東方妄想譚 ~ドタバタ☆私立幻想学園~   作:さとゴン

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第13話  保健室の恐怖

 

 

 「起立、さようなら」

 

 日直の挨拶に合わせてみんなで帰りの挨拶をする。

 

 いろいろあったけど、今日はあと帰るだけか。

 

 ちなみにこの学校は清掃員を雇っているため生徒は掃除をする必要がない。

 

 さてと、何か起こる前に帰るかな。流石に今日はもう疲れたよ。

 

 このまま何事もなく帰宅できますように、と願いながら寮に帰ろうとした。

 

 「あっ、いたいた。ちょっと来てほしいんだけど」

 

 しかしそんな僕の願いはあっけなく打ち破られた。

 

 またか、また何か起こるのか。今度はいったいどんな方法で気絶するんだ。

 

 「ちょっと、無視しないでよ。あんたを呼んでるんだよ、叶也」

 

 「はいはい、なんの用ですかー」

 

 僕を呼んでいたのは兎耳の少女、と言っても鈴仙さんではない。

 

 永遠亭のもう一人の兎妖怪、因幡てゐだ。

 

 「投げやりな返事だね、まあいいけど。先生が呼んでるから早く来て」

 

 「先生?」

 

 はて、呼び出されるようなことしたっけ?

 

 今日は色々あったけど怒られるようなことは……もしかして自習の時のことか?慧音先生だいぶ怒ってたし。

 

 先導するてゐについていきながら僕は必死に言い訳の言葉を考えていた。

 

 「ほら着いたよ」

 

 よし、とりあえずもう一発頭突きもらう覚悟はできた。

 

 「ありがとう………ってここ保健室じゃん!なんでこんなところに連れて来たの?」

 

 「だから、先生があんたを呼んでるって言ったじゃないか。とにかく早く入りな」

 

 「ちょっ!?」

 

 てゐに無理矢理保健室へ押し込められた。

 

 てっきり職員室に向かってるものだと思ってたんだけど。

 

 「あら、遅かったわね」

 

 「そ、その声は…」

 

 そこにいたのは綺麗な銀髪を三つ編みにした女性。永遠亭の薬師、八意永琳さんだ。

 

 「あっ、すいません。自分、用事思い出したっす」

 

 「悪いけど、はいそうですかと逃がすわけにはいかないんだよね」

 

 くっ、てゐに逃げ道をふさがれた。

 

 「酷いわねぇ、いきなり逃げ出すなんて」

 

 「いや、別に逃げようとしたわけでは…」

 

 嘘です、思いっきり逃げようとしました。

 

 だって、あの人はかなりヤバい。何がヤバいって、未知に対する探究心がヤバい。

 

 自分が知りたいことのためなら何でもするんじゃなかろうか。

 

 僕は変なエネルギーを持ってるし、体も人間とは思えないほど頑丈だし、効かない能力もある。まさに未知の塊だ。そんな僕に永琳さんが興味を持たないはずがなかった。

 

 解剖されそうになった回数なんてもう数えきれない。

 

 「そんなに怯えなくても大丈夫よ。今日は解剖するつもりはないから」

 

 今日は、ってことはいつかはやる気なんだ…。

 

 「聞いた話によると、今のあなたには今まで効かなかった能力が効くようになってるらしいじゃない」

 

 「誰から聞いたんですか」

 

 「匿名希望ちゃんからよ」

 

 誰だか分からないけどなんてことを…。

 

 「で、私は考えたのよ」

 

 だめだ、嫌な予感が迸っている。

 

 「今なら私が作った薬も効くんじゃないかって」

 

 「すいません、お腹痛くなってきたんで帰ります」

 

 僕は全力で逃げ出した。

 

 ガシッ!!

 

 「ここは保健室よ?腹痛なら診てあげるからゆっくりしていきなさい」

 

 僕の逃走は永琳さんの腕一本で簡単に止められてしまった。

 

 「なんで僕に薬を飲ませる必要があるんですか!?試飲ならいつもみたいに鈴仙さんで試せばいいじゃないですか!!」

 

 「きちんと人間にも効果があるのか確認したいのよ」

 

 肩に置かれた永琳さんの手にさらに力が籠められる。

 

 「べ、別に僕じゃなくてもいいじゃないですか!!永琳さんみたいな綺麗な人に頼まれたら誰だって手伝ってくれますよ!!」

 

 「あら、嬉しいこと言ってくれるわね。でも、普通の人間じゃ危ないかもしれないから」

 

 「僕だって少し変わってるだけで、普通の人間ですよ!!」

 

 「あなたなら頑丈だからちょっと爆発しても大丈夫そうだし」

 

 「爆発するんですか!?」

 

 それって薬は薬でも爆薬なんじゃ…。

 

 「うどんげの時の反省を踏まえてちゃんと改良したから大丈夫よ」

 

 もう既に鈴仙さんが餌食になっているのか。

 

 保健室のベッドを見ると、そこには少し煤けた鈴仙さんが横になっていた。

 

 「男なんだからぐびっといきなさい」

 

 「もげっ!?」

 

 いきなり口の中に薬の瓶を突っ込まれた。

 

 味の方は……まあ良薬は口に苦しってことで。良薬なのかはわからないけど。

 

 「どう?体に変化は起きた?」

 

 「ゲホッ、ゲホッ、変化って、……いったい何の薬を飲ませたんですか」

 

 「胸が大きくなる薬よ」

 

 「男の僕になんてもの飲ませるんですか!?」

 

 「大丈夫よ。男性が服用した場合はボディービルダーみたいに胸筋がムキムキになるはずだから」

 

 それはそれでなんかいやだ…。

 

 「変化は特に……ってあれ?なんか頭が…」

 

 僕はセリフを最後まで言い切る前に意識を失ってしまった。

 

 はあ、これで本日三回目だよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~SIDE 因幡てゐ~

 

 ヤッホー、てゐちゃんだよ。

 

 本編ではあまり出番が無くてがっかりだね。

 

 台詞も少なくてなんだか暗いキャラになってたかな?

 

 それだけあたしも切羽詰ってたんだよね。

 

 もし叶也を連れていけなかったら、次の実験台はたぶんあたしだったし…。

 

 まあこうしてメインのシーンももらえたし、良しとしますか。

 

 それにしても…

 

 「お師匠様、これどういうことですか?」

 

 「やっぱり、妖怪用の薬は人間にあわないみたいね。それにしてもこんな効果が出るなんて………面白いわ」

 

 おいおい。にやりと笑うお師匠様を見てあたしはため息をついてしまう。

 

 「すぐに気を取り戻すとは思うけど、一応ベッドに寝かせておいてね」

 

 「はーい」

 

 叶也を運びながら思う。

 

 これ、元に戻るのかね?

 

 ~SIDE OUT~

 

 

 




 いったい叶也君はどうなってしまったのか?

 次回は放課後も学校に残ってた女性陣も巻き込んで一波乱!

 活動報告の方もよろしくお願いします。

 
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