捻くれ少年のラブコメディ   作:リヨ

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9話

ということで始まりました、ババ抜き。

少し雲行きが怪しくなってきた。鶫、宮本、舞子が先に上がり残りは俺、小野寺、一条、桐崎の4人。

そして俺の番なのだが....

「....」パァッ

....こっちか?

「....」ズーン

.....やっぱりこっち...

「....」..パァッ

無理!俺が引く相手は小野寺なのだが、明らかに顔でわかっちゃう!

俺はあと一組揃えば上がりだ。小野寺の持っている二枚のカードのどちらかがもしかしたら当たりかもしれない。でも小野寺の顔でもうジョーカー持ってるのわかっちゃうんだよな。というかもう色々表情が変わってもうなんか可愛い。こんなこと絶対言わんけど。

....まぁまだ4人だし。

「....」スッ

俺は小野寺の可愛さに負けてジョーカーをひきました。

だが、これで小野寺が上がったことで俺は手加減しなくてすむ。

ここからは俺のターン。

「.....」

「比企谷、これジョーカーか?」

「さぁ」

「こっちか?」

「ふーん」

「くっ....これだろ?」

「ほぉ〜」

「だぁー!わからん!比企谷、ポーカーフェイスうますぎだろ!」

ふはは!これが俺の実力だ!

「これだ!.....」ズーン

ぷっ、一条のやつジョーカーひいてやんの!これで俺はあと1枚。

「これかな....おっあがり」

「これで残りは楽と桐崎さんだね〜」

ふぅ危ない危ない。

結局桐崎が負けたんだが運のいいことに入浴時間になり罰ゲームは消滅した。

 

 

 

久しぶりだな、温泉なんて。

「.....ん?一条先入ってたのか」

「おう、比企谷か。集達ももうすぐくるぞ」

「ふぅ〜.....いい湯だ」

「比企谷、おっさんみたいだぞ」

「こういう時くらい別にリラックスしてもいいだろ」

俺達が雑談してると、誰か入ってきた。

「おっ、集か?」

「ここ意外と広いのね!」

「ほんとだね!私温泉はいるの初めてだから楽しみだったの!」

「小咲ちゃんも?私もなのよ!」

.....この声って....

「はやく洗ってお湯に....」

「?どうしたの?千棘ちゃん....」

......目の前にいたのは小野寺と桐崎だった。.....どゆこと?

「な、な、な、.....」

「なんであんたらいるのよ!?ってかこっち見んな!」

「す、すまん!っていうかここ男湯だぞ!?」

「はぁ!?ここは女湯よ!」

「なに!?俺ちゃんと確認したぞ!」

「.....わかった、きっとクロードの仕業だわ」

「....確かにあいつならやりかねんな」

....クロードって誰?俺と小野寺置いてかれてるんだけど。

「とにかく、あんたら早く出なさい!バレたらただじゃすまないわよ?とくに鶫とか」

「あ、あぁ。すまん桐崎!小野寺!いくぞ比企谷!」

「え?あ、おう....」

ガラガラ

「おーいい景色だな」

「ほんとですね」

.....まずい。ほかの女子まで入ってきた。

「げっ、みんな来ちゃった!小咲ちゃん!こいつら隠すわよ!」

「う、うん!」

 

.....どうしよう。見つかってしまうかもという不安もあるけど、小野寺との距離が近くてもう心臓バクバク。タオルまいてるだけだから....

時々生足とか当たってるんだよ。....女子ってなんでこんな肌白いんだ?

「....ひ、比企谷くん、あんまり見られると恥ずかしいよ....」

「す、すすすまん」

「....出る気配ないわね。あんた達、私たちがサポートするからなんとか逃げ出しなさい」

「なんとかって....」

とにかく探すしかない。....ん?あれは!

「おい、あそこに穴あるぞ。男湯に繋がってるんじゃないか?」

「ほんとだ!いこう!」

「あそこね。いくわよ小咲ちゃん」

「う、うん」

バレないように、そっと....

「ん?小咲達そんなとこにいたの?」

「る、るりちゃん」

「なんでそんな隅にいるのよ」

「えっ!?な、なんとなくだよ、あはは....」

「お嬢!お嬢もそんなところにいないでこちらへ!」

「ちょ、きちゃだめ!」

ま、まずいぞこれは。

「あんた達先行きなさい!ここは私たちがあしどめするから!」ボソッ

「わ、わかった!」ボソッ

というかこれ息がやばい。早くしないと....

「そうそう!今恋愛トークしてたんだけど、桐崎さんとか一条くんとどうなの?」

「え?ふ、普通よ普通!」

「えー?気になるなぁ」

「ほ、ほんとになんでもない...わっ」

バシャン

うおっ、桐崎のやつこけやがった。一条のやつ大丈夫か?というか早くどけ!息が!

(比企谷!こっちだ!)

(おう!)

「えー?じゃあじゃあ寺ちゃんは!?好きな人いないの?」

「わ、私!?私はいないよ?」

「寺ちゃんも怪しいなー」

「そういえば前気になる人いるって....」

「る、るりちゃん!?」

「ほーほー、これは詳しく...」

「.....」

「あー!逃げるなー!」

「い、いないってば〜!ってわっ!?」ツルッ

バシャン!!

うわ!?また誰か転んで....

チュッ

「!?」

「っ!?」

 

 

 

 

 

「それで、見たの?」

「み、見てないぞ?湯気でほとんど。な、なぁ?比企谷」

「え?あ、おう」

「じゃ、じゃあダーリン、最後のは?」

「最後のってなんだよ?」

っ、最後の....俺が穴を通る寸前に口に来た感触って....

「....ならいい」

「お、小野寺もごめんな!」

「えっ!?だ、大丈夫だよ!き、気にしてないから!」

「ほら、比企谷も!」

「え?あ、お、おう。すまなかった」

「き、ききき気にしないで!私ももういくね!」

.....小野寺のあの反応。....やっぱりあの時.....き、キスしちまったのか?

小野寺と。あの顔は小野寺もわかってるよな。....どう思われてるんだろうか。嫌われなきゃいいけど。

 

 

翌日

「お、おはよう比企谷くん」

「ん?あ、お、おう」

これは嫌われるとかそういう問題じゃないわ。俺がまともに話せない。

というかなんか一条と桐崎の様子もおかしいな。....まさか桐崎が転んだ時に俺と同じことが?まぁそれはないか。

というかどうしよう。小野寺とまともにこれから話せるかな。

 

続く


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