「……私ね…八幡君のことが好き」
………俺今なんて言われた?好き?誰が?小野寺が。誰を?俺を。
…幻聴じゃないよな。小野寺の顔からしてそれはない。ドッキリ?
ここは小野寺の部屋だし可能性は低い。というか小野寺はそんなことする奴じゃない。
(わ、私今なんて言った!?こ、告白しちゃったよね!?ど、どうしよう!八幡くんと2人きりで嬉しくてなんかついポロッと…ぜ、絶対引かれた!嫌われたかな……で、でも言っちゃったものは仕方ない!もうヤケクソだよ!)
「…は、八幡くんは私のことどう思ってる…?」
「……お、俺は…」
俺は小野寺のことをどう思ってるんだ?嫌い?いやそんな訳は無い。
じゃあ好き?そもそも何で文化祭の時も、小学校の時も、小野寺を助けようとした?俺が嫌だったから。小野寺の悲しい顔なんて見たくなかったから。笑っていて欲しいから。それは何故だ?
「……俺も…小野寺のことが好きだから…」
「…え?」
……あれ、今口に出した?出したよね?
「……ほ、ほんとに?」
「………あぁ。多分、俺は小学校の時からお前のことが好きだったのかもしれない…」
「う、嘘じゃない?」
「こんな時に嘘つくほど俺は最低男じゃない」
「…じゃ、じゃあ…両思い?」
「…ま、まぁそうなるな」
「……八幡くんっ!」
「おわっ!?」
小野寺は勢いよく俺に抱きついてきた。
「わ、私言ってからもし八幡くんに嫌われたらどうしようって、関係が壊れたらどうしようってすごく後悔して…」
「…まぁ言われた時はびっくりしたけどよ。言われて気づいたんだ。ずっと小野寺のことが好きだったんだって」
「嬉しい…すごく嬉しい…」
「…俺もだ」
「……両思いってことは付き合うってことだよね…?」
「まぁそうなるな。小野寺が嫌なら無理にとは言わないけど」
ここで無理とか言われたらすぐ窓から飛び降りる自信あるぞ。
「そ、そんな事言わないよ!…恋人同士になるってことだよね?」
「あんま言わないでくれ。恥ずかしい」
「…えへへ…なんだかすごく幸せ…」
「お前ニヤケすぎだろ」
「だ、だって嬉しいんだもん!……恋人同士ならさ、八幡くんも名前で呼んでくれない?」
「無理」
「即答!?…お願い…」
「うっ……こ、小咲」
「!もう1回!」
「もう言わん。というか前も言ったことあるだろ名前で」
「そ、そうだけど、全然呼んでくれなくなったから…」
「…これからは呼ぶから許せ」
「…もう仕方ないなぁ。…八幡くん、改めてよろしくね?」
「おう」
「……」
「?どうした?」
「え、えっと…お願いがあるんだけど…」
「なんだよ?」
「…き、キスして欲しい」
「…まじで?」
「…う、うん」
「……わ、わかった。目閉じろ」
「うん…」
「……」スッ…
「……えへへ、ファーストキスなんだよ?」
「…そんなの俺もだ」
「……るりちゃん達にも報告しなきゃね」
「まじで?絶対集とかからかってくるだろ。…あ」
「どうしたの?」
「い、いやなんでもない」
楽どうしよう…あいつも小野寺のことが好きなはず…1発殴られることは覚悟しておこう。
「…ふふっ」
「お、おい、腕に抱きつくな」
「恋人同士なんだからいいの!」
「うっ…」
リア充はこんなこと平気でやってるのか。いや、嬉しいよ?でもなんかすごい精神使う。
「今度2人で旅行とか行きたいね」
「まぁそのうちな」
「浮気とかしちゃダメだよ?」
「する度胸もないしそんなモテてる訳でもないんだから安心しろ」
「八幡くんのために料理も勉強しなきゃね」
「無理しなくてもいいぞ。なんなら俺が作るし」
「ううん、私も少しは成長しないと!」
「とりあえず俺はそろそろ帰るわ。夜も遅いし」
「そうだね。また学校でね?」
「あぁ。…またな小咲」
「うんっ。またね八幡くん!」
家
…………俺、恋人出来たんだよな。……〜〜!!!????!!
「…お兄ちゃん、帰ってきてそうそうどしたの?キモいよ?」
「…今の俺は何を言われても動じんぞ」
「???」
「小町、重大発表がある」
「お姉ちゃんと付き合うことになったとか?」
「……え、なんで知ってるの?」
「ほんとに!?お兄ちゃん!!」
「カマかけたのかよ…ほんとだよ」
「うぉぉぉ!お兄ちゃんがついにやったー!!」
「女の子がうぉぉぉ!とか言わないの」
「で、どっちから告白したの!?」
「…小咲」
「お姉ちゃんか〜まぁお兄ちゃんそんな度胸ないしな〜どうせ言われて好きなの気づいたとかじゃないの?」
「…おっしゃる通りでございます」
「全く…お兄ちゃん、ちゃんと大切にするんだよ?お兄ちゃんに彼女なんてもう出来ないんだから」
「あぁ。わかってる」
「そうと決まれば今日は赤飯だー!」
そして冬休みも明け、三学期。
「楽、集、話がある」
「なんだよ?」
「えっとな…俺、小咲と付き合うことになった」
「「…え?」」
「…ま、まじで?」
「まじで」
「……そっか。おめでとう八幡!八幡なら安心だ!」
「…怒らないのか?」
「なんでだよ?それに、小野寺が八幡のこと好きってことなんとなく気づいてたしな」
「まじかよ。全然分からんかった」
「まぁ八幡も鈍感だからな〜で、小野寺とはもうキスしたのか?」
「ぶっ!?…集、お前そういうことしか言わねぇな」
「だって気になるじゃん〜した?」
「…ノーコメントで」
「したな」
「したね」
「うるせぇ。それより楽はどうなんだ?」
「なにが?」
「桐崎と」
「は!?いや、あいつとはフリだって!…まぁ悪いやつではないのは知ってるけど」
「ま、仲良くやれよ」
「俺の話はいいから八幡の話しようぜ!」
「ちっ」
「今舌打ちした!?」
「あ、楽。あんた達も聞いたの?」
「ってことは千棘たちもか」
「改めておめでとうございます。お二人共」
「ありがとう、鶫ちゃん」
「やっとって感じね」
「あはは…るりちゃんには大変お世話になりました」
「比企谷、あんた小咲ちゃん泣かせるんじゃないわよ?」
「わかってる」
「じゃあ今日はパーティでも開こうぜ!」
「そうね。舞子くんなしで」
「るりちゃん相変わらずだな〜」
「…八幡くんっ」
「お、おい教室で抱きつくなよ」
「…大好きだよ」
「…あぁ。俺もだ」
続く