秋田の大曲花火を見てきました
世の中には四時間もぶっ通しで続く花火もあるんですね
間に多少休憩は挟まれましたが、正直最初の一時間で飽きました
もう来年の分まで見た感じがします
昼休み、偶然レミリアさんや鈴仙さんに会ったので声をかけたところ、快く了承をもらえた。
そういえば、鈴仙さんに魔理沙たちが弁当を作ってきてくれるという話をしたら、「わ、私だって料理くらい作れるのよ!でも、ちょっと、あんまり…」とかなんとか言ってたな。
別に手料理を強制してるわけじゃないから気にしなくてもいいと思うけど。まあ、今はその話はいいか。
少し前に授業も終わり、今は放課後になっている。
委員会の仕事をすべく、図書館へ向かっているところなんだけど…
「なんて誘おうか…」
ただいま脳内会議中。議題はずばり『どうやったらパチェと大ちゃんがケンカしないように花見に誘えるか』だ。かなり望みは薄いけど。
フィーリングが合わないのか、はたまた前世に因縁でもあるのか、理由は分からないけどあの二人は非常に仲が悪い。まさに犬猿の仲というやつだ。
あの二人が同じ宴会の席に来てくれるだろうか?でも少なくとも同じ仕事をこなす仲なんだし、それくらいなら…
はぁ、とにかく聞いてみないとわからないか。どうせいつでも喧嘩してるんだし、いまさら火種を増やしたところで変わらない、かな。
「「あんた(あなた)は来なくていいわよ(ですよ)」」
図書館のカウンターでにらみ合う二人。うん、予想通りすぎる。
なぜこうなったのかというと、話はほんの少しさかのぼる。
僕が図書館に来てみれば二人は既に仕事をしていた。
この時点で険悪な雰囲気が漂っていたんだけど、いつものことなのでとりあえずスルー。
適当に声をかけてカウンターに座る。
二人がカウンターを担当して残りの二人が返却された本を元の場所に戻したり、新しい本を出したりとその他の仕事をする。主にカウンターと雑用の二つが僕らの仕事だ。
さて、どう切り出そうか。普通に二人同時に誘うか、一人ずつ誘うか…。
うーん、今日は人も少ないし棚に出さなきゃない本もないみたいだし。これだと雑用の仕事をしている大ちゃんが席を立つことはあんまりないかな。
それにパチェと二人きりになれても、大ちゃんと二人きりになれるタイミングがないか。
ああ、もういいや!悩むだけ無駄ってさっきも結論づけたわけだし、普通に誘おう!
珍しく人も全然いないし、今誘っちゃえ!
「あのさ二人とも、実は明日花見をやるんだけど…」
そしてさっきの二人の発言に戻る。
参加の是非の前にまず相手の不参加を促すあたりに、二人の仲の悪さが筋金入りであることを感じさせられるよ。
「あんたに花の良さなんてわからないでしょ。来るだけ無駄よ」
「あなただってお花なんて本でしか見ないくせに、偉そうなこと言えるんですか?」
いや、花見にそんな目利きは必要ないと思うんだけど。
「私だって花くらい実物を見ることもあるわよ。まったく、大妖精と言っても所詮は妖精ね。適当なことしか言えないのかしら」
「それはすいませんでした。なにせ動かない大図書館(笑)なんて立派な肩書を持ってるくらいだから、てっきり本にしか興味ないと思ってましたよ」
やばい、ヒートアップしてきた。
「別にその肩書は私が名乗ってるわけじゃないし。人の評価に翻弄されるなんて、愚かな話だわ」
「あなたこそ、妖精を甘く見すぎじゃないですか?それだって周りの評価の影響じゃないんですかね」
二人が口論を止めてにらみ合う。静寂が辺りを包みこむ。
次の瞬間、両者が弾幕を打ち出した。
「ちょっ!?」
まじか、これは初めての展開だ。利用者がいないのが幸い……いや、もしかしたら今までは利用客がいたから思いとどまってたのか?ってこんな考察してる場合じゃなかった!
「二人とも!さすがにそれはまずいって!!」
駄目だ、声が届いてない。一応この建物の中にあるものには防護の魔法が掛けられてるらしいから大丈夫だろうけど。このままだと二人が、というか大ちゃんが危ない。
ど、どうしよう。今の僕には二人を止める力はないし。かといって身一つで突っ込んだら一瞬で意識が飛ぶだろうし。
ほんとに手詰まりだ。
「ああ、誰かこの状況を何とかして…」
「わかりました、私が何とかしましょう」
「えっ…?」
僕の呟きに返事がきた。思わず声が返ってきた方に顔を向ける。
「………誰もいない」
おかしいな、確かに声が聞こえたんだけど。空耳?それとも僕の願望が生んだ幻聴?
とりあえず今はそれどころではないかと思い、弾幕ごっこをしている二人に意識を戻す。
「ええっ!?」
目を向けた先で今度は驚きの声をあげてしまった。
そこには先ほどまで元気に飛び回っていた二人が目を回して倒れていた。
「どうすれば…、というか何が起きたんだ?いや、そんなことよりまずは治療を――」
「大丈夫です。二人とも気絶しているだけですので」
今度は僕の隣から声がした。
声の主を確認すべく、隣に視線を向ける。
「メイド長…じゃなくて咲夜さんじゃないですか」
そこにいたのは紅魔館のメイドさん、レミリアさんに仕える完全で瀟洒な従者、十六夜咲夜さんだ。
「ふふっ、名前で呼ぶのはまだなれませんか?」
「まあ、少し前まではメイド長と呼んでたので」
僕はちょっと前に紅魔館でアルバイトみたいなことをしていた。その時の僕の上司にあたるのが咲夜さん、呼称がメイド長だったわけで。
「ところで今日はどうしたんですか?」
さっきからずっと気になってたんだけど、なぜか咲夜さんはいつものメイド服を着ている。
もしかして咲夜さんは学生じゃないのかな?レミリアさんのメイドに徹しているとか?
「先ほどお嬢様から明日の花見について聞かされたのですが詳しい内容をお話してくれなかかったので、主催者だと思われる叶也に直接聞こうと思いまして」
あー、レミリアさん花見って聞いて楽しそうにしてたからな。その後の話はうかれてて聞いてなかったのかも。
「わかりました。そういうことなら…」
そのあと少しの間、花見について話した。
「ありがとうございました。明日の準備もあるので、今日はこれで失礼させていただきます」
「いえいえ、こちらこそ手伝いまでしてくれてありがとうございます」
咲夜さんが図書室から去って行った。
気絶した二人の代わりに手伝いまでしていってくれるなんて、ホントに頭が上がらないよ。
話し合い自体は実に円滑に終了した。その後、一人で委員会の仕事をするのも大変でしょう、と言って手伝いを申し出てくれたのだ。
咲夜さんのおかげで仕事に支障が出ることもなく終えることができた。
途中で来た阿求さんが倒れてる二人を見て混乱してるのを落ち着かせたり、目覚めた二人が暴れだす前に言い含めたりしたことを除けばだが。
そして今は仕事も終わりカウンターの片付け中。
「あっ、そうだ。大ちゃん」
「はい、なんですか?」
「チルノたちも誘っていいよ。というか是非誘ってほしいかな」
面倒見がいい大ちゃんのことだ。チルノたちがいれば彼女はその世話を焼くので忙しくなるはず。そうすればパチェとケンカする暇もないだろう。おお、我ながらナイスアイデアだ。
「わかりました。寮に帰ったら誘ってみます」
パチェの方も明日は親友であるレミリアさんが来るんだし、おかしな行動を起こして恥をさらすようなことはしまい。うん、いける。
「じゃあそろそろ帰ろうかな」
「「私も一緒に帰るわ(ります)」」
「「………」」
声が被ったことが気に食わないのか、またもやにらみ合う二人。
なんだかんだで息がぴったりな二人を見て実は仲がいいんじゃないかな、とか考えながら帰路に就く。もちろん三人で。
さあ、明日は花見だ!!
次回予告
どうも、十六夜咲夜です
いよいよ明日はお花見。お嬢様も非常に楽しみにしています
是非、何事もなく終わってほしいのですが…叶也あたりが災難にあいそうな気もしますね
第19話「胃袋をつかむ戦い」
次回は恋する乙女の戦いに、ピックアップです
※必ずしも次回予告通りになるとは限りません。ご了承ください
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