やはり俺の私の青春大学ラブコメは間違っている。   作:久谷見志乃

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お前何年かけてこれを完成させるつもりなんだよ。

と、自分が一番思っております。

しかも全く進まないし。

きっと完成してる頃には平成の次の次の元号になっていることでしょう。


8話:そして彼女は巻き込まれる。

 

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

どうも皆さん。

 

私、庭部仁保は

本日仲良くなった可愛い女の子一色いろはちゃんと

その先輩の…。

何谷八幡先輩でしたっけ?

まぁ八幡先輩っていっておけばいいかっ!

 

その二人につれられ今電車に揺られてるところです。

 

 

 

仁保「ほんとになにするの?」

 

 

いろは「付いてきた代償、かな?」

 

 

仁保「付いていくだけで何かしらの代わりを償わないといけないの!?」

 

 

いろは「だって私と先輩の二人きりの帰りを邪魔したんだよ?罪は大きいよ?」

 

 

八幡「俺にとってはそれ自体が罰みたいな感じなのだが。」

 

 

いろは「先輩、可愛い後輩と一緒に帰れて幸せですね?ニコッ」

 

 

八幡「なに言わせようとしてんだよ、言わねぇよ。」

 

 

仁保「あれ?八幡先輩はいろはちゃんと帰れて嬉しくはないんですか?」

 

 

八幡「全く。」

 

 

仁保「こんなに可愛いのに?」

 

 

八幡「可愛いな。」

 

 

仁保「こんな人当たりいいのに?」

 

 

八幡「人当たりいいな。」

 

 

仁保「こんなに八幡先輩思いなのに?」

 

 

八幡「それは便利屋としてな。」

 

 

仁保「それなのに?」

 

 

八幡「邪魔。」

 

 

仁保「どういうこと!?」

 

 

いろは「先輩どういうことですか!?」

 

 

八幡「なんでお前までその反応なんだよ。」

 

 

 

帰り道、

未だに疑問を持ちつつそれでも言われたからには付いていこうと決意した矢先、

私、庭部仁保はさらに疑問を抱えていた。

 

 

八幡先輩はいろはちゃんのこと嫌い、なのだろうか?

 

 

ていうか、いろはちゃんのこともあまり知らないのに

「八幡先輩思いなのに?」とか聞いちゃったけど合ってるのか不安に思えてきた。

まぁでも、お互いに否定してこない辺り

二人ともの共通認識として『いろはちゃんは先輩思いの後輩』ってのはあるのだろう。

 

 

その認識を共有していて、

それでもなお八幡先輩はいろはちゃんと帰るのに

いろはちゃんは邪魔だと。

 

 

ほんとどういうこと?

 

 

仁保「えっ、と。八幡先輩はいろはちゃんのこと好きなんですか?」

 

 

いろは「ちょっ!仁保ちゃ…!」

 

 

八幡「嫌いだが。」

 

 

いろは「…ん。…。」

 

 

仁保「即答で嫌いなんですか…。」

 

 

八幡「俺は孤独が好きだからな。誰かに好意など持たない。」

 

 

仁保「しかも消去法で嫌いなんですね…。」

 

 

いろは「…はぁ。」

 

 

 

隣でため息を八幡先輩には見せないよう聞こえないようにしているいろはちゃんを見て私の中の豆電球が

ピコーンと光るのを感じた。

 

 

なるほど。

これは、

この二人の関係がなんとなーくわかった気がする。

 

 

要するに約すると

いろはちゃんの片思いってところか!

しかも負け濃厚の!

 

 

…。

なにそれ悲しいっ!

いろはちゃんが不憫すぎる!!

 

初め、

一緒に帰るとか言ってたから

そこそこ仲が良好で

お互いにそこそこそれとなく意識しあってる、

とか思ってた私を許していろはちゃん!!

 

 

と、全く届かない謝罪を胸に秘めて

いつの間にやら元気を取り戻したいろはちゃんが

 

 

 

いろは「とりあえず2~3日程度で部屋をどうにかしたいです先輩。」

 

 

八幡「俺としてもそれくらいで片つけてはやく解放されたい。」

 

 

仁保「?部屋を片付けるのが代償なの?」

 

 

いろは「そうだよ。」

 

 

仁保「なーんだ、そんなことかー。…。」

 

 

 

 

  

…ん?

 

 

 

 

 

 

仁保「え!?ま、待って!?ちょっとお待ちくださいませ!?」

 

 

いろは「うわっ!ビックリした!」

 

 

八幡「いきなり大声出すな、電車の中だぞ。」

 

 

仁保「あ、すみません。」

 

 

 

平日の夕方と言えど

電車に人がまばらにいるのは流石東京というところだなと

少し荒げた声で注目という視線を通じて感じた。

 

 

いや!

そんなことどうでもよくて!!

 

 

 

仁保「え!?八幡先輩、いろはちゃんの部屋入ってるんですか!?」

 

 

八幡「…入ってるけど。」

 

 

仁保「いろはちゃん入れてるの!?」

 

 

いろは「入れてるけど。」

 

 

仁保「めっちゃ仲良いじゃん!」

 

 

八幡「えっとな、庭部さん。あれを女の部屋と言うなら間違っているぞ。」

 

 

仁保「はへ?」

 

 

いろは「ですねー。もうほんと、覚悟しといてね?仁保ちゃん。」

 

 

仁保「へ??」

 

 

八幡「まぁつけばわかる。」

 

 

 

私、庭部仁保は

疑問を持ちそれを解消したかと思ったら

また疑問を抱えるという

大変頭の回転がぐるぐるして思考が全く追い付いていない状態でした。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

仁保「…嘘でしょ…?!」

 

 

 

私の部屋を見ての仁保ちゃんの第一声だった。

 

 

 

八幡「こういうことだ。」

 

 

仁保「段ボールじゃん!この部屋段ボールで構成構築されてるじゃん!」

 

 

いろは「…まぁ、ちょっと日数の手違いというか…。」

 

 

仁保「…普通学校が始まる一週間前とかには片付け整理整頓は終わってるものじゃない?」

 

 

八幡「余裕は持たせて終わらせたいよな。」

 

 

いろは「…。」

 

 

 

仕方ないじゃないですか。

色々あーだこーだ悩んでたら

気付けばすぐそこに大学デビューが迫ってたんですから。

 

うん!仕方ない!

これは避けれない避けられないことだったんですよ!!

 

 

 

八幡「たらればの話をしても仕方ない。

ちょっと動き易い格好に着替えて来るから二人で出来そうな事からしててくれ。」

 

 

いろは「はーい!じゃぁ待ってますねー!」

 

 

仁保「それじゃ先に…、ん?」

 

 

いろは「どうかしたの?仁保ちゃん。」

 

 

仁保「え?八幡先輩はどこで着替えるんですか?」

 

 

八幡「そりゃ、自分の部屋だろ?」

 

 

仁保「ここから近いんです?」

 

 

八幡「近いというか…。」

 

 

 

先輩はそういうと

私の部屋より更に奥に進み

段ボール部屋の隣の扉で立ち止まり

 

 

 

八幡「ここだしな?」

 

 

コンコンと誰もいないであろう部屋のドアをノックして

さも当然の周知なことであるかのように自分の部屋を示してみせた。

 

 

というか誰かいたら警察沙汰だけど。

 

 

 

仁保「…え?」

 

 

八幡「え?」

 

 

仁保「えええぇぇぇぇぇぇ!?!?」

 

 

いろは「仁保ちゃん、うるさいから声落として。」

 

 

 

デジャヴを感じた。

 

 

 

ほんとこの子はテンションというかリアクションというかが

結依先輩に似てる。

時々重なるときすらあるくらいだ。

パッと見も割りと似てるし。

 

 

 

八幡「…由比ヶ浜みたいなやつだなほんと…。」

 

 

 

小声で先輩もそう呟いたので

由比ヶ浜結依という人を知ってる人からすれば

本当に瓜二つなのは間違いないだろう。

 

 

 

仁保「あ、ごめんなさい。けど!え!?やっぱり二人ってすごい仲良い!?」

 

 

いろは「…そうありたいんだけどね、仁保ちゃん。

けどこれは本当に偶然なの…。」

 

 

仁保「偶然にしては出来すぎてるよ!運命だよこれ!ほんとに!!」

 

 

いろは「運命だと嬉しいんだけどね…。あと声抑えて。」

 

 

仁保「あっ…。…。でも、凄くない?こんなのフィクションじゃない?」

 

 

いろは「大丈夫。私も何度も自分疑ったから…。」

 

 

八幡「俺は偶然も運命も宿命も信じてないがな。」

 

 

仁保「じゃぁ八幡先輩はこうなることは必然だと?」

 

 

八幡「…言葉の綾だ。」

 

 

仁保「…二人の関係がほんとに分からなくなってきたよ…。」

 

 

八幡「とりあえずさっさと着替えてきたいんだがいいか?」

 

 

いろは「あ、はーい!それじゃ仁保ちゃん付いてきた罰でこの段ボールの山を片付けるの手伝ってね!」

 

 

仁保「…割りと重労働だよね、これ…。」

 

 

いろは「私と先輩の邪魔をした罪は大きいからね♪」

 

 

八幡「…着替えてくる。」

 

 

 

 

 

もう先輩に突っ込まれさえしなくなってしまっていた。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

いろは「さて!やろうか!」

 

 

仁保「…何から手を付ければ…。」

 

 

いろは「一先ず大きいやつからやっていけばいいんじゃない?」

 

 

 

そういい私は組み立て式のベッドと書かれた段ボールをパンパンと叩いて見せた。

 

 

 

 

仁保「わぁー、始めからメインディッシュー。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡「…で?」

 

 

いろは「…無理でした。」

 

 

仁保「私たち二人では手に負えない怪物でした。」

 

 

八幡「それでこの惨状か。」

 

 

 

あれから先輩がこっちに来るまで10分くらいといったところかな?

 

 

先輩がそういうのも十分なくらいに

私の段ボール部屋はいくつかの鉄パイプ部品でごちゃごちゃしていた。

 

 

 

八幡「こんなん組み立て書見れば分かるだろ。」

 

 

いろは「いやですね?この部屋自体がもので散乱してて小さな部品がどこやった分からなくなって見つけた!ってなったらなったで他の部品がどれか見当たらなくなりそれを探してたらさっき見つけた部品がどっかいっててぇ…。」

 

 

八幡「…頭悪いやつか。」

 

 

いろは「むぅー!先輩と同じ大学入ったんだから悪くないですよーだ!」

 

 

八幡「いや、そういうことじゃなくて要領が悪い。」

 

 

いろは「…ですね。」

 

 

仁保「どうしましょう?」

 

 

八幡「まず作業できるスペースを確保することが先決だな。」

 

 

仁保「分かりました!」

 

 

いろは「はーい!」

 

 

八幡「小さい部品とかはなくさないようにな?」

 

 

いろは「…はーい。」

 

 

 

 

40分後。

 

 

 

 

八幡「…まぁ、こんなもんなんじゃね?」

 

 

 

 

先輩が言うようにスペースを空けたらあら不思議

特につまずくこともなくさくっとベッドが完成してるではありませんか!

 

 

ついでと言って

ベッドを組み立てる過程でちまちまと回りを片付けていたので

寝具付近はもう部屋といっていいものになっていました。

 

 

 

八幡「あと、大きいものことといったらインテリアとキッチン周りか。」

 

 

いろは「んー、さきにキッチンですかねー?」

 

 

仁保「え?インテリアとかやらないの??」

 

 

いろは「そっちをさきにやっちゃうと細かいところとか気になっちゃって中々進めなくなっちゃうと思うんだよねー。」

 

 

仁保「あー、あるある。」

 

 

いろは「というわけでー、この段ボール置き場と化したシンク周りをとりあえず片付けましょう先輩!」

 

 

八幡「あいよ。」

 

 

そう言うと3人で

キッチンで乱雑に置かれた段ボールを

きちんと整理整頓をして

この地域での段ボールの捨て方通り紐で縛り

すぐにでも捨てれる状態で邪魔にならないところに置いた。

 

 

こうして見るとあらかた片付いたように見え

私の部屋は徐々におおよそ人が住めるであろう部屋へと

進歩していくのだった。

 

 

 

 

 

 

…はやく終わらせたい…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




…はやく終わらせたい…。


今回は八幡の挿し絵です。
思ったより八幡になってくれて嬉しいです。

やったぁ。

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