転生者がチートで何が悪い?   作:ティラミス

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新年初投稿です。
年末に書き始めたこの作品もたくさんの方々に見てもらっていて嬉しいです!本当にありがとうございます!
本年もよろしくお願いします!
それではどうぞ!


第1章 旧校舎のディアボロス
第4話 不穏な動き見えました?!


 

 

俺が人間界に来てから一週間が経とうとしていた。

今俺はリアスさんの提案で駒王学園という高校で1年生として暮らしている。

どうやら駒王学園は少し前まで女子高だったらしく学生の7割が女子生徒で占められていた。

 

そんな学校に通わされるハメになったわけなんだが・・・如何せん俺は人付き合いが良くなく、友達も全くもっていない。いわゆるボッチという奴だ

 

まぁ俺の話は置いておくとして、俺は外のグラウンド横の少し坂になってるところで集まっている3人組の男を見ていた。というよりもそのうちのひとりを見ていた。何故ならばソイツはあの時の男だからだ。

名前は『兵藤一誠』というらしい。そんな兵藤が今あぁやって学生として暮らしてるのは理由がある。それは昨夜に遡る

 

 

 

────・・・・・・

 

 

 

「・・・本当に転生させるんだな?」

 

「えぇ。彼にはまだ死は早いもの」

 

俺はリアスさんの根城のオカ研部室に来ていた。その理由は男の今後を聞くためだ。傷は癒え、意識は辛うじて戻したものの、動くことすらままならない状態が1日続いたらしい。このままでは危険だと考え、リアスさんは男本人に聞いていたらしい。

そして答えがこれだ

 

「・・・いいのね?兵藤君」

 

「は・・・い・・・」

 

「では一つだけ言っておくわ。あなたは人間ではなくなる。その意味は分かるわね?」

 

男・・・兵藤と言われた男は力なしに頷く。しかし目は本気の眼差しを向けているように見える

 

「そう・・・分かったわ。貴方が本気だというのが伝わってきたわ」

 

そういうとリアスさんは紅色のチェスの駒『兵士』を一つ取り出した

 

「これは悪魔の駒と呼ばれるものよ。これをあなたに渡してあなたは転生悪魔、私の眷属として生きるの」

 

「はい・・・」

 

力なくではあるがきちんと返事をする兵藤の元にリアスさんが歩み寄り、彼の横に着くと『兵士』の駒を彼の胸元に置き、目を閉じる。おそらく転生魔法か何かをかけるのだ思う

正直俺がここにいていいのか・・・

 

俺の気持ちも虚しく散る如く、リアスさんは不思議な言葉を並べ始めていた。おそらく始まったのだろう。その言葉と呼応するかのように駒も紅色の淡い光を放ちながら兵藤の中に入っていく。

 

だがその次の瞬間、眩い光を放ちながら駒は兵藤から飛び出てきてしまった!

 

「なっ?!転生が出来ない・・・!?」

 

どうやら転生失敗のようだ。1個でダメとなると数を増やしていく必要がありそうだな

 

「リアスさん。数を増やしていく見てはどうです?」

 

「そうね・・・次は2個でやってみましょう」

 

リアスさんはそう言うと駒を2つ兵藤の胸元に置いてまた同じように詠唱をする。

だが先程同様兵藤から飛び出てきてしまった。2個でも兵藤を転生させることは出来ないようだ。

 

3個目

失敗

 

4個目

失敗

 

 

 

―――・・・・・・・・・・・・

 

「な、7つでやるわよ・・・?」

 

「お、おう・・・」

 

遂に駒は7つになってしまった。ここまで転生出来ないとなるとなかなかすごいことらしい。

 

消費する駒の数が多い程内面的な強さが強いということらしい。

強いやつにはそれなりの代償って奴か

 

そして七つ目

失敗

 

 

「・・・マジかぁ」

 

「・・・次が最後よ・・・8つ目」

 

兵藤の胸元には兵士の駒8つ目すべて置かれていた。そして8回目のリアスさんの転生魔法詠唱。そしてそのまま8つの駒は兵藤の中に入っていき、今度は兵藤自体が淡く光を放ち始めた。その光が止む頃には兵藤の背中には悪魔の翼のようなものが生えていた

 

「ふぅ・・・なんとか8つで成功したわ・・・流石にここまでとは思ってなかったわ」

 

「ま、リアスさんお疲れさん。兵藤もお疲れさんだな」

 

兵藤に声をかけるが兵藤は規則正しい呼吸をしたままだ。どうやら転生したおかげで安定はしたみたいだ。あとは目を覚ませば大丈夫だろう

 

「そういやリアスさん。こんな時に聞くのもアレなんだが・・・俺がここにいていいのか?」

 

「私は構わないわ。悪魔という種族を知ってるのなら問題はないと思うから」

 

「そんなもんかぁ?」

 

「そんなものよ。さて、兵藤君も転生出来たし、もう一つのことを解決しないとね」

 

「もう一つ?」

 

「あなたよ。安童君。どうしてもあなたが気になってね」

 

やっぱりうまく隠し通せるかもって思ってたけど無理かあ・・・ここは教えておくべきなのかな・・・

 

「はぁ・・・俺の何が知りたいんだ?」

 

「そうね・・・なぜ冥界にいたのか、かしら」

 

やっぱりそこは食いつくか・・・前聞いてこなかったから良かったと思ってたが・・・

 

「大した理由ではないよ。転生先が冥界で、アンタの兄さんの屋敷の近くの山みたいなところの中だったってだけだ」

 

「その言葉は嘘ではないのね?」

 

「あぁ。こんなんで嘘ついても俺には何の得もないものだからな」

 

リアスさんは少し考えるような仕草をしていたが、すぐにその姿勢を解かして俺の方を向いてきた。

 

「じゃあ次、神器を宿した者の末路・・・これは知ってるかしら?」

 

「神器って体の一部みたいなもんだろ?だったら死に至るんじゃないか?」

 

「その通りよ・・・神器を奪われたりしたら元々の持ち主は死ぬ。これは免れない現実よ。貴方もそうなる可能性がある。そこであなたに提案があるのよ」

 

「提案?」

 

「あなたも私の眷属にならないかしら?」

 

っ!!まさか俺まで眷属に誘ってくるとは思いもよらなかったぜ・・・確かに悪魔になれば長生きはするだろう。俺にとってはメリットが大きく、デメリットが少ない良い提案だ。だけど俺にも譲れないものがあるのは確実だ

 

「悪い。そういうのは嫌いでね。俺はのんびりと生活出来ればそれでいいさ」

 

「だけど悪魔と堕天使に関与してる以上、これ以上の命の保証は出来ないわよ?」

 

「心配ご無用。死んだらそれでよし。だが俺には力がある。神器がな」

 

リアスさんはそこまで言われたら仕方ないと言うようなため息を吐いた後、俺に笑顔を向けてくれていた

 

「分かったわ。だけど、何かあったら力になるわよ」

 

「ありがとさん。あんたも頑張れよ。王様?」

 

「えぇ。ありがとう。あ、そう言えば私の眷属を紹介してなかったわね。これからも会うことがあるだろうし、今のうちに自己紹介しちゃいましょ?」

 

リアスさんがそう言って隣に立っていた黒髪ポニーテールの女性に自己紹介をするように言った

 

「私は部長の『女王』を務めている姫島朱乃と申します。3年生です。以後お見知りおきを」

 

随分と礼儀正しい人だなぁ・・・それに綺麗で美人、おまけにエロい体と来たもんだ!たまらんね!!

 

姫島先輩が挨拶を終えると俺の前に座ってるイケメン男が立ち上がった。

 

「僕は『騎士』の木場祐斗。2年生だよ」

 

イケメンが自己紹介を終えて座ると、その横にいる白髪のロリっ子がお菓子を食べながらこっちを見てきた。確かあの子は見覚えがある。学園でマスコットとして評判がある女の子だ。確か同じ学年だった気がする

 

「『戦車』の塔城小猫です・・・・・・」

 

それだけを言い終えると再び視線をお菓子の方に向ける。無口な子なのかな?

 

「そして私が『王』のリアス・グレモリーよ」

 

これで全員なのかな?そして今度は俺が自己紹介をする番になった

 

「ただの神器使いの安童だ。暇な時は手合わせ願いたい。これからもよろしく」

 

自己紹介を終えてそのまま解散となり、俺はリアスさんにもらった住処へと帰ることにした

 

 

 

―――・・・・・・・・・

 

ってのが昨夜の出来事。どうやら兵藤は自分が悪魔になったというのを受け入れたらしい。ま、公にしないだけいいとは思う。人間として学生生活を送れるのはいい事だからな

 

ちなみに現在の時間だがお昼時であり、他の生徒は仲良くなったばかりの友達とかと一緒に食事を楽しんでいるのがよく分かる。かくいう俺は1人で食ってるんだけれどな。

 

 

 

・・・ちょっとこの学園内に変な気配があるけどな。ちょっと様子見に行くか・・・

俺が廊下に出て歩いていると隣の教室から見覚えのあるイケメンが出てきた。リアスさんの『騎士』木場祐斗だ

 

「うっす木場先輩。購買っすか?」

 

「やぁ安童君。君もかい?」

 

「まぁそんなとこっすよ。行きましょうか」

 

そんな感じに他愛もない言葉を並べ合いながら歩き、人気がなくなる所にまで来た。

 

「・・・アンタも感じたか?」

 

「と言うことは君もなんだね?」

 

「あぁ。この学校・・・堕天使が潜んでるぞ。しかもうまく隠していやがる・・・どうする?」

 

俺がそう質問すると木場は携帯を取り出し、どこかに連絡を取り始めた。おそらくリアスさんに電話してるんだと思う。こういう時は主に指示を仰ぐのが一番いいからな

ほどなくして木場が電話を終わらせ、携帯をポケットにしまう

 

「・・・リアスさんに連絡してたんだろ?どうだって?」

 

「一先ずは放課後までは何も触れずにとの事だよ。放課後に部室で作戦を立てるらしい」

 

「なるほどな。じゃあ頑張れ。俺は普通に生活するから」

 

「分かった。気をつけて」

 

それだけ言うと俺は再び教室に戻る。戻る途中である女子生徒とすれ違った。見た目は美人で、黒髪ロングヘアーが特徴的な可愛い女の子だ。そう。普通ならな。俺はすれ違う瞬間小さい声でその生徒に声をかける

 

「・・・放課後まで何もするなよ?堕天使」

 

「・・・ふふ」

 

女子生徒は微かに笑い、そのまま歩いていく。俺は分かっていた。うまく隠してるつもりだろうが本質的なものがまったく隠れていない所からな。彼女は堕天使だ。しかも前回俺が逃がした堕天使。たしかあの時キツーいお灸を据えたはずなんだけれどなぁ・・・こっちでも若者は他人の優しさがわからんのかね・・・・・・

 

 

 

 

 

 

・・・・・・―――

 

放課後。隣のクラスの子猫ちゃんはリアスさんのいる部室に向かってくのが見えた。おそらく堕天使対策だろう。ちなみに兵藤の奴は友達と帰っていった。良いのかよ・・・主が呼んでるのに・・・あれは後でお仕置きが入りそうだなぁ・・・そうなったら兵藤ドンマイ

 

俺はというと、木場にも言った通り普通に帰路を歩いていた。帰りにコンビニに行ったり、いたって普通の帰りをしていた。

だがその行動も虚しく散ることとなる。何故ならば

 

目の前に漆黒の羽が舞散っているのだから。これはもう間違いない。堕天使だ

 

「見つけたぞ。人間」

 

「出来れば見つけて欲しくなかったんだけれどなぁ・・・普通に生活させてくれよ・・・堕天使」

 

目の前にいるのは学校にいた美少女ではなく、ジジイだった。羽が左右2つずつあるからあの女の子より偉そうだなぁ・・・

 

「我々の計画の邪魔をするのなら容赦はせんぞ」

 

「あ?計画だ?んなのどうでもいいから帰らせろ。どうせろくでもない計画だろうしな」

 

「貴様・・・この私がドーナシークと知ってのその口か?」

 

「ドーナツだかなんだか知らねえけど・・・俺は帰りたいの。殺すよ?」

 

「ほう?この私をたかが下級悪魔ごときが殺せるとでも思ってるのか?面白い!やってみろ!!!」

 

ドーナシークと名乗った男は翼を展開させ、空中に移動し、何やら魔法陣を展開し始めてた。攻撃魔法か何かか?

少し経つとそこから大量の光を纏ったビームみたいなのが俺に向かって放ってきた!

 

「悪魔の貴様にとって光は最大の凶器!!これで滅びろぉ!!!」

 

「あーもう!!!どいつもこいつも!!俺は悪魔じゃあねぇんだよジジイ!!!稲妻よ!!」

 

『charge!!!』

 

俺は即座に神器を展開させる。今のはチャージというもので、その名の通り力を蓄積させるものだ。ただし蓄積させればさせるほど稲妻が俺を覆い、オーバーヒートしてしまう可能性があるため、ある一定量溜まったら解放する必要がある。この1週間やってみたが、約30秒程が今の俺のチャージの限界だ。そして時間が来ると自動で蓄電が止まるという便利機能付き!!ありがとうオーディン様!!!

 

『Full charge!!!』

 

30秒経過し、俺の蓄電が終わった!!思いっきり飛ばすぞ!!

 

「っしゃぁ!!喰らえクソ天使!!現段階の俺のフルパワー!!!サンダーランサァァァァッ!!!!」

 

『LANCE vault!!!』

 

俺の中で蓄電された稲妻が俺の右手に集まり、大きい槍を形成する!

そしてそのまま空に浮いてる堕天使目掛けて思い切り投げつける!!

 

「っぬぅ?!!うぉおおっ!!」

 

堕天使は間一髪の所で回避したが、掠った右翼の半分から焦げたような匂いと煙をたたせていた

 

「っしゃぁ!!見たか堕天使!!」

 

「っ・・・図に乗る「ドーナシーク様!」・・・っ!!」

 

突如何処からか声が聞こえてきた。あたりを見渡すと月を覆うように羽ばたいている堕天使らしき姿があった。たしかあいつ・・・俺がお灸据えた奴だよな?

 

「レイナーレか・・・何をしに来た?儀式の準備は?」

 

「全て完了致しました!あとは『魔女』を捕らえるのみでございます!」

 

「そうか・・・小僧。ここは退いてやる。今度会う時が貴様の最期だ」

 

「はぁ?おいおい・・・こそこそとくだらん計画か?そんなこそこそしてたら偉くもなれねぇぞ・・・?」

 

「ふん!口だけは達者だな小僧!次会うまでせいぜい生き延びるんだな!」

 

ドーナシークはそう吐き捨てる様に言うとどこかに向かって移動してしまった

そして残ったレイナーレと呼ばれた堕天使は俺の方に向かって降りてきた。そして着地するや否や俺の事を睨みつけてきた

 

「あなた・・・あの学校にいたのね?」

 

「いたもなにもあそこの生徒にさせられたからな・・・」

 

「そう・・・これ以上のことは首を突っ込まない方が身のためとだけ言ってあげるわ。下等な人間」

 

「出来れば関わりたくないもんだな・・・だがそんな事を俺に言う必要があったか?馬鹿かお前・・・」

 

「・・・それもそうね。忘れてちょうだい」

 

レイナーレはそう言うとドーナシークの後を追うように飛んでいってしまった。まったく・・・あんなこと忘れられるわけねぇだろ・・・

 

こりゃぁ・・・面倒事が起こる現場に出会っちまったなぁ・・・

 

 

俺は若干鬱になりながらも自分の拠点に帰ることにした。

明日辺り動いてみるかぁ・・・

 

 

 




本年ものんびりと投稿していこうと思ってるので応援してくれると嬉しいです!
それではまた!!

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