捻くれ少年のラブコメディ   作:リヨ

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遅くなって申し訳ないm(_ _)m


19話

ピンポーン

「はーい!…小咲お姉ちゃん!」

「こんにちは、小町ちゃん。八幡くんいる?」

「いますいます!お兄ちゃんー!」

「なんだよ…小野寺?」

「こんにちは、八幡くん」

「どうした?何か用か?」

「う、うん。えっとね…」

すると、小野寺は急にモジモジし始めた。

言い難いことなのか?

「…は、八幡くん!」

「は、はい」

「そ、その…あ、明日なんだけどね!」

「明日?なんかあったか?」

「明日…はっ!小町わかりました!小咲お姉ちゃん!ファイト!」

「う、うん…明日縁日で神社でお祭りがあるんだけど…い、一緒に行かない?」

「宮本とかと行った方が楽しいんじゃないか?」

「はぁ…これだからごみぃちゃんは…」

「そ、それもそうなんだけど…八幡くんと行きたいんだ」

「こ、小咲お姉ちゃん…!…あぁ!そういえば小町買ってきて欲しいのがあったんだ!小咲お姉ちゃんに頼むのもあれだしお兄ちゃん買ってきてくれないかなー!」

「…わかったよ。行けばいいんだろ」

「!ありがとう、八幡くん!」

 

 

 

 

そして次の日の夜。小野寺とは神社で待ち合わせになった。なんかその方が雰囲気が出るらしい。知らんけど。

「は、八幡くんお待たせ!」

「お、おう…」

小野寺は浴衣を着ていた。正直めちゃくちゃ可愛い。

「…そ、その浴衣似合ってるぞ」

「ぁ…あ、ありがとう…えへへ」

「…行くか」

「う、うん!」

 

「たくさん屋台あるね」

「そうだな」

「そう言えば小町ちゃんに何頼まれたの?」

「りんご飴と、今日限定のお守りだそうだ」

「小町ちゃん好きな人いるの?」

「…は?」

「き、今日限定のって恋結びのお守りだよ?」

…な、なんだと。こ、小町好きな人いるのか!?ゆ、許さんぞお兄ちゃんは!そいつぶっ飛ばしてやる!誰だ!?坊主頭か?

「は、八幡くん大丈夫?」

「あ、あぁ」

落ち着け落ち着け。もしかしたら誰かに渡すためかもしれん。女友達に頼まれたとか。うん。そういうことにしよう。

「よし、行くか」

「?うん」

 

「おっ、八幡の坊ちゃんじゃないですか!」

「ん?楽のとこの…」

「俺達今いろんな場所で屋台出してるんすよ。八幡の坊ちゃんならただでいいですよ!楽坊ちゃんとは友人ですからね!」

「いいんですか?ありがとうございます」

 

「良かったね。ただでもらえて」

「あぁ。しかも美味い」

「次どこ行こっか…あ」

「ん?すごい混んでるな…」

「きっとお守りの列だよ」

「列って言うのかこれ?…並ぶか」

「まさかこんなに混んでるなんて思わなかったね」

「確かにな。そんなに恋愛脳多いのかこの辺は」

「別にそういうわけじゃないと思うけど…きゃっ」

「おっと。大丈夫か?」

「う、うん。ありがとう…は、八幡くん」

「ん?」

「そ、その…て、手握ってもいい?はぐれちゃうと困るし…」

「…まぁそうだな。…ほら」ギュッ

「!ありがとう…えへへ」

恥ずかしい柔らかい恥ずかしい!小野寺の手ってこんな小さかったんだな…って余計な事考えるな。これははぐれないための手段だ。うん

「あ、順番きたよ」

「恋結びのやつ2つお願いします」

 

「買えてよかったね」

「あぁ。…小野寺、これ」

「え?…えぇ!?」

「本当は屋台とか奢ろうかと思ってたけど、タダだったからな。まぁそれ限定品らしいし、やるよ」

「そ、そういう意味…はぁ」

「ん?そういう意味って?」

その時、宣伝の声が聞こえた。

「恋結びのお守りは好きな人にあげるとプロポーズの意味があるから、帰り道とかにそっと渡すとすごくロマンチックですよー!」

「…」

「…」

…そういう意味ってそういうことか。

「…ま、まぁこれは記念ってことで」

「う、うん。ありがとう八幡くん、凄く嬉しい」ニコッ

「!あぁ」

やばい。今の笑顔やばい。その辺の男子なら即落ちしてるレベル。

 

 

「少しずつお客さんも減ってきたかな?」

「どうだろうな」

そういや楽とかも来てたのか?会わなかったな。

まぁこの人だかりだしな。

「…」

「?小野寺?」

そういえばさっきから小野寺に違和感を感じる。

「…お前、足…」

「あ、あはは。履き慣れてなくて」

「ちょっと見せてみろ。…怪我してるな。痛くなかったのか?…とにかくこれじゃ歩けんな…」

「大丈夫だよこれくらい…うっ」

「大丈夫じゃないだろ。…ほら」

「…え?」

「背中乗れ。その状態じゃ歩けん」

「で、でも」

「気が変わらんうちに早くしろ」

「う、うん!…重くない?」

「別に。むしろ軽いぞ」

まぁ人を担いでるわけだから当然重いことには重いが。

「ごめんね。普通の私服で来れば…」

「こういう時は浴衣とか着るもんだろ。気にするな。それに何かあった時のために俺がいるのもあるしな」

「ありがとう、八幡くん」

 

「…」

「…」

「…私ね、まさかこうやって八幡くんとお祭りに来ることが出来るなんて思わなかったな」

「そんなの俺もだ。ぼっちライフを過ごすつもりがいつの間にか…」

「でも、嫌じゃないでしょ?一条くんとかと話してる八幡くん、楽しそうだもん」

「…そうかもな」

俺も少し変わってきてるのかもしれない。いつの間にか楽や小野寺達と関わるようになって。これじゃボッチ失格だな。

「私は八幡くんとまたこうして再会できてすごく嬉しかったんだ。あんな別れ方嫌だったし…」

「あの時は悪かったよ」

「もうあんなことしちゃダメだよ?」

「しないしない」

「…ほんとに?」

「…あぁ。しないから安心しろ」

「うん。わかった。それなら安心だね」

「…ついたぞ」

「ありがとう八幡くん。またね」

「あぁ」

「…八幡くん!」

「ん?」

「私、私頑張るから!それだけ!おやすみ!」

「あ、あぁ?」

何を頑張るんだ?

 

 

続く


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