やはり俺の私の青春大学ラブコメは間違っている。   作:久谷見志乃

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今回。
お試しとして
挿し絵を描きました。

いやもう単純にいろはが描きたかっただけ。

可愛いいろはす。


4話:そしてかれらは決着する。

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

いろは「…へー。先輩意外と部屋きれいにしてるんですねー。」

 

 

 

 

 

 

 

一色が俺の部屋を見たときの第一声だった。

 

 

 

 

 

八幡「まぁな。専業主夫目指してるからな。」

 

 

いろは「それまだ目指してたんですか…。」

 

 

いろは「…って思ったよりキッチン道具とか調味料とかも揃ってるじゃないですかー。」

 

 

八幡「まぁな。将来専業主夫になろうとしてるからな。」

 

 

いろは「なんで専業主夫の一辺倒なんですか…。」

 

 

八幡「自宅警備家事員が夢だからな。」

 

 

いろは「なんでわざわざよくわからない言い方したんですか…。」

 

 

八幡「俺んちの感想はいいから早く入ってくれない?玄関で地味に重たい荷物もって立ち尽くしてるの辛いんだけど。」

 

 

 

 

 

ていうか。

正直自分の部屋見られて感想とか小っ恥ずかしい。

次いでに妙な緊張もある。

 

 

 

 

 

いろは「それじゃ私自分の部屋から鍋持ってきますねー。」

 

 

八幡「分かった。」

 

 

いろは「…えっちな本隠すなら今ですよー。」

 

 

八幡「ばっ!?ね、ねぇよ!そんなの!」

 

 

いろは「…その反応ガチっぽくて気持ち悪いです。」

 

 

八幡「…っ。」

 

 

いろは「まぁ取り敢えずとってきますねー。」

 

 

 

 

 

そう言うなり一色は

くるりと回れ右をして部屋から出ていった。

 

 

 

ったく…。

 

 

…。

 

 

…ホントにないんだからね!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガチャ…。

 

 

 

 

 

 

…。

 

 

 

 

 

うわぁぁぁぁぁぁ!!!!

 

 

 

せ、先輩の部屋入っちゃったぁぁぁぁ!!!!

 

 

 

あああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!

 

 

 

やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい。

 

 

 

何がヤバイって

端から見たわたし。

 

 

先輩の部屋の玄関の前でかがんで頭をブンブン左右に揺らしてる。

 

 

ただの変質者じゃないですか。これ。

 

 

 

 

…あー。

先輩の部屋当たり前だけど先輩の匂いがしたなぁ…。

いい匂いだったなぁ…。

 

 

 

 

…って!!

やっぱりただの変質者じゃないですかぁ!

 

 

 

…ダメだ…。

春とはいえ空気は冷えてるのに

私だけまるで夏。

暑いことこの上ない。

 

 

いくら待っても冷える気配のない体温をまといながら

少し歩いて隣の私の部屋に手をかける。

 

 

…なんだろう。

この感じ。

胸の奥から込み上げるこの感じ。

 

 

 

 

すごく気分が良いことだけは確かだった。

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

いろは「せんぱーい。鍋持ってきま…って。わっ!」

 

 

 

 

少し大きめの圧力鍋を持って

先輩の部屋を開けると

あら不思議。

先輩がキッチンで人参とかじゃがいもとかを下処理してるじゃないですか。

 

 

じゃなくて!!!

 

 

 

いろは「先輩!」

 

 

八幡「うわっ!ビックリしたじゃないか…。急に大きな声出すなよ…。こっちは刃物持ってんだぞ…。」

 

 

いろは「あ、それはすいません…。…じゃなくてですね!なんで先輩が材料の下処理してるんですか!」

 

 

八幡「いや…。もう遅いしこの方が効率がいいだろ?」

 

 

いろは「それじゃぁお礼にならないじゃないですかぁ…。」

 

 

 

むすっと頬を膨らませ

先輩のいうところのあざといろはを作ってみた。

いやこの言い方物凄いモヤっとするんですけどね。

 

 

 

八幡「ハイハイあざとい。」

 

 

 

やはり先輩相手には作ってることはすぐにバレてしまう。

そういうところだけは敏感な人とつくづく思う。

 

 

 

 

八幡「別にお前の礼の邪魔しようとか考えてねぇよ。一色が帰ってきたら代わろうとしてたし。それに下処理とかしといた方がお前も楽だろ?」

 

 

 

 

そして先輩は素であざとい。

こういうところは本当にずるいと常々思う。

 

 

 

いろは「…その下処理からがお礼なんですよーだ!」

 

 

 

口を尖らせて

鍋を置き一緒に持ってきたエプロンを着る。

 

 

 

八幡「え。何そのキャピキャピしたエプロン。自前?」

 

 

いろは「自前じゃなかったらなんだというですか…。」

 

 

 

確かに少しフリルがたくさんついてますけど

そんな風に言われるなんて失礼しますね。

 

 

 

いろは「そんなわけで先輩は座ってテレビでも見てぐーたら完成を待ってて下さい!」

 

 

八幡「なんかちょっと悪意込めなかった?」

 

 

いろは「込めてないですよぉ?」

 

 

 

 

 

 

さぁ!先輩を唸らせる肉じゃがを作るとしましょうか!

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

一色から悪意を込めたようにリビングへと送らされ

一色から言われた通りに座ってテレビでも見てるのだが。

 

 

 

 

八幡「…落ち着かねぇ…。」

 

 

いろは「何か言いましたかー?」

 

 

八幡「なんでもない。独り言だ。」

 

 

 

 

1Kの部屋のため扉一枚隔ててるのだが

なぜ今のため息にも近い言葉を拾えるのだろうか。

地獄耳なのか?

 

 

 

 

八幡「はぁ…。」

 

 

 

今度は言葉に近いため息をついた。

 

 

淡々と流れているTVの映像や音を

特に何か思うこともなく

そこでTVが流れている

という事実のみを目と耳で捉えているため

内容が全く入ってこない。

 

興味は隣からTVの音よりも小さい家庭的な音で

TVでは決して使うことのない嗅覚で感じるものであった。

 

 

 

時間が経つにつれ

トントンといっていた音がグツグツと変え

それに平行するようにいい匂いが漂ってくる。

 

 

胃の動きが盛んになってきたところで

時計を見ると既に10時前であった。

 

 

カフェでコーヒーを飲んだきり

消化機能を使ってないことを考えると

胃が活発になるのも分からなくない。

 

 

というか。

久しぶりに普通のコーヒー飲んだけど

苦いなあれ。

マッカン見習えよ。

マッカンのあの甘さを見習えよ。

 

 

そんなどうでもいいことを考えていると。

 

 

 

いろは「先輩出来ましたよー。」

 

 

 

マッカンにも引けをとらない甘い声が横切った。

 

 

八幡「おおう。早いな。」

 

 

いろは「ふふん!圧力鍋舐めないでくださいよ!」

 

 

八幡「別に圧力鍋の力をみくびってたわけじゃないんだが。」

 

 

いろは「先輩器とかどこにあります?」

 

 

八幡「あぁ。そこの棚にあるぞ。」

 

 

いろは「りょーかいでーす。」

 

 

八幡「てか盛り付けくらい手伝うぞ?」

 

 

いろは「いいんです!先輩は既に下処理という手伝いをしたんですから!」

 

 

八幡「おぉう…。」

 

 

 

てーてーてーてーてーてーてー。

てーてーてーててててててーて。

てーてーてーてーてーてーてー。

てーてーてーてててててー。

 

 

 

いろは「わっ。先輩ご飯も炊いててくれてたんですか!?ていうかわたし普通に忘れてました。」

 

 

八幡「…まぁいるだろうと思ってな。」

 

 

いろは「なので尚更先輩はそこでじっとしていてください!」

 

 

八幡「…おう。」

 

 

 

一色から動くなと言われたので

大人しく座ってじっとしていると

間もなく美味しそうな料理が運ばれてきた。

 

 

 

八幡「…普通に旨そうだ。」

 

 

いろは「それを食べて確信に変えてあげますよ!」

 

 

 

俺と対面するように座りながら

一色はどや顔でそう言った。

 

 

 

八幡「…いただきます。」

 

 

いろは「はいどうぞ!」

 

 

八幡「…。」

 

 

いろは「…じっー。」

 

 

八幡「…いやそんなに見られてると食べ辛いんだけど。」

 

 

いろは「っ!そ、そうですよね!」

 

 

八幡「全く…。パクッ」

 

 

いろは「…。」

 

 

 

 

 

!?

なんだこれうっま!!

いやマジで!!

味付け完璧じゃないか!!

こいつ料理すげぇ上手いじゃないか!!

 

 

 

いろは「…先輩…?どうですか…?」

 

 

八幡「ん!?んんっ!!ごほっごほっ!」

 

 

いろは「先輩!?どうしたんですか!?」

 

 

八幡「んん"…。すまない…。急にしゃべりかけられたから喉につまらせてしまった…。」

 

 

いろは「大丈夫ですか…?」

 

 

八幡「あぁ。しかしこの肉じゃが普通に美味しいぞ。」

 

 

いろは「普通にってところがなんか引っかかりますけど。美味しく出来てて何よりです!」

 

 

八幡「お前って結構家庭的なこと得意だよな。」

 

 

いろは「日頃鍛えてますから!」

 

 

八幡「お前ならいい嫁になれるぞ。」

 

 

いろは「!?急になんですか!あれですか!遠回しに嫁に欲しいアピールですか!?遠回しに見えて結構ストレートに感じて気持ち悪いんで言葉選んで出直して来てください!ごめんなさい!」

 

 

八幡「そんな意味含んでねぇし…。あと気持ち悪いとかさらっというな…。」

 

 

 

 

普通に凹んじゃうから。

なんなら引きこもっちゃうレベル。

 

 

 

 

いろは「んん…。で。先輩。」

 

 

八幡「なに?」

 

 

いろは「美味しいでいいんですね?」

 

 

八幡「え?俺そう言ったよね?」

 

 

いろは「てことは私の勝ちでいいんですね?」

 

 

八幡「は?なんのこ…。あ…。」

 

 

 

そういえばそんな勝負してたような気がする。

まぁ勝ったからなにかある戦いでもないし

負けを認めるとしよう。

美味しいことは事実だし。

 

 

 

八幡「あぁ。一色の作った肉じゃがは美味しい。俺の負けだ。」

 

 

いろは「てことは一つお願いきいてくれますよね?」

 

 

八幡「…は?」

 

 

 

いや待て。

それは全くもって見に覚えがないんだが?

 

 

 

八幡「…そんなこと言ってたか?」

 

 

いろは「いえ?今こじつけましたよ?」

 

 

八幡「おい。」

 

 

いろは「まぁいいじゃないですかー。可愛い後輩からのお願い事ってことで!」

 

 

八幡「本当に可愛い後輩はそんなこと言わないけどな。」

 

 

いろは「いいじゃないですかー。」

 

 

八幡「いやだ。」

 

 

いろは「…ケチ。」

 

 

 

頬を膨らませるんじゃない。

あざといろは。

 

 

 

いろは「あ!」

 

 

八幡「何?」

 

 

いろは「…ふっふっふっ。」

 

 

八幡「その不敵な笑み怖いんだけど…。」

 

 

いろは「先輩。私が鍋取って来てる間に野菜の下処理しましたよね?」

 

 

八幡「あぁ。」

 

 

いろは「でもそれってぇ。約束違反だと思うんですよねぇ。」

 

 

八幡「あぁ?」

 

 

いろは「だってさっきも言いましたけどそれも含めて料理のお礼だと思うんですよぉ。」

 

 

八幡「あぁ…。」

 

 

いろは「だからぁ。先輩は罰として私のお願いを聞くべきだと思うんですよねぇ。ねぇ?」

 

 

 

いつの間にか

勝者の権利が

罰の義務化していた。

 

 

 

八幡「何だよ。そのああいえばこういうは。」

 

 

いろは「然るべきだと思うんですよねぇ?」

 

 

八幡「…。まぁ一理はあるが。」

 

 

 

確かに。

自分の都合で

相手の礼を欠くようなことは

文字通り礼を欠くような行為だとは思う。

 

 

 

いろは「ですよねぇ!」

 

 

いろは「というわけで!今度私のお願い聞いてくださいね!?」

 

 

八幡「おい。まだそうするとは言ってねぇぞ?」

 

 

いろは「ではではー!よろしくでーす!」

 

 

八幡「…なんだよそのごり押し。」

 

 

 

相変わらず強引な後輩に

不本意ながら

めんどくさいことを取り付けられてしまった。

 




そういえば。
15番目の最後の幻想が発売しましたね。

すごい買おうか迷いました。


買ってませんけど。

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