IS 〜バイクと名人とSchoolLife〜   作:無限の槍製

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つまり、そういうことさ


第70話 究極の闇の章 究極のDARKNESS

10月30日(月)AM11時55分

 

都内大型広場

 

「結構いるね」

 

「コイツら全員残るはドラゴナイトハンターだけってわけか」

 

都内の広場に集まった約50名のクロニクルプレイヤー。彼らは今から始まる最後のガシャットロフィー、ドラゴナイトハンターZをゲットしようとこのイベントに参加している。

 

事の始まりは1週間前……

 

 

10月23日(月)PM04時32分

 

「ドラゴナイトハンターゲットイベントねぇ……」

 

生徒会室に集まった俺とタイガ先生、虚先輩、会長さん。ついさっき発表された仮面ライダークロニクルの初イベント『協力イベント 討伐!グラファイト!!』。内容的にクロニクルメンバーで協力してドラゴナイトハンターのバクスター グラファイトを倒そうというものだろう。

 

「参加条件はドラゴナイトハンター以外のガシャットロフィーを所持か」

 

「かなり限定されるんじゃないかしら?桐也くん達は大丈夫でしょうけど……もしかしたら2人だけってことも?」

 

「可能性としてはありえます。一部の敵は攻略方法が分からないと詰みますから」

 

「ドレミファビートは辛かった。ね、タイガ先生?」

 

「俺にふるな。嫌なこと思い出す」

 

ドレミファビート攻略は至って簡単だ。バグスターのポッピーにダンスゲームで勝てばいいのだから。俺は難なくクリアしたけど、タイガ先生がまぁ酷い酷い。リズム感覚なさすぎでしょこの人。

 

「それにしても開催日がタッグマッチと同じなんてね……さてどうしたものかしら」

 

「ここは俺とタイガ先生だけでもクロニクルに参加した方がいいんじゃない?」

 

「クロニクル完全攻略にはそれが良いのですが……大丈夫なの?」

 

「大丈夫でしょ。ね?」

 

「ま、なんとかしてやる。何かあったらすぐに呼べ」

 

「うーん、勢いで決めたら後から後悔しそうだけど……やらないよりやって後悔!頼んだわよ2人とも!!」

 

 

それでこうしてイベントに参加している次第だけど、まさかここまで多いとはね。

 

「今頃学園はタッグマッチの準備か」

 

「時間的にはそろそろだと思うけどね。向こうは何も無かったらいいんだけどさぁ」

 

ホント、マジで頼むぞ………。

 

◇ーーーーー◇

 

少し遡り、

 

10月30日(月)AM11時40分

 

IS学園 第3アリーナ

 

「ほーおーきーちゃん!」

 

「うわあっ!?いきなり飛びつかないでください!」

 

「私なりの緊張の解し方よ〜」

 

「今ので心臓が止まるかと思いましたよ!」

 

タッグマッチのため待機する楯無と箒。反対側のピットには一夏と簪が待機している。

 

「楯無さんは緊張してないんですか?」

 

「してるしてる。もう心臓バックバグだよ〜」

 

恐らくこの心臓バクバクとは、クロニクルのことも気にしてるが故だろう。

今は信じることしか出来ない。それ故の歯痒さも楯無にはあった。

 

「あと20分ぐらいですね……」

 

「このまま何も起きなければいいのだけれど」

 

「一夏がそういうのをフラグと言っていましたよ」

 

「そんな私が一級フラグ建築士みたいな言い方やめてよね〜」

 

アハハと笑う楯無。しかし現実は非情だった。

 

『緊急警報!緊急警報!』

 

突如鳴り響く警報音。それと同時に隔壁が降り厳重にロックされてしまった。

 

「!?…まったくタイミング最悪よ……みんな聞こえる!?みんな!」

 

「通信ダメです!」

 

「箒ちゃんは通信続けて!私は隔壁を破る!」

 

ミステリアス・レイディを纏った楯無は隔壁を破ろうとする。

 

「野蛮だなぁ。学園の生徒はみんな脳が猿以下なのかなぁ?」

 

「え?きゃあ!?」

 

「!?楯無さん!!」

 

何者かの攻撃を受けた楯無は隔壁に打ち付けられてしまう。

 

「何者だ!」

 

「酷いな箒ちゃん。お姉さんの顔、忘れちゃった?」

 

「ッ!?………そんな……姉さん!?」

 

「そうだよ〜!会いたかったよ私のマイ妹、愛しの箒ちゃん」

 

箒と対峙したのは、実の姉である篠ノ之束だった。

 

「どうしてこんなことを!」

 

「どうして?パーティーの為だよ!もうすぐここはパーティー会場になる。楽しい楽しいパーティーにね!!」

 

束が指を鳴らすと同時に外から爆発音が聞こえてきた。それも一回ではなく複数回。

 

「何をした!」

 

「パーティーの下拵えかな?この学園の敷地内にえーっと……多分50ぐらいかな?爆弾置いてきたから全部爆発させてみたよ!」

 

「爆弾!?」

 

「アリーナだけだとジョボそうだから、教室とか中庭とか、あと宿舎にも置いてきたよ!今頃全部燃えてるんじゃないかな?楽しそうだよね!」

 

束がニコッと笑うと同時に箒は束に殴りかかった。自慢の剣術を使うのを忘れるほど箒は怒っていた。

 

「許されない……貴女のやったことは!絶対に許されない!!」

 

「許す許されないとかそんなことどうでもいいんだよ箒ちゃん」

 

束は箒の手首を掴むとそのまま投げ飛ばし地面に叩きつけた。更に追い討ちで倒れた箒の右手首を踏みつける。

 

今まで聞いたことがなかった音と痛みが箒を襲った。

 

「ふぅん、叫ばないんだ箒ちゃん。でもその顔でどれだけ痛いのか分かるよ〜うん」

 

「お前は……姉さんじゃ………ない!」

 

「お姉さんだよ。少なくともガワはね」

 

そして束はバグルドライバーと仮面ライダークロニクルガシャットを取り出した。

 

「もうすぐだよ。もうすぐ私の理想郷が誕生する!」

 

『仮面ライダークロニクル!』

 

「変身」

 

『バグルアップ!天を掴めライダー!刻めクロニクル!今こそ時は極まれり!!』

 

束の姿は仮面ライダークロノスへと変わった。仮面ライダークロニクルの元凶クロノス。それが自身の姉が変身していると分かった箒。

 

「貴様が……貴様がぁぁ!!!」

 

「そう、私がクロノス。この世界を統べる者」

 

そしてクロノスはもう一度指を鳴らす。それは彼女の言うパーティーの始まりの合図だった。

 

◇ーーーーー◇

 

10月30日(月)PM00時00分

 

カウントダウンが終わり、ゲーム開始!となった瞬間に俺とタイガ先生以外のプレイヤーが消えた。そう、消えたのは俺とタイガ先生以外のプレイヤー。

 

敵は残っていた。

 

「始まったなイベント。まあお前たちは俺と遊ぶことになるんだけどな」

 

「ダグバ……他のプレイヤーは何処に行った」

 

「お前たちのよく知ってる場所さ。それより始めようぜ。心が滾ってるんだ」

 

ダグバは他のプレイヤーなど気にしておらず、俺とタイガ先生と戦いたいらしい。まあ当然だ。赤の他人を気にするなんて俺だってするかどうか分からない。

 

「九条、お前は学園に戻れ。嫌な予感がする」

 

「相手がそれ許すと思う?アンタがいるんなら前みたいにはいかないし、さっさと終わらせれるだろ?」

 

「だとしてもだ。今の学園のメンツ的にお前が必要な筈だ」

 

「………頑固なのは昔から?それともシャルちゃんに影響された?」

 

「………両方かもな」

『バンバンシューティング!』

 

『爆走バイク!』

 

「「変身!!」」

 

『レベルアップ!爆走バイク!!』

『レベルアップ!バンバンシューティング!!』

 

「行け!」「任せたよ!」

 

俺はIS学園へ、タイガ先生はダグバの元へと駆け出した。

 

「ちょまま!逃げるのかレーザー!」

『PERFECT PUZZLE!』

 

ダグバもパラドクスになり俺を追いかけようとするがタイガ先生が立ち塞がる。

 

「俺じゃ不満か?」

 

「……いいや!」

 

レベル2とレベル50。いくらタイガ先生がベテランでもレベル差が大きいのはあまり良くない。

 

「まったく!どうしてこうなるのかねぇ!」

『爆走!クリティカルストライク!!』

 

レーザーレベル2を召喚しIS学園へと向かう。その頃、最悪の事態になっているとも知らずに。

 

◇ーーーーー◇

 

10月30日(月)PM00時10分

 

状況確認。

 

私がアリーナの外にいて本当に良かった。

 

学園のあちこちで起きた爆発による被害は甚大。死者はまだ聞いてませんが重傷者が多数。瓦礫の下敷きになった人も少なからずいる。

今現在、教職員と一部の専用機持ちが救助並びに避難誘導を実施中。

 

第4アリーナには突如転送されてきた複数のライドプレイヤー。恐らく今日のイベントで何者かに転送された…そしてその転送した犯人とこの騒動の犯人は同一……

 

オルコットさん、鳳さん、デュノアさん、ボーデヴィッヒさんの4名は無数に現れたバグスターウイルスの戦闘員と交戦中。数は多いけれど彼女達なら問題はない筈。

 

未だ確認ができていないのはお嬢様、簪様、織斑君、篠ノ之さん。

 

「無事だといいのですが……ッ!?」

 

殺気。それもかなり鋭い。咄嗟に回避行動をとる。次の瞬間私の走っていた場所に複数の槍が突き刺さる。

 

「ほう、躱すかリントの戦士よ」

 

「貴方は……桐也が言っていた未確認……ガドルね」

 

「ああ、俺がゴ・ガドル・バだ」

 

「IS学園3年、布仏虚….仮面ライダーエグゼイド!」

『マイティアクションX!』

 

「大変身!」

『レベルアップ!マイティアクションX!』

 

ガシャコンブレイカーをガドル目掛けて振り下ろす。しかしガドルは簡単にかわし逆に自身の剣で斬り付けてきた。

 

「くっ!」

 

「ふむ、今のも擦り傷で済ませるか。中々やるな」

 

「未確認に褒められても嬉しくはありませんね」

 

時間がない。ここはやはり速攻で終わらせるべきですね。

私は従来のガシャットとは違う、少し大きめのガシャットを取り出す。

 

「本気で行きます」

『マキシマムマイティX!!』

 

「マックス大変身ッ!!!」

 

◇ーーーーー◇

 

同時刻

 

いてぇ……何が起きた……

 

そうだ…急に警報音が鳴り響いたと思ったら簪の背後にゲンムが……

 

「かん……ざ…」

 

声がでねぇ、血の味しかしねぇ、胸から流れる血が止まらないし、口からも溢れてくる。

 

「嫌……来ないで……!」

 

「テメェ……かんざ…し…から……離れやがれッ!!」

 

足に力が入らないが気合いで立ち上がる。

 

「まだ立つか織斑一夏。お前の心臓は確かに貫いたぞ」

 

「男には……心臓潰されても……立たなきゃいけない時が…あんだよ……」

 

「ふむ……実に下らん」

 

突然衝撃が走った。どうやら俺の右腕に何か当たったみたいだった。

しかし確認は出来なかった。だって無いモノを確認なんて出来ないだろ。

 

「いやぁぁぁ!!」

 

「腕が……マジかよ………」

 

せっかく立ち上がったのに倒れてしまう。俺が踠いてる間にもゲンムは簪に迫る。

 

ダメだ……動け!動け動け!動け動け動け!動け動け動け動け動け動け動け動け!!動いてくれ俺の体!!

 

「まずは1人……チェックメイト」

 

「動けぇぇぇぇ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この時、俺の目の前が真っ黒に染まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇ーーーーー◇

 

 

聖なる泉枯れ果てし時

 

 

「なんだ今の爆発!?」

 

「もしかして……覚醒したのか…一夏?」

 

 

凄まじき戦士雷の如く出で

 

 

「ちょ、今の爆発なによ!?」

 

「第3アリーナからですわ!」

 

「第3アリーナって、一夏と簪に楯無さんと箒がいたよね!」

 

「チッ、嫌な予感がする。総員さっさと片付けるぞ!!」

 

 

太陽は闇に葬られん

 

 

「へぇ……目覚めたんだ……究極の闇…」

 

 

そして

 

 

「この光は!?」

 

「これが究極の闇……!」

 

 

心清き戦士

 

 

「おいおい……マジかよ……」

 

 

力を極めて戦い邪悪を葬りし時

 

 

「…………」

 

 

汝の身も邪悪に染まりて永劫の闇に消えん




see you next game……

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