転生者がチートで何が悪い?   作:ティラミス

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タイトル名変更しました


第8話 再会します!

 

フリードと戦闘をした教会から去ってすぐに俺は学校に向かった。先日話した堕天使たちの計画の根城だと思われるこの教会のこと、フリードという『はぐれ祓魔師』がこの計画に関わっているということ。

そしてそこに金髪の少女がいるということをリアスさん達に報告する為だ。

なんかここに来てから報告しかしてない気が…

 

学校に向かう途中の路地には街灯がてんてんとあるのみで目立ったものは特になかった。

―――ただ1箇所を除いて。

 

「…にゃぉん」

 

そこには一匹の黒猫がいた。艶がある黒い毛が特徴的で凛々しさが感じて取れる。

だが本来の猫とはかけ離れた何かがその黒猫を覆っていた。

 

「…ただの猫…じゃあないよな?」

 

「にゃぅん…」

 

黒猫は俺のことをじっと見つめた後、こちらを見ながら商店街の方に向けて歩き始める。そしてしばらくして立ち止まりこちらをチラリと見る。まるで「こっちに来い」と言ってるかのようだ

 

俺は黒猫のあとを追う。一定距離を空けたまま黒猫は商店街を進んでいく。そして遂には商店街を抜けて人気のない所にまで来てしまった。

黒猫は辺りを見渡し、こちらに顔を向けてくる。

 

「ちゃんと付いてきてくれて嬉しかったニャン。安堂」

 

「…喋ってる…お前は誰だ?」

 

「つれないにゃぁん…一緒にこの街に来たのに」

 

一緒にこの駒王町に来たってことは思い当たるのはただ1人。突然俺と別行動をとった彼女しかいない

 

「まさかお前…黒歌か?」

 

黒猫はニッコリと微笑むとその姿を変えていく。姿が変え終わると見覚えのある顔、艶めかしい肌。前にあった時と同様に着崩してしまっている着物を着ている黒歌の姿があった。

 

「また会えたにゃん♪」

 

黒歌は俺に向かって思い切り抱きついてきた!

抱きついてきた瞬間黒歌のたわわに実った胸が俺の胸に当たり、その形をみるみる変えていく

 

「お、おい黒歌!!近いぞ!!離れろよ!」

 

「嫌にゃん♪安堂だって嫌がってるように見えるけどホントは嬉しいんじゃない?」

 

「うぐ…」

 

確かに転生して初めて会った女性だしな…

 

「…とりあえず幾つか聞きたいことがあるから離れてくれない?」

 

「やだ」

 

「ちょぉぉっと我侭が過ぎるんじゃないですかぁ?!ここまま会話なんて成り立たないだろう!!」

 

「なーりたーつにゃん♪」

 

「…なんかもう無理な気がしてきたからいいよ」

 

俺が諦めると黒歌は一層抱きしめる力を強めていた。黒歌のたわわに実った胸がどんどん形を変えていき、コリっとした感触まで出てきやがってる…

 

どうやら本当に離れてはくれないみたいなのでその点は諦めた。

ひとまず座れるところを見つけた俺は黒歌に幾つか聞きたいことを聞いていた

 

「黒歌。何故あの時俺から離れたんだ?」

 

俺がイッセー先輩を助けた時の事だ。黒歌はこの時いきなり姿を消したのだ

 

「ん〜…実はあそこに私の妹がいるのよ。白髪の」

 

白髪の…子猫ちゃんのことかな?確かクラスは違うけどマスコットとして人気だから俺も知ってる。それにオカルト研究部室でお菓子を食べてるのが印象深い

 

「確かにいるな。子猫ちゃんだったかな?」

 

「ありゃ…名前が違うにゃん?妹は白音って名前にゃ」

 

白音って名前なのか。もしかしたら子猫ちゃんじゃないのかもしれないな。だけどあの場面で白髪の女の子って言ったら子猫ちゃんしかいないし、何か事情がありそうだな。

 

リアスさんに事情を聞こうにも俺は赤の他人同然。しかも子猫ちゃんはリアスさんの眷属だ。あの眷属には深い愛情を注ぐリアスさんのことだ。眷属の過去をそう簡単には話してはくれないだろうな

 

「黒歌と子猫ちゃん…いや、白音ちゃんに何があったかは分からん。だが顔を合わせにくい理由ってのがあるんだろ?」

 

「察しが早くて助かるにゃ。それにヴァーリに言っておきたいこともあったから都合がよかったにゃん」

 

「ん?たしかヴァーリって現代の白龍皇だったよな?」

 

黒歌は俺の問いに頷きという形で答えてくれた。

その瞬間、俺と黒歌の前に一人の青年が現れた。見た目は俺とはさほど変わらなそうな見た目だ。細やかな白髪が片目を隠していてどこか凛々しさを浮かばせている。

その青年は黒歌の方を向いている

 

「黒歌。コイツが君の言っていた男かい?」

 

「そうにゃ。安堂。コイツはヴァーリにゃ」

 

「俺の名はヴァーリ・ルシファー。知ってるとは思うが現代の白龍皇だ」

 

俺の目の前には二天龍の一角さんがおいでになさったぞ…

 

 

 

 

 

 

 

少しばかりヴァーリと会話をして分かったことがいくつかある。

黒歌が言っていた[言っておきたいこと]とは俺と共に行動する許可を貰うこと。これに関してはヴァーリと黒歌は契約を交わしてるわけではないため即OKとの事。いいのかよそれでとツッコミたくなるが本人が許可してるので俺は敢えて何も言わないようにした

 

そして次にこいつの名前が[ルシファー]ということに関して。これは事実上の悪魔界四大魔王のルシファーの血を引き継いでるかららしい。

確か今の四大魔王って肩書きみたいな感じだもんな

 

そして最後にコイツがかなりのバトルマニアだということ。戦いが大好きらしい。俺は戦いたくないタイプだから即誘いをお断りさせていただきました。

だって白龍皇だよ!!?二天龍の一角だよ!!??戦いたくないよ!!

 

 

「して、安堂とやら」

 

「ん?なんだよ白龍皇さん」

 

「貴様は黒歌が好きなのか?」

 

「〜〜っ!!!!??な、なななな、何言ってんだよ!!まだ会って間もないんだぞ?!」

 

なんて事を突然言い出すんだこの白龍皇!!

隣で黒歌が顔真っ赤にしてるし!なんかキャラ崩壊してねえか?!

 

「そうなのか?俺はてっきり昔からの馴染みかと…」

 

「数日前に会ったばかりじゃボケェ!!!」

 

俺が興奮のあまり叫んでしまっていたが横の黒歌が恥ずかしさのあまり抱きつく力を強めてきて俺の脊椎とか背骨が悲鳴をあげ始めてきた。あ、これはやばい

 

「く、黒歌さん…死ぬ…骨が…」

 

流石の黒歌も俺の骨が軋む音が聞こえたのか、抱きつく力を弱めてくれた。離れてはくれないけれどね。いっその事離れてもらった方が俺も色々と助かるんだけれどなぁ……

 

だがそれも叶わぬ願いとなって黒歌は俺の腕にがっちりと腕を絡ませてホールドしている

 

「安堂とか言ったな。そんなに黒歌が懐く様なことをしたのか?」

 

「知るか…こっちが聞きたいよ…」

 

俺の独り身生活が終了した瞬間だった。まさかそこに白龍皇が立ち会うとは思ってもなかったが。

ヴァーリはその後すぐに去っていってしまい、俺は黒歌にガッチリとホールドされたままだった

 

「あのー…黒歌さん…そろそろ移動…しません?」

 

「仕方ないにゃぁ…安堂がそこまでお願いするなら仕方なーく離れてあげるにゃ♪」

 

コイツ絶対俺のことを弄んでるよ…

 

「でも流石にその格好で街中は共に歩きたくないぞ?」

 

「それは心配ないにゃ」

 

すると黒歌はまた黒猫の姿になって勢いよく跳躍し、俺の右肩に乗ってきた。なんかこんな感じのシチュエーションどこかのアニメで見覚えがあるけど何も突っ込まん…

 

「人前では猫語しか話さないから心配ないにゃ。これでどこでも一緒にゃ。それに魔力とかは隠すから私の事がバレることはないにゃ」

 

「なんというか…流石妖怪と言うかなんと言うか…ひとまずリアスさんのところに用事があるから今から行くぞ」

 

「分かったにゃん♪」

 

黒歌は俺の肩に乗っかったままが良いらしい(その方が見晴らしがいいらしい)のでこのまま俺は夕日によって薄暗くなった街中を抜けていき、学校へと向かった。

 

 

 

・・・・・――――――

 

 

 

学校に着いた(普通にジャンプして中に入った)俺は未だに慣れない学園の中を歩いて離れたところにある旧校舎目指して歩いていた。

 

やっぱりここは広いよなぁ…

 

「ここで白音は生活してるのかにゃ…ちゃんとやってるかにゃ…」

 

なんだかんだで黒歌は子猫(白音?)ちゃんの事ちゃんと考えてるんだな。いいお姉さんじゃないか

だからこそ気にしてしまう。二人の間に何があったのか。

無粋な事ではあるが、黒歌はこれからも俺と共に行動すると言った。だったら知る権利があってもいいと思う。

まぁそれでも本人が言いたくなかったら聞きはしない。

いずれ話してくれる場面が訪れると思うしな

 

そんなに時間もかからずに目的地の旧校舎にたどり着いた。

太陽はとっくに沈んでおり、月があたりを照らしているくらいの光量しか無い。

だがこの夜の時間は悪魔の時間。

リアスさん達がいてくれればいいのだが…

 

俺は迷わず旧校舎の中に入り、薄暗いが辛うじてオカルト研究部と書かれたプレートのある扉の前にたどり着く。

ひとまず扉をノックする

 

「はい。どなたですか?」

 

扉がゆっくりと開き、中からは黒いポニーテールをおろしている姫島先輩の姿があった。日中ポニテが目立ち、リアスさんと並んで『二代お姉さま』とか呼ばれてるらしいが、特徴のポニテを下ろしてるとなんだか同年代の女の子って感じがする。とっても新鮮だ

 

「こんな時間にすみません。例の堕天使たちの件に関して有力な情報が手に入ったのでその報告に参りました」

 

「あらあら…わざわざ来ていただいて申し訳ありません。お茶を出しますからどうぞ中に。今リアスを呼ぶわ」

 

姫島さんに中に案内された俺は部屋の中央のソファに腰掛ける。姫島さんは魔法陣を展開し、誰かと会話をしていた。恐らくリアスさんだろう。

会話を終えると紅茶を俺の前に置いてくれた。とても美味しそうだ。

 

「もう時期リアスが来ますわ。それまでゆっくりしてってくださいね」

 

「ありがとうございます…姫島先輩はこの時間まで悪魔のお仕事ですか?」

 

「えぇ。つい先程まで依頼がありまして、先程帰ってきましたの。おかけでこんな時間になってしまいました。ところで……」

 

姫島さんの視線は俺の肩に乗っている黒歌に向かった。やっぱり気になるのかな

 

「その黒猫ちゃんは…?」

 

「この子は俺がここに来た時に最初にあった子です。名前はまだ決めてませんがね…」

 

「あらあら…じゃあリアスが来るまでその子の名前を決めましょう?名前があった方が愛着が湧きますわ」

 

まぁ人型の時は黒歌って呼べるんだけれどね。猫モードの時の事考えてなかったから都合がよかった。何よりも暇な時間が無くなったからいいかな

 

 

結果黒歌の猫モードの時の名前は『クロ』で決定した。安直な名前だが黒歌は了承してくれたのか、ひと鳴きした。

その後にリアスさんが魔法陣を展開しながら俺と姫島さんの前に現れた。

 

「リアスさん。放課後に呼び出してしまってすみません」

 

「別に問題は無いわ。今日はオフだったし、悪魔は夜行性だからね」

 

リアスさんはそう言いながら俺に向かい合うようにソファに座る。その傍らに姫島さんが立っている。『王』の傍らには『女王』。典型的な立ち会いだな

 

そして俺はリアスさんに件について知ってることを話した。

 

「そう…あんな所に就職…?妙な話よ。あの教会はかなり昔に廃れてしまってる筈。今更あんな所にシスターがいるはずがないわ」

 

「実際に現場に行ったからわかります。あんな所にまだシスターがいるとは自分も考えられない。そして何よりも…堕天使が堂々と教会に来ていましたから」

 

「あなたを襲った堕天使かしら?」

 

「いえ、公園で俺が撃退した黒髪ロングの女の方です。名前はレイナーレと言うらしいです」

 

「そう…分かったわ。今日はもう時間がないし…こっちの方で調べてみましょう。ありがとう安堂君。わざわざ報告してもらって」

 

「俺はただここを管轄にしている責任者の人に意見を述べてるに過ぎませんから。出来ることならのんびり暮らしていたいですから。それでは自分はこれで失礼します」

 

「えぇ。ありがとう。何かあれば遠慮なく言ってちょうだい」

 

「あ、では早速で申し訳ないんですが一つだけお願い事を頼んでもいいですか?」

 

そして俺はリアスさんにあることをお願いした。お願いを言った途端凄い驚いた表情になっていたのは言うまでもないだろう

 

お願いをし終えた俺はソファから立ち上がり、部室を後にする。そしてそのまま帰路を進んでいく。するとクロ(これからは猫モードの時はクロと呼ぼう)は俺の顔をじっと見てきていた

 

「どうした?」

 

「安堂はこれからどうするにゃん?」

 

「明日は日曜日で学校は休みだし、神器について調べてみようかと思ってね。ちょいと宛があるからさ」

 

「さっき言ってたやつかにゃ?」

 

「そ。自分のことを知る為でもあるからな」

 

「でもあの悪魔がグレモリーだから許されることだと思うにゃ。そして魔王がいる。だからこそ成り立つ事だとは思うけどそれでも普通は有り得ないにゃ」

 

「まぁそりゃそうだよな・・・・こんな事は常識的に不可能だ。だがそんなことは言ってられないからな」

 

俺にとってこの行動は到底馬鹿な事だとは自分でも思ってる

 

「ひとまずは堕天使たちの計画をぶち壊して平和にしてから神様に会いに行くさ。リアスさんがサーゼクスさんに頼んどいてくれるらしいし」

 

本当に自分のことを知らなすぎてしまってるのが痛いな。

今思い出せば本当に不思議なことだらけだ。

稲妻を操れるのは分かってるのだが、フリードと戦った時に暗殺者をイメージしたら本当に暗殺者が所持していそうなナイフが創られた。

俺が知らない自分自身の力なのか、あの神様が授けてくれたものなのか分からないからな。そこら辺も込みで色々と知りたいからな

 

明日の事を考えながら俺は自宅に帰宅した。

玄関を過ぎたところでクロは黒歌に戻った。

 

「ん〜っ・・・やっぱりこっちの姿の方が楽ちんにゃん…」

 

黒歌がリビングのソファに腰掛けるとそれに呼応するかのように彼女の胸も大きく揺れてしまっていた

目のやり場に困る猫娘だなホントに…

 

「あ、安堂…今私のおっぱい見たにゃん?」

 

にやにやしながら俺に近づいてくる黒歌。そしてそれを拒むように後ずさりする俺。

 

「そりゃ見るだろ…俺だって男。性欲が無い訳では無いんだ。ましてや黒歌のボディがエロいと来た。それで反応しない男はあんまりいないと思うが」

 

俺がそう言うと黒歌はキョトンとした後、顔を真っ赤にしてしまった

 

「…そんな殺し文句は反則にゃ・・・・・」

 

「ん?なんか言った?」

 

「…何でもないにゃ!お風呂借りるにゃ!」

 

「お、おう…そこを右に曲がって左のドアな」

 

黒歌はずかずかとお風呂場の方に向かって歩いていった。

黒歌もあぁいう表情するんだな。これはまたいい事を知った

 

「さて…俺はどうすっかな…」

 

黒歌はお風呂行ってるし…丁度何部屋か空き部屋があるからそこに布団でも敷いておこう。和室の部屋が空いてるからそこでいいだろう

 

リアスさんから与えられたこの無料の部屋だけど普通に5人は余裕で住めるほどのスペースがあり、部屋もそれなりにはある。

だが俺はひとりで住んでたから空き部屋がかなりあってある意味辛かった。

 

だけどこれからは黒歌と暮らしてくからいいか

しかし、今の現状調べなければいけないことは多々ある。今代の二天龍、黒歌と子猫ちゃんの関係、自分の生態、件の堕天使計画。

いざ調べるとなるとかなり骨が折れそうなものばかりな気がするが地道にやるしかないな!

 

「安堂〜?着替えってどうすればいいにゃ〜?」

 

「裸でリビングに出てくるか阿呆!!!」

 

 

・・・・・大丈夫だろうか?

 

 

 




初の6千文字に思わず驚きが隠せません
それではまた次回

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