はぁ....小野寺の昨日あんなことあったから顔合わせられんな。
どうしたもんか。
俺は重い足取りで下駄箱へ向かった。
「.....ん?紙切れ?」
靴箱を覗くと、1枚の紙が入っていた。.....も、もしやこれはラブレター!?ってそんなわけないか。とりあえず中身は....小野寺小咲に近づくな?あー....イタズラかなにかか。小野寺人気あるしな。ほかの仕掛けは.....してないみたいだな。とりあえず様子見るか。
「あっ、おはようはち....比企谷くん!」
ちょっと今名前いいかけましたよね!やっぱり名前呼び許可しない方が良かったかな....
「うっす、こさ...,小野寺」
俺も間違えそうになったよ。ほかのヤツらは気づいてないみたいだな。
「.......」
いや宮本がめっちゃこっち見てる....あ、違う方向いた。
「おっ、はっちまーん!楽がよー!」
「あぁぁ!言いふらすな集!」
そしてこいつらはいつもうるさいな。落ち着きを持ってほしい。落ち着きを。
とりあえず席につくか。靴箱は紙切れだけだったが机は.....何もなし。
ただのいたずらか?
帰り
結局今日は特に何も無かった。気にする必要もなかったか?
「......いって....画鋲」
帰ろうとして靴を履き替えようとすると、靴の中に画鋲が散らばっていた。そしてまた紙切れも。
.......小野寺小咲に近づくな。またか。こりゃあ日に日にエスカレートしていくパターンかもな.....やはり俺が誰かと仲良くなるのは無理だったようだ。あいつらとの関係もゼロに戻した方がいいな。危害があいつらに及ぶ可能性もある。
翌日
「おはよう比企谷くん!」
「.......」
「あれ?比企谷くん?」
「......」
「ちょっと比企谷くん、小咲が挨拶してるじゃない。返したらどうなの?」
「......おはよう。あと、もう俺には関わるな。小野寺だけじゃない。宮本も、一条も、舞子もだ」
「....え....」
「お、おい八幡それどういう意味....」
俺は一条の言葉を無視して席に座る。
「授業始めるぞー席につけー」
いいタイミングだ。これでおっけー。あとは授業終わったらすぐ教室を抜けて授業始まる頃に戻ってくればそれでいい。そのうちあいつらも諦めるだろう。
帰りは捕まりそうになった。だが俺の席は廊下に一番近い位置だから何とか逃げた。
「.....,」
また下駄をあけると....ゴミが大量に落ちてきた。靴の中にもたくさんの画鋲が入っていた。
もしかして朝ちょっと関わっただけでダメだったのか?....はぁ。疲れる。
その後、俺が小野寺達と関わるのをやめると、イタズラはなくなっていた。これで解決だ。ただ俺がぼっちに戻っただけ。
また最近はベストプレイスに行くようになった。一条のつるんでた時は一緒に食べてたからな。
「付き合ってほしい」
ん?あれは....小野寺?ともうひとりは先輩か?あー、告白中ってことか。
「ご、ごめんなさい」
「.....どうしてかな?」
「えっとその-..今は誰ともそういう関係になる気は無いんです」
「.....好きな人でもいるの?」
「い、いえ!そういうわけじゃ....」
「ならダメかな?確かに俺と君はこれが初対面かもしれない。でも俺の評価は知ってるよね?付き合っても嫌な思いはさせないよ」
そういやこの先輩確か学校で人気のやつだ。名前は....忘れた。
「と、とにかくごめんなさい!」
「待ってよ」
小野寺がその場から立ち去ろうとすると、その先輩は腕をつかむ。
「ね?いいでしょ?」
「は、離してください!」
はぁ....1回断られたんだから諦めろよ....腹減った。
「おい、あんたもう諦めろよ」
「あ?.....比企谷八幡」
ん?こいつ今俺の名前呼ばなかったか?
「ひ、比企谷くん....」
「きみは誰かな?俺は今この子と話してるから向こうへ行ってほしいんだけど」
うわー爽やかスマイルですね。俺からしたら気持ち悪いだけだけど。
「さっきのたまたま聞いちゃいましてね。1回断られたんだから諦めたらどうですか?そんなしつこいと余計に嫌われますよ」
「なんだと?......ちっ。小野寺さん、俺は諦めないから」
そう言い残すとその先輩は去っていった。
ふぅ、やっと飯が食べれる。
「ひ、比企谷くん!」
「.....なんだ」
「あ、ありがとう。すごく困ってたから....」
「別に、俺はいつもここで飯食ってるから早くどいて欲しくてしただけだ」
「それでも、ありがとう」
「......わかったから小野寺も早く教室戻れ。一条達も待ってるぞ」
「.......八幡くん、何隠してるの?」
突然、小野寺が真剣な顔で訪ねてきた。まぁそう来るわな。今まで普通に関わってきたのにいきなり関わるなとか言われたんだから。
「べつに何も隠してないぞ」
「嘘。じゃあ八幡くんどうして急に私達から離れたの?何かあったんじゃ...」
「嫌だったんだよ。普通に話してるふりしてただけだ。本当はいやで我慢してたんだよ、あいつらとつるむのを」
「.....八幡くんこんなこと昔もあったよね。私達が小学生のとき、急に八幡くんが私のこと遠ざけて。あの時もいじめられてた。今回も...」
「違う。だいたい小野寺達も俺と関わる必要ないだろ。理由がない」
そう言って俺は弁当を開ける。しかし中身はゴミが入っていた。
「は、八幡くんそれ....」
ちっ、体育の時にやられたな。まだ終わってなかったのか。
「....とにかく小野寺は関係な....」
「関係あるよ!!どうして相談してくれないの!?1人で抱え込んで、それじゃ八幡くんが傷ついていくだけだよ!」
「別に俺は傷ついてなんかない」
「嘘。八幡くん今すごく悲しい顔してる。辛いんでしょ?もっと私達のこと頼ってよ...,」
そう言うと小野寺は涙を流した。傷つけないようにしてたのが逆に小野寺を傷つけていたのか....
「...小野寺、相談がある」
「!うん!」
そしてその後、一条達にも相談をして犯人がわかった。まぁほぼ鶫とかのおかげなんだけど。それでもみんな協力してくれた。
そして犯人はあの時の爽やかイケメンだった。
「あなただったんですね」
「ばれちゃったか。それで?俺を殴るのかい?」
「そんなことしませんよ」
「なんでよ比企谷!こんなやつ1発殴らないと!」
「いい。こんなやつ殴る価値もない。とにかく、もう俺達に近づくな。そうすれば先生達に報告することもない」
「....ま、俺もこれでも受験生だしやめるよ。悪かったね。それじゃ」
「なによあいつ!全く反省してないわ!」
「桐崎落ち着け。これで終わってくれれば一番いい」
「まぁそうだけど....」
でもまさか桐崎がこんな怒ってくれるとは。意外と友達と思ってくれてるんだろうか。
「とにかく解決したしパーっと今から遊ぼうぜ!」
「舞子くんはもうちょっと落ち着いたら?」
「えー?ノリ悪いなぁ、るりちゃん」
「その呼び方やめて」
「よかったね八幡くん」
「....,あぁ」
翌日
下駄箱にも異常はなし、ほんとにやめてくれたようだ。
「ねぇ比企谷くん」
その時、宮本が話しかけてきた。
「小咲知らない?あの子この時間ならいつも来てるんだけど....メールも返事なくて」
「小野寺?いや知らないが....」
その時先生が教室に入ってきた。
「よし席につけー。あれ?小野寺休みか?」
どうやら学校にも連絡は入ってないらしい。.....嫌な予感がする。
ん?メール?....小野寺からだ。写真もある....!?
そこに写っていたのは、ガムテープで口を抑えられ、手を紐で縛られてどこかに監禁されている小野寺の姿があった。
俺はその次の文書を読む。
小野寺小咲は預かった。比企谷八幡、1人で学校の近くの廃工場に
来い。
簡潔にその文章だけがあった。
「ちっ!」
俺はすぐに教室を出て走り出した。
続く