「引越し?」
ある日、親父から突然そんなことを言われた。
仕事の都合で転勤になったそうだ。
ちなみに東京。隣の県じゃねぇか。
そういえば昔1年間だけ東京に住んでたことあったな。
「まぁお前は別に友達とかいないし大丈夫だろ?」
「いや、まぁそうなんだけど....」
転校することになるじゃん。自己紹介とか嫌なんだよな.....
「俺どこの高校行けばいいの?」
「あぁ。それなら俺の知り合いのツテで凡矢理高校ってとこ通うことになった。学力もお前と同じくらいだから気にすることはない」
「まぁそれならいいけどよ」
そしてやってまいりました!東京!
今日から新たな高校生活が始まる。今はもうすでに学校についており、先生が名前呼ぶらしいのでそれを待っている。自己紹介とか必要ないのに。どうせ1人で適当に過ごして終わっていくんだから。
いろいろ脳内で考えているといつの間にか俺の名前が呼ばれていた。
「よし、じゃあはいってこい!」
あー!来ちゃったよ!
「えっと、比企谷八幡です。千葉から引っ越してきました。よろしくお願いします」
言えた!噛めずに言えたよ!......なんかバカみたいだな。
ガタンッ
俺が自己紹介を終えると突然机が倒れる音がした。
「ん?小野寺大丈夫か?」
「は、はいっ!す、すみません!」
「?比企谷。お前の席は小野寺の隣だ。困ったことあったら小野寺に聞け」
よりによって女子かよ......
「よ、よろしくね!比企谷くん!」
「え?あ、おう。よ、よろしく」
最初は俺でも質問タイムとかはあった。
でも適当に答えていたら自然と消えていった。
「転校すると絶対最初質問攻めされて困るよな」
やっと落ち着けると思ったらまた誰か話しかけてきた。しかも結構いるし。
「俺、一条楽!よろしくな!比企谷!」
「私は桐崎千棘!よろしくね!」
「俺は舞子集!気軽に集でいいよ!八幡!」
「宮本るりよ。よろしく、比企谷くん」
そんなに名前覚えられるか。
「あ、おう。よろしくな」
まぁ最初だけだろ。適当に返事しとこう。
「比企谷の家ってどの辺なんだ?」
「あぁ。近くに和菓子屋があったぞ?」
「和菓子屋?それって....」
「ひ、比企谷くん、そのお店の名前ってオノデラって名前?」
「確かそうだったな。そういえば名前同じだな」
「だってそこ私の家のお店だもん!比企谷くんだったんだね!前たまたま引越しのトラック見たんだ!」
「そうだったのか」
その後も適当に他愛もない話をして終わった。
だが帰りが一番大変だった。小野寺が一緒に帰ろうと言い出したのだ。涙目の上目遣いだったので断れなかった。でも小野寺はそんなにめんどくさいタイプでもない。優しそうで大人しそうで、まさに男子からみたら女子の理想って感じ。まぁ俺は勘違いなんてしないけどな。
とりあえず今日は疲れたから家に早く帰って寝よう。
翌日
「楽!どういうことだよ!」
俺が朝教室で読書をしていると、一条も登校してきた。すると舞子がいきなり一条に質問攻めをしていた。
「昨日こいつらが見たんだよ!楽と桐崎さんがデートしているところを!」
「見たであります!」
「えっ!?い、いやそれは....」
「おはようー。どうしたの?」
噂のもう1人の桐崎の登場。
「お、おい桐崎....」
なんか2人でこそこそ話してる。
「もしかして付き合ってないのか?」
「結構ラブラブな感じだったけどな」
「......実は俺たち、ラブラブじゃなくて.....超ラブラブカップルなんだよなー!そうだよな!」
「え、えぇ!そうよ!ダーリン!」
「おぉー!まさかの一条と桐崎のカップル誕生か!」
なんか教室が騒がしくなった。
.....っていうかなにあの演技?なんでみんな騙されてんの?
続く