その先の向こうには   作:峰白麻耶

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明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします


入学式3

入学二日目友人どころか知りあいすらいない俺はおかしいのか?そう思って周りを見渡すと少数派ではあるがポツポツと同じような人は居る。なら別に急ぐ必要はないとは今日もチョコ……ではなくキャラメルを食べてチョコとは違う甘さに歓喜する。午後に何としても見学したい三年生の授業があり俺はそれを楽しみにしていた。そして不思議なことにそんなときだけ時間というのは遅くなるものだ。工場の機械のように時間を過ごし昼ご飯は屋上で食べて遂にその時が来た。

 

昼ご飯を食べ終わり弁当箱をバックに入れて一番乗りで射撃場に来た。ここは遠隔魔法用の実習室で次の授業は三年A組の実技が行われる。そして俺がこの実技を見学したい理由は遠隔精密魔法の分野で十年に一人と言われる英才七草真由美が所属するクラスであるからだ。彼女は魔法もさることながら容姿も優れ生徒会長。否の打ち所のない優等生である。そんな人の実技を見学出来るなら是非したいだろう。俺もそうだ。

だが俺みたいな食べてすぐ来る奴は居なかったようだ。

 

昼休みが中盤にさしかかった頃。最初の人が来た。その人は俺を見て軽く驚いた表情をした後すぐに視線がある場所に向かった。肩だった。一科、二科を区別するのにはエンブレム。それは胸と肩にある。俺が振り返るときにエンブレムの有無を確認できるはじめの地点は肩。そこを見ていたのだ。俺が一科じゃないと分かると俺の付近に陣取る。そこから続々と人が来る。どちらかと言えば二科生の方が先に着てるのではないか?と思う。だが一科生が来ると何故か罰が悪いのかどんどん後ろの方へと行ってしまう。俺の付近に陣取っていた人もいつの間にか居なくなり俺の周りは一科生だけだった。明らかに好意的ではない純度百パーセントの悪意が俺を向くがその悪意は可笑しいと一周する。一科と二科差は魔法の指導に先生が付くかどうか。それ以外の立場は同じでありお前が見ても無意味だと言われようが関係ない。むしろ何故一科に譲るのかが謎だった。この学校はおかしい。二科が一科に譲りそれを当然とあるいは気にしない一科生も。

 

 

 

悪意の視線を受け流しながら見た三Aの実技。特に七草先輩の実技は他の三年より抜き出た物があった。でも自分が同じことを出来るか?と聞かれると出来ると俺は答えるだろう。そんな事を言えば暴動が起きかねないので黙って置くが

 

見学が終わり、さっさと帰るかと自分用のCADを取りに行く。学内でCADを持つことが認められるのは生徒会と一部の委員のみ。学外での魔法の使用は法令で細かく規制されてる。しかし学外でCADの所持が制限されてるわけではない。CADが無くても魔法は発動できるため意味がないからだ。だから自分のCADを持っている生徒は授業前にCADを事務室に預ける。正直に言えば面倒くさい事この上ない決まりだが決まっていることにケチをつけても仕方ない。事務室を訪ねCADを受け取り帰り道についた。いや、着こうとしたが着けなかった。何やら一騒動起こっているのか人だかりが出来ている。何とかすり抜け他と思ったら何と騒動の最前列でありE組のタイピングの確か司波とその他大勢が話して………前言撤回。喧嘩をしていた。メンバーを見ると入学式に俺を起こす原因となった新入生総代が恐らく中心。新入生総代は司波の近くに居る。………彼女?いや、兄妹の方が現実味がある。恐らく新入生総代と帰りたい一科と兄と帰りたい妹を保護する二科の構図か。

 

現状把握に勤めているといきなり大きな男の声がした。

 

「だったら教えてやる!」

 

そんな声の大きくしなくてもいいと心の中で毒づきながら目を向けると特化型のCADを抜き出そうとしている姿があった。正直、こいつは馬鹿だなと冷静に見ていた。CADを抜く手際、照準のスピード。魔法師の戦闘に慣れている動きだった。さっきこの男が言っていた教えてやる。それは殺し合いのことなのか?魔法師同士の戦闘に慣れているからこそ自分が持っている特化型のCADが人を殺せる拳銃と同じであると気づかないのか?色々と戦闘以外にも役に立つからかそんな感覚も薄れているのか?ある意味そんな考えの出来るこいつは羨ましい。そんな事を考える内に女子生徒が警棒を振り回し男のCADを吹っ飛ばしていた。女子生徒はいい腕を持っていると感心してるまもなく一人の生徒の態度がおかしいことに気づいた。そういう人間が次にどのような行動をとるか俺は把握していたのでその生徒がCADに指を走らせ魔法を構築し始めた瞬間に俺はサイオン弾を放った。俺のサイオン弾は生徒の魔法式を壊し魔法を不完全にさせた。そこから数秒後に

 

 

「自衛目的以外の魔法による対人攻撃は校則違反である以前に犯罪行為ですよ!」

 

 

そう我らが生徒会長のお出ましだった。しかも風紀委員もお出ましである。何をするのかは知らないがそこそこ偉いのは何となく分かる。そこからは司波が嘘をきれいに並べ起動式を意識して理解すると言う頭がわかしいことを言い(おおざっぱに言えばDNAの羅列を見てこれがどの生物か当てられると言うこと)これにより何もかも綺麗に収まると思いきや

 

「さっきサイオン弾を打ったのは君か?」

 

急に矛先が向いてきた。そうですよね分かりますよね。

 

「そうです。何か問題でもありましたか?」

 

俺はこう返す。横やりを入れたのは横において置いて悪いことはしていない

 

「いや……君が打ったサイオン弾に驚いただけだ」

 

サイオン弾で魔法式だけを壊す。言うだけならば簡単だが実行に移すには高い技術が必要だ。失敗すれば術者に影響を与えるか魔法式を壊せずに終わる。それを二科生が涼しい顔でやりのけたのだから驚いたと言うことだろう。

 

「射撃は得意なので」

 

七草先輩は軽く目を開き、風紀委員はニヤリと笑う。そして言った後で後悔した。これじゃ七草先輩に喧嘩を売ってるようだと。まあ良いかそれで怒る人ではないだろうし喧嘩を売るぐらいの力量は持ってる。と軽く解釈した。

 

 

「君達二人の名前は?」

 

俺と司波の目を見て問う

 

「一年E組司波達也です」

「一年E組鬼頭雪路です」

「覚えておこう」

 

反射的にやめてくださいと言いそうになったのは司波も同じだと信じたい。

 

 

 

 

二人の先輩が過ぎ去った後にため息を付く。一科の奴は何やら言ってるがそれを理解する気力はなく入学二日目から三年の先輩に目を付けられる事で疲れていた。司波目を向けると先にあちらが口を開いた。

 

「入学早々に目を付けられたな……」

「後でカツアゲでもされるのか?」

「そんな一昔前前の学園物みたいにはならないだろ」

 

はあと言うため息がまたもや同時にこぼれた。なんだかんだ苦労人気質なのかもしれない

 

「改めて司波達也だよろしく」

「鬼頭雪路だ」

 

自己紹介をして苦労を分かち合ってると

 

「司波くん災難だったね。あと鬼頭くんも」

 

そう言って来たのは俺の席の隣の隣の………確か千葉だ。名前がうろ覚えなのは気にしないでくれ

 

「ありがとう千葉さん」

「流石に隣の隣だから分かるよねー。じゃあこの子はわかる!?」

 

そう言って前に出したのは眼鏡の女子。確か……

 

「柴田さんだよな」

「おお!正解。でこいつは西城レオンハルトね」

「おい……何で俺だけ」

「そりゃーあんたは席遠いし影薄いもんねー」

「んだとこのアマ」

 

と夫婦漫才を繰り広げる。

 

「柴田さん。何時もこの二人こんな感じなの?」

「あ、あははー。そうですね。えっとよろしくお願いします鬼頭くん」

「こちらこそ」

 

と様子見しながら雑談してると一段落したのか

 

「俺は西城レオンハルト。レオで良いぜ」

 

なんというコミュ力流石だ。

 

「入学早々目を付けられた鬼頭雪路だ。俺も雪路で良いぞ」

「おうよろしく」

 

と言っているが言葉の端々に力がない。やはりさっきの一騒動で疲れてるのか、さつきの痴話喧嘩で疲れたのかはどっちでも良いが

 

「帰ろう」

 

と司波が言う。知り合ったばかりなのに俺も同じく誘われた。高校生とはこういうものか……。と思ったのもつかの間さっき俺魔法を妨害した生徒が出てきた。またやっかいごとか?と思ったがどうやら一緒に帰りたいとのことだった。度胸があるなと他人ごとに考えていたがすぐそんな考えは無くなった。何と隣に北山がいたからだ

 

 

 

 

 

 

「久しぶり」

 

北山がそう話しかけてくる。ついでに今どんな感じかと言えば司波の隣に総代と光井と名乗る人。俺がいたことに気づかなかったのか気づいて直ぐに謝ってきた。どうしてあんな集団に居たのか謎である。それに着くようにぞろぞろ並び俺と北山は最後尾だ

 

「久しぶりでもないだろ。二日ぶりだ」

 

そう返すとぼーと上を見てそうか……と呟き納得した風だった

 

「ありがとう」

 

突然そんな事を北山が言う。いきなりどうした?と思った

 

「鬼頭さんが何もしなければほのかは大変なことになっていた」

 

そのことか

 

「俺がしなくても生徒会長が何とかしたさ。ただ俺の方が少し早かっただけだよ」

 

七草先輩らしき足音が来ていたのは分かったしもう少しCADを操作するのが遅かったら七草先輩に任せていた。

 

「それでも」

「あ、ああ。どういたしまして?」

 

お礼を言われるのはどうも慣れずむず痒い。よほど光井と親しいのだろう。と言うよりあのときの足音は三井の事がと今更ながら合点が付いた。

 

 

そしてそれから沈黙が続く。俺があまり話す方でもないし北山もそうなのだろう。だが別に無理して話す必要もないし北山も恐らく気にしてないだろうと思った。それから少し歩くと

 

 

「そうだ」

 

と急に言い出す。北山は俺の肩をポンポンと叩く

 

「気にしてる?」

 

暗い顔で尋ねる。それは俺が初対面の時にやった北山に関わらないための理由付け。あの時は北山の連れに悪いと思っての行動だった。しかし当の本人はあれである。気にする必要は無かったようだ。

 

「してない」

「良かった」

 

とそういえばと念のための補足をしておくのを忘れてた。暗い顔だったから念のためだ。

 

 

「一応言うけど二科生だから避けていたんじゃなくて北山の連れ。要するに光井に気を使ったんだよ?」

 

というと少しだけだまり

 

「気を使わなくても大丈夫」

 

というと北山は光井を見る。

 

「あの通りだから」

 

その言葉に色々詰まってる感じがしたのは俺の気のせいだろうか

 

 




今回は原作のメインメンバーとの絡み、そして久しぶりの雫さんです。雫さんの言葉は色んな意味で取れるのが読者としては美味しいと思います。作者の想像道理に受け取って貰えるか少々不安です。結論を言えば雫さんは可愛いで済みます。


今年も亀更新ですがこの劣等生、ごちうさを進めていくのでよろしくお願いします。



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