IS 〜バイクと名人とSchoolLife〜   作:無限の槍製

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前回ガドル動きましたね?


ガドル、止めます。


第75話 激戦 〜REGRETRしない為に〜

11月09日(水)PM12時56分

 

「ぬぅ……貴様、あの時の小娘か」

 

「ハッ、覚えてたのね。あんまり嬉しくないけど」

 

鈴が来たことによって形勢が逆転した……とは言い難い。正直まずい状況に変わりはない。

 

「さぁて、どうすんの?」

 

「今は逃げ……かな。今この状況で勝てる気がしない」

 

「同感。アイツも5人で挑んで対等だったわ。2、3人では無理よ」

 

「なら逃げ一択だな!」

 

スパローで2体の足下を狙撃する。相手が怯んだ隙に虚先輩を担いで緊急離脱!

流石の向こうも瞬間移動みたいな技は持ってないだろうし。

 

にしても、こうして尻尾巻いて逃げることになるなんてな……早いとこ対処法を見つけねぇと…

 

◇ーーーーー◇

 

「取り逃したか……」

 

一方桐也達を取り逃してしまったガドル。人間態になったガドルの瞳はある方向を見つめていた。偶然か否かその先には幻夢コーポレーションが存在している。

 

「やはりお前たちは最後の相手になりそうだ」

 

そう呟いたガドルはゴメラを引き連れその場を後にした。

 

◇ーーーーー◇

 

11月09日(水)PM01時24分

 

聖都大学附属病院

 

「まさかあの虚先輩がここまでやられるなんて……」

 

「それだけ相手も強くなった。前とは比べ物にならないくらいにな」

 

虚先輩の怪我が酷く、意識不明の入院コースになった。これでこちらの戦力はガタ落ち。未確認にとっても篠ノ之束にとっても嬉しいことこの上ないだろう。

 

「少なくとも箒には早く帰ってきてもらわないと……次はシャルロットの所に行くって行ってたけど」

 

「シャルちゃんのとこにはタイガ先生もいるから優先してもらった。あと難しそうなのは隊長さんと会長さんか…」

 

箒には他の専用機持ちを今すぐ日本に向かわせるよう指示した。おかげで鈴はすぐに来てくれたが、あとのメンツが心配だ。

 

というのも、アイツら個人はきっと動いてくれるだろうが、それを国が許すかどうかだ。ラウラは黒ウサギ隊の隊長も務めているし、会長さんにいたっては「ロシア代表」なのだ。そうなると勝手に動くことも難しいだろう。

 

でも集まらなきゃガドルには勝てない。後々の事なんて今を乗り越えなきゃ考える意味なんてない。

 

「戦力を揃えてる暇もなさそうだけどね」

 

「それなんだよな…向こうも大人しく待ってくれるはずがない」

 

今この瞬間にもアイツらは動いている筈だ。全員は待ってられない…

 

「……こうなりゃ、俺が時間稼ぐしかないな」

 

「アンタマジで言ってんの?怪我だってしてるのにアンタ1人で抑えられるわけないでしょ!?」

 

「抑えるんだよ。それしか方法はない」

 

「待ちなさいって!アンタまで倒れたらコッチの勝ち目がさらに薄くなるのよ!?」

 

鈴の言う通りなのは分かってる。だからってここで指を加えて待ってるのも俺じゃない。

 

「……はぁ……せめて名人がさっさと起きりゃあな」

 

「一夏……」

 

頼みの綱は未だ目を覚まさず。こうなってしまっては期待はしない方がいいだろう。目が覚める事を前提に物事を進めてはいけない。常に最悪を考える、そうすれば負ける事はない。

 

◇ーーーーー◇

 

「はぁ……はぁ……」

 

辺りは闇に包まれ、炎が俺を囲う。

 

「…………お前」

 

『…………』

 

俺の前に立つソイツは全身真っ黒に金色のラインがはいっていた。俺はコイツを知っている。なにせコイツは、

 

「クウガ……究極の闇……」

 

太陽は闇に葬られん。長野で見た碑文通りの姿だな。

 

『………』

 

クウガが手を前にかざすと俺の頭の中に映像が流れ始めた。

 

人とグロンギが戦っている。いや、グロンギの蹂躙に人が抵抗している。だけど抵抗虚しく殺されていく。

 

場面が切り替わる。

 

人々はクウガを生み出した。クウガはグロンギを次々と封印していった。この時はまだ『倒す』には至らなかったのか……。

 

場面が切り替わる。

 

最後のグロンギを封印して戦いは終わった。だけど戦いの中で傷ついたクウガはそのまま死んでしまった。

 

これで映像は終わる。

今の映像に目の前の姿のクウガはいなかった。つまり先代はコレにならずに全てのグロンギを封印して世界を救ったのだろう。

 

「そう考えると……俺はまだまだなんだな…」

 

禁断の力を使っても救うところか壊してばっかりだ。

 

『………後悔しているのか?』

 

「……してないとは言えば嘘になる。でも、あそこで俺が戦わなかったらもっと後悔してる…」

 

『そうだろうな。お前はそういう奴だ』

 

結果的に……まあ良い結果とは言えないな。

 

「もう後悔はしたくない。でもその為にはお前の力が必要なわけだ」

 

『だがこの力でお前は後悔した。ならばどうする?』

 

「決まってる……後悔しないようにお前の力を使う」

 

『…………』

 

「…………」

 

『……そのままか。お前らしいな』

 

「だろ?」

 

俺はキチンとクウガの瞳を見る。闇に飲み込まれた真っ黒な目。碑文通りの力。その力で後悔した。なら、

 

「俺が後悔しない、強くある為に!俺が歴史を塗り替える!」

 

◇ーーーーーー◇

 

11月09日(水)PM09時55分

 

「………よし」

 

「キリヤん…」

 

「どうした本音?」

 

少し休んで体が動くようになった。

アレから鈴に説得され少し休まされた。その間ガドルがゲームを再開し人を殺害したという情報は一つも入ってこなかった。

 

「ホントに行くの?怪我もしてるのに」

 

「俺に散々行くな行くな言っておきながら、自分が行ってるんだぞ?そりゃ説教しに行かないとな」

 

代わりに本音から聞かされた情報は、俺が休んでいる間に鈴がガドルと闘っているというものだった。その後タイガ先生、セシリア、シャルロット、ラウラも合流して相手しているらしい。

 

「んじゃ、ちょっくら行ってくるわ」

 

「キリヤん!」

 

「これで終わらせる。篠ノ之束ももう少しの間は引き篭もってるだろうし、少し余裕が出来たら遊びに行こう。話したいこともあるから」

 

「………分かった…」

 

「じゃ、行ってきます」

 

病室を後にする。ここ最近本音とキチンと話せていない。一夏ともアレっきりだ。

 

「大事な仲間……友達なのにな……」

 

 

幻夢コーポレーション前

 

俺が駆けつけた頃にはみんな既に疲弊していた。

 

「ッオラァ!!」

 

「やああっ!!」

 

「ムッ!!」

 

インフィニットマゼンタに変身した鈴の青龍刀とオレンジに変身したシャルロットのパイルバンカーがガドルに叩き込まれる。

 

そしてすぐに離脱。すかさずセシリア、ラウラ、タイガ先生の遠距離攻撃が次々と炸裂する。

 

「チッ、火力不足か!」

 

「タフすぎませんこと!?」

 

「前回よりもパワーアップしている…というのはハッタリではないか」

 

「だから言ったでしょうが!!」

 

「文句言ってもしょうがないよ!ここで止める!」

 

「無駄だッ!!」

 

ガドルの全身から稲妻が放たれる。接近戦を仕掛けようとした鈴とシャルロットはモロに食い変身が解除されてしまう。

 

「ったく、世話が焼けるんだよお前らは!」

 

『爆走バイク!』

 

レーザーターボに変身して鈴とシャルロットの前に立ち、なお放たれる稲妻を受け止める。

 

「ッ……ウラァ!……まったく、来てみてすぐにコレだなんて聞いてないんだけど?」

 

「クジョキリ!」

 

ガドルの拳が俺に迫る。ギリギリで受け止めることに成功……いや奴のパワーに少し押された。

 

「人が話してる途中でしょうが…ッ!」

 

「遺言だったか、邪魔をしたな」

 

「口悪くなってるよ?あとリンリンはあとで説教な!!シャルちゃんはよく頑張った!」

 

「九条!!」

 

「あいよ、っと!!」

 

ガドルに蹴りを入れ距離を取る。次の瞬間、ガドルに次々と砲弾が叩き込まれる。シミュレーションゲーマーのキメワザだ。

 

「隊長さん、コンビネーション決めようか!」

 

「行くぞクジョー!」

 

「オルコット、援護にまわれ!」

 

「了解しました!」

 

ラウラもブラックに変身し、プラズマブレードを展開する。俺とラウラがガドルとすれ違い様に武器で斬りつける。更にタイガ先生とセシリアの援護射撃がガドルにヒットする。

 

ダメージは少ないかもしれないがコレが1番俺たちが『負けない』戦い方だろう。こんなチマチマしたヒット&アウェイ戦法、いつまで通用するか分かんないけどな!

 

「小賢しい!」

 

「それがオタクらのターゲットの人間のやり方ってもんだぜ!」

 

「せいっ!!」

 

ラウラがガドルに蹴りを叩き込む。気を取られた瞬間に反対側からスパローの矢を発射する。

 

「タイガ先生!!」

 

『バンバン!バンバン!クリティカルインパクト!!』

 

「閻魔様のところに帰りな!!」

 

最大出力の砲撃が発射される。ソレは付近の地面を抉りガドルに炸裂する。

 

「九条!」

 

「サンキュ!」

 

『爆走!クリティカルフィニッシュ!!』

 

『ジェット!クリティカルフィニッシュ!!』

 

「もういっちょ!!」

 

スパローから放たれるタイヤ型のエネルギー弾。マグナムから放たれる複数のミサイル。1発が弱くても数撃ちゃナントカってやつだ。

 

「決まったろ……流石にね?」

 

「だといいのですが…」

 

「………チッ」

 

「あの野郎……しぶてぇな」

 

ラウラが舌打ちし、タイガ先生が愚痴を漏らす。

 

「ぐうっ……ここまで食らえば流石に…ダメージが大きいな………」

 

「確実にダメージは入ってるわ!このまま一気に!」

 

「…少し遅かったな……この手の野郎はここからが本番……だろ?」

 

闘気ってやつ?そんな感じのものがガドルから溢れ出てる。この場に及んでまだ力を上げるってのが!?

 

「ここまで力を解放するのは初めてだ…ッ!一瞬で死ぬなよ?」

 

「なんならお前が一瞬で死ねって話なんだ、よ!!」

 

ギリギリチャンバラのキメワザをスパローで発動させる。

しかしスパローから放った矢はガドルにたどり着く前に消滅した。

 

「おいおい…マジかよ……」

 

◇ーーーーーー◇

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃の聖都大学附属病院のとある病室にて、

 

 

 

 

1人の患者の姿が消えた。




戦いは激しさを増す。追い込まれる桐也たち。そんなピンチを救ったのはとあるライダーのライダーキックだった。

see you next game!

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