東方妄想譚 ~ドタバタ☆私立幻想学園~   作:さとゴン

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テスト勉強の合間に気晴らしで書いてしまいました




第12話  自習時間

 「………というわけで授業の代わりに自習が入っているのだから、くれぐれも遊んだりおしゃべりしてはいけないからな。百歩譲って読書なら許そう。私は隣のB組で授業しているから何かあったら来るのだぞ」

 

 そういうと慧音先生は僕らの教室から出て行った。なんでも国語の教師が今日はお休みらしい。

 

 というわけで僕は初めての自習時間を経験しているのだが…

 

 「叶也!トランプしようぜ!」

 

 「いいですね、何をしましょうか?」

 

 「………大富豪」

 

 …何故か僕の机は男三人に囲まれていた。

 

 「はあ、先生の話聞いてなかったの?勉強してろって言ってたじゃないか」

 

 「馬鹿だな叶也!そんなの守る奴なんているわけないだろ!」

 

 さすがにそれはどうだろうか。

 

 でも確かにまじめに勉強してるのは妖夢とか阿求さんとか一部の人たちだけか。

 

 魔理沙は机に突っ伏して眠っているし、アリスは人形の手入れ、霊夢に至ってはどこから持ってきたのかせんべいとお茶で一服している。まさか湯呑を持参していたとは。

 

 「自習と言えば自由時間というのは学生の共通項でしょう」

 

 啓って丁寧な口調の割に真面目じゃないっていうかなんというか。別に不真面目ってわけではないけどね。

 

 「………やろう」

 

 淵が人数分の椅子を持ってきた。僕まだやるって言ってないんだけど…

 

 「あんたたち、面白そうなことやってるじゃない!」

 

 あ、もうダメだ。なんでか分かんないけどトランプをやることになるだろうという確信が浮かんだ。

 

 現れたのはトラブルメーカー比那名居天子。まさに面倒事を生み出すために存在しているような存在だ。

 

 「比那名居さんもトランプやりますか?」

 

 「………大富豪」

 

 「いいわね、でもただ大富豪をやってもつまらないわ」

 

 「じゃあ、どうすんだよ!」

 

 「ビリには罰ゲームを与えるわ!」

 

 「罰ゲームと言いますと?」

 

 「そうね…一位の人がビリに何でも命令できるとかでいいんじゃないかしら」

 

 「………面白そう」

 

 話がどんどん進んでいく。ひしひしと嫌な予感がする。今日一日を考えるとどうにも碌なことが起きない気がする。

 

 逃げようか?でもこの狭い教室じゃ逃げ場なんてないか。

 

 「それじゃあ野郎ども、始めるわよ!」

 

 「「「おう!」」」

 

 こうして僕の望まない大富豪大会が始まった。しかも罰ゲーム付。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「敗けた…」

 

 「また私が大富豪ね!」

 

 勝てない、全然勝てない。もともと天子はゲームとか遊びに関してはめちゃくちゃ強いから、アイツが一位を取り続けるだろうことは予想してたさ。

 

 でも、でも―――

 

 「なんでずっとビリなんだよ…」

 

 「叶也、よえーな!」

 

 「大富豪は苦手でしたっけ?」

 

 「………弱すぎ」

 

 おかしい、ここまで四回やって四回ともビリってどういうことだよ。

 

 やっぱり厄日のせいか、それとも単純に僕が弱いのか…

 

 「今度は何をしてもらおうかしら」

 

 「さっきは肩のマッサージだったたな!」

 

 「その前は三分以内にあんパンを買ってくるでしたね」

 

 「………一発芸もやった」

 

 みんなが僕の罰ゲームを振り返る。あんパンダッシュはきつかったな。

 

 一位になりたいとは言わないからせめてビリから脱出したいよ…。

 

 「で、天子。次は何をすればいいの?」

 

 「そうね、じゃあ次は膝枕でもしてもらおうかしら」

 

 「は、はあ!?」

 

 思わず驚きの声を上げてしまった。い、いったいどうして膝枕?

 

 「ちょっと聞きたいんだけど、なんで膝枕?」

 

 「この前読んでた小説に出てきたのよ。何でもすごく気持ちいいらしいわ」

 

 「そ、そういうのは衣玖さんに頼んだ方がいいんじゃないかな」

 

 「あんたじゃないと意味ないのよ。ほら、さっさと膝貸しなさい」

 

 「でも、ここ教室だよ?ここで横になるのはさすがにきついんじゃない?」

 

 「むっ、それもそうね。じゃあ今度私に膝枕しなさい。それが今回の罰ゲームで」

 

 どうあっても僕に膝枕させたいらしい。何が天子にそうさせるのか…

 

 「さーて、そろそろ五回戦と行きますか!」

 

 「「「いえーい!!」」」

 

 「ねえ、さっきから思ってたんだけどさ。そんなに大きな声出したら隣のクラスまで聞こえちゃうんじゃない?」

 

 「それの何が問題なのよ」

 

 「いや、だって慧音先生にばれたらお仕置きくらっちゃうじゃん」

 

 「あんたそんなこと気にしてたの?肝っ玉の小さい男ね。もしお仕置きされそうになっても逆にあたしが蹴散らしてやるわ!」

 

 流石にそれはまずいでしょ。明らかにこちらに非があるんだし。

 

 胸を張りながらそんなことを言う天子に僕は呆れた眼差しを向けた。

 

 「だいたい、あのワーハクタクも授業中なんだから、わざわざ他のクラスに…「さっきから騒がしいが何かあったのか?」

 

 ガラガラと扉の開く音を立てながら件の慧音先生が現れた。

 

 瞬間、ほかの四人の行動は早かった。

 

 流、淵、啓は各々の“能力”を使って戻り、隠れ、誤魔化していた。

 

 天子はその無駄に高い身体能力をフルに使って自分の席に戻っていた。まさに音速、目にも止まらぬ速さってやつだ。

 

 クラスのみんなもいつの間にか本や教科書を手に持ってる。

 

 そして僕の机の上に残されるトランプ。

 

 「……八雲叶也。お前は私の話を聞いていたのか?」

 

  慧音先生の後ろに阿修羅が見える。

 

 「ち、ちゃんと聞いてました!」

 

 「ほう、そのうえでこのような行動をとっているのだ。どうなるか分かっているな?」

 

 僕は縋り付くような目で四人を見た。

 

 ………あっ、ダメだ。四人とも目を合わせてくれないや。

 

 「歯を食いしばれ」

 

 「いや、これには事情が―――」

 

 「問答無用!」

 

 次の瞬間、僕の頭に慧音先生の頭突きが直撃した。

 

 

 

 

 

 結局残りの自由時間は意識のない状態で過ごすことになりました。

 

 

 




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