その先の向こうには   作:峰白麻耶

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キャラぶれ、魔法理論など不備は出来るだけ起きないようにしてますが暖かい目で見てください


入学式1

魔法。

 

魔法が現実となりフィクションでなくなったことはそこまでも遠く無い過去である。魔法と言う物が技術体系化し、世界各国は魔法師の育成に乗り出した。日本もその一つである。

 

魔法師の育成機関である国立魔法科大学附属第一高等学校では入学式が今日行われる。

 

二十分前となり新入生の誘導に慌ただしく在校生があっちこっち忙しく動き回ってる。が珍しい人も居るようで人気のない桜の木の下で熟睡に近い状態で寝ている男が一人。暗い灰色の髪を春の暖かい風がなびかせ、体に付いた桜の花弁が飛んでいく。付いてる量を見ると長時間そこに座り寝ていることが分かる。丁度入学式が始まる一五分前。二人の少女が来て一人は小走りにどこかえ行った。もう一人の少女はふらふらと視線を泳がすと男が居ることに気づいた。もう一人の少女が戻ってくるまでの暇つぶし、あるいは善意、もしくはこんな所で眠ってると言うことに興味を持ったのか少女は男の方に近づいた。男が起きたのはそのときである。

 

 

 

俺は誰か近づいてきた気配がして目を覚ました。昨日は急な呼び出しのお仕事があり、帰宅時間が今日の午前六時。もうね。徹夜だね。いくら高校生になって不規則な生活が慣れてると言ってもつらくない訳じゃないんだよ?てか入学式前日に呼び出さないでくれよ……なんて文句の言える立場でないけど既に過ぎ去ったことだし早めに高校に付いてギリギリまで寝る決意はしっかりした。お陰様で二時間キッカリ寝ることができ少しはスッキリした。

 

しかしながら目の前の少女は何だ?まるで俺を未知の珍獣のように見ているんだが?

 

「何でそんなところで寝てたの?」

 

落ち着いた声で聞かれる。確かに誰も好き好んでこんな場所で寝ないしな。強いて言うなら

 

「そこに寝れる場所があったから」

「どこかで聞いたことがある…」

 

そこに山があるからですね分かります。

 

「凄い桜の花弁付いてるよ?」

「おお。本当だ。さすがに二時間も寝ればそうなるか……」

 

頭、制服に付いた桜の花弁を払うとまたもや

 

「よくこんな場所で寝れる」

 

確かにいい寝場所とは言えない。運が悪ければ物を取られる。が俺は気づくからノープロブレム。それにお仕事がらこう言うのは慣れている。つまり

 

「俺が寝れない場所はない」

「それは羨ましい」

 

表情が余り動かないが少しの変化と声のトーンで本気で羨ましがってるのが分かった。確かに少し眠そうだ。

 

「私は北山雫」

 

少女、北山はいきなりそう言ってきた。口下手なのかよくわからないが恐らくあなたは?と言うのが省略化されてるんだろう。

 

「俺は鬼頭 雪路だ」

 

そう言うと北山はほっとした表情になった。まあ、省略のしすぎで意味が伝わるか焦ったのだろう。多分。だが恐らくこの名前を呼ばれることももっと言えば北山と関わることも無いだろう

 

「ねぇ。もう少しで友達が戻ってくると思うんだけど一緒に行かない?」

 

恐らくその友達と言うのは今丁度小走りでこっちに向かってる人だろう。だいたい後四十秒くらいで来るだろう。少し待てばいいだけ。この少女と話すのも悪くない。

 

だが俺は胸をトントンと二回叩いた。そこには北山にはある才能の象徴とも言える八枚花弁のエンブレムがない。一科生と二科生。ブルームとウィード。入学した時からもう優等生と劣等生はいる。将来が期待され教員の直接指導が受けられる一科生と自力で這い上がらなければ行けない二科生。二科生をウィード。つまり雑草呼ばわりすることは差別用語として禁止されている。しかしそれが校内で使われているのは悲しいかな。今朝通りすがりに言われたしな。一科生は二科生を見下す傾向がある。この北山と言う子は違うだろうけど少数だ。二科生と共にいることはマイナスでしかない。北山の連れにも悪いだろう。

 

 

俺は早歩きでその場を去った。歩きながら制服に入れておいたチョコを五つ食べながら、端末を取り出して学内地図を見ながら会場に足を進めた。

 

 

 

 

 

寝不足だったせいかただ眠れそうな場所を求めゾンビのように学内を歩いていたから中をよく見てなかったが………金がかかってる。まるで大学のキャンパスだな。これで高校なら大学はこれ以上か……。と驚いてるうちに会場に到着。目の前に広がるのは一科と二科の亀裂がよくわかる。自由席なのに一科と二科がきれいに分かれてるしな。

 

二科で一科の席に座る猛者がいるかと探すか流石に居なかった。勿論俺もそんなことはしないので適当に腰を下ろした。予定に目を通して入学式が一時間くらいかかることにうんざりするが寝て過ごすように決め五分前に起きようと眠りについた。

 

 

 

 

がざわとした音が一瞬響きそれのせいで目を覚ます。その原因を探ろうと目線を回すとすべて視線が壇上に向いてる。諸悪の根元に目線をやればざわつくのも納得な美少女がいた。時間と照らし合わせると新入生総代の挨拶の時間。あの美少女が新入生総代か……。うん、要するに俺には関係ない。

 

俺はまた来た睡魔に身を委ねた。

 

 

 

 




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