IS 〜バイクと名人とSchoolLife〜 作:無限の槍製
正直言って、俺とシャルのお互いの最初の印象は最悪だっただろう。
俺はいきなり訳の分からんガキを押し付けられ、シャルも訳の分からん医者を押し付けられる。
「花家タイガだ。名前は?」
「……………シャルロット…」
最初はぶっきらぼうで人見知り激しかったな。今とは大違いだ。
それからしばらく一緒に行動した。主従医として一緒に行動しろとシャルの父親から言われたからだ。
あいつ自身、相当嫌だっただろうな。
「あっち行って!」「私の部屋に入ってこないで!」「服が臭いから近寄らないで!」
散々な言われようだった。それもこれも治療の為仕方ないと割り切って我慢していた。ガキに怒鳴っても何にも解決しない。そう言い聞かせて。
そんな時、日本でISを動かした男のニュースを耳にした。
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9月24日(日)PM00時27分
虚先輩、タイガ先生、ハルカさん、刑事さんと自分を含む5人は船に揺られること20分強、天条の潜伏する小島に到着した。
その間会話がないんだから気まずいったりゃありませんよホント!
「さて、島に着いたけど、これからどうすんの?」
「とりあえず、私が通った道は無理だろうから…………って、お出迎えよ」
船から降りた瞬間大量のアマゾンが森から姿を現してくる。しかも海からも来やがった。これ囲まれた?
「倒さないと前に進めないコレ?」
「遅かれ早かれぶっ潰すだけだ」
「待ってください花家さん。貴方は先に行くべきだ。ここは僕が食い止めます」
そう言ってハルカさんはニューオメガに変身した。この数一人で抑えるって無茶過ぎない?ここはもう一人残るべきじゃ。
「お前一人じゃ心配だ。俺も残ってやる」
突如現れた銀色のオーラからピンク色の弾丸が放たれ、一体のアマゾンを撃破した。
そして銀色のオーラから現れたのは、
「士さん!」
「どこ行ってたのよ士さん!」
「少し野暮用でな」
門矢士。仮面ライダーディケイドだ。ライドブッカーの一撃は更にアマゾンを倒していく。
「なるほど、これがこの世界での最後のやることか…………変身!」
『カメンライド!ディケイド!!』
前のベルトとは色が違う。ピンク色になってる。全身ピンクにまた一歩近づいたのか。
「早く行け。お前の守るべきものを守ってこい」
「言われなくても、俺が助ける」
変身しながら、士さんとハルカさんが作った抜け道を通って森の中へと入っていく。まだ森の中にも何体かいるが、自分と刑事さんがバイクモードになってほとんどを跳ね飛ばしていく。
「それより士さん。そのベルトどうしたんですか?」
「これか?…………課金した」
◇
バイクで走ること数分。そんなに時間はかからなかった。
「もしかしなくてもアレ?」
「そうよ。アレが天条のアジト……研究所?まあ、どっちでも良いけど」
いかにもって感じの建物が目の前に立ち塞がる。しかしそこまで大きくない。となると地下に伸びてるのか。
どっちにしろ、入ったら簡単には出られないな。
「さて、ここからは花家先生と照井刑事でお願いします」
「アレ?先輩、もしかして気づいてた?」
「当たり前よ」
振り向きざまにガシャコンブレイカーをぶん投げる先輩。まっすぐ飛んでいき、人影に命中した………いや、受け止められてるな。
人影の正体はアマゾン………しかもシグマっぽいし、ニューオメガにも見える。青いアマゾンだ。バイザーで隠してるけど赤い目が見えている。
「グウゥゥゥッ!!」
「ほらほら、早く行って。シャルちゃん待ってるよ?」
「…………悪りぃ」
「任せたわよ2人とも」
タイガ先生と刑事さんが中に入っていく。簡単に中に入れるところを見ると、警備がザルなんじゃなくて誘ってるんだろうな。
「さっさと終わらせて追いつきますか。眠いし」
「なら、ダブルアクションで行くわよ」
先輩が取り出したのは緑とオレンジ色が半々のガシャット。臨海学校の時、自分を助けてくれたガシャットで、正直もう見たくないガシャット。
それがマイティブラザーズXX。
「コードXX。起動!」
『マイティブラザーズ!XX!!』
自分はレベル0になり先輩の隣に立つ。
起動したマイティブラザーズXXが分離し、自分の手の中に収まる。
これでマイティブラザーズの特徴である『超協力プレイ』で戦うことができるのだ。
「「大!変身!!」」
『『ガッチャーン!ダブルアップ!!』』
『『俺がお前で!お前が俺で!マイティ!マイティ!ブラザーズ!!ダブルエーックス!!』』
自分がダブルアクションゲーマーLvXXLに。
先輩がダブルアクションゲーマーLvXXRに変身する。
そして自分がガシャコンスパローを。先輩がガシャコンキースラッシャーを構える。
「超協力プレイで!」
「クリアしてみせます!」
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「ところで花家先生」
「ああ?」
アジトの中を突き進む途中、照井に話しかけられる。
「聞きたいんですけどぉ?シャルちゃん?とはどういったご関係で?」
「はっ倒すぞクソ刑事」
「ええー?少しぐらいいいじゃないですかー!この先エレベーター乗らないと降りられないし」
ったく。この刑事がここまでめんどくせぇ野郎とは。確かにここから先はエレベーターに乗らないと進めないらしい。せっかちなコイツがエレベーター破壊して降りなかったところを見ると、かなりの耐久性があるな。
「はい、乗りましたー。このエレベーター私でも壊せなかったからね!それに、ここまで妨害がなかったところをみると、天条は私たちを待っていると思います」
「なるほど………だからと言って話なんざしねぇぞ」
「ええー!ケチんぼー!」
頰を膨らます照井。悪いがこればっかりはお前に話すつもりはねぇ。
◇
日本でISを動かした男のニュースは当然シャルの父親の耳にも届いており、シャルを男としてIS学園に編入させようとした。
それからシャルは男として振る舞うよう努力していた。
「花家先生、わた……じゃない、僕の鞄どこ?」
「…………はあ、そこだろ」
「あ、ありが………サンキュ…」
正直無理があった。しかもシャルはフランスの代表候補生。男で代表候補生なんて怪しすぎる。もって1カ月が限界だ。それ以上は無理だと俺は思っていた。
「俺の前でぐらい普通に振る舞ったらどうなんだ?」
「……だって、男のフリしないとIS学園で生活できないし…」
「俺は女として編入してもいいと思うけどな」
「男として潜入して、織斑一夏の専用機のデータを取ってくる。それが私の……僕の任務なんだよ」
その時のシャルは泣いていた。本当はこんなことしたくないだろうに。本当なら友達と青春を謳歌している年頃だというのに、この時やらされていたのはスパイの真似事だった。
「バレないようにしないと……デュノア社も危ないし……」
「別にいいじゃねえか。バレたって。デュノア社がヤバくなっても。お前は俺がなんとかしてやる」
「口ではなんとも言えるんだよ!誰だって!お母さんだってそうだった!大丈夫って言ってたのに、お母さん自身が殺されて…………もう……嫌だよ……」
シャルの母親が未確認生命体……クラゲアマゾンに殺されたのは知っている。それからシャルはよくパニック症状になるという。
本人曰く頭の中が真っ白になったと思ったら、ドス黒い何かが頭の中を覆い尽くすと。
「私は!大事な人が目の前からいなくなるのが嫌なの!あんな辛い思い……したくないの!!」
その時、初めてシャルの本音を聞いた。
◇
「花家先生?はーなーやーせーんーせーい?」
「…………何でもない。行こうか」
エレベーターが到着した。ドアが開くと一本道だった。奥に見える厳重な扉。あいにく俺は短気だからな。
これぐらいはぶっ壊してやる。
ドアをガシャコンマグナムで破壊する。部屋の中は何かの機材でいっぱいだった。しかしシャルはすぐに見つかった。部屋のど真ん中で倒れていたのだ。
「シャル!」
駆け寄り脈をはかる。どうやら気を失ってるだけのようだ。
「いらっしゃい!我が研究所へ」
その時、背後から声をかけられる。振り向くと初老の男が立っていた。間違いなく天条タカアキだ。
俺と照井はすぐにベルトを装着する。
「まあ、待ちたまえ。私は君と話がしたいのだよ花家先生」
「俺には話すことはない」
「私にはある。取引をしないかい?君の持っているガシャット全てと、そこの娘の交換だ。君にとってその娘は命と同じくらい大事な物だろう?」
「…………シャルを物扱いした時点で交渉決裂だ」
『バンバンシューティング!』
『アクセル!』
「第弍戦術!変身!!」
「変……身ッ!!」
スナイプとアクセルに変身し天条に迫る。しかし天条の表情は変わらなかった。気味の悪い笑みを浮かべながら指をならす。
「バァァカが!!こちらも貴様と交渉なんてするつもりなどない!!貴様をあの娘の目の前で殺し、ガシャットを奪った後にあの娘もアマゾンにして世に解き放ってやろう!」
「下衆が……人の皮を被ったバケモノね」
「なんとでも言うがいい別世界の仮面ライダーよ!因みに貴様の追いかけていたアマゾンだが、私の研究材料として役立ってくれたよ」
「そう………貴様はどうしようもない下衆野郎みたいだな」
「天条…………テメェだけは俺の手でぶっ飛ばす!」
「やってみるがいい!できるならな!」
天条の背後から姿を現わすクラゲアマゾン。
丁度いい。まとめてぶっ飛ばしてやる!!
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9月24日(日)PM01時14分
IS学園 保健室
「ッ!?………いっつ……」
嫌な夢でも見たのか、俺の体が自分の意思とは関係なくいきなり起き上がる。そのせいで傷が痛む。マジ痛い。
「あら、随分早起きね一夏くん」
ベッドの隣で椅子に腰掛けているのは楯無さんだった。読んでいた本を閉じる代わりに扇子を開く。そこには非常事態の文字が。
「そうだ……シャルは!シャルはどうなったんです!?」
「落ち着いて。順を追って話すわ。まず君が戦った未確認生命体……いいえ、アマゾンだけど、一夏くんとセシリアちゃんにトドメをささずにシャルロットちゃんを連れ去ったわ」
最悪の結末だ。俺が不甲斐ないばっかりにセシリアとシャルを戦闘に巻き込んじまって、挙げ句の果てにシャルを連れていかれた。
「今、先生たちが探してるわ。インフィニティーズは居場所がわかるまで待機よ」
「…………俺がその命令を聞くと思ってるんですか?」
「…………なんで、インフィニティーズには命令違反を犯す子が多いのかしら…」
「え、それって?」
「みんな君と同じこと言ったわ。まさかラウラちゃんまで命令違反なんて………私リーダーの素質ないのかしら?」
いやリーダーの素質は絶対あると思う。メンバーが俺を含めて問題児だらけなのがいけないんだ。
「それで、みんなは何処に?」
「生徒会室で待たせてるわ。一夏くんの意見を聞いてくるから待ってて、ってね。」
「そうですか…………シャルの居場所も実は知ってるんじゃないんですか?」
「……………鋭いわね。ここからそう遠くない小島よ。そこにシャルロットちゃんはいる」
「そうですか…………分かりました」
ベットから降りて私服に………うわ血まみれじゃん…………コレしかないし仕方ないよな。
楯無さんはやれやれって顔してる。
「責任は私がとるわ。だからシャルロットちゃんを救出して、全員で懲罰房で反省文書くわよ」
「はい!」
待ってろよシャル。絶対助けに行くからな!
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同時刻
研究所前 森林
「はっ!オラアッ!」
「ふっ!ぜやぁっ!」
ガシャコンスパローの鎌モードでアマゾンを切りつける。怯んだ隙にガシャコンキースラッシャーの斧モードで顔面を叩く先輩。
戦況は正直微妙なラインだった。攻撃面ではコッチが押してるけど、相手のタフさがおかしい。もうキメワザ5回ぐらい叩き込んでるのに倒れる気配すらねぇ。
「もう一発行っとく!?」
「倒れるまで何回でもやるわ!」
先輩と同時にレバーを閉じて開く。コレばっかりはタイミングがかなり大事だ。
『『マイティ!ダブル!クリティカルストライク!!』』
「「はっ!たあぁぁっ!!」」
ダブルライダーキックがアマゾンに炸裂する。そう、キメワザは全部当たるのだ。避けるわけでもなく、受け止めようともしない。ただ真正面からキメワザを食らう。それだけ。
「グッ……ガアアッ!!」
「なんか段々凶暴になってない?気のせい?」
「気のせいと思いたいけど………あの鎧、いや拘束具。壊れてない?」
次の瞬間、アマゾンの身をまとっていた拘束具が弾け飛んだ。
中から現れたのは腕が8本、首が3本、足が4本、しかも無数の触手つき…………うわ、触手なんてエロ本でしか見たことねぇぞ。
とにかく一目でコイツはヤバイと思える敵が目の前に立ちふさがっていた。
「2人とも、大丈夫ですか!?」
「おい、なんだあの怪物は」
「いろんな世界旅してたら、あんな生き物1匹ぐらい見たことあるんじゃない?」
駆けつけてくれたハルカさんと士さんも若干引き気味だった。
それぐらい目の前の怪物は、規格外過ぎた。
ダブルマイティ、ニューオメガ、ディケイドvsアマゾンネオ(暴走形態)という中々見られないであろう光景。
スナイプ、アクセルvsクラゲアマゾンもだろうけど。
次回はアマゾン編クライマックス……かな?多分
ではsee you next game!