「小咲」
「あ、るりちゃん!」
今日はるりちゃんと喫茶店に行く約束をしていました。
それは私のある悩みを相談するためです。
「それで、相談って?恋愛事?」
「う、うん。...私が一条君のこと好きなのは知ってるよね?」
「えぇ。早く告白すればいいのに」
「と、とりあえずその話は置いといて....実は私、他にも気になってる人がいるかもしれないの」
「....もしかして比企谷くん?」
「えっ!?」
「図星ね。最近はあなた達仲良さげだからなんとなく言ってみたけど、まさか当たってるとはね」
る、るりちゃん鋭いなぁ....
「そ、それでね。私、比企谷くんとは1度昔に知り合ってるの」
「え?」
「小学校の頃なんだけど、私当時いじめられてたんだ。ほんの一時期だけどね。でもそこに比企谷くんが転校してきたの」
「そんなことが...」
「それでね、比企谷くん最初はみんなから質問とかされたり注目されてたんだけど、いつの間にか周りは静かになってて。それて数週間たったくらいからある日急に私へのいじめがなくなったの」
「良かったじゃない」
「うん。でも、その数日後に見ちゃったんだ。私をいじめていた人達が比企谷くんに暴力ふるってるのを」
「...なるほどね。標的が変わったってこと」
「うん。その時なんとかしようって思ったけど、怖くて何も出来なかった。でも、ひとりが寂しいのは私が一番わかってたから私だけでも比企谷くんのそばにいようって思ったの」
「なんか小咲らしいわね」
「そ、そうかな?...それで、比企谷くん、最初は疑ってたけどだんだん心を開いてくれて。多分その時一番仲良かったの比企谷くんだったと思う。比企谷くん、見た目は少し怖いかもしれないけど優しくて、日直の時とかプリント運ぶのとかも手伝ってくれたり、ものをなくした時とかも一緒に探してくれたんだ。多分私その時比企谷くんのことが好きだったのかもしれない」
「なるほどね」
「でも、私と比企谷くんが仲良くしてるのを誰かに見られたみたいで、からかわれるようになったの」
「まぁよくあるわよ。そんなこと」
「そこまではいいんだけど、また私もいじめられるようになったの」
「また?私、1回そのいじめっ子たちをぶん殴りたいわ」
「お、落ち着いて!...いじめはどんどんエスカレートして、ものとかも取られたりして、暴力とかも振るわれたりしたの。周りから見えない場所にあざとかもできちゃって」
「ひどいわね....」
「それでね、ある日比企谷君が突然「もう俺に関わるな」っていったの」
「比企谷くんが?」
「うん。なんで?って聞いても教えてくれなくて。それを聞いた次の日から比企谷くんは私と関わらなくなったの。それでひとりで考えて、もしかしたら比企谷くんは自分と関わるようになってから私がいじめられてるから関わらなければなくなるって思ってると思ったの」
「突き放したのは小咲を助けるためってこと」
「うん。....でもいじめは続いたんだ。ある日ね、そのいじめっ子たちが誰かと喧嘩したような怪我をして教室に入ってきたの」
「いい気味じゃない」
「でも私その時なにか嫌な予感がして。比企谷くんその時まだ学校に来てなかったの。いつも私が学校来る時は教室にいたのに」
「たまたまじゃない?」
「ううん...その後も比企谷くん来なくて、先生が教室に入ってきたの。それで先生が「比企谷は親の都合で引っ越した」って言ったの」
「.....だいたい予想はつくわ。その喧嘩したのが比企谷くんでこれ以上小咲に迷惑かけたくないから転校したとかでしょ」
「うん、多分....それから比企谷くんと連絡取れなくなって。その時の私じゃ比企谷くんのあとを追うことはできなかったから諦めるしかなかったの。それからはいじめもなくなって、中学に上がって一条くんやるりちゃん達と出会って」
「それで高校1年になって比企谷君が転校してきて再会したってわけね」
「うん。でも比企谷くん私のこと覚えてないみたいなんだ」
「でしょうね。それで、その恋をした男の子と再開してまたその時の気持ちが蘇ってきたってこと?」
「そう、なのかな。でも今の比企谷くんも昔とぜんぜん変わってなかった。ひねくれてるけど困った時は助けてくれて。とっても優しい人だった」
「それで、今は一条くんと比企谷君どっちが好きなの?」
「わからない...っていうのが本音かな」
「それで気持ちを確かめたいってことね」
「うん」
「....なら一条くんへの告白は中断ね。でもあんた、その鍵のことはどうするつもり?」
「え?....約束は大切だけど、今の私じゃなにも分からないから。今の気持ちを大切にしたい、かな」
「わかったわ。でも小咲がどっちかを好きなのかはあなたにしかわからないわ。だから2人と一緒にいられる時間を作ってあげるわ。あとは自分でなんとかしなさい」
「うん。それだけでじゅうぶんだよ。ありがとう、るりちゃん」
「まさか比企谷くんと小咲にそんな過去があるとは思わなかったわ。
もしかしたらその約束の鍵の相手も比企谷くんなんじゃない?」
「あはは....それはないんじゃないかな?小学生ところもそんな話聞いたことなかったし」
「あんたが聞かなかっただけでしょ?」
「まぁそうだけど...」
「ま、とりあえず今の状況を考えると1番恋人になれるのは比企谷くんよね。一条くんは桐崎さんと付き合ってるんだし」
「ま、まだそんな恋人とかは早いよ!」
「でも、今の小咲を見ていると、比企谷くんに気持ちが寄ってる気はするわね」
そ、そうかな?私そんな素振り見せたかな....
「一条くんと話してる時も楽しそうだけど、比企谷くんと話してる時の方が割りかし一条君の時より楽しそうに見えるわ」
「そう...なのかな」
「まぁ、急いでも仕方ないし、少しずついきましょう。小咲のペースで」
「うん!」
ハチくん、思い出してくれるといいな♪
続く