ライザーとのレーティングゲームまで残り三日となり、みんなそれぞれ俺が与えたメニューをこなしていた
木場先輩は後ろを向いたまま俺の攻撃を回避出来るように。
子猫さんは一撃の威力がかなり向上し、精度も申し分ない。
朱乃先輩はブロックの破壊に成功。
イッセーさんとアーシアさんは悪魔の特性、神器の種類を簡単に教えた。
それに加えてイッセーさんにはドライグさんと一緒に自身の神器『赤龍帝の篭手』の特性を簡単に。
アーシアさんには簡易的ではあるが防御魔法を伝授。そして離れた仲間への回復方法を指導した。
そうして俺が与えたメニューをクリアしてくれた。そしてここから三日間は別のメニューをやってもらう
「皆さん。一週間お疲れ様でした。正直自分が思ってた以上の結果が出ていて嬉しいです」
「安童君のおかげさ。僕も掴めるものがあったしね」
「・・・私も動きが良くなったように感じます」
「私もいい収穫がありましたわ」
「優しく色々と教えてくださりました!!」
「やっぱ安童すげーよな!色んなこと知ってんだもんな」
各々が感想を述べてくれた。
どうやらみんないい傾向になったみたいだ。これで残りはソフィア達なんだが・・・お、きたきた。
「安童〜。こっちも終わったよ」
「私もいろんなことが学べたわ。ソフィアさんっていろんなこと知ってて不思議な感じよ」
どうやらリアスさんもソフィアから収穫があったらしいな。これなら問題ないだろ
「みなさん。残り三日間で最初に言った目標をクリアしてもらいますよ」
「たしか安童君に勝つ、っていう内容だよね?」
「そう。しかし普通じゃ面白くない。だからリアスさんの別荘近くにあるあそこの森でゲーム形式でやります。ルールは簡単です」
①森の中にまず俺が先に入り、気配を消す。
②俺が入ってから5分後にグレモリー眷属の皆さんに俺を見つけてもらい、見つけ次第戦闘開始。
③俺から『参った』と言わせればグレモリー眷属の勝利
④制限時間(夕方まで)以内に俺から『参った』と言わせられなければ俺の勝ち
「という感じです。シンプルですけどこれなら皆さんが協力することが確定になるのでこの様にしました。これを3日間行います」
「なるほどね。みんな!グレモリー眷属の力見せるわよ!」
「「「「「はいっ!!部長!」」」」」
うんうん。そう来なくっちゃ面白くない
「ソフィア。昼時になったら一度昼飯にするから準備頼むわ」
「OK。簡単なもの作っておくわね」
「よし。皆さんの準備が出来たら俺は森に入りますよ。先に言っておきますが、本気で来ないと怒りますから、そのつもりで来てくださいね」
「当たり前よ。そうじゃなきゃ修行にならないわ」
リアスさんの言葉を聞いた俺は一息ついたあと森に向かって歩いた。さて、この一週間でどんな成長を遂げたか見せてもらいますよ。グレモリー眷属のみなさん
────・・・・・・
俺が森に入ってから五分が経過した。今俺は山の中にある谷の近くに隠れている。
そろそろ皆が俺を探し始める頃だと思うけど・・・
隠れてから少し時間が経った頃に声が聞こえた。この声は・・・イッセー先輩かな?みんなまだ気配を消す事があまり出来ないから場所が特定しやすいな。
俺だって1ヶ月間異世界転生ライフをしていて気配察知できる距離が格段に上がってる。
ここはひとつ、あえて見つかってみんなの連携でも見てみるとするか
「意外と早かったですね皆さん」
「安童見つけたぞ!まずは俺からだ!」
そこに居たのはイッセー先輩と子猫さんの前衛コンビだ。となると・・・あとはアーシア先輩と木場さん、あとは朱乃さんか。
リアスさんは一定の場所で状況把握をするのだろうな。『王』が無理に動くことは無いからな
そしてイッセー先輩は【赤龍帝の篭手】を展開している。あれがどれだけ倍加を溜めてあるかは不明だから要注意だな
「イッセー先輩!いざ勝負!!」
「っしゃ行くぜ!!ブーステッド・ギア!!!」
イッセー先輩が篭手を上に掲げた瞬間、篭手から凛々しい声で「explosion!!」という音声が流れた。
その後イッセー先輩の魔力がかなり向上してるように感じる。なるほどな!あれが倍加の力か!!やっぱり【神滅具】のひとつだ!
「くらえぇぇぇぇ!!ドラゴンショットォォォォ!」
イッセー先輩が左手に魔力を溜め、それを俺目掛けて投げてきた。
投げられた時はソフトボールくらいの大きさだったがこっちに来るにつれかなり巨大な玉へと変化していった!!倍加の力ってのは怖いもんだな!!
「だけど軌道が単純ですよ!!」
イッセー先輩が放った魔力弾は一直線に俺に向かってくる。だから俺はそれを横に移動して躱す
魔力弾が俺の横を通った途端に何かが俺の視界に入ってきた!
「・・・当たって!」
それは子猫さんだった。なるほどな。魔力弾を大きくしたのは子猫さんの姿を隠して奇襲をかけるつもりだったか!!考えましたねイッセー先輩!!
「なるほど!!こう来ますか!!なら俺も力を出しますかね!!」
俺はすぐさま神器を起動させ、身体に稲妻を纏わせる
「さて、ここからが本番!一応加減はしますけど怪我しても知りませんからね!!」
『charge!!!First Step Start!!!!』
俺の神器・・・首元にあるネックレスから音声が流れ、俺の身体に稲妻が纏われ、髪色は銀髪になった。思えばこの姿に初めてなったのはアーシアさん奪還の時か。懐かしいな。あれから1ヶ月間すごい出来事とかなり対面してきたもんだ
「んだよそれ!!この前のやばそうなやつじゃねえか!!」
「伊達に1ヶ月間怠けていたわけではありませんからね!!!知りたかったら俺を倒してみてくださいよ!!」
俺はすぐさま子猫さんに向かって移動した。
あまりの速さに子猫さんは驚きが隠せてないみたいだ
「回避出来るものならやってみな!!!まずは初手だ!!」
俺は子猫さんの顔目掛けて拳を突き出した。咄嗟に反応した子猫さんは両腕で頭を守ったがその反動でかなり後方の方まで飛んでいってしまう
「ぐっ・・・」
「子猫ちゃん!!大丈「人の心配してる場合か!!!」ぐぁっ!?」
急いで子猫さんの方に向かおうとしたイッセー先輩を後ろから思い切り蹴り飛ばした。その行動に反応できなかったイッセー先輩は子猫さんのいる方とは違う方向に吹き飛んでいった。
一応加減してるから悪くて打撲くらいだと思うが・・・流石にもう少し加減するべきか・・・?
「うしっ。さっさと逃げるとするか・・・」
2人が動くことが出来ないことを確認した俺はその場から逃げるように場所を移す。
神器はこのまま起動させておこう・・・何があるか分からんしな・・・
移動しようとした瞬間、右耳に付けていた小型の通信機から連絡があった。
連絡は黒歌からだった。もしかして例の監視みたいな視線の件で進展があったのか?
『安童聴こえる?』
「あぁ聞こえるよ。何かあったか?」
『例の視線の話だけれど、その山周辺にいる可能性があるの。修行しながらでいいから調べてもらえる?』
「OK。一通り探索したら連絡するよ」
短く言葉を交わしてそのまま通信を切った。この山か・・・そこまで大きいわけじゃないから神器を展開させたまま調べればすぐに行けそうだし、さっさと片付けちまお
ていうかそんなに簡単に見つかるものなのかなぁ・・・
いた。ドリルみたいなツインテール女の子が。
双眼鏡なんて使って俺のこと見てるよ・・・俺なんかしたかぁ・・・?
ま、すぐに稲妻を隠して女の子の後ろに移動したんだが
「こんにちはお嬢さん?何か用かな?」
「ひゃっ?!!あ、えと、これはですわね・・・」
突然監視(?)していたはずのターゲットがいきなり後ろにいるもんな。そりゃびっくりするわな。
だけどこの子見た目的に高校生だよな?でもこの子は人間ではないな・・・
「びっくりさせてしまいましたね。申し訳ない。ところでお嬢さんは何をしてたのですかね?出来ればお名前も知りたいのですが・・・」
うわ、これ下手したら変質者と思われても間違いないなこれ・・・
「ですがどうか勘違いしないで下さい。こちらはグレモリーの領地。その領地に侵入してるそちら側が何をしてるか知るのはこちら側の義務でもありますので」
「そ、そうですわね・・・勝手に侵入したのはこちらですし・・・レイヴェル・フェニックスですわ。名前からお察しがつくでしょう?」
「フェニックス・・・悪魔になった不死鳥さんのお嬢様でしたか」
レイヴェルと名乗った女の子は監視をしていた事を素直に謝罪し、監視していた理由を教えてくれた
「三日後の夜に私のお兄様・・・ライザー・フェニックスとリアス嬢様の婚約を決めるためのゲームをしますの・・・」
「だが公式では出来ないから、非公式でゲームを行う・・・だが現状を見る限り完全にリアスさんの方が不利だな・・・それを分かっていてゲームを執り行った・・・そういう訳ですね」
「ええ。そしてお兄さまのゲームの成績は実質無敗・・・負ける事を知らないのです」
無敗の不死鳥か。確かに強敵だ。そしてライザーの眷属は全員揃っていると聞いてる。それに対してリアスさん達はその半分・・・いや、半分以下だ。これでは完全にリアスさんが詰んでいる
だからこそ、俺は納得がいかない・・・何故そこまでしてリアスさんを求めるのだろうか・・・本当に嫁に迎えるが為にこんなことをするか・・・?
「レイヴェル嬢。貴女はライザー様の眷属なのでしょう?戦闘も行う・・・そのおつもりですか?」
「いいえ。私は戦闘には参加しません。フィールドにいますが観戦という形で参加致しますわ」
「それではリアスさん達にはそうお伝えしておきます。それと一つ、ライザー様に伝えて欲しいことがあるのですが、よろしいですか?」
「いいですわ。伝えておきます」
「ありがとうございます。『ゲームで女性の生き方を決め付ける貴方にはリアスさんは決して振り向くことはない』と伝えて下さい」
「ふふ・・・挑戦的ですわね・・・良いですわ。そのようにお伝えします。それと、もう監視はしませんのでご安心を」
「お気遣い感謝します。レイヴェル嬢」
俺がわざとらしくお辞儀をするとレイヴェルは顔を少し赤くしながらそっぽを向いてしまった。機嫌を損ねてしまったのかな?
「その呼び方・・・あまり好きではありませんの。名前で構いませんわ」
「それではレイヴェルさん。ゲームの日、お待ちしております」
「えぇ。またお会いしましょう。それではごきげんよう・・・」
レイヴェルさんは足元に魔法陣を展開する。あれがフェニックスの魔法陣か・・・たしかにそれっぽい
だがレイヴェルの姿は消えることは無かった
「忘れてましたわ。貴方、お名前は?」
「そういえば名乗っていませんでしたね。私は安童と言うものです。今はグレモリー眷属の皆さんの特訓を指導しております」
「なるほど。では安童さん。ゲームの日を楽しみにしていますわ」
レイヴェルはそういうと今度は本当に魔法陣を展開し、姿を消した。まさかレイヴェルさんが監視をするとはな・・・ちょいと予想外だ。俺がこの世界に転生して何かの歯車が噛み違えたのかもしれない。これは今後注意だな
レイヴェルが去ってから数分後、今度は木場さん、朱乃さん、アーシアさんが俺と鉢合わせた。まぁアーシアさんには怪我をさせてはいないが2人とはちょいと戦闘を交えた。結果的には俺が勝ったがやはりこの二人は手強かった。
おそらく俺と鉢合わせした時に連携を考えていたのだろう。
そしてアーシアさんは簡易的ではあるが防御魔法をちゃんと展開させていた。どうやらちゃんと覚えたらしいな
今後はアーシアさんの生存がグレモリー眷属の士気に関わってくるからな
っとと、俺の考察は置いといて、黒歌にレイヴェルさんのこと連絡しておかないとな・・・
そして時は経った
───ライザーとのゲームの一夜前
「皆さん一週間お疲れ様です」
今日で特訓は終わりだ。明日は日中身体を休めてもらって夜にゲームだ
「安童君。付き合ってくれてありがとう。おかげで助かったわ」
「いえいえ。正直自分の力もどのくらい役に立つのか調べたかったので良い特訓になりました。ありがとうございます」
「だけどよ!この三日の間安童に殆ど触れてないぜ?強すぎじゃないか?」
まぁ・・・正直自分もチートすぎるとは思ってるが全てが完璧なわけではないからな・・・ヴァーリの力にはどうも太刀打ちできる力はないし、イッセー先輩の様に圧倒的な火力がある訳でもないしな
「ですがかなり危ない場面もありました。この三日で皆さんの連携も良くなってますし、問題ありません」
みんなの力は特訓前に比べると向上している。これは間違いなくいえる。特にイッセー先輩。あの人の連携の取り方はかなり厄介だ。
あの人は誰とでも連携が取れるから組まれてきたら相当厄介極まりない
「さて、みんな明日は身体を休めて。そして夜はライザーとの決戦よ!」
「「「はい!部長!」」」
うんうん。みんな元気だ。
そして俺がみんなをサポート出来るのはここまで。やれる事はやったし、後はみんな次第だ
皆がわいわいと盛り上がり始め、俺はその場から消える。俺の役目は終えたからな。さっさとソフィアと黒歌と3人でやるべき事を成しに行かなくてはいけない
「付き合ってくれてありがとうなソフィア。黒歌」
「別に良いわよ。私も久々に楽しかったしね。あの人達、これからもっと伸びるわよきっと」
「むしろ伸びてもらわないとな。この後が怖い」
「それで?これからどうするにゃ?またどこかに行くのかにゃ?」
「それに関してはもう決めてある。冥界に行く」
「「冥界??」」
「ふふ・・・ある方と用事があるからな」
俺は2人を連れて冥界に向かう準備を始めた。
さてさて、グレモリー眷属の皆さんがどんな戦いをするか見物だな・・・だけど今の状態ならこりゃ波乱を呼ぶかもな・・・
────冥界
俺はソフィアと黒歌を連れてサーゼクスさんのいる屋敷へと向かっている。移動手段?そんなの空飛ぶよ。魔法って便利だよな!
しかし冥界の空は不気味な色してるな・・・人間界とは違うから仕方ないとは思うが
だがその広さはとてつもない。下手したら地球のロシアの何倍もあるのではなかろうかと言えるほどだ。
まぁ異世界だから仕方ないんだけどさ
その中でも一際目立つ屋敷が見えてきた。その屋敷はサーゼクスさんがいるルシファーのお屋敷だ。確か以前は俺が転生したての頃に一度助けてもらったっけ。今日はお礼とともに別の事で会いに来た
あ、しっかりアポは取ってあるから大丈夫だぞ!さすがに同じ事はしない!
「やっぱデカいなぁサーゼクスさんの屋敷・・・流石魔王だな・・・」
「というか・・・良くアポ取れたわね・・・遊魔何かやったの?」
「まぁ・・・転生したての頃に一度助けてもらってな・・・」
良く考えればあの時の俺すごく運良かったよな。黒歌に会ったりタンニーンさんにここ教えて貰ったりサーゼクスさんに助けてもらえたりとかもうこれ豪運だろ・・・
「さてと・・・門の前に来た訳だが・・・普通に入っていいのかこれ?」
「普通こういう屋敷ってメイドさんとかがお出迎えするんじゃないかしら?」
「そんなもん・・・いや、あるわ。こっちに誰か来る」
「流石遊魔にゃん。もう察知したのね」
黒歌の言う通り、扉の向こう・・・屋敷の方から一人分のオーラを俺は感じとった。多分来たのはあの人だろうけど・・・
俺がそんなふうに考えてると扉が音を立てて開いた。開いた先には俺達にリアスさん達の特訓をお願いしてきたグレイフィアさんがいた。
「皆様。お待ちしておりました。魔王様がお待ちです。こちらへどうぞ」
「それじゃ、お邪魔します」
「おっじゃましまーっす!」
「お邪魔にゃーん!」
俺達はグレイフィアさんに付いていき、サーゼクスさんの屋敷に入って行った
みなさん良いお年をお過ごしくださいませ