捻くれ少年のラブコメディ   作:リヨ

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22話

文化祭も無事終わり、次にやって来るのはそう……

「体育祭!!!」

「みんな勝つぞー!」

「おぉー!!」

「なんで男子だけこんなやる気なんだ?」

「なんか、一位になったら好きな女子とデートできるんだとさ」

「そんなこと誰が言ったんだ?」

「恭子先生」

「…あいつらよく騙されるな」

 

「最初は400mリレー!みなさん、気合を入れていきましょう!」

「じゃ行ってくるわ」

「楽〜頑張れよ〜」

「一条くん、頑張って!」

「楽!負けたらぶん殴るからね!」

「おう!」

 

「お前あそこで転ぶなよ…」

「し、仕方ないだろ!」

ラスト直前、うちのクラスのアンカーである楽と5組のアンカーが一位争いをしていたんだが、ゴール直前で楽は転んでしまったのだ。

 

そして、競技はどんどん進んでいき、ついに俺の競技。

「ラストは借り物競争!これは難易度が高いほどポイントが多くもらえます!運も実力のうち!みなさん頑張ってください!」

この俺にかかれば一瞬だ。…直感的にこれだ!

「どれどれ……」

……う、嘘だろ…

「どうしたんだ?八幡のやつ、固まってるぞ」

「何引いたんだろう?」

「うわ!あいつ涙目でこっち見てきた!一体何引いたのよ!」

ど、どうすれば…俺に恋人なんていないぞ!!

紙に書かれていたのは、恋人だったのだ。

「助けてらくえもーん!」

「気持ち悪いぞ!?何書いてあったんだよ!?」

「これだ…」

「どれ…恋人…」

「なによこれ!いなかったらどうしようもないじゃない!」

「…私に案があるわ」

「宮本?」

「…小咲、あなたの出番よ」

「…え?」

 

「おっと!1着は比企谷八幡選手!お題は…恋人です!これは恋人がいなければ不可能な問題!しかし成功すれば大きなポイントになります!お相手は…寺ちゃん!?」

「お、小野寺さん!?」

「お、小野寺さんに彼氏いたのか!?」

「あの腐った目のやつ、羨ましい!」

どうしてこうなった…

「な、なんか凄い騒がしいね…」

そりゃ小野寺は結構男子から人気あるから騒ぐのもしょうがない。

「比企谷くんと寺ちゃんって付き合ってたの?」

「え、えっと…あはは」

「ほら、もうゴールしたしいいだろ?」

「…まだダメです!」

「は?」

「恋人のフリをしている可能性があります!ここで恋人である証拠を見せてもらいます!」

「はぁ!?」

「えぇ!?」

なんかめんどくさいことになってきたぞ…

「こちらが出す指示をその通りやれば本当のゴールです!」

「し、指示って…?」

「…お互い10秒間抱きしめあってください!」

((…えぇーー!!?))

「恋人同士ならできますよね?」

「ぐっ…」

これはまずいぞ。どうすれば…

「…は、八幡くん」

「小野寺…?」

「…私は大丈夫だから…しよ?」

「で、でもな…」

「私じゃ嫌、かな…?」

「いやむしろ嬉しい」

「え?」

「…何でもない。…ほんとにいいのか?」

「う、うん。勝つためだし…」

「…わ、わかった。…いくぞ?」

「う、うん」

「…」ギュッ

「〜!」

恥ずかしいいい匂い恥ずかしい!リア充はこんなこと普段やってるのか。どんな思考回路してんだ一体。…小野寺の体意外と小さいな。なんかいい匂いもするし柔らかいし…はっ、煩悩退散煩悩退散。まだ10秒経たないの!?

「うわぁぁぁ!俺の小野寺さんがぁ!」

「あいつ絶対許さねー!」

うるさいぞ観客共。もうこれ黒歴史確定だな…

「…お、おいもう10秒経ってるだろ?」

「あ、ばれた?」

この野郎…

俺はすぐ小野寺から離れる。

「すまんな小野寺、抱きついちまって…小野寺?」

小野寺の顔を見るとめっちゃ真っ赤だった。

「だ、大丈夫か?」

「ふぇっ!?だ、大丈夫だよ!うん!」

「そ、そうか?…おいもうこれゴールでいいよな?」

「…いえ、まだこれでは足りません」

「まだやらせる気かよ!?」

「最後の課題は…彼氏が彼女さんにほっぺにキス!」

「…無理不可能恥ずかしい」

「嫌だとは言わないんですねぇ」ニヤニヤ

こいつほんと後で覚えてろよ。

「ほ、ほほほっぺにき、ききキス…!!」

「おい小野寺、間に受けなくていいぞ」

「……ど、どどどうぞ!」

「…お、小野寺?」

小野寺は覚悟を決めたように体を横に向け、目をつぶった。

…これしなきゃいけない流れ?

「さぁさぁ!」

「いや、俺やるとは一言も…」

「八幡ー!さっさとしろよー!」ニヤニヤ

集のやつ…あいつ後でぶっ飛ばす。

「おい八幡!するな!絶対するな!」

楽は必死だな…

「…比企谷くん!」

「宮本?」

「キスしないとあることないこと噂を広げるわよ!」

ないこと言うなよ!?もうやだ…

「さぁ比企谷選手!」

「ぐっ…」

するしかないのか…?

「八幡!もしキスしなかったら校内放送でお前の性癖バラすぞ!」

「うぉい!?」

集のやつ何て脅しだ。そんなことしたら俺の高校生活は終わりだ。

もはや今の俺にはすると言う選択肢しか残ってないようだ。

「…い、行くぞ小野寺」

「は、はいっ」

「…」スッ…

そして、俺は一瞬だけ小野寺の頬に口付けをした。

「きゃぁぉぁ!!」

「お、小野寺さんの頬が!!」

うるさいな観客!俺だってしたくてしたわけじゃないわ!

「合格です!無事恋人という証明がされたので1位は比企谷八幡選手!」

「「「ぶーー!!!」」」

「なんで俺のクラスのヤツらからも非難されてんだよ!?」

「比企谷は後で学級裁判だ!」

「小野寺さんの可憐な柔肌を…あいつ許さん!死刑だ!」

「おーい楽〜しっかりしろー」

もうやだこの学校…

「…小野寺、大丈夫か?」

「…あ、ありがとうございます」

「…は?」

「…それでは失礼させていただきます」

「え、ちょ…」

「失礼します!!!!るりちゃぁぁん!!!」

そう言うと小野寺は猛スピードで宮本の元へ戻っていった。

「ふっ…俺はやっぱり孤高の狼なんだな」

 

 

 

 

 

「「優勝を祝して!かんぱーい!!」」

「寺ちゃん寺ちゃん!比企谷君といつから付き合ってたの!?」

「え!?え、えっと…」

「おい八幡!なんでしたんだよ!」

「仕方ないだろ!集のヤツにいえ!」

「にゃははー!面白かったぜ!写真にも収めたし!」

「すぐ消せ!」

「やだよーん」

「小咲、頑張ったわね」

「るりちゃんなんであんなこと言ったの!?」

「小咲のためじゃない」

「ま、まさかあんなことすることになるなんて…!」

「でも、嬉しかったんでしょ?」

「…うん」

「おい比企谷!お前は死刑だ!切腹しろ!」

「うるせぇ!俺はもう何言われようと屈しねぇぞ!」

「あ!逃げた!待てー!!」

「こっち来んな!」

「あいつも大変ね」

「お嬢!このお肉意外といけますよ!」

「小咲、今度はマウストゥマウスよ」

「無理だよ!?」

 

続く


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