東方妄想譚 ~ドタバタ☆私立幻想学園~   作:さとゴン

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 6月16日に第五話の図書館の蔵書量を改訂しました。


第7話  顔合わせで修羅場

 

 「ふはぁ、今日の授業はこれで終わりか。」

 

 僕の記念すべき初授業は特に問題もなく終了した。

 

 いやぁ、外の世界はホントに進んでるなぁ。授業中に何度も驚きの声を上げちゃったよ。

 

 「き、叶也。」

 

 そんなことを考えていると妖夢が声をかけてきた。

 

 「妖夢?なんかあったの?」

 

 なんだか少し顔が怖い。僕、何かしたかな?

 

 「あの、えっと、…が、学級委員同士、親睦を深めるためにも、い、い、一緒に帰りませんか!」

 

 何だそんなことか。いきなりものすごい形相で来るから何事かと思ったよ。

 

 「ああ…お誘いは嬉しいんだけど、今日は図書委員の集まりがあるから。」

 

 「そう…ですか。呼び止めてしまって、すいませんでした。」

 

 「こっちこそごめんね。」

 

 「じゃあ私は帰りますので、また明日。」

 

 とぼとぼと帰路に着く妖夢に僕はバイバイと言った。

 

 予定があるとはいえ、なんだか悪いことしちゃったかな。

 

 「さてと、じゃあそろそろ行こうかな。」

 

 「あっ、待ってください叶也さん!」

 

 突然誰かに呼び止められた。

 

 「はいはい、だれですか…って阿求さん?」

 

 「図書委員の集会に行くのなら一緒に行きましょう。」

 

 「えっ?じゃあ阿求さんも図書委員?」

 

 「はい、そうですよ。というかなんで知っていないんですか。」

 

 「あはは、すいません。ちょっと寝てました。」

 

 勝手に副学級委員にされたから、ホームルームの間ずっと不貞腐れてて聞いてなかったとは言えない。主に僕が恥ずかしいから。

 

 「しょうがないですね。昨日は遅くまで起きてたんですか?夜更かしは身体によくないですよ。」

 

 どうやら僕の嘘を信じてくれたらしい。…少し心が痛む。

 

 そのまま僕たちは雑談をしながら図書館へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ふう、着いた。なかなか遠いね。」

 

 「そうですね。私も少し疲れました。」

 

 身体が弱い阿求さんには少しきついだろうか。少し息切れしている。この学園はとにかく広いからなぁ。

 

 それにしても…ホントに大きな図書館だな。この学園内でも一際でかい。見た目は古いがぼろい感じではなく、年代を感じさせる厳かな雰囲気を醸し出している。

 

 流石に千万冊以上の蔵書量を誇るだけのことはある。

 

 阿求さんの呼吸が落ち着いたのを確認して図書館の中に進んでいく。

 

 図書館の中は特にすごい。本、本、本、そして本。言うなれば本の森だ。どこを向いても本棚だ。いくらジャンルごとに分かれていても、ここから目当ての本を探すのは難しそうだな。

 

 キョロキョロとあたりを見ながら歩いているといつの間にか集会がある部屋の前に来ていた。

 

 「じゃあ、入りましょうか…ってあれ?阿求さん?どこですか?阿求さあああああああん!!」

 

 し、しまった。いつの間にかはぐれてしまった。うわぁ、やっちゃったよ。これは後で阿求さんには土下座で謝りまくるしかないな。

 

 とりあえず、部屋の中で待つか。場所は分かってるんだし、そのうち来るはず。

 

 ガチャリという音を立てながら扉を開ける。

 

 それなりに早く来たつもりだけどちらほら人がいるね、ってあれは

 

 「あら、今年も図書委員になったのね。」

 

 「やあ、パチェ。君も来てたのか。」

 

 そこにいたのは僕の友達の一人、動かない大図書館、七曜の魔法使いなどたくさんの二つ名を持つ少女、パチュリー・ノーレッジだ。

 

 「当然よ。まだまだ読んでない本がたくさんあるもの。」

 

 「はは、パチェらしいね。」

 

 パチェとは愛称を許してもらえるほどに仲が良い。というか僕は紅魔館の人とは基本的に仲が良いんだけどね。霊夢や魔理沙と違って異変が起きる前から知り合いだったし。まあ、そこら辺の話は別にいいか。

 

 「それにしても、パチェは一人?同じクラスの人はいないの?」

 

 「ええ、私一人よ。図書委員は各クラス一人以上だから問題はないわ。」

 

 「え?一人以上?」

 

 「そうよ。あなたも去年一人だったじゃない。」

 

 「そ、そうだったね。うっかり忘れてたよ。」

 

 ということは霖之助先生が持ちかけた取引はもともと必要ないじゃんか。…なんか二重に損した気分だ。

 

 「そういうあなたは他にいないの?」

 

 「えーと、実は途中ではぐれちゃって…。たぶん後で来るよ。」

 

 そんな話をしていたら、部屋の扉があいた。阿求さんが来たかな?

 

 視線を扉に向ける。そこにいたのは緑の髪に背中の羽が特徴的な女の子。

 

 「えっ?大ちゃん!?」

 

 「あっ、叶也さん!!」

 

 まさかこんなところで大ちゃんと会おうとは。

 

 「私、叶也さんと同じ学校に入れたんです!これからよろしくお願いします!」

 

 「それは凄いね。よく頑張ったよ。」

 

 少し興奮気味の大ちゃんの頭を撫でながら褒めてあげる。実際どれくらい凄いのかはわからないが、まあそれは気にしない方向で。

 

 「えへへへへ。」

 

 幸せそうな顔で笑う大ちゃんはとても可愛かった。…一応言っておくけど僕はロリコンじゃないよ。

 

 「ちょっと、叶也。少し女の子にべたべた触りすぎじゃないかしら。」

 

 おっと、それもそうか。僕は大ちゃんから手を放した。

 

 「あっ…。」

 

 僕が頭から手を放すと大ちゃんは残念そうな顔をした気がする。

 

 「ところでそこの妖精とあなたはどんな関係なのかしら。」

 

 「うんまあ、遊び仲間って奴かな。」

 

 「そうなんです、よくチルノちゃんやルーミアちゃんたちと一緒に遊んでもらったんです。」

 

 たぶん、この世界では近所の優しいお兄さんポジションだったんだろう。幻想郷でもそんな感じだったし。

 

 「そういうあなたこそ、叶也さんとどういう関係なんですか!」

 

 パチェを見る大ちゃんの目が少し怖い。なんというか敵意みたいなものを感じる。ちょっと違うか?

 

 「そうね、簡単に言えば親友かしら。」

 

 えっ!まさかパチェがそんな風に思ってたなんて!最近は、もしかして動くサンドバックかなんかと勘違いしてるんじゃないかって思うくらいきつい魔法の実験に付き合わされたりしてたけど、あれも信頼の表れだったんだね!!

 

 「………友情と知的好奇心は別物なのよ。」

 

 「えっ、なんか言った?」

 

 「別に何でもないわ。…それより今の答えで満足かしら。」

 

 今度はパチェが大ちゃんを睨み返す。

 

 …なんか怖いな。誰か助けてください。

 

 「はあ、やっと着きました…ってなんですかこの状況!?」

 

 混沌としてきた空気を吹き飛ばすように阿求さんが戻ってきた。

 

 これで少しは状況が好転するだろうか…。

 

 

 

 

 





 どんどんハーレムタグに恥じない状況にしていきますよ!!

 次回もお楽しみに!

 

 ご意見、ご指摘、ご感想、お待ちしております<(_ _)>

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