二次創作というか小説を書くのはこれが初めてになります。
ハチャメチャなところもあると思いますが生温かい目で見守ってください。
埃まみれの蔵の中で変なものを見つけた。
「なんだこれ?」
倉庫の床に転がっていたのは人の拳くらいの大きさの真っ黒い珠だった。
なんとなく気になったので手に取ってみる。
へー、ずいぶんと綺麗な珠だな。
そんな風に思いながら黒い珠を眺めていると、突然『パキンッ』という音とともに粉々に砕けてしまった。
…あれ?いま僕触ってただけだよね?
「なんか今変な音がしなかったかしら。」
ま、まずい。あんな高そうなものを壊したと知れたら、彼女はかなり怒るだろう。
何せ彼女はお金にとてもうるさい。その上容赦がないから、これがばれたら僕は決して無事ではいられないだろう。
「っぶべら!」
「あんた今失礼なこと考えてなかった?」
「確認する前に殴らないでよ!」
まあ確かに考えてたけどね。
この無駄に勘のいい女の子はここ、博霊神社の巫女さんで僕の幼馴染の博霊霊夢。
「で、今なにか音がしなかったかしら?」
「べ、べつに何も聞こえなかったけどなー。」
とりあえず誤魔化すことにした。大事なものだったと判明してしまったらそのとき謝ろう。
「…それなら別にいいわ。なんか危ないものが出てきたとしても何とかできるだろうし。」
今僕たちがいるのは博霊神社の蔵の中。この神社ができた頃からあるというこの蔵には、代々の巫女が色々なものをため込んできたらしい。もしかしたらやばい妖怪が封印されているものとかがあるかもしれない。
…できればそんな危険地帯に僕を引きずり込まないでほしかったよ。
「あんたが賭けに負けたんだから、うじうじ言うんじゃないわよ。」
「僕の心の中を読まないで!」
「私にそんな力はないわ。ただの勘よ。」
もはや勘の範疇に収まるとは思えないんだが。
でも実際霊夢の言うことも正しい。
安い挑発と勝った時の景品につられたのは僕だ。
やっぱり幻想郷最強―だと僕は思う―の霊夢に弾幕ごっこで勝とうとしたのが間違いだったか。
僕も一応そこそこ強いんだけどね。一捻りにされちゃったよ。
ちなみに景品は霊夢曰く「もしも万が一偶然にもあんたが勝てたら、あんたの言うことなんでも聞いてあげるわよ。」だ。
…だってね、霊夢みたいな美少女が何でも言うこと聞いてくれるっていたら、健全な男の子ならだれでも挑まずにはいられないと思うんだ。
そんなこんなで時間は過ぎて行った。蔵の掃除もようやく終わり僕が神社の縁側でぐったりしていると神社に来訪者が現れた。
「よっと、魔理沙様のお出ましだぜ。」
跨っていた箒から降りて、彼女は名乗りを上げた。
まさに魔法使いといった格好をしている彼女の名前は霧雨魔理沙。こちらも僕の幼馴染だ。
「何でぐったりしてるんだ?」
「さっきまで蔵の掃除を手伝わされてたんだよ。」
「あー。そういえば昨日そんな賭けしてたな。」
それから霊夢がお茶と茶菓子を持ってきてくれたので他愛もない雑談を始めた。
「そういえば最近、香霖んとこで本を読み耽ってるって聞いてるぜ。いったい何を読んでたんだ。」
相変わらず魔理沙は男らしい口調だな。男の僕よりよっぽど男らしい。
「最近は外の世界の学校が舞台の本を読んでるよ。」
「学校って確か寺子屋みたいなものよね?」
「そうなんだけど、外の世界の学校はただ勉学を学ぶだけじゃないんだよ。勉強以外にも運動会とか文化祭とか修学旅行とかいろいろなイベントがあるんだ!部活動とか委員会とか他にもたくさん…」
「わかったわかった。まったくホントにお前は外の世界の話になると熱くなるな。」
むぅ、魔理沙に途中で止められてしまった。興奮したせいか少し汗をかいてしまった。
「いや、悪かったね。でもこればっかりはどうしようもなくてね。」
「そんなに憧れるところかしらね。」
「僕にとってはね。きっと幻想郷のみんなと学校に行けたら楽しいんだろうな~。一度でいいから学生生活を送ってみたいよ。」
僕がそう願った瞬間、異変は起きた。
ゴゴゴゴと音を立て地面が揺れる。大気まで震わせるその振動に僕たちは直ぐには動くことができなかった。
「な、なんだこれ!」
「じ、地面が揺れてるんだぜ!」
「いったい何が…っ!」
霊夢が何故か僕を凝視する。隣を見ると魔理沙も僕を見て驚いている。
「いったいどうし…って、ええええええええええええええええええええええええええええええええええ!」
何が起きてるのかと自分の体を見てみると、ものすごいくらい眩く輝いていた。どうして今まで気づけなかったのだろう。
「なっななな、なにが、どどどうなって。」
「慌てないで!とにかく落ち着いて…」
霊夢が言葉を言い切る前に輝きはその勢いを増していき、そして僕たちを包み込んだ。
何故か分からないけどその光は、幻想郷中を包み込んだ気がした。
これが幻想郷始まって以来もっとも珍妙な異変のはじまりだった。
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