東方妄想譚 ~ドタバタ☆私立幻想学園~   作:さとゴン

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皆さんの感想の中にレミリア様の喋り方がおかしいというものがいくつかあったので
今回は試験的に口調を変えてみました
もしこちらの方がよいという意見が多ければこちらに直します


第26話  波乱の幕開け

 

 

 「では、球技大会のメンバーを決めたいと思います」

 

 教室に学級委員である妖夢の声が響き渡る。

 

 現在はホームルームの最中。近々催される球技大会に向けての話し合いが行われていた。

 

 因みに僕は副委員として板書を担当してます。

 

 「ではまず行われる競技をあげていきます」

 

 それにしても球技大会かぁ。外の世界のスポーツは知識としては知ってるけど、実際にやるのは初めてなんだよね。ふふふ、今から楽しみだ!

 

 「まず男子競技、野球。レギュラー九人に控えは最高で四人までです」

 

 野球。サッカーやバスケと並んで人気があるスポーツだよね。一度はやってみたかったんだよ!

 

 「次に女子競技、バレーボール。レギュラー六人に控えが三人まで」

 

 カツカツと音を鳴らしながら黒板に書いていく。しかし学級委員らしいことするの久しぶりだな。

 

 「次は男女混合の競技、ドッジボール。レギュラー十人、控え四人」

 

 へえ、男女混合の競技とかあるんだ。まあうちの学園の女子は下手な男より強い人ばっかりだしね。ドッジボールもやってみたいなぁ。

 

 「そして最後は男女混合競技………弾幕ごっこ」

 

 バキリッ!

 

 突然飛び出した場違いな単語に驚き思わずチョークをへし折ってしまった。いや、まさか僕の聞き間違いだよね。

 

 「ごめん妖夢、今なんて言った?」

 

 「…?なにって弾幕ごっこですよ」

 

 な、なぜえええええええええええええええ!?なんで、どうして弾幕ごっこ!!?

 

 球は球でも弾じゃん!球技じゃないじゃん!!

 

 「ぽかんとしてどうしたんですか?早く書いてくれないと続きが読めないんですが…」

 

 「う、うん。ごめん…」

 

 フリーズしてしまった僕を妖夢が訝しげな目で見てくる。

 

 これも世界を無理矢理変えた影響か。教室を見回しても特に驚いた様子はない。つまりこれが普通なんだろう。

 

 「こちらは団体戦形式なのでレギュラー五人に控えが一人です」

 

 団体戦?こっちだと弾幕ごっこの形式も微妙に違うのかな。まあ僕は普通の球技がやりたいから関係ないか。

 

 「球技大会は二日にわたり行われます。一日目は野球、バレー、ドッジボール。二日目は弾幕ごっこです。二つ以上の競技に参加しても構いませんが、時間が被らないように気を付けてください」

 

 二日目丸々弾幕ごっこって…それもう球技大会じゃない気がする。

 

 「では、少し考える時間を取りますのでその間に決めてください」

 

 よし。弾幕ごっこの出現に驚かされはしたけど当初の目的が変わったわけじゃない。今は野球にするかドッジボールにするか考えよう。

 

 「妖夢、ちょっといいか?」

 

 突然魔理沙が立ち上がって発言した。

 

 「なんでしょう?希望は後でまとめて聞きますが」

 

 「いやなに、どうせもう決まってるものは埋めちゃってもいいんじゃないかと思ってな」

 

 「もう決まってる?」

 

 思わず言葉が口から洩れた。はて、魔理沙は何を言ってるのか。

 

 「そうね、こればっかりは私も譲る気はないし」

 

 魔理沙に追従するように、天子が立ち上がる。

 

 「面倒くさいけど、今回は私も参加しなきゃいけない理由があるのよね」

 

 ため息を吐きながら霊夢が腰を上げる。まるで打ち合わせでもしていたかのような連携だ。

 

 「皆さんも戦う理由があるようですね。無論私も出場しますよ」

 

 刀をカチンとならせて妖夢もあとにつづく。

 

 「ふっ、時間を待つまでもないみたいだな」

 

 魔理沙がニヒルに笑いながら帽子のつばを触る。なんだろう嫌な予感しかしない。

 

 「弾幕ごっこのメンバーは………私、霊夢、天子、妖夢そして、叶也だ!」

 

 ……………

 

 は?

 

 またもや思考がフリーズする。何故僕の名前が挙がっているのか、その理由がさっぱり分からない。

 

 「ちょっと魔理沙、どうして僕の名前も入ってるんでしょうか?」

 

 「ん?どうしてって、それ以外に適任な奴なんていないだろ?」

 

 「いやいやいや、他に出たい人もいるかもしれないじゃない」

 

 「まさか。他のクラスからは化け物みたいなやつがうじゃうじゃ出てくるんだぜ?好き好んで生贄に立候補する奴なんていないさ」

 

 その理屈でいくと僕はまさに生贄なんですが…。

 

 「そ、それに僕より強い人もいるじゃん!アリスとかさ!」

 

 「アリスがこんな行事に率先して参加するわけないだろ?」

 

 むぐっ、確かに。というかその配慮を僕にも回して欲しいんだけど。くっ、何かほかに回避する方法は…

 

「はい、異議ありです!」

 

 諦めかけたその時救いの手が天高く突き上げられた。

 

 最近うちのクラスに転校してきた東風谷早苗さんだ。多少暴走しがちなところはあるが基本的には明るく打ち解けやすい性格のおかげか既にクラスには大分なじんでいる。

 

 まさか彼女が僕を援護してくれるとは…。目があった早苗さんは力強くうなずき満面の笑みを送ってくる。なんて頼もしいんだ。

 

 「叶也さんが参加するなら私も参加したいです!」

 

 そんなことだろうと思ったよ!

 

 「でしたら控えの枠が空いてるのでそこでよろしいでしょうか?」

 

 「それでオッケーです!」

 

 「いや、そこは僕の代わりにレギュラーとして出てくれればいいじゃない」

 

 「これで決定だな。これだけの面子が揃えば優勝間違いなしだぜ!」

 

 ええぇぇ、僕の意見が総スルーなんですけど。

 

 くそぉ、こうなったら前向きに考えるんだ。二つ以上の競技に参加することも問題ないわけだし、一日目は普通に球技ができる。弾幕ごっこだって幻想郷にいる時はよくやったし、いまさら物怖じする必要もない。うん、こう考えたらとくに悩む必要なんて――――――

 

 バアアアン!!

 

 「クックックッ、話は聞かせてもらったわ」

 

 僕の思考がまとまりかけた時、教室の扉が物凄い勢いで開いた。

 

 扉の向こうにはいつにも増して威厳のある雰囲気を放つレミリアさんが立っている。その隣にはパチェ、後ろには咲夜さんと美鈴さんが控えていた。

 

 フランちゃんとこあさんを除いた紅魔館の主要メンバーがそろい踏みだ。

 

 というかまだ授業中なんですが…。

 

 「何の用だレミリア?話を聞いてたならお前の出番じゃないことは分かるだろ?」

 

 「宣戦布告と言うやつよ。去年は貴女達のチームに負けてしまったけど、今年はそうはいかないわ」

 

 そんなことのために授業を抜けてきたのか。フリーダム過ぎるでしょ。

 

 呆れて言葉も出ない僕を置いて話はどんどん進んでいく。

 

 「いい度胸じゃないの。せいぜい私たちと戦うまで負けないように頑張ることね」

 

 レミリアさんに負けず劣らず堂々とした態度で天子が前に出る。

 

 「ふっ、それなら問題ないわ。私には見えるのよ、貴女達と弾幕を交える姿がね」

 

 そういうと再びクックックッと笑いだした。今日はいつもよりもカリスマな感じがするな。

 

 「まあ、誰と当たろうと関係ないぜ。どっちみち全員蹴散らすことに変わりはないからな」

 

 「そっちこそ大した自身ね。そこまで言うなら一つ賭けでもしない?」

 

 「賭け?」

 

 思わず口から疑問の声が飛び出してしまった。

 

 「ええ。もし貴女たちが私に勝てたならば我がスカーレット家の力でできることならなんでも一つ叶えてあげる」

 

 「へえ、ずいぶん太っ腹じゃないか。それだけのものを対価に出すってことはこっちもそれなりの物を出せってことか?」

 

 「ええ、そうなるわね。と言ってもあなたたちに損がある話ではないわ。私が欲しいのは………叶也、あなたよ」

 

 すらりとした細い指が僕に向けられる。

 

 なんだ僕が欲しいのか。確かにそれなら他のみんなには何のデメリットもないよね。ローリスクハイリターンってわけだ。はっはっはっ………

 

 「僕!?」

 

 こうして八雲叶也を賭けた球技大会が始まる。波乱溢れる球技大会、それが夏休みにまで多大な影響を及ぼすことを、この時の僕は知らなかった。

 

 

 




次回予告(仮)
やっほー、てゐちゃんだぴょん☆彡
前回は守矢の風祝に出番を取られて焦ったけどなんとか取り戻せたよ
むこうの方が本編の出番も多いんだから自重してほしいね!
それはさておき次回は叶也がとあるクラスとドッジボールで戦うみたい
曲者ぞろいの幻想学園、いったい誰が叶也とボールを交えることになるのか!
第27話「恐怖のドッジボール」
次回は必殺の魔球に、ピックアップ!!
※必ずしも次回予告通りになるとは限りません。ご了承ください

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