コメディーのはずなのにタイトルがバトル系みたいになっちゃった…。
今回は文字数が少ないです。
「ぐへっ!!」
いたたたた、まったく今度はなんだってんだよ。目まぐるしほどに状況が変わりすぎて頭が追い付かないよ。
「やっと見つけたわ、叶也。」
いまだに状況が呑み込めない僕にいきなり声がかかる。
とは言ってもあんな風に連れ出されれば、考えなくても誰の仕業かは分かるんだけどね。
「やっぱり紫さんでしたか。毎回言ってますがせめて声をかけてからスキマ使ってくださいよ。」
そこには僕の育ての親とも言える人…じゃなかった、妖怪の八雲紫さんが椅子に座ったまま僕を見ていた。
「はいはい。次はちゃんと声をかけるわ。」
このやり取りも何度目だろうか。少なくとも百を超えている自信がある。
最近は綺麗に着地できるようになったのだが、どうも浮かれていて気が緩んでしまったようだ。
「ところで紫さん。僕を探していたようですが、何か用ですか?」
「ええ。勿論今回の異変についてよ。」
異変?もしかしてこの世界は僕の夢ではなく誰か妖怪が異変を起こした結果生まれた世界だということだろうか?
世の中には素晴らしい妖怪がいるんだね!もう少しこの異変は放っておいてもいいんじゃないかな!!
…さすがに不味いか。これほどの世界を生み出すほどの妖怪だ。放っておいたら何をするかわからないしね。
「で、今回はどういった異変なんですか。」
「それを確認するためにあなたを呼んだのよ。」
「呼んだというか、攫われたというか…って僕に確認?」
いったい何を聞くというのだ?いくら外に憧れててもこんな異変は起こさないけどな。というか起こせない。
「あなた、異変が起きる前に何をしていたの?」
「えっと、博霊神社で霊夢と魔理沙と雑談してました。」
僕が何かやっちゃったのだろうか?とはいえ変わったことは何もしてないしな。
「その前は?」
「博霊神社の蔵の掃除をしてましたけど…あ゛っ。」
ま、まさかあれか。蔵の中で見つけた真っ黒い珠、触っていたら壊れちゃったあの珠か!結局何も言われなかったから忘れてたけど、もしかしたらヤバい妖怪でも封印されてたのかも…。
「あのー、実は蔵の掃除中に真っ黒い綺麗な珠を壊しちゃったんですが…。」
「黒い珠?」
「は、はい。なぜか知らないけど手の上に乗せたら、突然粉々に壊れちゃって。」
「…そういうことね。」
どうやら紫さんの中で結論が出たらしい。いったい何者がどういう意図でこの異変を起こしたのだろう?できれば僕にお咎めがありませんように…。
そんな風に僕が祈っていると紫さんは神妙な顔をして言葉を発した。
「今回の異変を起こしたのは…叶也、あなたよ。」
「ふむふむ、なるほど。」
今回の異変は僕が起こしたのか。まさか僕が異変を起こすとは夢にも思わなかったよ。さすがにこれは他のみんなも気づけないだろう。
「って、僕!?え?え!?なんで僕!?確かに僕はそこそこ強いほうだけど、こんな異変は起こせないし!起こせないから、起こせないはずなんだよ!」
「落ち着きなさい。今回の異変があなたの能力によって起こされたものであることは間違いないわ。」
「僕の…能力?えと、僕は確かに‘力’はあるけど、幻想郷のみんなが持つような能力は持っていなかったはずでしょ?ましてや異変なんて起こせるはずがないです。」
そう、僕にはよくわからない力がある。魔力でもなく妖力でもなく霊力でもない何か。ちなみに僕はこの力を‘エネルギー’と呼んでいる。
この力は不思議なもので魔力や妖力などに近い性質も持っているため、僕は魔法や妖術を使うことができる。しかし、近いだけで決して同じではない。とにかく不思議な力なのである。
「…そうね。そのことを話すにはあなたの生い立ちから話さなければいけないわ。あなたも大きくなったし、この機会に全て話すことにしましょう。」
何やらシリアスな香りがするな。ならばその前に一つ聞きたいことがある!
「あのー、紫さん。」
「何かしら?」
「僕の能力の名前ってなんていうんですか?」
やっぱり気になるよね!僕の知り合いは大体能力持ちだったし。霊夢や魔理沙はともかく、流たちが持ってるのに僕が持ってないことは悔しかったからね。
「分かったわ、教えてあげる。」
ドキドキワクワク、できればかっこいいのがいいな!
「あなたの能力は…
‘自分の願望を叶える程度の能力’
よ。」
「………は?」
想像を絶するその能力を聞いた僕は、驚きのあまりしばらく呆然としていた。
次回はシリアスっぽくなるかも…。
というかこの作品はちゃんとコメディーできているのだろうか。
御意見、御指摘、御要望お待ちしております。