今日の部活勧誘の時間が終わり、俺は、風紀委員会に戻ってきた。とはいっても、木刀を置いたら、報告のために、部活練に行かないといけない。面倒だ。自分のカバンを探し出しその中から、チョコが入ったパウンドケーキを取り出した。やっぱり疲れた後は糖分とカロリー摂取だね。さっさと報告をしたら夕飯を食べよう。今日は・・・餃子にでもしようかな。冷凍だけど。そう思いながらカバンを持ち部活練へ向かう。流石、部活勧誘期間中。勧誘が終わった部活がまだ残って帰り支度をしている。そんな中でも、残業で残っている俺は、なかなかえらいと思う。くだらないことを考えながら歩けばすぐに部活練に到着。さっさとノックをして中に入る。
部屋を見ると丁度、達也と委員長、生徒会長。そして、部活練会頭の十文字克人先輩が話しているところだった。四人は、丁度、闘技場での剣術部と剣道部の乱闘騒ぎの件で話している。そう言えば、丁度俺が、違反者を連行中に、闘技場で、乱闘騒ぎがあった。その取り締まりをしたのが確かに達也だった。けが人がいるからとタンカを要請がされたがあいにく連行中だったから、無視・・・ではなく行けなかったのだ。四人は、ドアを開ける音に築いたのかこっちを見ている。言っては失礼だろうが、今までの姿を見ていると会長は、威圧感というか威厳というかそういうのを感じない。まあ、一科生とのいざこざの時は別だが。もちろん十師族として優秀なんだが・・・そう雰囲気が緩いのだ。だが、部活練の会頭である十文字克人は、高校生とは思えない風格がある。制服なんか来てなければ、年上のしか見えないだろう。どうすればこんな高校生が出来上がるのか教えてほしい。
「お疲れ様です」
俺がそう言うと、会頭は委員長と会長に聞いたのか、はたまた俺が腕章をつけていた甲斐あっておれがすぐに風紀委員だとわかるとお疲れと返した。外見は山男みたいだが意外といい人そうである。会頭がそう言うと続けて三人も。
「あっ。ゆきちゃんおつかれ~」
「おう、戻ったか。お疲れ」
「お疲れ雪路」
三者三葉だが労いの言葉が帰ってくる。素直に存在感を出すためにあと少し身長が欲しい。会頭か達也もしくはレオに分けてもらえないだろうか。だから会長にゆきちゃん呼びされるんだし、会長のゆきちゃん呼びが定着しているんだ。しかしもう俺は、もう諦めていた。あの先輩が涙目で一年間、懇願してきたのにいまだに呼び方も変わっていないのだ。口には出さないが頑固な部分がありそうなので、気にしたら負けだろう。きっと。せいぜい我慢は一年だ。
「話しは終わったんですか?」
実際は、話していた内容は聞こえていたし、終わったことは知っていたけど念のためだ。
「ああ。ちょうど今終わったところだよ」
委員長がこっちを向いてそう言う。
「それなら俺の方も報告です」
それを言った後、俺は今日逮捕した人たちの言い分をまとめて報告した。
「分かった。お疲れ様雪路くん」
俺があらかた報告すると委員長がうなずき、
「ふむふむ。私の目に狂いはなかった。達也くんは闘技場で大人数を相手に攻撃せずにあしらい、雪路くんは、一科生二人を相手に、木刀で瞬殺。二人共やるじゃないか。どうだ?私と模擬戦してみないか?」
委員長がウキウキ、ワクワクと好戦的な目でこっちを見る。誰がこの学校で三巨頭なんて言われてる人と模擬戦なんかやるもんか。冗談じゃない。
「まったく、摩利ったらやめなさいよ。達也くんは死んでも死ななそうだけどゆきちゃんの顔に傷が付いたらどうするのよ。お嫁さんに行けなくなるわよ」
「俺は、今のところ女になる予定もお嫁に行く予定もありませんが?会長がそんなことを言うと、委員長が凄く悪い意味でのいい笑顔を浮かべる。
「そうならないように気を付けるさ。無論、万が一があったらその時は・・・」
と言って俺のそばまで近寄り人差し指を首からツーとなで顎までもっていき、顎をグッと上げると女性の方々でも惚れるハスキーボイスで「私がもらってやるさ」といった。
・・・えーと、何この茶番?残念ながらかっこいい女性っていうのは昔に慣れている。前にも言った花蓮の姉の月見だ。まあ・・・あれはかっこいい?という場面もあったが豪快、ワイルド?の方がしっくりくると思うけど。まあ違いはあんまりないだろう。
という訳この攻撃は無効。取り敢えず反撃で表情を一切変えずに委員長をじっと見つめる。顔はさっきの決め顔のままだが、俺から反応がない事に徐々に顔がひきつっている。さらに見つめ返し、委員長の反応を見ると・・・
「あはは。摩利ったらおかしい!私がもらってやるさ・・・だって!あはは」
と会長が笑い始めた。会長・・・あんたがけしかけたんだろ。思わずそう敬語が抜けた突っ込みが出そうになった。
「真由美が始めたんだろ」
と不機嫌そうに呟く委員長だが、乗ってきたのは摩利じゃないという返しに撃沈した。うん、ごもっとも。委員長が乗って自爆しただけだ。
「あー。ゆきちゃんなかなか手ごわいわね」
といたずらっ子が浮かべるような笑みを浮かべた会長の後に、今まで蚊帳の外だった達也のもう帰っていいですか?という声が妙に響いた気がした。
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達也が終止符を打った茶番劇の後俺たちは、部活練から出て、今は達也と歩いていた。
「俺は生徒会室に戻るけど雪路はどうする?」
そう言って達也が言うがどうしようか。別に生徒会室には、用はない。恐らく達也は、生徒会室に妹さんを迎えにいくつもりなんだろう。どうせだし付き添いますか。そう考えた時だった。制服の内ポケットに入っている携帯が振動した。それは、前に達也と連絡を取った方ではなく仕事の方のガラケーだった。俺は、口から出てきかけたついていくという言葉を飲み込んだ。
「もうすぐ、スーパーの特売だから帰るよ」
俺は、俺は達也にそう答えていた。
一か月ぶりの更新ですがいかがだったでしょうか。委員長、会長雪路の会話は、書き途中に思いついて入れたんですが、面白いと思ってくれたら嬉しいです。
作者的に雪路と雫の場面を増やせればいいんですけど・・そうもいかずというやつです。次話は、雪路の仕事のお話です。ちょくちょく雪路の過去にも少し触れるかな?
最後に更新については、作者の気分と忙しさに左右されます。気長に待ってください。お願いします。
誤字脱字感想アドバイスなどあればお願いします。