東方妄想譚 ~ドタバタ☆私立幻想学園~   作:さとゴン

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遅くなってしまい申し訳ありません(>_<)

今回もなんだか説明回っぽいです

なかなかコメディっぽい話が書けなくてもやもやする今日この頃。


図書館の蔵書量を改訂しました。


第5話  私立幻想学園

 

 

 

 私立幻想学園

 

 男女共学の中高一貫校

 

 全寮制

 

 施設も充実しており、特に千万冊以上の蔵書量を誇る大図書館は全国的にも有名である

 

 我が校では生徒の自主性を重んじており、行事においては生徒会や実行委員会が中心となって行われている

 

 また当学園ではスペルカ…

 

 「何読んでるんだ、叶也?」

 

 「ん?うちの学校のパンフレット。」

 

 今は学校の帰り道。

 

 記念すべき登校初日を終え、今は幼馴染二人と帰宅中だ。

 

 ちなみに男子寮と女子寮は隣同士なので帰り道は同じ。

 

 「なんで今更そんなもの読んでるんだよ。」

 

 「あー、それは…。」

 

 どうしたものかな。とっさに言い訳が思いつかない。

 

 別に事のあらましを全て話してもいいんだけど、そしたらこの二人は異変を解決するために何をするか分からないし。

 

 紫さんが諦めたものをどうこうできるとは思わないけど、そのせいで学園生活が破綻したら困る。主に僕が。

 

 「そ、そんなことよりちょっと霊夢に聞きたいことがあるんだけど。」

 

 「なによ。」

 

 「あのさ、うちの学園って全寮制でしょ。」

 

 「そうね。」

 

 「しかも男女別々の寮だよね?」

 

 「そうね。」

 

 「じゃあなんで今日の朝、僕の部屋に入ってこられたの?」

 

 これはパンフレットを読んでからずっと気になっていた。

 

 基本的に男子は女子寮に入れないし、女子は男子寮には入れない。

 

 「きちんと寮の管理人に許可を取ってあるからに決まってるじゃない。」

 

 「でも普通は簡単に許可が下りたりしないでしょ。」

 

 僕がそんな風に聞くと、霊夢は少し微笑みながら答えを返してくれた。

 

 「そんなの簡単よ。管理人の人とじっくりオハナシしただけ。」

 

 …たぶんそのおはなしには肉体言語が使われている気がする。なんでか分からないけどそんな気がした。

 

 「まあ、霊夢がむちゃくちゃなのは昔からだぜ。今更、何を言ったって変わらないと思うぜ。」

 

 魔理沙の言うとおり、気にしたら負けだな。僕も朝は弱いから助かるし。

 

 なんでそこまでして起こしに来てくれるかは少し気になるけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 十分ほど歩くと学生寮に辿り着いた。

 

 霊夢たちとは先ほど別れ、今僕は自分の部屋の前にいる。

 

 「どうしよう、鍵忘れちゃったよ…。」

 

 寮の扉は全てオートロック。今朝慌てて部屋を飛び出してきた僕は、部屋の中に鍵を置きっぱなしにしていた。

 

 「はあ、しょうがない。管理人さんに開けてもらうか。」

 

 確か管理人室は一階にあったはず。入り口付近にあったのを見かけた。

 

 「それじゃ、管理人室に行くか。」

 

 「その必要はないよ。」

 

 突然僕の部屋のドアが開いて、中から誰かが出てきた。

 

 背丈は小学生くらいで、二本の角が特徴的。

 

 屈強な鬼の中でも四天王の一人に数えらえる幻想郷屈指の武闘派。

 

 伊吹萃香さんがそこにいた。

 

 「って、なんで萃香さんが僕の部屋から出てくるんですか!」

 

 「なんでって、あんた部屋の中に鍵を忘れてただろう?はい、次からは気を付けなよ。」

 

 そう言いながら萃香さんは僕に鍵を手渡してきた。

 

 「あっどうもありがとうございます、…じゃなくて!なんで鍵忘れたこと知ってるんですか!それにどうやって部屋に入ったんですか!」

 

 「細かいことはいいじゃないか。これで問題は解決、叶也も助かったんだから文句は

ないだろう。」

 

 瓢箪に入ったお酒を飲みながらそんなことを言ってくる。

 

 僕のプライバシー的には大問題なんだけど、今回は助けられたし文句もいいづらい。

 

 「でもなんで萃香さんが男子寮なんかにいるんですか?」

 

 「何言ってるんだよ。私はこの寮の管理人なんだからここにいるのは当然じゃないか。」

 

 ………えええええええええ!萃香さんが管理人!ここ最近は博霊神社でゴロゴロしてる姿しか見せていなかった萃香さんが管理人!!

 

 この人にそんなことができるのか?

 

 「ホントに大丈夫かい?疲れてるんだったら、とっとと部屋に入って休んだほうがいいよ。それじゃあね。」

 

 心配そうな声を残して、萃香さんはその場から忽然と姿を消した。…ああ、もしかして能力で部屋に入ったのかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「…ふう。」

 

 部屋に入って一息つく。

 

 何となく設備の確認をしてみる。

 

 テレビやエアコン、洗濯機などの家電も充実している。

 

 風呂とトイレは別々で、キッチンも立派なものだ。

 

 寮には食堂もあるが厨房に声をかければ食材を分けてくれるらしく、自分で作ってもいいらしい。

 

 この世界にはあまり詳しくないがこれはかなり素晴らしい寮なんじゃないかな。

 

 …それにしても、明日からいよいよ授業かぁ。

 

 というか、僕は今二年生なんだよね。

 

 今まで勉強してなかったのに大丈夫なのかな?

 

 それに、この世界での人間関係も分からない。

 

 霊夢や魔理沙とはこっちでも同じような関係だろう、…たぶん。

 

 流たちとも幻想郷にいた時と変わらず友達だった。

 

 でも他のみんなはどうなんだろう?

 

 僕はこの世界で上手くやっていけるだろうか?

 

 「その悩みは私が解決してあげるわ!」

 

 「うわああっ!」

 

 「あら、女性の顔を見て悲鳴を上げるなんて失礼ね。」

 

 「ゆ、紫さん。これも毎回言ってますがスキマを使って突然目の前に現れるのはやめてください。」

 

 ほぼゼロ距離の場所に突然現れたのは、今は校長先生をやっている紫さんだった。

 

 「あなたにこの世界のことを教えてあげるためにわざわざ来てあげたんだから許してちょうだい。」

 

 ウインクしながらそんなことを言ってくる。

 

 「この世界のことなら朝に聞きましたよ。」

 

 「追加情報よ。あの後また調べてたの。」

 

 さすが紫さん、いつもは胡散臭い雰囲気をまき散らしていてもいざという時には頼もしいな。

 

 「何か失礼なこと考えてないかしら。」

 

 「いえ、ちっとも。」

 

 「まあいいわ。分かったことは一つだけ。この世界での人間関係についてよ。」

 

 ちょうど僕が考えていたことの一つだ。

 

 「全員について調べたわけじゃないから断言はできないけど、おそらく幻想郷にいた時の知り合いとはそのままの関係だと思うわ。」

 

 「と言いますと?」

 

 「つまり、もともと姉妹だった者はもちろん姉妹のままだし、もともと仲の悪かった者はこちらでも中が悪いまま。幻想郷にいた時とほとんど変わらなかったわ。」

 

 「なるほど。じゃあ霊夢や魔理沙とは幼馴染のままなんですかね?」

 

 「そうみたいね。調べてみたけど幼稚園の時から一緒にいたみたいよ。」

 

 それを聞いて一安心だ。これで知り合いには臆せず話しかけることができる。

 

 「それとあなたの学力の件だけれども。」

 

 「はい。」

 

 「あなた、あれが何だか分かるかしら。」

 

 そういって紫さんはあるものを指差した。

 

 「何ってテレビですよね。」

 

 「ええ、そうね。じゃあちょっとそれの電源を入れてくれないかしら。」

 

 「いいですけど…。」

 

 僕はテレビに近づき、スイッチを入れる。

 

 紫さんはいったい何をさせたいんだろうか?

 

 「やはりね。たぶんあなたは授業にもついていけると思うわ。」

 

 「えっ?どういうことですか?」

                         ・・・・・・・・・・・・・・・・

 「あなたは今テレビを問題なく使うことができたわ。今まで一度も使ったことが無いのに。つまりそういうことよ。」

 

 「あっ、そういうことですか。」

 

 僕の中でも納得がいった。つまり…

                      

 「そう、つまりあなたの中には既にこの世界で暮らすための知識があるの。おそらくあなたの能力のおかげね。だから中学一年までの学習もすべてあなたの頭の中に入っているはずよ。」

 

 さすがはチート能力。アフターケアまで万全か。

 

 「というわけであなたの悩みは解決ね。」

 

 …なんで心の中で呟いていた悩みが分かったのだろうか。

 

 「じゃあ、本題に入るわね。」

 

 「本題?追加情報を教えに来てくれたんじゃないんですか。」

 

 「それはあくまでついでよ。実はあなたに忠告しに来たのよ。」

 

 何事だろうか。まだ何もやらかしていないはずだけど。

 

 「この世界について、誰にも言わないでほしいの。」

 

 「はあ。元から言いふらす気はありませんでしたけど、理由を聞かせてもらっても?」

 

 「まあ、一つは混乱を防ぐためね。で、もう一つはあなたが狙われるかもしれないからよ。」

 

 「僕が?」

 

 「ええ、これほどの力を持っているんですもの。何かに利用しようとするものが現れてもおかしくないわ。」

 

 なるほど、そういう可能性もあるのか。

 

 「わかりました。絶対にだれにも話しません。」

 

 「よろしい、じゃあ私は帰るわね。」

 

 そう言うと紫さんはスキマを通って帰って行った。

 

 僕はなんとなくベッドに飛び込む。

 

 それにしてもなんだか疲れたな。やっぱり初めての学校だったから自分で思うよりも緊張していたのかもしれない。

 

 明日も学校かぁ。楽しみだなぁ。

 

 

 

 

 僕は意識を手放し、そのまま眠ってしまった。

 

 

 

 

 




今回の話をまとめると、
 
  『フラグはこれから立てるんじゃない、既に立っているんだ!』

ということですね。





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