ロウきゅーぶ!~疾風迅雷の天才~   作:園部

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久しぶり?


15話

朝、いつもの公園でかげつを待つ。

しかし今日はかげつだけでなく・・・・

 

「おはよーそら」

 

「おはようございます。師匠」

 

「おはようひなたにかげつ」

 

今日は朝練にひなたも同行することになった。

なんでも5年チームに味方した俺に対する罰らしい。

正直罰になってないと思うけど・・・・

 

「じゃあ最初は柔軟から。今日はひなもいるから2人で組んでね。その後ドリブル左右100回ずつ」

 

「はい!」

 

「おー」

 

俺は最初にバスケの基本をやらせる。

バスケに限らず全ての土台は基本からだ。

 

「終わったね。かげつは10分ゴール下からの打ちっぱなし。ひなはこっち来て」

 

「おー。どうしたの?」

 

「俺はここでは個々のスキルアップを上達させる為にやってる。だからかげつに対しては今は徹底的にゴール下からの攻めや守りをさせているんだ」

 

「うん。それで?」

 

「ひなとかげつではポジションが違うから同じ練習はさせないってことを言っておきたくね。で、ひなに必要な練習は・・・・・・1対1のスキルをひたすら磨く」

 

「ひな上手くなる?」

 

「なる。ひなの身長じゃバスケじゃ短所だと言われてるけど・・・・逆に長所にさせてみせるよ。じゃあ早速やろう」

 

そして5分間まずは練習させる。

 

「ひな。相手を抜くときもっと屈んで抜きなさい。かげつはフォーム乱れてる。」

 

「はい!」

 

「おー・・・」

 

さて、こんなもんかな。

 

「終了だな。かげつは次にフェイドアウェイシュートな。自分の前に壁があることをイメージして20×5本。落とした回数腕立てな。ひなは俺と1対1。ひなの攻めでひたすら数を熟していくぞ」

 

さて・・・・

 

「ひな。フェイントするときは常にゴールを狙う意識でやりなさい。漫然とやってもバレバレだ。」

 

「おー。全然抜けない・・・・」

 

「簡単に抜かせちゃ意味ないだろ。考えろ。どうすれば抜けるかどうすれば勝てるかを」

 

「ぶー・・・必殺技とかない?」

 

「姉様・・・・さすがに「あるぞ」あるんですか!?」

 

かげつが驚いている。

まー必殺技というほどのものじゃないけどな・・・・

 

「本当ならまだ教えないつもりだったけど・・・・見せるくらいはしてやる。かげつ、少しシュート中断。」

 

俺はボールを持ちかげつをDFに立たせる。

 

「恐らくひなから見たらただ抜いただけなんだろうけど・・・・・かげつから見れば・・・・」

 

俺は一瞬でかげつの横を抜く。

 

「え・・・・消えた・・・・?」

 

「消えたように見えるよな」

 

かげつとひなが詰め寄ってくる。

 

「今のなんですか!?」

 

「ひなは見えたよな?」

 

「うん。そらがかげの左から抜いたよ」

 

「そうだ。じゃあひなが見えたのにかげつには見えなかった理由はなんだと思う?」

 

「え・・・・?動体視力は姉様と変わらないはずですし・・・・」

 

「おー。分からない・・・・」

 

「それは俺が一瞬でかげつの死角に移動したからだよ」

 

「「死角?」」

 

「ああ。まず右にフェイントをかける。そうすると相手の意識が若干右に寄ってしまう。その瞬間左下にダックイン。タネを説明するとこれだけなんだ」

 

「でも、それだけで消えたように見えるなんて・・・・」

 

「俺は一歩だけでMAXスピードが出せるからな」

 

「えぇ・・・・・それ姉様出来るようになるんですか?」

 

「俺と全く同じには無理だけど、似たようなことは出来るようにするよ」

 

「ほんと?ひなも出来る?」

 

「出来るようにする。完成すれば智花ですら止められないよ」

 

「おー!ひながんばる!」

 

そして今日の練習が終わる・・・・

 

「じゃあお疲れさま。汗はちゃんと拭いてな」

 

「お疲れさまです。姉様、タオルとスポドリです」

 

「おー。ありがとう。かげ」

 

献身的にひなの世話をするかげつ。

 

「お前も疲れてるんだ。ちゃんと汗は拭きな」

 

俺はかげつにタオルを渡す。

 

「ありがとうございます。それで・・・・今日の練習は何点でしたか?」

 

「60点」

 

「微妙ですね・・・・」

 

「何のお話?」

 

「いつからだっけ・・・・かげつの練習に点数をつけるようになったんだよ。90点以上でご褒美をあげることになってさ」

 

「いまだに貰えませんけどね・・・・」

 

過去最高は85点だ。

 

「じゃーひなは?ひなは?」

 

「ひなは55点」

 

「低すぎませんか!?姉様ならどう考えても100点でしょう!」

 

相変わらずのシスコンっぷりだなぁ

 

「バスケで贔屓はしません。悔しいならもっと頑張りな」

 

そして俺は2人を送る。

 

「ひな。今日の昼練は無しな」

 

「おー。分かったー」

 

 

俺が家に帰ると・・・

 

「にーちゃん勝負だ!」

 

今度は真帆との1対1。

 

「朝飯入れると20分程度か・・・・今日もボコボコにするぞー」

 

「今日こそ勝つもんね!」

 

真帆はいいね。俺がどんだけボコボコにしても決してヘコたれない。

 

「じゃー最初は俺がOFで・・・・」

 

「抜かせないもんね!」

 

俺はその場でジャンプシュートをする。

 

「ずっこい!」

 

「ずるくない。ちゃんとシュートも警戒するようにって毎回言ってんだろ。相手を抜かせない距離、シュートを打たせない距離、パスを出させない距離。その3つを意識してもう1回最初から!」

 

「にーちゃんジャンプしたら届かないじゃん!」

 

「ジャンプする前にボール取ればいいんだよ」

 

「そっか!」

 

そう上手くはいかないけどな。

 

1対1から5分程度経ったとき・・・・

 

「そういえば俺の罰考えた?」

 

「まだかなー。にーちゃんにしてほしいことって普段からしてもらってるもん」

 

「じゃあ無しでいいか?」

 

「やだ!あ!他の皆には何やらされたの?」

 

やだって・・・・

 

「ひなにはかげつとの朝練に参加。愛莉考え中。紗季は新作試食。智花は特に無いらしいから昴さんとのデート画策中。で、昴さんは・・・・本気の1対1をしたいってさ」

 

「ふーん・・・・すばるんと1対1?」

 

「そう。本気の本気でやってみたいってさ」

 

どうやら最初にやったときの1対1はお気に召さなかったらしい。

 

「私も見たい!にーちゃんとすばるんの対決かー」

 

「却下」

 

「えー!なんでー!?」

 

「本気の勝負は必要以外あんまり人に見せるもんじゃないよ。」

 

それに良い結果になるか分からないしな。

 

 

登校して俺は愛莉と話していた

 

「愛莉ー何か決まったか?」

 

「う、うん・・・・・一緒にお買い物に行きたいなって」

 

「それが罰?全然いいよ。じゃあどこに行こうか・・・・」

 

俺は考えていると愛莉は・・・・

 

「え、映画見たいな。」

 

「そっか。じゃあ次の日曜日に10時に駅前でいい?」

 

「う、うん!えへへ、楽しみだなぁ」

 

それからは他愛のない話をしながら時間が過ぎていく

 

 

早いもので日曜日になった。

俺は駅前で愛莉を待ってると走ってこちらに来る姿が見える。

 

「おはよう愛莉。そんなに急がなくても時間まで10分あるぞ?」

 

「うん、でも待たせたら悪いし・・・」

 

「そんなに待ってないさ。せいぜい5分程度だ」

 

本当は20分前だけど、言わなくていいよな。

 

「そうなんだ。じゃあそろそろ行く?」

 

「ああ。ではお手をどうぞ」

 

俺は愛莉の前に手を出す。

 

「え?」

 

「日曜だから人も多いだろ。はぐれないように」

 

「う、うん!じゃあ・・・・」

 

そうして手を繋ぐ俺達。

 

「・・・・結構恥ずかしいもんだな」

 

「そ、そうだね・・・・あ、行こうか!」

 

そして俺達は手を繋ぎながら映画館に向かう。

 

 

昴side

 

さっきから万里がビルの壁に頭突きをしている。

 

「何で休日の日に他人のデートを尾行しなきゃいけないんだよ・・・」

 

俺達は今空と愛莉のデート尾行している。

何でそうなったかというと愛莉が数日前からソワソワしていたので聞いてみたら日曜に空と出かけるらしい。愛莉は多分空の事が好きなんだろう。

それだけならよかったんだが、その話は万里にも伝わってしまった。

シスコンの万里にとっては邪魔はしたくない気持ちと全力で邪魔したい気持ちが葛藤して結局尾行になってしまった。

 

「おー。愛莉幸せそう。ひなも混ざりたい」

 

「駄目よひな。今日は愛莉に譲るんでしょ?」

 

「ぶー。愛莉ズルイ」

 

「うぅ・・・・ごめんね愛莉・・・・」

 

「もっかん気にすんなー。あ、2人移動した!あたし達も行こう!」

 

尾行には女バス6年チームも混ざっている。

空と愛莉に申し訳ないなぁ・・・・

 

「早く行くぞ長谷川!愛莉が空に襲われる前に!」

 

「襲わないだろう。空は良い奴だし、身長デカくても小学生だぞ」

 

「男はみんなオオカミなんだよ!それに空は早熟だからそういうこともありえるだろ!」

 

「ねーよ」

 

そして尾行が再開される。

 

 

昴sideout

 

 

俺達は映画館に着いた。

 

「じゃあ何見ようか?何か見たいのある?」

 

「えっと・・・・。今話題の『あなたの名は。』がいいかな」

 

ああ、ニュースにも取り上げられてるしな。

 

「じゃあそれに・・・・・ああ、ダメだ。空席がない」

 

今日は休日だしかなり人気だしなぁ・・・・

 

「えっと・・・じゃあどうしようかな?」

 

うーん・・・あ、これでいいか。

 

「これはどうだろう?『仄暗い穴の底から』ってやつ」

 

「じゃあそれにしようかな?内容分からないけどそれも映画の楽しみ方だよね」

 

「ああ、初見でも楽しめそうだしな」

 

俺達は早速チケット売り場に移動した。

 

「すみません。この映画のチケットを小学生2枚で」

 

「はい。小学生2枚・・・・小学生?」

 

あ、お姉さんが怪しんで見てる。

 

「愛莉、学生証持ってきた?」

 

「うん。大丈夫だよー」

 

かばんから学生証を取り出す愛莉。

事前に映画を見に行く予定だったしな。

 

「これでいいですか?」

 

「はい。確認しました。『仄暗い穴の底から』2枚ですね」

 

そしてチケットを貰い俺達は上映場所に向かう。

 

 

昴side

 

俺達は空たちを追って今映画館にいる。

 

「おい!愛莉たちは何を見るんだ!?」

 

「ここからじゃ確認出来ないから」

 

帰りたい・・・・

 

「問題ないですよ。既に愛莉に『今日映画見に行くって聞いたけど何を見るの?面白かったら教えてね』ってメール打ったので!」

 

さすが紗季・・・・でもこんなところで用意周到さは発揮しなくていいんだよ。

 

「ありがとう永塚さん!それで返信は?」

 

「えっと・・・・・『仄暗い穴の底から』ってタイトルです」

 

「早速全員分買ってくる!」

 

万里が走ってチケット売り場に行く。

190cmの男が全力ダッシュとか恐怖なんだが。

あ、警備員に呼び止められている。

 

「違うんすよ!ただチケットを買おうと・・・・」

 

「それで何で走ってくるんだ!それに息をハァハァしながらなんてどう見ても不審者じゃないか!」

 

「それは走ってたから・・・・」

 

「それだけじゃない。チケットが小学生4枚高校生2枚だと?まさか誘拐してきたんじゃ・・・」

 

「違いますよ!信じてください!あ、長谷川!長谷川昴!!ちょっと来て説明してくれ!」

 

「この状況で人の名前をフルネームで呼ぶな!」

 

もうホントに帰りたい・・・・

その後は子供たちと一緒に警備員さんに事情を説明した。

何とか分かってくれて解放してくれた。

 

 

昴sideout

 

 

外がちょっと騒がしいけど何かあったんだろうか?

 

「どうしたの?」

 

「いや、何でもないよ」

 

まぁ、俺達には関係なさそうだしいいか。

 

「どんな内容なのかな?」

 

「うーん、タイトル的に明るい感じじゃなさそうだけど・・・・どうだろうな」

 

そして映画が始まった。

どうやらホラーみたいだ。

ミスったな。俺は大丈夫だけど愛莉がビビってしまった。

俺は愛莉に小声で話しかける。

 

「愛莉」

 

「ひゃい!」

 

ああ、声をかけるだけで驚かせてしまった。

 

「ごめん、声押さえて・・・・大丈夫じゃないな。ごめんな」

 

「う、うん・・・・大丈夫ダヨ」

 

全然大丈夫じゃないな・・・・

そうだ。前に真帆がホラー見てビビったときの対処方やってみるか?

 

「愛莉、ちょっとゴメンね」

 

「え・・・ひゃ!」

 

俺は隣に座る愛莉を持ち上げて俺の膝の間に座らせて抱きしめる。

 

「これなら少しはマシになるか?」

 

「う・・・・うん。大丈夫だよ。ありがとう」

 

やっぱり恥ずかしいのか顔が赤く染まってる。

 

「うん、じゃあ終わるまでこうしてやるよ。大丈夫。怖くないよー」

 

俺は愛莉の頭を撫でる。

 

「えへへ・・・・・」

 

うんもう大丈夫かな・・・・

 

 

昴side

 

「落ち着け万里ぃぃ!!あれは怖さ軽減の為の処置だ!」

 

俺は思いっきり万里を羽交い絞めにする。

パワー強すぎて俺じゃあ抑えきれない!

 

「頑張ってください昴さん!」

 

智花が応援してくれるし負けるわけにはいかない!

残り1時間半耐えてみせる!

 

「でも空もやるわね」

 

「おー。ひなもやられたい」

 

「あーアレなー。ホラー見たときあの態勢で毎回見てるよ」

 

「あ、誰にでもあれやるのね。親しい人なら誰にでもやるのかしら?」

 

「にーちゃんだもん」

 

誰にでもやる・・・・その言葉を聞いた万里は激昂した。

 

「俺の妹だけじゃなく他の子にまで!?あのタラシがぁ・・・!」

 

く・・・・パワーが上がった。

 

「落ち着け!誰にでもやるんじゃなくて親しい人限定だ!それに真帆は妹だ!つまり家族並みに親しい人しかやらないってことだ!」

 

まぁ、女バスなら誰でもしそうだけどな。

 

「家族だと!?恋人を飛び越えて家族なんて許せるかぁ!!」

 

何を言っても無駄なのか。

一応小声だからまだ冷静ではあるんだろうが、いつ爆発してもおかしくないぞ。

この状態で残り時間までもつのか・・・?

 

昴sideout

 

 

映画が終わった。

結構ストーリーは面白かったなぁ。

 

「愛莉立てる?」

 

俺は抱きつくのをやめて愛莉に声をかける。

 

「うん大丈夫だよ。ありがとう空君」

 

おお、良い笑顔だ。

 

「そんなに映画面白かった?」

 

「え?・・・・・えへへ、あんまり覚えてないや」

 

ありゃ勿体ないな。

後で感想言い合いたかったけどこれじゃあ無理か。

 

「じゃあ出ようか。良い時間だしお昼にしよう」

 

「うん!」

 

そして俺達は外に出る。

 

 

愛莉side

 

急に持ち上げられて抱きしめられたときは驚いたな。

でも、凄い・・・・・気持ち良かったな。

空君に包まれて嬉しかったし・・・でも恥ずかしいしで全然映画に集中出来なかったよ。

それでも2時間近くも空君に包まれて幸せだったなー

 

愛莉sideout

 

 

「さてどこで食べるか・・・・」

 

今昼飯時だからどこも混んでるよなぁ・・・

 

「どこも混んでるね・・・・」

 

ふむ。気温もちょうどいいし・・・・

 

「じゃあどこかで買って公園で食べる?」

 

「うん。それがいいかもー」

 

俺達はモスドで昼飯を買った後公園に向かった。

 

「あそこのベンチでいいか?」

 

「うん」

 

結構綺麗なベンチがあったのでそこに座る。

 

「それにしても・・・・愛莉と2人で出かけるって始めてだな。いつもは皆と一緒だけど・・・」

 

「うん、皆といるのも楽しいけど・・・・・一度2人だけで遊びたかったんだ」

 

「何で?」

 

「それは・・・・」

 

すると後ろの茂みから

 

「押すなよ紗季!」

「よく見えないじゃない!」

「おー。智花重い・・・」

「え!?」

 

・・・・・はぁ。

 

「どうする?」

 

「あはは。いつからいたのかな?」

 

「分かんないけどとりあえず・・・・後ろにいる奴ら出てこい!!」

 

俺は大声で呼びかける。

 

「に、にーちゃん奇遇だな!」

 

「どこが?つけといて何言ってんだか・・・」

 

するとひなが

 

「おー。愛莉ズルイ。ひなも空とデートしたい」

 

「ひ、ひなちゃん・・・・」

 

あぁ、これデートだったか・・・・・

すると思いっきり肩を掴まれる

 

「やぁ空君御機嫌よう。とりあえず一発殴らせてくれ」

 

「こんにちは万里さん。万里さんもつけてきたんですか・・・・俺信用ない?」

 

「男はみんなオオカミなんじゃー!」

 

何を言ってるんだか・・・・

 

「ごめん空!邪魔する気はなかったんだけど・・・」

 

「いえ、大体分かります。万里さんの暴走止めてくれてたんですよね?ありがとうございます」

 

「よく分かったね・・・さすが空」

 

「ボロボロの昴さんと憤慨してる万里さんを見れば多分誰でも分かります」

 

苦労お察しします。

 

「・・・・・もう皆で遊ぶか。2人で遊ぶ雰囲気でもなくなったし」

 

「そうだね。皆と一緒も楽しいもんね・・・・・少し残念だけど」

 

そして今日のデートは終了し皆で遊ぶことになった。

遊ぶと言っても公園の遊具でだけどね。

俺は今昴さんと万里さんでベンチで話している。

万里さんはなんとか落ち着いてくれたのでよかった。

 

「え?葵さんと京都旅行ですか?」

 

「うん、福引で当たったからね」

 

どうやら福引で京都旅行に当たったらしい。これは・・・・

 

「俺らの修学旅行先も京都なんですよ。もしかしたらあっちでも会えるかもしれませんね」

 

「ま、その時になってみないと分からないから何とも言えないんだけどね」

 

「そうですか。まぁ、頑張ってください」

 

「?ありがとう」

 

今度の5年チームの練習のときにこの事でからかってみよう。

そして万里さんが俺に耳打ちする。

 

「どう見ても彼女と旅行行くって感じだよなー」

 

「ですねー。昴さんは無自覚なんでしょうけど、多分葵さんのほうは意識しまくりですよ」

 

「荻原も可哀想に・・・・」

 

昴さんは鈍感野郎だからな。

あり得ないけど俺と葵さんが付き合ったらどう思うんだろうか?

多分・・・・・普通に祝福するか、葵さんに対して「いくら空相手でも小学生なんだぞ」とか言いそう。全く嫉妬する様子が想像出来ない・・・

 

「どうしたんだ?」

 

「「いえいえ別に」」

 

そのまま3人で話しているとジャングルジムで遊ぶ真帆が呼ぶ。

 

「にーちゃんすばるんばんりーん!こっちで遊ぼーよ!」

 

「今行くから!・・・じゃあ遊びますかー」

 

「公園の遊具で遊ぶっていつ以来だろ?」

 

「たまにはいいんじゃないか?それに愛莉と遊べるなら何でもいい」

 

俺達は真帆達のもとにいく。

久しぶりに公園の遊具で遊んだけど案外悪くないかも。

多分女バスのみんなが一緒だからかもしれないけど。

 

 

夜。今は自室にいる。

俺が座椅子に座り真帆が俺の膝に座ってテレビを見ている。

 

「アイリーンとのデート楽しかった?」

 

急に何を聞くんだろうか・・・

 

「楽しかったよ。途中で終わったけど」

 

「うぅ・・・だって気になったんだもん」

 

「別に真帆が気にする問題じゃないだろ」

 

真帆の体がこっちを向いて俺に抱きついてくる。

 

「気にするもん。にーちゃんは私のだもん」

 

俺はそのまま頭を撫でる。

 

「別に俺は真帆のものじゃないけどな・・・・お前そんな甘えたがりだったっけ?」

 

「分かんない。けどにーちゃんが誰かに取られるのは嫌」

 

誰かに・・・・か。

 

「そういえば前に未有の電話でもそんな事言ってたっけ?独占欲が強くてお兄ちゃんは少し真帆の将来が心配です」

 

「にーちゃんがずっと私といれば問題ないよ」

 

うーん・・・・日々依存度が上がってる気がする。

 

「ずっとかはともかく学生でいるうちは離れないから安心しろ」

 

最低でも6年?でも大学行くだろうから10年?

 

「離れない?絶対?」

 

「絶対だ。そばにいるうちは一緒にいるよ」

 

「うん!」

 

最初は俺の方が依存してる感じだったけど・・・・今じゃ真帆の方が強い気がする。

 

「じゃあそろそろ寝るか。明日も学校だし再来週から修学旅行だしなー」

 

「うん。楽しみだよねー」

 

後はいつも通り一緒に寝た。

もう当たり前すぎて1人で寝るのが想像出来なくなってきた。

そして修学旅行が始まろうとしている。

 




次は修学旅行かな?かな?

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