒だなぁ・・・というか夏陽が結局風呂に入らなかったけど・・・」

 

本当に何をやってるんだが・・・・

俺が部屋の前に着くと何か物音が聞こえる。

 

「(ん?真帆たちのほうが早かったのか・・・・いや、男の声が聞こえる・・・)」

 

 

昴side

 

早くパンツを返さないと・・・・

 

「ひなたちゃんの鞄はどれだ・・・・?」

 

「これだ!このストラップはひなたのだ!」

 

さすがいつもひなたちゃんを見てるだけある。

 

「慎重に・・・・今になって出てきた感じにしなきゃ・・・」

 

「早くしろ!つーか余計なものには触るなよ!」

 

「うるさいなぁ・・・・あ、敷板がある。ここにひっかけて今に出てきた感じを演出すれば・・・」

 

そのとき部屋の扉が開いた。

そこにいたのは・・・・

 

「なに・・・・やってるんですか・・・」

 

「空・・・・」

 

見つかってしまった・・・・

 

 

昴sideout

 

 

部屋から男の声がする・・・

 

「さて・・・どうするか」

 

先生を呼びに行く?いや、逃げられる可能性があるからダメか・・・

ちゃんとは聞こえないけど、声は2人分。

 

「2人程度なら・・・」

 

俺は扉を開いて中に入ると、そこにいたのは・・・

 

「なに・・・やってるんですか・・・・」

 

「空・・・・」

 

昴さんと夏陽だった。

 

「その鞄・・・・確かひなのですよね?鞄をまさぐって・・・2人で何をやっているんです?」

 

「違う誤解なんだ!」

 

昴さんの手には下着が握られていた。

しかも、確かあの柄って・・・

 

「その手に持ってるのって・・・ひなが無くした下着の柄と一緒なんですね・・・まさか偶然持っていた・・・・なんて、ふざけたことは言いませんよね?」

 

「そ、それは・・・・」

 

「しかも夏陽も共犯か・・・・・最悪だ。騙された気分だ」

 

「誤解なんだ!聞いてくれ!」

 

誤解って・・・・現行犯じゃないか。

合宿のとき入手して満足したから返しにきたってことだろ。

 

「いいから聞いてくれ・・・」

 

「・・・・聞くだけ聞きますよ。ただ・・・・納得出来なかったら美星先生を呼んで2人ともしかるべき処分を受けてもらいます」

 

「ああ、それで構わない」

 

 

「・・・以上だ」

 

なるほど、要は事故で手にいれてしまったけど今まで返すタイミングがなくてずっと保管していた。夏陽も無関係じゃないしこの機会に返す為に2人で色々した・・・か。

 

「よく分かりました・・・・」

 

聞いてるうちに冷静になったな。

そもそも最初から盗むならリスクを負ってまで返しにくるわけないのに・・・

やっぱり今日の俺はどこかおかしいかも。

 

「2人を信用してこの事は胸の内にしまっておきますよ。奇跡みたいな事故だなぁ」

 

「本当か!?」

 

「夏陽。この状況で嘘はつかないよ」

 

そして昴さんがパンツを返そうとすると、女生徒の声が聞こえてくる。

 

「早く隠せ!」

 

「大丈夫。完了した!」

 

そして夏陽はそのままクローゼットの中に隠れる。

 

「あれ、俺は!?」

 

昴さんが焦る。おもしろいなー

そしてドアが開かれた。

 

「やっほー昴さん拾って遊びにきたよ」

 

「あら、やっぱり空たちが先だったのね。すみません長谷川さん・・・お待たせして」

 

「すばるんも来たか!じゃあ早速遊ぶぞー!」

 

「へ・・・・?」

 

呆けた顔も面白いなぁ・・・

俺は小声で昴さんの耳元で囁く。

 

「事前に遊びに行くことは言ってたんですよ」

「そうなんだ・・・本当に助かったよ」

「いいえ・・・」

 

さて・・・・

 

「人数多いし人生ゲームやろうぜ。この人数でトランプだと枚数少ないし・・・」

 

「じゃあ準備するねー」

 

その間に・・・・。

 

「あーいり、おいでー」

 

俺は愛莉に手招きする。

 

「どうしたの?空君」

 

「うりゃ」

 

俺はそのまま愛莉の手を引いて抱きしめる。

 

「・・・え!?え!?え!?」

 

え!?3連発いただきましたー

さて、この意図が通じると良いんだけど・・・

 

「おー!にーちゃん大胆すぎ!」

 

「おー。愛莉羨ましい・・・」

 

「空積極的すぎでしょ!」

 

「空君大胆だなー・・・・」

 

俺は昴さんにアイコンタクトを取る。

 

「(皆が注目してる隙に夏陽を退却させて!)」

 

「(空・・・・こっちを見てなにを・・・・ハッ!この前家で遊んだときみたいに空気読めというのか!?さすがにそれは・・・・)」

 

あ、これ通じてないや。

どうしよう・・・・ひなも呼んで・・・・ダメだな。

夏陽がキレそうだし・・・ここは智花だな。

 

「智花もおいで」

 

メンバーに衝撃が走った。

 

「まさかのトモ!?」

 

「おーもっかんを呼んだぞにーちゃん!すばるんから奪う気か!」

 

「おー。略奪愛?」

 

いい感じに場が混沌としてきたな。

 

「あ、あの・・・空君・・・・私には・・・・その」

 

分かってる。

 

「空君・・・・私だけじゃダメ?」

 

愛莉が上目づかいで俺を見てくる。

 

「ダメだ」

 

「あんたは鬼か!」

 

紗季にツッコミされる。

くっそ・・・いい加減気づけよ。

こっちにみんな注目してるんだぞ・・・・逃げ出す好機を与えてるのに・・・

 

「ひぅ・・・」

 

ああ、もう・・・愛莉が泣きそうになってんじゃん。

 

「冗談だ愛莉・・・・でも俺は1人じゃ満足できないんだ」

 

「空・・・・さっきから最低なこと言ってるの理解してる?」

 

「うん・・・・空君が私だけじゃ満足できないなら・・・・いいよ」

 

「いいんかい!!」

 

さっきから紗季のツッコミがいい感じに面白いな。

昴さんに伝わらないなら手だけでやってやる。

俺は手で昴さんにジェスチャーをする。

 

「(指で開けるジェスチャーと・・・・人差し指と中指で走るジェスチャー・・・・これでどうだ!)」

 

「(さっきから空は何をしたいんだ・・・・指を・・・・開ける?・・・走る・・・そうか!)」

 

やっと意図を察した昴さんは壁に近づいて電気を消そうとする・・・・それでいい。

そして急に真っ暗になった部屋

 

「うわ!どうした!?」

 

「焦るな!まずは電気をつける。急に光がきたら目が驚くだろうから、全員目をつぶって!」

 

俺の言う通り全員目を・・・つぶったか分からないけど・・・とりあえず夏陽は脱出できた。

俺は電気をつけようとしたが・・・・愛莉がしがみついて離れないので昴さんに任せた。

 

「全員目を開けていーよ」

 

「あー驚いた」

 

「一体なんだったのかしら?」

 

「おー。でも楽しかった」

 

俺は愛莉をゆする。

 

「愛莉、もう大丈夫だよー」

 

「うん・・・・」

 

さて、愛莉も大丈夫そうだし遊びの続きだ。

 

「愛莉離れていいよー」

 

「あ、うん・・・・」

 

「智花も・・・・さっきのは冗談だからそこまで悩まなくていいよー」

 

「あ、冗談だったんだ・・・」

 

そらそうよ。

 

「もうさっきはビックリしたわよ」

 

「いやーやっぱり舞い上がってるのかも。旅行楽しいしな」

 

「そうね・・・じゃあ遊びましょうか」

 

 

途中で美星先生がくるハプニングもあったが特に問題もなく終わり・・・

 

「で、今度は真帆のパンツですか・・・」

 

「まさか竹中のジャージの足首のジッパーに挟まるなんて・・・」

 

もはや偶然通り越して本当に奇跡だ。

 

「で、話って?まさか俺に返せと?」

 

「いや・・・・これはともかく。これを・・・」

 

俺が渡された紙には『MM:誘拐ルート候補』と書いてあった。

 

「・・・・これはどこで?」

 

「怪しい人が女子のフロアにいてさ・・・これを落として逃げていった」

 

なるほど、MMは・・・三沢真帆ってことか?

誘拐か・・・・

 

「これが本当な証拠はないし・・・・動きがあったら美星先生に報告でいいでしょう」

 

「大丈夫?もし真帆が誘拐「させません」・・・空?」

 

「絶対に、何があろうと、誘拐はさせません」

 

真帆は絶対に守る。誰が来ようと俺の妹に手を出す人間は許さない。

 

「・・・・分かった。じゃあそういうことで・・・」

 

「はい。明日は俺が常に傍についてるようにするので・・・・とりあえず明日は折角一緒に遊べるんです。忘れて楽しみましょう」

 

「そうだな」

 

そして俺達は各々の部屋に戻る。

真帆がいないとまともに寝れないことを忘れたまま・・・・




久々の更新。
次回は今週中に(多分)

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