東方妄想譚 ~ドタバタ☆私立幻想学園~   作:さとゴン

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更新遅くなりすみません。

久しぶりに書いたせいか、なんか違和感が…


閑話  賢者と先代

 

 

 

 草木も凍る丑三つ時。いつもなら誰もいないはずの学園長室に二つの人影があった。

 

 「真夜中の訪問なんて珍しいわね」

 

 開け放たれた窓から射した月明かりが片方の女性、八雲紫を映し出す。

 

 椅子には座らず、虚空に開いたスキマに腰をかけている。

 

 「私もいろいろ忙しくてね。こんな時間にしかこれないんだよ」

 

 もう片方の人影は暗闇に隠れて姿が見えない。しかし部屋に響くその声から女性であることが窺える。

 

 「あっちこっちで遊びまわってるみたいだけど、そんなにこの世界が気に入ったのかしら?」

 

 「ああ、おもしろい。叶坊もなかなか愉快なことをするじゃないか」

 

 そう笑いながら話す彼女をみて、紫は思わずため息を吐いた。

 

 「はあ、気楽でいいわね。まあこっちもあなたのおかげで懸念事項が一つ消えたからいいのだけど」

 

 「はて、私が何かしたか?」

 

 「とぼけなくてもいいわよ。東風谷早苗にここを教えたのはあなたでしょ」

 

 紫は扇を開きながら断言する。その言葉には強い確信の色が見られた。

 

 「ああそうだが。それがいったい何の役に立つと」

 

 「私に種明かしさせたいわけ?この前言ってた世界に干渉した人間、それも東風谷早苗でしょう」

 

 「やはり気づいていたか。私も守矢の風祝にあれほどの潜在能力が眠っているとは思わなかったよ」

 

 ハッハッハ、と愉快そうに笑いながら彼女はそう答えた。

 

 「笑い事じゃないわよ。あなたも知っていたなら教えてくれればよかったじゃないの。彼女から話を聞くまで全く気付かなかったわ」

 

 「それでは面白くなかろう。人生はハプニングやサプライズがあるからこそ潤うのだから」

 

 「誰もがあなたと同じ考えではないのよ。私は楽に済ませれることは楽に済ませたいわ」

 

 「なんだ、あまり機嫌がよろしくないな………ああそうか」

 

 ニヤニヤとしながら紫を見つめる女性。その視線に居心地の悪い物を感じた紫は扇で少し顔を隠した。

 

 「…なによ。言いたいことがあるならはっきり言えばいいじゃない」

 

 「いやなに、そういえばあの風祝は叶坊に御執心だったことを思いだしてな。それは紫にとっては面白くない話だなと」

 

 「なっ!?」

 

 「おや、図星だったかな。しかし叶坊も、そろそろガールフレンドの一人や二人や十人くらいいたっておかしくないだろ?」

 

 「そんなにいたらおかしいわよ!!」

 

 「はて、そうかな?存外あいつならやりそうな気もするが、確かに今はまだ荷が重いか」

 

 「今も未来もないわよ!……はぁ、それで今日はいったい何の用で来たのかしら?」

 

 「おや。用が無いのに来るのはまずかったかな?」

 

 「冗談はもういいわよ。あなたが何の意味もなくこんなところまで来るわけないもの」

 

 「流石にわかってるね、私のことを。といっても大した用じゃないさ。近々この学校で行われる行事に興味があってね」

 

 「近々って言うと…球技大会のことかしら?」

 

 「ああ。どうやら面白い競技もあるみたいだし、久しぶりに叶坊や霊夢がどれくらい成長したか見てみようと思ってね」

 

 「面白いって、幻想郷では別に珍しくもないでしょうに」

 

 「いやいや、ここ最近は直接あいつらの戦いぶりを見てなかったし。偶には保護者らしく授業参観と行こうかと思ったわけさ」

 

 「まあいいわ、警備員には話を通しておくから当日はどうぞご自由に」

 

 「そうか、それは助かる。それじゃあ用は済んだしそろそろお暇するかな」

 

 「スキマで送ったほうがいいかしら?」

 

 「なに、そんなに遠くに行くわけじゃない。徒歩で十分さ」

 

 闇に隠れていた女性はそういうと窓枠に足をかけて外へ飛び出した。

 

 跳躍する瞬間彼女の長い黒髪がたなびく。

 

 「まったく。ちゃんと出口から出ていって欲しいものだわ」

 

 そんな紫の呟きは、窓から吹き込んだ風にとけて消えた

 

 

 





三人称苦手

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