ロウきゅーぶ!~疾風迅雷の天才~   作:園部

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前回の話の最後を修正して無理やり終わらせました。すみません
いずれ前話についてはちゃんと書きます


第12話

ある日の朝。俺は再び長谷川家を訪ねていた。

今の昴さんのスタイルを完璧にする手伝いの為来ていたが、そこに智花もいた。

 

「なんでポーカーなんですか?」

 

2人でポーカーをしている様子を見て俺は発言する。

 

「いや、顔色から心を探り合うことでバスケの駆け引きも上手くなるんじゃないかって・・・」

 

ポーカーとバスケじゃ状況とか全然違うし練習にはならんだろう。そもそも顔色からじゃ相手の心情までは読めても細部までは読めないよ・・・・それに

 

「智花を相手に・・・?それは人選ミスです」

 

「はう!?」

 

だって智花って昴さんに惚れてるし・・・・顔見ただけで赤くなっちゃうから練習になるわけないだろう。

 

「とりあえず朝ごはんにしませんか?時間もちょうどいいし」

 

そうして俺達は1階に降りて七夕さんが作ってくれた朝ごはんを食べる。

そこには美星先生の姿も見える。どうやらたまに食べに来ているらしい

 

「昴さんのお父さんが帰ってくるんですか?」

 

どうやら長期出張していた昴さんの親父さんが帰ってくるらしい。

美星先生や昴さんが燃えている。どんな親父さんなんだろうか・・・・

 

「私ずうずうしく毎朝お邪魔していますし・・・何て説明すれば・・・」

 

「んー、そのこと含めて一度挨拶しとこうか。普段お世話になってる人の親父さんだしねー」

 

「2人ともそんな気にしなくたっていいんだよ?それに智花は不安そうだけど親父は馴れ馴れしい人だし会うにしても気楽にね」

 

どんな人か気になるし俺も明日も来よう。

 

 

翌日。玄関に並んで帰宅するのを待つ俺達。

 

「緊張します・・・」

 

智花は緊張してるみたいだけど、ただ挨拶するだけなのに・・・・やっぱり好きな人の家族だからなのかなー

そして帰ってきたのは昴さんに似た顔の肌が黒い大柄な男性。

 

「(似てるのは顔のパーツと髪型くらいだな。身長や体格や性格はあんま似てないかも)」

 

かなり明るい人だな。昴さんや七夕さんと話している。でも俺が一番気になるのは・・・・

 

「(この銀髪で人形みたいな子。2人の様子を見るに初対面っぽいし・・・誰だろう?)」

 

「智花や空のことは置いといて、親父が連れてきた子は誰だよ!」

 

名前はミミ・バルゲリーというらしい。どうやら同僚の娘さんらしく今日から長谷川家でお世話になるらしい。

 

リビングに移動して詳しい話を聞く。あまり興味はないので聞き流してるとミミと呼ばれた子がこちらをジっとみてくる。

 

「・・・・どうした?」

 

「・・・ナマエ」

 

「俺の?空だよ。三沢空」

 

「・・・・ミサワ・・・ソラ」

 

なんだろう?俺はこの子とは初対面のはず・・・・

家族で話していると銀河さんがこっちを見る。

 

「しかし驚いたぞー。まさか子供が2人も増えてるなんてな」

 

「す、すみません!家族の団欒を邪魔しちゃって・・・・」

 

「すみません。お世話になってる人のお父様にどうしても挨拶したかったんです」

 

銀河さんは気さくそうな笑みを浮かべて

 

「わはは、そんなこといいからもっと寛いでくれ!にしても・・・へー昴の知り合いだったのか」

 

ん?俺の方を見た?

 

「親父・・・・?空のこと知ってるのか?」

 

「ああ、去年フランスで見たことがある。ミミと一緒にな」

 

去年のフランスというと・・・・・あのフランス代表との親善試合か!

去年合宿の最後にフランスに渡りU-13のフランス代表と死闘を演じた。

 

「去年のフランス・・・・親善試合ですか?」

 

「ああ、たまたま近くによったら年代別の代表戦をやっていたからミミと見たんだよ。まさかあの日本のサムライと昴が知り合いとは思わなかったけどな」

 

・・・・サムライ?

 

「何です?そのサムライって・・・」

 

「知らないのか?あの試合を見たフランスの関係者が君のことをそう表していたよ。あの劣勢でただ1人諦めずチームのピンチを救った若きサムライ。フランスの1部では有名らしいな」

 

初めて聞いた・・・・

 

「あの試合を見て以降、ミミも君のファンになったんだ!よければ仲良くしてやってくれ!」

 

だからこっちをジっと見ていたのか・・・・

 

「そうなのか?」

 

「ウイ、ソラはカッコヨカッタ。イッショにバスケしたい」

 

「ああ、そうだな・・・・」

 

 

場所は変わって庭。

てっきり俺とミミとでバスケをするのかと思ったがまずは智花とミミで対戦するらしい。

 

「ミミってどの程度の腕なんですか?」

 

俺は銀河さんに尋ねた

 

「ミミはかなり強いぞ!智花ちゃんの実力は分からないけど互角程度には戦えるはずだ」

 

そして1対1が始まる。

 

「(なるほど、あれだけ強く推す気持ちが分かる。荒削りなとこもあるけど才能だけならもしかしたら智花以上かもしれない。現段階では智花のほうが上だけど)」

 

昴さんと金髪のプレイスタイルを足して2で割ったようなスタイル。もちろん2人には及ばないけどそれでも高い才能があるのが分かった。

 

「トモカ・・・つよいです」

 

「ミミちゃんもすっごく強いよ!」

 

これが女子小学生のレベルかよ・・・・

 

「な!ミミは強いだろ!」

 

「そうですね、あれで小学生だなんてビックリです」

 

「きっと2人も空には言われたくないだろうな・・・・」

 

結果は智花の勝利だった。

 

 

「智花相手に5点差。普通なら驚くことですが銀河さん的に逆の意味で驚きですかね」

 

「そうだなー1歳上だけどまさかミミと対等に戦えるどころか上の人材がいるなんて思わなかったぞ」

 

じゃあそろそろ俺も参戦しますか。

 

「2人ともー俺も混ぜっていいか?」

 

「うん!いいよ!」

 

「ウィ、ソラとバスケ・・・たのしみ」

 

じゃあどうするかな・・・・

 

「昴さん入ります?」

 

人数が奇数なので昴さんも誘うが・・・

 

「いや、俺はいいよ。親父ともう少し話したいし」

 

あらら、断られてしまった・・・

 

「じゃあ俺対2人で。俺がDFやるから2人で攻めてきてねー」

 

「うん分かった!本気で行くよ!」

 

「トモカとふたりならまけない」

 

さて、始めようか

 

 

昴side

 

 

ミミちゃんは想定より強かったな。でも智花ならきっと勝てるって信じていたよ。

っと、空対智花&ミミちゃんの対決が始まった。

この2人なら空にも勝てるんじゃないだろうか?

 

「親父はどう見る?」

 

「ん?まぁ、空君の勝利だろうな」

 

え?

 

「いや、いくら空でも智花とミミちゃん相手だぞ?高さならともかく平面なら勝てる可能性があるんじゃ・・・・」

 

空の身長は170㎝。高さでは勝てなくても2人なら平面でいい勝負できるんじゃ・・・

 

「可能性は・・・・ほぼない。俺はフランス戦の空君を見たことあるが、彼の実力はモンスター級だぞ」

 

モンスターって・・・・

 

「いや、空の技術は分かってるよ。でも1人ならともかくあの2人なら・・・」

 

「分かってないなー。技術も小学生離れしてるけど空君の本領は・・・・ま、試合見てろ。見れば分かるはずだ」

 

どういうことだ?空の本領って・・・・

 

 

昴sideout

 

 

そういえば智花とやるのってかなり久しぶりかも。

 

「じゃあお手柔らかに頼むよー」

 

俺は間合いを通常のDFより離れてにつく。

この間隔なら抜かせないしパスもシュートも防げる。

智花って顔に似合わず剛のドリブラーだよね。最近はチームプレーを楽しんでるけど本質的には突撃思考。でも今回は2対1。だから・・・・

 

「バレバレだぞ。パスを出すにしてもタイミングを読まれないようにしなきゃ」

 

「あ・・・・」

 

智花はチームプレーを誰より大事にする。序盤は自分から攻めることはあんまりしない。

 

「さて俺のOFかな」

 

お?ダブルチームでつくか・・・・

 

「単純だけど効果的だよね!」

 

「ぬかせません」

 

2人はOFの印象が強いけどDFも下手じゃない。

俺ならクイックモーションからジャンプシュートを打てる。身長差を考えても絶対届かないし反応されても無意味だけど・・・・

 

「(それは野暮だよな)智花・・・忘れてない?」

 

「?」

 

「俺の異名」

 

「あ!」

 

想いだしたようだけどもう遅い。俺は一瞬でミミの脇を通り過ぎてゴールを決める。

 

「ハヤイです・・・」

 

「疾風迅雷・・・・」

 

俺は必要な時以外相手を抜くときにフェイントはしない。相手を置き去りにする圧倒的なスピードとドリブルスキルがあるからだ。

 

「次は俺のDFね」

 

今度はミミがボールを運ぶ。色々試すのね・・・

 

「ヌキます!」

 

ジャブステップか・・・・

 

「それはさっき見たよ」

 

悪いな。ミミのプレースタイルは理解したんだ。

俺はスティールしてボールを奪った。

 

「ソンナ・・・・」

 

さて、2人はこの後どう攻めるかな?

 

 

昴side

 

ここまで手も足も出ないなんて・・・・

 

「分かったか?」

 

俺が驚いてる横で親父が聞いてくる。

 

「・・・・・読み?」

 

「半分正解だ。加えて言うなら相手の思考を読んでる」

 

「・・・・そんな事できるのか?どれだけ強くても小学生なんだぞ」

 

さすがに信じられない・・・・

 

「空君は恐ろしいほど頭と観察力が良いんだろう。そして智花ちゃんとは同じ部活で一緒だから読みの精度も高い。ミミについてはさっきの試合だけである程度固まったんだな」

 

あんな短時間で?・・・・そういえば須賀のジャブステップも見ただけで止めてた。

 

「だからって・・・・」

 

「対フランス戦。劣勢にも限らず勝利できたのは空君自信の実力もあったんだろうが、勝因は高精度の読みだ。4Qになるころには相手全員の思考を読んでDFを行い、OFについては隙や弱点をついて勝利した。異常なまでの観察力と頭の良さ、そしてモンスター級のバスケの才能。それらが揃っているからこそだ。もはや読みというか予言に近いな」

 

どれだけ才能に恵まれてるんだよ・・・親父がモンスター級って言うのも理解できる。

 

「親父は空に勝てるか?」

 

「勝てる。まだ小学生でパワーが足りない。ゴール下での1対1に持ち込めば100%勝てるな」

 

「・・・・それ持ち込めなかったら勝てないってことか?」

 

「いや最初は勝てる。だが相手は思考を読むモンスターだぞ。回数を熟せば熟すほど勝率は落ちるだろうな」

 

マジかよ・・・・正直悔しいぞ。

 

 

昴sideout

 

 

「さぁ、次はどうする?」

 

俺は肩で息をする2人を見る。

 

「ミミちゃん・・・」

 

智花がミミに耳打ちする。

 

「・・・・ワカリマシタ」

 

どうやら作戦があるみたいだ。

予想はつくが、恐らく止められるか微妙だな。

 

「いくよ空君!」

 

智花が俺に突っ込むが・・・・

 

「それはフェイントでジャンプシュートだろ」

 

「やっぱり読まれてるんだね・・・・でも止めていいの?パス出すかもよ」

 

突っ込むと見せかけてその場でジャンプシュート。

俺が距離を詰めればパス。そのままミミを警戒すればシュート。

俺の動きを見てから決められるので読みもクソもない。

 

「確かにこれなら読みも何もないな・・・・でも俺は両方止めるよ」

 

俺は智花に突っ込みその場で軽くジャンプをする。

 

「(よし!)ミミちゃん!」

 

智花がミミにパスをする。

 

「(パスをするのは分かってるんだ・・・軽くジャンプをしたからすぐに着地してミミのほうに向かえる。俺のスピードならそれで充分追いつける!)」

 

俺は着地してミミの方に向かう。ミミはちょうどシュートモーションに入った。

 

「(よし!その場でジャンプシュート・・・・その場で?)」

 

普通ならパス受けてランニングシュートでいいのにわざわざジャンプシュートだと?

 

「(しまった!ミミは囮で本命は・・・・でも放置しても決められるし結局止めるしかない)」

 

俺は軽く跳んでブロックしようとするがミミは智花にリターンパスを出す。

 

「(気づいてるよ!全力で戻って全力ジャンプすれば・・・・)」

 

俺は戻ろうとするがミミがスクリーンをかける。

 

「(俺を一瞬足止めするために・・・・)」

 

その一瞬が命取りになった。

俺は結局間に合わずそのまま智花にジャンプシュートを決められた。

 

「やったね!ミミちゃん!」

 

「ウィ、サスガです。トモカ」

 

「ううん!ミミちゃんのスクリーンがなければ止められてたよ!」

 

30cmくらいの身長差でよくビビらずスクリーンかけたなぁ・・・

 

「おめでとう、2人とも。やられたよー・・・」

 

「あ、ううん。結局総合点ではこっちが負けてるし・・・」

 

「カンゼンにはかってない」

 

いや、恐らく続行してもこちらが負けていただろう。逆にあっちは俺を止められないし勝負は引き分けってとこかね。

 

「いや~3人とも凄かったぞ!本当に小学生か!?ってくらい!」

 

「うん、本当に凄かったよ。2人がかりとはいえ空に勝つなんて・・・・」

 

負けてません。引き分けです。

 

 

家に入ってみんなでトランプをしている。

 

「ミミ・・・・俺の膝に座っていたらカードが見えるんだけど・・・」

 

「ダイジョウブです。モンダイありません」

 

ミミに懐かれたのはいいけど、これじゃあゲームにならない・・・

 

「はっはっは!ミミがここまで懐くなんてなー。しょうがないし2人はペアになってやってくれ!」

 

銀河さんにそう言われて俺とミミはペアになってトランプをする。

それなら・・・・

 

「じゃあ折角だし2人1組でやりませんか?昴さんと智花、銀河さんと七夕さんで」

 

「お、いーねー!じゃあなゆなゆも俺の膝の上で!」

 

さすが銀河さん。ノリが良いな

 

「ほら、昴さんも智花を膝の上に乗せてくださいよ」

 

「え!?」

 

昴さんが動揺するが・・・

 

「俺と銀河さんが乗せてるのに昴さんだけ乗せないのって変ですよね?」

 

「いや膝の上に乗せてる2人のほうがおかしいと思うけど・・・・」

 

しょうがない。あまり言いたくないが・・・・

 

「なるほど、昴さんって智花のこと膝の上に乗せたくないほど嫌いなんですね・・・」

 

「え?昴さん・・・・?」

 

智花の悲しそうな顔は見たくないから言いたくなかったんだけど、膝に乗る為だから許してな。

乗せたくないほど嫌いっておかしい気はするけど・・・・

 

「いや!そんなことないよ!俺にとって智花は大切な人なんだ。・・・分かった。それで智花に笑顔が戻るなら・・・・・智花ゴメン!」

 

「昴さ・・・・キャッ!」

 

おー智花の両脇を抱えて自分の膝に乗せるとは・・・・

 

「ダイタン。トモカうれしそう」

 

「ミ、ミミちゃん・・・・」

 

そして始まった大富豪。

ミミがルールが分からない為解説を入れながらやっていくが・・・

 

「あれ?空が相手の思考を読めるなら・・・」

 

気づいてしまったか。

 

「大丈夫です。手札までは分かりませんしミミが迷った時以外はミミにやらせるので」

 

順位

1位ミミ&空

2位七夕&銀河

3位智花&昴

 

「強すぎだろ!というか終盤確実に手札読んできたよね!?」

 

昴さんがツッコム。

 

「・・・・誰がどのカードを出したか記憶してこっちの手札を見て残りのカードを予測する・・・・人数も実質3人ですし枚数が少なければ特定も出来ますからね。」

 

「大富豪でそんなことする人初めて見たよ・・・」

 

「負けられない勝負以外ではしませんよ。ただ今回はミミに勝たせたかったので」

 

俺はミミの頭を撫でる。

 

「ミミは楽しかった?」

 

「ウィ、ソラといっしょたのしい」

 

大富豪の感想を聞きたかったけど楽しんでくれたのならよかった。

 

 

夕方になり俺達は帰宅するため玄関に向かう。

 

「じゃあ今日はお世話になりました。ミミもまたな」

 

「またバスケしましょう」

 

俺はミミと別れて門を出ようとしたところで白いタクシーが止まる。

 

「ミミ!ミミ!」

 

ミミのお父さんらしい。

そもそも予定ではミミは長谷川家に2,3日程度の滞在だったらしい。

しかしミミパパが即刻終わらせた為、ミミを迎えに来たらしい。

 

「パパ、ニホンはおもしろそう。ソラとトモカにあえたし」

 

「ほう、もうお友達が出来たのデスね・・・・これからもミミのことよろしくお願いしますね。ソラさん、トモカさん」

 

「いえ、こちらこそよろしくお願いします」

 

「は、はい。こちらこそよろしくお願いします」

 

どうやら人当りも良さそうな人だ。

そしてタクシーに乗り込んだミミが顔を出した。

 

「ソラのスクールおしえて?ナマエしりたい」

 

「ん?慧心学園だよ」

 

「ケイシンガクエン・・・・おぼえた」

 

そしてタクシーは走り出した・・・・

 

 

今日は智花の誕生日。プレゼントの準備もちゃんとした。

 

「今日はかげつも智花の家に行くんだよな?」

 

「はい。姉様からもお誘いいただいて・・・・一緒にプレゼントを買いにいったんですよ」

 

今日もかげつとの練習が始まる。

週3日で朝の1時間だけだけど、かげつは確実に成長してる。

 

「そっか。良かったじゃないか。じゃあ次はシュート練習な」

 

「はい!・・・・今日もあのやり方で?」

 

「大変だろうけど頑張れ」

 

あのやり方とはゴール下からのシュート練習だ。

それだけなら普通だが、入ったボールをジャンプしてキャッチ。そして打った場所とは逆の位置で打ってまたキャッチ。そしてまた逆に・・・という無限ループだ。

 

「時間は5分。外れてもそのまんま続けること。」

 

「はい!」

 

短いと思うけど実はこれかなりキツイ。1回往復するのにかかる時間は約5秒。5分は300秒だから往復60週する。シュート本数は計120本。

しかもノンストップで行うし頻繁にジャンプするからとても疲れる。

 

「5分経ったなー・・・・シュート本数98本入った本数69本・・・・やはり後半に入ると疲労で成功率が落ちるな。腕も下がってくるしフォームに変な癖つくと困るからやっぱり止めとくか?」

 

「いえ・・・・大丈夫です・・・・」

 

普通なら辞めたくなるのに・・・・根性があって努力家で才能もある。

 

「なら正しいフォームを常に意識しろ。疲れていても勝手に正しいフォームで打てるくらいになるまで身体に染み込ませるんだ」

 

「はい!」

 

本来なら手伝い程度で上手くなりたいやつにここまでしない。

けど、やっぱり惜しいと思う。背丈もあり才能もあり努力家でもある子が手伝い程度で終わらせるなんて・・・・

 

「今日の練習は終了だ・・・・かげつ」

 

「なんですか?」

 

「辛かったらいつでも辞めていい・・・・・正直、ひなの練習相手になれる程度にはお前は上手くなってるんだ」

 

「・・・・・・辞めませんよ」

 

「何でだ?お前は目的を達した。これ以上の指導なんて無意味だと思わないか?」

 

「・・・・確かに最初は姉様の練習相手になりたいからって理由でした。もちろん今でもそう思ってますけど、私はこの時間が好きなんです」

 

「好き?」

 

バスケが好きになったのだろうか・・・・

 

「はい、空先輩と一緒にバスケする時間が好きです。だから辞めません。空先輩が嫌になる日が来るまで私に付き合ってくれますか?」

 

そっか・・・かげつはそう思ってくれてたのか

 

「そうか・・・・残念ながらかげつ。俺が嫌になる日なんて来ないよ」

 

「え?」

 

「俺もこの時間が好きだ。日に日に上手くなってくお前を俺自身ずっと見たい。それに師匠が弟子を捨てるなんてするかよ」

 

「空先輩・・・」

 

昴さんも女バスのみんなに対しての心境ってこんな感じなんだろうか?

 

「じゃあ帰ろうか。智花の誕生日もあるしな」

 

「はい!」

 

今回かげつとの絆が深まった気がする。

師匠として俺がかげつに出来ることって何かあるのか考えながら俺達は一旦お互いの家に戻った。

 




ミミ可愛いですよね。
かげつも可愛い。

私は決してロリコンじゃない!

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