それはさておき本編へいきましょう!
「・・・デケェな」
「こ、これは私もびっくりの大きさにゃん・・・」
俺は黒歌に引っ張られるままグレモリー基、魔王ルシファーの屋敷の前に到着した。そしてその屋敷を見て唖然とするしか頭に浮かばなかった。これは黒歌も予想だにしない程の大きさらしく、俺と同じように驚きを隠せていなかった
「・・・どうする?入る?」
「は、入るしかないにゃん・・・?」
「は、入ってもいいんだろうか・・・滅されない??」
「だ、大丈夫だと思うにゃん・・・」
俺と黒歌はお互い頷き、ルシファー屋敷の中へと潜入を試みる。目の前にはデカすぎるがおしゃれな西洋風の扉がある。見たところ鍵穴みたいなものはないから内側から施錠するタイプの門だろう。俺と黒歌は合図を確認し、同時に扉を開けることにした。
「いいか・・・?せーのっで開けるぞ」
「わかったにゃん・・・」
「いくぞ・・・せー「何をしておられるのですか」・・・の?」
合図をかけた瞬間、どこからか声が聞こえてきた。嘘だろ?一応周囲は警戒していたんだぞ?!それでも気が付かないとは・・・俺の未熟さが原因か?
俺は恐怖のあまり辺りを見渡してみるが、人らしき気配、姿はどこにも見当たらない。
「上をご覧ください」
再び声が聞こえ、その言葉の通りに上を見る。すると門の上に綺麗な銀髪を三つ編みにしていて、メイド服がすごく似合っている美女がいた。てか下から見上げてるから・・・見えてはいけないものが・・・・・・!?
そんな美女は羞恥心がないのか、そのままジャンプして俺らと同じ地面に着地した。俺よりも背が大きいのはちょっと驚きだが・・・
「もう一度聞きます。ここで何をしようとしていたのですか?」
その口調はとてつもなく低く、並大抵の精神力だと心が折れそうなほどだった。
まぁ普通に警戒するよなぁ・・・人間みたいなやつと猫娘が勝手に門を開けようとしてるんだもの!!
「ちょっと魔王様にお話がありましてね・・・」
「そ、そうにゃ・・・」
「お話?ただの人間と妖怪が魔王様にお会い出来るとお思いで?」
「「おっしゃる通り(にゃん)です・・・」」
「ご理解頂けたのならばお引取りを「まぁまぁ。いいじゃないかグレイフィア」・・・魔王様?」
突如としてグレイフィアと呼ばれた女性と隣に紅色の魔法陣が展開され、ある人物1人がそこに立っていた。身長がかなり大きく、整った顔立ち。そして紅色のロングヘアーが特徴的でどこか優しげな雰囲気を漂わせる男性だ。そしてグレイフィアさんはこの人の事を魔王と呼んだ・・・つまりは
「魔王・・・ルシファー・・・」
「いかにも。私が四大魔王の1人。サーゼクス・ルシファーだ。そして彼女はグレイフィア。私の付き人だ」
グレイフィアさんはそのまま一礼をする
「話は聞かせてもらっていたよ。して、何故私に会おうと思ったのだい?」
「あ、え、ええとですね・・・」
俺は人間界に行きたいこと、自分が何者かを話した。まぁ一部伏せさせてもらったが嘘はついていない
「なるほど・・・転生先がここで、私の元を訪ねたのはタンニーン・・・ふむ。状況はわかった」
サーゼクスさんは隣に紅色の魔法陣を展開させた
「ここに入れば人間界へ連れてってあげよう。ただしいくつかお願いをしてほしい」
「お願い・・・ですか?」
「そう。まず一つ。君自身の正体をほかの人間に知られないこと。もし何かあれば私の妹の所に行きたまえ。私と同じく紅色のロングヘアーだ」
俺自身の正体・・・か。まぁ転生したってぐらいから多分大丈夫だとは思うからそれ以外のことだな。能力とか。もしバレたらその時は包み隠さず話すしかなさそうだけれども
「なるほど・・・わかりました!あとは何か・・・?」
「もう一つだけ。これは単なる私個人的な願いだ。楽しい人生を歩んでくれ。折角オーディン様から授かった命なんだ。大事にしたまえ」
もう魔王さん優しすぎて俺感動するんですけど・・・!?こんなに優しい人が魔王ってある意味すごい事だよな?!
「そういえば君はどうするんだい?彼とともに行くかい?」
サーゼクスさんは黒歌に向かってそう聞いた。たしかにどうするのだろうか?
「私?私はもちろん安童と一緒に行くにゃ♪楽しそうだし?」
「なるほど。わかった。行きたまえ」
どうやら黒歌も一緒についてきてくれるらしい。ちょっとありがたいと思える気持ちになった。だって流石に人間界に行って一人ぼっちってのは辛いよな!いろんな意味でさ!
そうして俺はサーゼクス様が用意してくれた魔法陣に入り、人間のいる世界『人間界』と呼ばれる世界に黒歌と共に向かうのであった
・・・・・・────────
どのくらい時間が経ったか分からないが目の前の真っ白な世界が収まっていき、辺りには住宅街がある。これは間違いない。人間が造った建造物だ!
「ここが人間界にゃん?来るのは初めてにゃ♪」
「そうだな。ここは人間界で間違いなさそうだ。昔はこんな感じの環境で育ったもんだよ・・・」
なんせ1回転生してるからな・・・だが転生前と同じような雰囲気があるし、なんとかなるとはおもうんだ。
しかし日は落ちかけていて、夕陽が辺りを橙色に染めていく。こんな景色をまた見れるとはな・・・
「ひとまず、サーゼクスさんの妹君を探すところからだな・・・訪ねろ、そう言っていたということはここの管轄をしてるんだと思うし・・・目立つところにいそうだな」
「う〜ん・・・公共施設かにゃん・・・?」
無難にそうだろうな・・・役所とかそういったところだとは思うのだが・・・あと身近な公共施設・・・あ!
「「学校(にゃん)!!」」
見事に黒歌と答えが一致。そうだよ!学校があるじゃないか!
そして学校を探すため、高いところにやってきた。まぁ住宅街の家の屋根の上なんだけれどもね。
ここからそう遠くないところに立派な学校があった。大きさからして高校だと思うから多分あそこにルシファーさんの妹さんがいるんだと思う
それに確信的なことも発覚してるしな
「あの学校にいるな」
「どうしてわかるにゃん?」
「気配だよ。ただの人間では出ないような、変なオーラのようなものが感じるんだ。恐らくあれは悪魔のオーラだと思う」
「安童って割とチート的な存在かもにゃん・・・?」
「まぁ色々あったが、チートではないと思いたい。うん」
ひとまず俺と黒歌は屋根から降り、歩いて向かうことにした。急ぐ理由もないし、黒歌が浮いてたらバケモノだって分かって騒動になりかねないし
少し歩くと小さめの公園があった。ブランコに鉄棒、そして滑り台と砂場という、一般的な公園があった。俺は黒歌に休憩するように伝え、ベンチに座る。お金・・・あればいいんだがなぁ・・・無一文って辛いよ?
「そういや黒歌。気付いてるか?」
「安童が気付いてるのに私が気が付かないと思うかにゃん?」
どうやら黒歌も感じているようだ。近くに不気味な雰囲気が漂っていることに。これは人間ではないな。となると・・・
「悪魔か堕天使か・・・」
「多分堕天使にゃん・・・」
ひとまず俺は黒歌と共に気配の所に向かうことにした。ここからそう遠くはないな。それにその近くになんか気配感じるし
「黒歌。ここら辺だよな?」
「この先にゃ。アソコは・・・別の公園・・・?」
黒歌と共に気配の所に向かって来た俺たちが辿りついたのは別の公園だった。さっきの公園とは違い、噴水とベンチのみというシンプルな公園だ。だが問題は噴水近くにいる何人かの姿である。
「1人は堕天使・・・それ以外は人間じゃねぇ」
「安童。私はここから先は行かないにゃ。理由は聞かないで」
「まぁそのうち聞くさ。んじゃひと暴れ出来たらいいなぁ・・・」
俺はそのまま1人で堕天使と悪魔が対峙しているところに向かう。向かっていく時に気が付いたが、2人ほど尋常ならぬ力を身体中から出している。1人は倒れている男。大方察しはついている。そしてもう一人はスタイルがいい紅色のロングヘアーの女性だ。皆制服っぽいのを着ているから多分俺と黒歌が見た学校の生徒であろう。人間ではないが
「こんな夜中に暴れられたらたまらんぜ?人外さん方?」
俺がそう発すると全員が俺に視線を向けてくる。その中で堕天使と紅色の髪の女性は驚いた表情をしている
「貴方・・・私がわかるの?」
堕天使が俺にそう問いかけてくる
「そりゃ、オーラが人間のものじゃないからな。それに露出多い服装だし、堕天使とかじゃないか?」
「へぇ・・・私が堕天使だと分かってるのね・・・?だったら生かしてはおけないわ。あなたにはここで死んでもらうわ」
「お生憎・・・死にたくはないのでね。抵抗させてもらうよ?変態天使さん?」
「っ!貴様ぁ!!」
「ところでそこの紅色の髪の人。あんたもしかして、サーゼクス・ルシファーさんの妹さんじゃあないかい?」
俺に突然話しかけられて驚いたのか、またはルシファーさんの名前を知ってる人間がいるのが驚きなのかわからないが動揺しているようだ
「な、なぜお兄様の事を?!」
「まぁ話は後でするさ。ひとまず・・・コイツ殺していいの?」
「え、えぇ。だけどアナタ・・・丸腰じゃないの。それでは抵抗出来ないわよ!」
「丸腰かどうか・・・その目で確かめてみな?」
俺はルシファー妹さんにそう言い、目を閉じる。
「我を護りし稲妻よ・・・我に力を示せ・・・!」
『lightning!!!』
突如として俺の右手から出てきた金色の宝玉から女性のような音声が鳴り響き身体中を凄まじい程の稲妻が迸る。これがオーディン様に言った二つ目の能力
「なっ?!神器使いだと?!ならば尚更生かしてはおけぐぉっ!??」
堕天使が最後まで話せることはなかった。何故なら俺が高速を超える速度で移動して思い切り殴ったから。まだ全力ではないが、ひとまずの小手調べ程度にした。
「んで、堕天使さん。殺されたい?」
「舐め・・・るなぁ・・・っ!!私は至高の・・・!!!」
「いや堕天してる時点で至高の糞もねぇだろ・・・」
「黙れぇぇぇぇぇッ!!!!!」
堕天使は手中で光り輝く槍を生成し、俺に向かって投げつけてくる。その数5本。
「この槍が悪魔の貴方に刺されば貴方は死ぬ!これでおしまいよ!!!」
「あのさ、俺、自分が悪魔だとは一言も言ってないんだけど??」
その槍が俺に突き刺さることはなく、最低限の動きで全て躱す
「全て躱した!?貴方は一体何者なの?!」
紅色の髪の女性は俺に驚きながらもそう言ってくる。まぁ仕方ないよな。いきなり神器使いが出てきてるんだから。それもただの人間が
「俺?俺はただの男だよ。変態。んじゃお別れすっか。稲妻よ・・・この堕天使に死の怒槌を」
『Thunder!!!』
宝玉が力強くその言葉を発した刹那、堕天使の頭上から凄まじい音を立てながら雷が降り注ぎ、堕天使を焼き殺していく。
次第に雷が収まり、堕天使の姿を確認すると、所々に傷が生まれており、致命傷だという事が容易に理解できる
「っがぁ・・・っ・・・なに、ものだ・・・人間・・・ッ!!!!!」
俺は力を解除した後、堕天使に話す
「俺か?俺は単なる転生者だ。堕天なんかした奴じゃぁ俺は倒せないぜ?せめてもの情けだ。生かしてやろう。ただし今度誰かを悲しませたりするようなことをするのであれば存在を消す。良いな?」
堕天使の瞳には光がなく、ただ俺の言葉に頷くだけになってしまった。そしてそのまま堕天使は魔法陣を展開し、その場から姿を消した
「ふいー・・・まだまだだなぁ・・・あ、ルシファーさんの妹さんよ。生かしちまったのは謝るよ」
「え、えぇ。それはいいのだけれど・・・あなたに聞きたいことがありすぎて・・・」
「んー・・・んじゃあゆっくり話せるところが欲しいんだが・・・」
「それなら私達の拠点があるわ。そこに行きましょう」
そしてその拠点は学校内にあるらしく、ここからさほど遠くない所らしい。多分俺と黒歌が見たやつだと思う。
俺は倒れてる奴を背負って紅色の髪を追いかけた。
コイツらが気づいてるのか分からないが、かなり遠くに黒歌の気配がある。離れて入るがちゃんとついてきてはいるみたいだな
そんなことを考えながら俺は紅色の髪を追いかけるのであった
恐らく今年の投稿はこれで最後となります。
今回は遊魔君の能力のお話がメインのはず
それではみなさん良いお年を