やはり俺の私の青春大学ラブコメは間違っている。   作:久谷見志乃

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挿し絵です。
いろはです。

初期と比べると
大分絵柄が違うように見えます。

下手になってるのか上手くなってるのか分からないです。


いろは可愛い。


10話:そして彼女は真実を知る。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

いろは「私、八種の彩り御膳で。」

 

 

仁保「んー私はこの、春の味覚炊き込みご飯定食で!」

 

 

八幡「んじゃ、俺はこれで。」

 

 

 

先輩はそういうとお品書きの

【おろし竜田揚げ定食】を指を差し

それを店員に対して見せていた。

 

 

なんかこう、

最低限のことしかしてない感じが

先輩っぽくて今更ながら懐かしく感じてしまっていた。

 

 

そんな想いを馳せていると

懐かしさから正反対の

真新しさ全開である

本日知り合ったばかりの

テンションが常に高い女子こと

庭部仁保ちゃんが

相も変わらずに気持ちを昂らせていた。

 

 

仁保「春の味覚だって!もう春なんだね!春って美味しいよねー!」

 

 

八幡「いや、結構前から暖かいから春が急に来た感じしないし、それに春は食べれない。」

 

 

仁保「八幡先輩はなにかと否定から入る人ですね!何となくのイントネーションで春が美味しいは伝わって欲しかったです!」

 

 

八幡「…悪かったな。それとそれ言うならイントネーションじゃなくてニュアンスだ。声の強弱では伝わらん。」

 

 

仁保「あ、そーですね!間違ってました!すみません!」

 

 

八幡「…素直で元気なやつだな…。」

 

 

いろは「ほんとです。」

 

 

 

4人席でソファー側に私とその左隣に仁保ちゃん。

椅子側の私の正面に先輩と

そんな席分けになっていて

対角にいる仁保ちゃんに対して先輩が

私の方に向き直し口に手を添え

小声でそう話しかけてきた。

 

 

というか、先輩はしれっと女の子を

ソファー側に座らせてるあたり

ほんとあざとい。

無自覚であざといからほんとに困る。

 

 

いや、そんなことで一々

喜怒哀楽したりしてる私の方が

よっぽど困った人間なんだろう。

 

 

 

仁保「八幡先輩!八幡先輩!」

 

 

八幡「なんだ?」

 

 

 

 

 

仁保「八幡先輩って彼女っているんですか!?」

 

 

 

 

 

八幡「…は?」

 

 

いろは「…え?」

 

 

 

 

 

この子は、

このテンションを具現化した子は

一体何を誰に何故聞こうとしているのだろう?

 

 

 

 

 

八幡「…んー。あー、いや、そのだな…。」

 

 

いろは「…?」

 

 

仁保「?」

 

 

 

…んんーー???

そして、なんですかーー??先輩のこの謎の間はーー????

 

 

 

…はっ!

そういや!

考えもしていなかったけど!

よく考えてみればその可能性もあるよね!!

 

 

今までの

あのときから変わってない言動で全くもって

その考えに至ってなかったけど!

そういう思考にすら辿り着いていなかったけど!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先輩に恋人がいるっていうことの可能性を!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうだよね!

先輩、普通にしてたらそこそこ格好いいし

何より!

先輩のこと知っていけば知っていくだけ

比企谷八幡という人間の良さが分かっていくし!!

 

 

でもでも!

先輩は

さっきの部屋の件だったりで

そうそう心を開かないことは確認してるし!!

 

 

あー!

けど、昨日

『人と関わることを邪険としなくなった。』

的なこと言ってたしどうなの!?

 

 

 

一人で考えても

絶対に答えを導き出せないのは明白であるのに

それでも脳をフル回転させ

堂々巡りをしていた。

 

 

ていうか!

今その質問を仁保ちゃんがしてくれてるんだから

答えを聞けば良いじゃん!

 

 

 

いろは「…っ先輩!」

 

 

八幡「うぉ!?ど、どうした?」

 

 

いろは「っ私も!私も先輩に彼女いるか!どうか!気になります!」

 

 

八幡「お、おぉ!?何でお前までそんな食い気味なんだよ。」

 

 

いろは「…あ、す、すみません。」

 

 

 

少しテーブルより前に乗り出していたことに気づき

姿勢を戻しソファーに深く座り直して

一息置いた。

 

 

 

仁保「…で!八幡先輩!どうなんですか!?」

 

 

八幡「…あー、えっーと。…。」

 

 

いろは「…。」

 

 

 

少し焦りすぎていたけど

この口ごもりはあれですね。

何かやんごとなき事情があるやつですね。

 

 

先輩は基本、自分のことの質問には

迅速に本音を応えてくれる。

 

 

ただし、それは自身のことだけに関する質問にである。

とどのつまり。

 

 

 

先輩は誰かとなにかあって

この質問を応えることは

その誰かに対して何かしらのマイナス要素を

含んでいるのだろう。

 

 

 

凄い抽象的で曖昧な導きだけど

多分そう。

 

 

間が空いてしまっているが1年、

たった1年と少しだけだけど

先輩を見てきたからこそ分かる。

 

 

 

いろは「…先輩。」

 

 

八幡「なんだ?」

 

 

いろは「またなんか、やってますね?」

 

 

八幡「…。」

 

 

いろは「まぁ別にその事については特に触れないでおいてあげます。」

 

 

八幡「…助かる。」

 

 

仁保「??ん??どういうこと??」

 

 

いろは「先輩、取り敢えず仁保ちゃんの質問に答えて上げてください。」

 

 

八幡「…お、おぉう。そうだな、端的に言うと恋人ならいるぞ。」

 

 

いろは「先輩、やっぱり何があったか気になるので詳しく教えてくれますか!?」

 

 

八幡「変わり身早いな、おい!」

 

 

いろは「いやー!ビックリですね!先輩みたいな人を好きになる人がいるなんて!」

 

 

仁保「…え、いろはちゃんがそれ言っちゃうの…?」

 

 

いろは「さーて!先輩!色々吐いて貰いましょうか!?」

 

 

八幡「お前、さっきまでの『先輩の気持ちを察する有能な後輩』みたいな感じはどこにやった?」

 

 

いろは「私ぃ、一人じゃぁ、なにもぉ、出来なくてぇ~。」

 

 

八幡「…何急にキャラ作り始めてるんだ?」

 

 

いろは「いろははいつもあざとい後輩ですよ、先輩!」

 

 

仁保「いろはちゃんいろはちゃん!心中察するけど一人称が違ったり喋ってることがさっきからちぐはぐしてたりでおかしいから落ち着こ!?」

 

 

 

 

隣から肩を持たれ

必死に私の自我を取り戻さんと

焦燥の顔をしていた仁保ちゃんを見ると

少し落ち着いていた。

 

 

自分より大きい感情を目の当たりにすると

冷静になるって本当なんだー。

 

 

などど、落ち着いているのか落ち着いていないのか

よく分からない状況だったが

そんなことはつゆ知らずと

 

 

 

店員「お待たせ致しました。こちら、春の味覚炊き込みご飯定食をご注文の方。」

 

 

 

店員がこの空気を割って入ってきた。

 

 

凄く色んな意味で絶妙なタイミング過ぎて

注文を頼んだ人を聞いているのに3人とも

その場を取り繕うことに精一杯で返事を出来ず

少し店員が焦っていた。

 

 

なんだろう。

このテーブルは焦燥を生むことが

得意すぎじゃないだろうか?

 

 

店員そっちの気で

そんなどうでもいいことを考えるくらいには

私も少なからず焦っていた中、

 

 

 

八幡「…えっと、それはここで。」

 

 

 

いち早く返事をしたのは先輩で

仁保ちゃんの方に手を差し商品の行方を指していた。

 

 

それに吊られ店員は

少し危なげな手つきではあったが配膳をし

春を感じさせる定食を仁保ちゃんの前に置き、

『おろし竜田揚げ定食の方ー。』

と、私達3人分の料理を提供してくれた。

 

 

 

先輩「いただきます。」

 

 

いろは「ちょっと待ってください!」

 

 

先輩「…なんだよ…?」

 

 

いろは「話、終わってないですよ!」

 

 

先輩「…いや、勝手に広げてるのお前じゃねぇか。」

 

 

いろは「そうですけど!」

 

 

仁保「…いろはちゃん?落ち着く意味でも一旦ごはん食べよ?」

 

 

いろは「…ぅー…。」

 

 

 

目の前を見ると

自分が頼んだ料理、

八種の彩り御膳が

色鮮やかに並んでおり

胃が少し活発になるのを感じていた。

 

 

 

いろは「…そうだね、一先ずご飯食べよっか。」

 

 

八幡「そうしろ。」

 

 

仁保「うん!いただきます!」

 

 

いろは「いただきます。」

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

駅前の定食屋を後にし

俺と一色の住居に向かう

3人での帰路。

 

 

食事中の一色は

何やら難しい顔をして

特に先の話題を

店の中で出すことは遂になかった。

 

 

だが、一色が取り乱した理由には

ある程度の察しは付いていた。

何が聞きたいことかも。

 

 

俺の恋人なのが

誰となのか。

 

 

一色のある程度の好意は薄々感じていた。

しかしやはり

それは便利のいい先輩としてだろう。

 

 

けれど、それは恋人がいない場合の話である。

俺に恋人がいるとなると

何かある度に

俺に頼ることがしづらくなるのだ。

 

 

もっと言えばその相手が

雪ノ下雪乃か由比ヶ浜結依ならば

更に一色いろはは消極的になるだろう。

 

 

 

だがしかし。

この話には大きな嘘がある。

 

 

 

 

 

 

 

俺には恋人などいない。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、いる。

 

 

 

 

哲学のように感じるかもしれないが

俺には恋人はいるのだがいない。

 

 

恋人がいないのは真実ではあるが

恋人がいるのも偽りというわけでもない。

 

 

というよりは

恋人がいるということを恋人がいないということのために

真実を隠し嘘をついているのである。

 

 

…。

これだからこういう嘘は人によっては

誤解を招くようなことになりそうで嫌だったんだよなぁ。

 

 

そこにいる初対面の庭部さんは兎も角、

一色に関してはこの事については

触れたくなかったし触れられたくもなかった。

 

 

4人。

この嘘を話したくない人数である。

そのなかでも一色いろはは

一番触れられたくない人物だった。

 

 

 

 

だから、本当に

本当に一番会いたくなかったんだよなぁぁー…。

 

 

 

 

しかし、

話してしまっては仕方がない。

向こうから話して来ないならば

話してくるまで待って

その際どうするかを考えなくてはいけない。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

…先輩に彼女。

…先輩に彼女。

…先輩に彼女。

…先輩に彼女。

…先輩に彼女。

…先輩に彼女。

…先輩に彼女。

…先輩に彼女。

…先輩に彼女。

…先輩に彼女。

…先輩に彼女。

…先輩に彼女。

…先輩に彼女。

 

 

 

嘘?先輩に彼女?

え?

 

 

夕食時、

現実を、真実を、受け止めきれずに

無心で栄養を取っていたけど

 

 

帰路になると歩くことしかやることがないため

更には仁保ちゃんも少し遠慮しがちになっていたので

会話がなくなっているため

脳がそっちのことばかり考えていた。

 

 

…。

私は彼女のいる先輩と

二人でお茶したり、手料理を振る舞ったり

あまつさえ先輩の部屋で一夜を過ごしたと…?

 

 

…。

え?

いやもう。

一先ず。

 

 

 

 

 

 

彼女さんごめんなさいぃぃぃぃぃ!!!!

 

 

 

 

 

いやほんと!

やましい気持ちなんて、

ばりばりにあったけど!

恐ろしいくらいに先輩を誘惑したけど!

 

 

え!?相手は!?誰!?どっち!?

雪ノ下先輩?!結依先輩!?

 

 

でも結依先輩とはそんなこと一回も話したことないし

そんな気配もない、

なら雪ノ下先輩?!

 

 

いや先輩口ごもってたってことは

結依先輩と付き合ってて

雪ノ下先輩に悪いからって隠してたり!?

結依先輩優しいし!

 

 

けどけど!

結依先輩と雪ノ下先輩との仲って

そんな浅い関係じゃないから

先輩と付き合ってたらちゃんと報告しそうだし!

 

 

え!?

誰!?

先輩の彼女とかいう羨ましいステータスを得たの

ほんと誰ぇぇぇぇ!!!??

 

 

 

仁保「…あのぉ…二人とも?お家、着きました、よ?」

 

 

いろは「うわっ!」

 

 

八幡「うぉっ!?」

 

 

仁保「ひっ!」

 

 

 

仁保ちゃんに話しかけられ

私が大きい声を発したことで

先輩が私の声に驚き

更に先輩の驚きに

仁保ちゃんが悲鳴に似た声を出していた。

 

 

 

いろは「…あ、ごめん、なさい。」

 

 

八幡「急に大きい声出すなよ…。」

 

 

いろは「…はい…。」

 

 

八幡「で、どうすんの?」

 

 

いろは「はい?なにがです?」

 

 

八幡「いや、もう8時前だし庭部さんにこれ以上手伝ってもらうわけにもいかないだろ?帰る時間とかもあるだろうし。」

 

 

いろは「あ、そっか。」

 

 

仁保「八幡先輩八幡先輩!」

 

 

八幡「なんだ?」

 

 

仁保「私のことはどうぞ、仁保って呼んでください!」

 

 

 

この子は何がしたいのだろうか?

本当にこの子はなにがしたいというのだろうか?

私もいろはって呼んでほしい。

 

 

 

八幡「庭部もそろそろ帰った方がいい。」

 

 

仁保「あぁ!名前で呼ばれるどころか敬称がなくなった!」

 

 

 

けど先輩の盾の堅さの前では

その程度の矛の攻撃は無駄だった。

 

 

 

いろは「でも、そうですね。時間も時間だしあんまり大きい音とかも出すと迷惑になるし。」

 

 

 

それに、今は

部屋の片付けなんかより

私自身の気持ちの片付けを優先させないと。

流石にこんな気持ちで部屋を効率的に

綺麗にする余裕なんて持ち合わせていなかった。

 

 

 

いろは「仁保ちゃんありがとうね。無理矢理連れてきたのに手伝ってくれて。」

 

 

仁保「んーん!私の方こそありがとうね!私、北海道から一人でこっちに来て友達全然いないから楽しかったよ!」

 

 

いろは「それならよかったよ。」

 

 

八幡「Uターンになるが駅まで送るか?」

 

 

仁保「えっ?!大丈夫ですよ!そんな距離あるわけじゃないですし!」

 

 

八幡「いや、そうは言ってもな。」

 

 

いろは「時間も遅いし先輩に送ってもらいなよ。」

 

 

八幡「お前は来ないのかよ。」

 

 

いろは「…。私は少しでも部屋綺麗にしたいんですよ!」

 

 

八幡「まぁそういうことならいいけどよ。」

 

 

 

勿論嘘。

エイプリルフールでもないのに。

 

 

仁保ちゃんを駅前まで送るとなると

その帰り道は二人きりになるわけで。

 

 

この状態で先輩と二人きりになるのは

まずいし気まずい。

 

 

 

仁保「いや、本当に大丈夫ですよ!?」

 

 

八幡「そうか。だが、時間も時間だし迷子とかになられてもな。」

 

 

仁保「私そんな子供に見えます!?」

 

 

八幡「見える。」

 

 

いろは「見えるよ。」

 

 

仁保「見えてた!」

 

 

八幡「それにそんなに手間じゃないし気にするな。」

 

 

仁保「う、うーん…。」

 

 

いろは「そんなに気にしなくても。」

 

 

仁保「…いろはちゃんはいいの?」

 

 

いろは「…なにが?」

 

 

仁保「…いや、その…。」

 

 

いろは「…あー。それもそんなに気にしなくても。」

 

 

 

先輩と二人。

というところに彼女は

少しながら後ろめたさを感じているらしい。

 

 

けど、その確認は本来は私にするものでもない。

私は先輩にとっては

ただのあざとい後輩なのだから。

 

 

 

仁保「…なら、送ってもらおうかな…?」

 

 

八幡「んじゃ、いくか。一色、お前はちゃんと部屋綺麗にしとけよ。」

 

 

いろは「あ、はい。」

 

 

 

そう言うと二人はもと来た道を振り返り

駅の方面へと向かっていった。

少しばかり二人を見て

私は振り向き直し自身のアパートへと

足を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




少しずつ物語を動かし始めました。
10話目で。

あとここの後書きも
なんか決まった形にしてみたいです。


どうでもいいけど
納豆に最近はまってます。


誤字脱字、支離滅裂な箇所があれば
ご報告してくれると助かります。

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