ロウきゅーぶ!~疾風迅雷の天才~   作:園部

10 / 17
原作6巻ですが・・・・


第10話

合宿から1週間近くが経った。その間に竹中と共に自主練とか紗季の家で試食会とか短い期間ながらも充実して過ごせた。そして週末に女バスのみんなと昴さんとで夏祭りに行くことになった。

今日風雅さんから浴衣を貰ったので真帆にその浴衣をみせる

 

「風雅さん、俺の分の浴衣も用意してくれたんだな」

 

「当然!にーちゃんに似合ってるかっけー浴衣だよ!」

 

白を基準とした浴衣。大分大人っぽいデザインだけど俺に似合うのかな?

 

「じゃあ試着してみるか・・・・似合ってなかったらどうしよう」

 

似合ってなくても着るけどね・・・・父親からの2度目のプレゼントだし。ついでに最初に貰ったのは温かい家族だ。

 

「(いつまでも風雅さんって呼ぶのはなぁ・・・・でもなんて呼べばいいんだろうか?パパ?親父?父さん?なんか恥ずかしいかも)」

 

当分呼び方は変えられそうにない。

俺は浴衣を着て真帆の前に立つ。

 

「どうだろうか?おかしいとこ無い?」

 

真帆は俺の姿を見てボーっとしてる。やっぱり身の丈に合わないんだろうか?

俺が真帆の反応を待つと

 

「すっげー!にーちゃんすごい似合ってる!」

 

どうやら真帆のお気に召したみたいだ。これなら問題ないかな。

 

「よかった。小学生っぽくないと思ったんだ」

 

「うん!小学生には見えない!でも大人っぽくてかっけー!」

 

あ、小学生には見えないのね・・・・身長もあるしそこはしょうがないのかな

 

「あ、見えないのか・・・・まぁ似合ってるならいいか」

 

「ねえ私はどう?似合ってる?」

 

真帆の浴衣は黄色地にモダンな幾何学模様が描かれ、丈も膝上でカットされたミニサイズだ。

 

「似合ってるけど下着見えないかな?」

 

「大丈夫!気を付けるし」

 

「真帆の気を付けるはあまり信用できないんだけどなぁ・・・・絶対はしゃぐだろ?」

 

「はしゃぐけど大丈夫!」

 

はしゃぐのか・・・なるべく注意してよう。

 

「それよりもっかん大丈夫かな?」

 

「ああ、明日ちゃんと来れるといいんだけど・・・・」

 

智花のお父さんは智花が夏祭りに行くことに反対してるらしい。ついでに智花がバスケをやるのも好ましいとは思っていない。不良がやるスポーツとか思っているし前の学校のこともありあまり良い顔はしない。決定打になったのは夏合宿。

 

「(智花の両親か・・・・一体どんな人なんだろうな・・・)」

 

今悩んでも解決の糸口はつかめないので明日智花が来なかったらその時みんなで考えよう。そう思った。

 

夏祭り当日。俺達は待ち合わせである近くの公園に来るとそこには智花もちゃんと来ていた。

 

「よかった。来れたんだな」

 

「うん。お母さんが何とかしてくれたんだ」

 

お母さんだけでも味方なのが幸いだな・・・・

 

そして俺達は会場につく。

 

「結構立派なんだな。みんな人も多いしはぐれないように気を付けようか」

 

そこで真帆が提案をする。

 

「くふふーはぐれないようににーちゃんに抱きつこうー」

 

「おー。ひなも」

 

そしてひなと真帆が俺の腕に抱きついてくる。

 

「わ、私も・・・・」

 

「愛莉も?腕は空いてないから・・・・じゃあ帯に捕まって」

 

「う、うん・・・・」

 

どうやら紗季と智花は昴さんに捕まってるみたいだ。これならみんなはぐれずにすむだろう。

 

「・・・・昴さんがいるなら大丈夫かな・・・ちょっと3人とも折角だし智花にはデート気分を味わってもらわないか?」

 

「どういうこと?にーちゃん」

 

「折角の祭りなんだし2人きりにしてやろうってこと」

 

「おー。ひな賛成」

 

「うん、いいと思うよ。えへへ、智花ちゃん頑張ってほしいな」

 

そうして紗季を昴さんから離れさせ移動を開始する。

 

「こっちは心配せずにお二人で楽しんでください。みんな行くよー」

 

『おー!』

 

後ろで昴さんや智花が何か言ってるが無視していいだろう。

 

俺と紗季と真帆は射的屋で遊んでいた。

真帆はなかなか上手くできずに四苦八苦している。

 

「当たんないぞ!」

 

「ちゃんと狙いを定めなー」

 

そして銃を前に突き出してなるべく距離を近くにするがそれも上手くいかない。

 

「にーちゃん。ちょっと支えて!」

 

「しょうがないな・・・あまり無理はするなよ」

 

俺は真帆を支えて前に突き出す。そうしてやっと景品に当てることができた。

 

「やった!・・・・わ!」

 

「え?ちょ・・・」

 

あまりに前に突きだしすぎたのか真帆が勢いよく前方に倒れようとする

俺もバランスを崩してしまいそのまま転倒してしまった。

 

「いたた・・・・あ」

 

俺の目の前に黄色と白のストライプ柄が見えた。これって・・・

 

「うわー!にーちゃんのえっち!!」

 

どうやら真帆の下着みたいだ・・・・だからあまりはしゃぎなと言ったんだ

俺は起き上がって真帆の身体を掴んで立たせる

 

「見たこと謝るが事故だろう。そんなに騒ぐな」

 

「真帆、落ち着きなさい」

 

俺と紗季で真帆を落ち着かせるが真帆は聞かない

 

「ちゃんと責任とってくれなきゃ許さない!」

 

まぁ、事故でも見たのは事実だしなぁ・・・・

というか隣で紗季が色々考え込んでいるけど、責任=結婚じゃないぞ。

 

「分かったよ・・・・今度何かの形で返すから許してくれ」

 

「じゃあ一緒にパンツ買に行って!そして一緒に選ぶの!」

 

「ランジェリーショップ?それくらいならいいけど、金はないから出せないぞ」

 

「ちょ!?空いいの!?」

 

紗季が驚いてるけど別に問題はないだろう。

 

「一緒に下着を選ぶんだろ?問題ないよ。あ、嫌がらせに昴さんも連れて行こうか。どういう反応示すか楽しみだな」

 

「すばるんも?いーよー!」

 

うん、今回の件に何一つ関係ないけどついでだしな。

 

「どうせなら皆も連れていこうか。」

 

「あんたに羞恥心ってないの!?」

 

最近そういうの気にしなくなったなー

 

 

そして昴さんたちと合流した俺達は愛莉とひなを探すことにした。つい遊びに夢中になってしまったのは申し訳ない。今から探そうとしたが真帆が花火を見たいらしいから場所取りをしてほしいし・・・

 

「じゃあ3つに別れるぞ。俺と昴さんで探すから、他の皆は花火の場所取りをしていてくれ。見つけたらすぐに戻るから場所が決まったらメールして。昴さんは見つけた時点で電話をお願いします」

 

俺は2人を探すと早速愛莉を見つけた。どうやらナンパされてるみたいだけど・・・いい度胸じゃねーか。年上みたいだが問題ない。その程度でビビると思うなよ。

 

「おい、うちの小学生の妹になにしてるんだ?」

 

俺は3人のチャラ男に向かって言う

 

「は?妹?・・・・今小学生って言ったか?」

 

「言ったがそれが?とっととその手離せよ・・・・潰すぞ」

 

「・・・・は、こんなデカイのが小学生なわけねーだろ!!」

 

コイツ愛莉のNGワードを言ったな?穏便に済ませようと思ったが予定変更。恥かかせてやるよ。

 

「みなさーん!ここに小学生をナンパしているロリコンがいまーす!」

 

俺は大声で周囲に聞こえるように言う。

 

「ああ!?テメーなんてこと」

 

知るかバカ

 

「荒い息をたてながら小学生に大人が3人でナンパしています!大人としてこれってどうなんですかー!?」

 

周囲にいる人たちがこちらを見てヒソヒソと話しだした。

 

「あの子小学生みたいよ?あの3人ロリコンかしら」

「いやーねー。今そういうの多いみたいし・・・」

「警察に通報する?」

 

いたたまれなくなったアホ達がその場で逃げるように去っていく。いや逃げたんだろうけど・・・

 

「愛莉大丈夫?」

 

「うぅ・・・空くぅん・・・」

 

「来るのが遅くなってごめんね。でも泣かないでいい。もう大丈夫だよー」

 

愛莉がしがみ付いて来たのでポンポンと頭を撫でる

 

 

昴さん達もひなを確保したみたいなので合流して真帆たちのとこに向かった。

みんなで集まった後は展覧席で花火を見る。後ろで智花と昴さんがイチャイチャしてる会話が聞こえるけど・・・・・

 

「(気のせいですよね?昴さんってガチじゃないですよね?いや、本気で愛し合ってるなら応援はしますけど・・・・お縄になったら・・・・)」

 

俺が考えてるとさらに後ろの方で智花を呼ぶ声が聞こえる・・・あれは・・・

 

「言いつけを守れないなんていつからそんな子になった!さぁ、家に帰るぞ!」

 

智花の父親?・・・・あれって

 

「(忍さんか?じゃあ母親って花織さんだったのか!?)」

 

智花を連れて行く忍さんを昴さんは追いかける。みんなは残っててって言うけどそうもいかんでしょう。みんな言葉を発っさなくても理解している。俺達は昴さんの後についていく。

昴さんと忍さんで話をしているが・・・

 

「(バスケットなんかをやってる人間にロクなやつはいない・・・か)お久しぶりですね。忍さん」

 

「君は・・・・」

 

「一度ご自宅で会っていますけど覚えていますか?三沢空です」

 

智花が驚いているが今は気にすることじゃない

 

「・・・覚えているとも・・・・・智花の友人だったんだな。あの時は礼儀正しい少年だとは思ったが、君もロクな人間じゃないようだな」

 

「今回の件は申し訳ありません。しかし智花さんには何も責任はありません。全ては私と監督の独断です」

 

「(俺だけに責任を取らせないようにしてくれたのか・・・・相変わらず空は・・・)そうです!僕たちで行ったことです。本当に申し訳ありませんでした!」

 

「空君に昴さん!家を出たのは私がお母さんに・・・・」

 

「・・・花織の差し金か。まったくあいつは・・・」

 

夫婦仲は(見た感じ)良好なはずだから今回のことで険悪にはならないはず・・・

そして昴さんと俺で忍さんに謝罪する。君が智花について何を知ってるかと聞かれたがそこは昴さんに任せる。俺は・・・・

 

「では聞きますが、忍さんはバスケットの何が分かるんですか?」

 

「なに?」

 

「どんなスポーツだってガラの悪い人はいるじゃないですか。なのにバスケットをやっているだけでロクな人間じゃない?じゃあバスケットをしてる貴方の娘はロクな人間じゃないと?」

 

「そんな訳あるか!」

 

「貴方が言ってるのはそういうことですよ。貴方の発言は真面目にバスケに取り組んでる私の仲間を侮辱する言葉です。訂正してください」

 

この人はみんなを侮辱する言葉を言ったんだぞ?俺だけならともかく仲間を侮辱されて我慢できるほど、俺は人間が出来ていない。

 

「・・・・それはすまない。訂正しよう。しかし君たちの存在が智花にとって悪影響なのは否定できない」

 

「・・・・それは彼女たちの言葉を聞いて判断してください」

 

そこで女バスのみんなが忍さんに訴えかける。俺みたいなやつの言葉より真っ直ぐ話す彼女たちの方が心にくるだろう。

どうやら説得も上手くいったみたいだな。

 

 

花火に戻ろうとしたがもう場所も取られてるだろうと思った俺達だったがどうやら智花の家で花火が見れるらしいので忍さんの提案でそっちに移動した。

俺は花火をしている皆と離れながら忍さんと話す。

 

「今日はすみませんでした。智花さんのことや・・・・色々生意気言って・・・」

 

「いや、私も悪かった。仲間を侮辱されたら怒るのは当たり前だ。気にしなくていい」

 

「ありがとうございます。」

 

少し頑固で偏屈なんだろうけど、やっぱり忍さんは良い人だ。今回のことだって娘を心配する父親としては当然なんだろう・・・・多分

 

「そういえば・・・私の記憶違いじゃなかったら君の苗字は御巫じゃなかったか?」

 

「・・・・色々ありまして、三沢家の養子になったんです。だから今の私は三沢空なんです」

 

「そうか・・・・立ち入った事を聞いてすまない」

 

「いえ・・・・・今の家族は私を大事にしてくれてるので気にしてませんよ」

 

「・・・・よかったな。初めて会ったときは礼儀正しいが精神が辛そうだったのが気になったが・・・今は随分年相応になった」

 

なんだろう、人の親だとやはり子供のそういうところは気が付くのか?

 

「それって褒めてます?」

 

「褒めてるさ・・・・良い顔になった」

 

「・・・なら、褒め言葉として受け取っておきます」

 

そして花織さんもこちらに来る。

 

「あらら、空君・・・・・久しぶりね」

 

「お久しぶりです。いつぞやはお世話になりました」

 

「いいのよ。いつでも家に来ていいのよ?」

 

花織さんには一度智花とは関係なしにお世話になったことがある。恐らく別の話で語ることになるから割愛するが、あの時は本当に世話になった。

 

「そうですね・・・・今度は皆とまた遊びに来ます」

 

「うん・・・・元気になってよかったわ。ところで・・・・」

 

あ、これは・・・

 

「智花って昴さんが好きなのかしら?私的には貴方も・・・」

 

「そういうのは智花さんの意志が一番大事なので智花さんに聞いてください。恐らく昴さんが好きだと思うので・・・・」

 

「あらやっぱり?」

 

「ちょっと昴くんのところに行ってくる」

 

ごめんね昴さん。やっぱり忍さんってちょっと親バカも入ってるのか・・・

 

「・・・・で?忍さんを離して何か言いたいことでも?」

 

「あら、バレた?」

 

舌を出してこっちにウインクを見せる花織さん。どうみても20代前半にしか見えません。

 

「まぁ、分かりますよ・・・・俺は元気ですよ」

 

「それはさっき聞いたわ。顔つきを見ても心配なさそうだし・・・・初めて見たときは酷い顔してたもの」

 

酷い顔か・・・・確かに

 

「じゃあ、何の用で?」

 

「・・・・あの時はごめんなさいね。壊れそうになった貴方を私は助けられなかった」

 

ああ、別に気にしなくていいのに・・・・というか

 

「あの時は俺が悪いんです。むしろ謝るのはこっちです」

 

「そんな・・・・無理矢理にでも私が「ストップです」」

 

俺は花織さんの口を掌で塞ぐ。

 

「俺は今幸せです。貴女の娘や女バスのみんなに救われてここにいる。色々ありましたけど・・・・・もう過去なんて気にすることじゃないんですよ」

 

俺がそう言っても花織さんは納得してくれない・・・・なら、

 

「じゃあ、今度遊びに来たときにご馳走してください。あの時食べ損なりましたからね。それでチャラということで・・・」

 

それで納得してくれたのか笑顔になる。あ・・・・・手を離さないと

 

「あー!にーちゃんがかおりんに手を出してる!にーちゃん!かおりんはもっパパのなんだぞー!」

 

こちらに気づいた真帆が余計な事を言った。

 

「おー。ソラ。かおりすき?」

 

「え!?空君・・・」

 

「略奪愛か・・・昼ドラみたいね」

 

「違う!これはそういうことじゃ・・・」

 

俺は必至こいて弁明する。じゃないとこちらに鬼が来てしまう。

 

「ええ、今手籠めにされそうになったわ。悪い気はしないけど・・・」

 

「お、お母さん!?空君私の母親に何をしたの!?」

 

花織さーん!悪ノリしないで!頬染めないで!あと智花も誤解だから・・・・

 

「・・・・どうやら話をする相手がもう1人いたな」

 

鬼来ちゃった!!昴さん安堵しないで助けてよ!!

 

 

色々カオスになりながらも楽しく過ごせた夏休みの1日だった。




竹中と自主練していたため長谷川家に行かなかったので花織さんとは会っていません。

花織さんとの出会いについてはそのうち書くかもしれないし、書かないかもしれないし・・・・・必要?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。