IS 〜バイクと名人とSchoolLife〜   作:無限の槍製

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学園祭編ラスト!


第58話 Chronicle起動!

9月17日(日)PM05時23分

 

IS学園食堂

 

今現在、食堂には俺とキリヤんしかいない。他の生徒も食堂のおばちゃんもこの場にはいない。まあおばちゃんは時間じゃないから来ていないだけだろうけど、生徒は違う。今学園の生徒は全員部屋で待機ということになっている。俺とキリヤんは部屋から出てるけど。

 

「腹減ったな……勝手になんか作るか?」

 

「怒られるだろ。それに作る気力なんてないよ」

 

キリヤんは長椅子に寝転がり、俺も机に突っ伏している。なんとなく食堂に来てみたらキリヤんがいて、今後のことでも話そうかなと思ったけど、結局このざまだ。

 

第一部屋を抜け出してきてるから、絶対怒られる。

 

「なあキリヤん」

 

「みなまで言うな」

 

キリヤんはずっとこの調子だ。そう、仮面ライダークロニクルのルール説明を仮面ライダークロノスから聞いてから。

 

 

9月17日(日)PM03時15分

 

巨大な空中ディスプレイに表示される『仮面ライダークロニクル』の文字。周りの生徒は動きを止め、ディスプレイに視線を送る。

 

『それより先に仮面ライダークロニクルについて説明しよう。仮面ライダークロニクルとは、プレイヤー自らが仮面ライダーとなって人類の敵、バグスターを倒すゲームだ。全てのバグスターを倒し、全てのガシャットロフィーを集めてラスボスを倒せばゲームクリアだ』

 

淡々と作品紹介をする仮面ライダー。にしてもあの顔、エグゼイドに似ている。となるとあれもガシャットを使って変身しているのか?

 

『そういえば私の自己紹介がまだだったな。私は君たちが目指すべき存在、仮面ライダークロノス。ラスボスを倒すことができる唯一の存在』

 

「クロノス?ハッ、神にでもなったつもりかよ」

 

キリヤんが呆れ気味に言い放つ。クロノスと言えば時の神だろうか?だとすると時間を操るぐらいはしそうだな。

 

『さて、気を取り直してルール説明をしよう。ルールその1。ゲームに参加するには『仮面ライダークロニクルガシャット』を使用しなければならない。それ以外に参加条件はない。ガシャットがあれば老若男女誰でもプレイすることができる。それと、各プレイヤーにつき、クロニクルガシャットは一つまでだ』

 

当然と言えば当然のルール。ソフトがなきゃ遊ぶことは出来ない。

 

『ルールその2。バグスターは1日1回、毎週5回しか現れない。出てくるバグスターは下級、中級、上級の3種類。中級バグスターに挑むには下級バグスターを全て倒し、ガシャットロフィーを集めなくてはならない。上級も同じだ』

 

より強力な敵と戦うにはまず自分にあった敵を倒す必要がある。これも当然だ。レベル1でいきなりレベル100に挑んでも負けるのは目に見えている。まあ立ち回り次第でなんとかしそうなのが隣に3人いるけど。

 

『ルールその3。ゲーム以外でのクロニクルガシャットの使用は禁止されている。もし私的利用が確認できたなら、それなりのペナルティがあるので注意するように』

 

確かに、ガシャットがあれば誰でも仮面ライダーに変身できるのだ。そこら辺の人が仮面ライダーに変身して銀行強盗だの暴動だのを起こされたら、警察なんかじゃ対応できない。それこそISの出番かもしれない。いや下手すりゃキリヤんとか楯無さんの出番になるのか。

 

『私からの説明はここまでだ。詳しいルールはガシャットを起動してから始まるチュートリアルで確認するように』

 

「あとの説明は全部丸投げかよ!神さまが聞いて呆れんなオイ!」

 

キリヤんがヤジを飛ばす。それにつられて他の生徒もヤジを飛ばし始める。なんだか大変なことになってきたぞ。

 

『それでは最後に、みんなで楽しくプレイしよう。私からは以じょ』

 

最後まで言い終わる前にディスプレイにピンク色の剣が突き刺さる。深く突き刺さったディスプレイは完全に壊れている。

あまりにも突然のことで周りは一気に静かになる。そしてみんながピンク色の剣を投げた張本人を見る。そう、布仏虚さんを。

 

「仮面ライダーは…………ゲームであっても、遊びではないんです…」

 

それだけ言うと虚さんはアリーナを後にした。

 

 

IS学園食堂

 

「あんなにキレてる先輩初めて見たぜ。うっかり先輩のパンツ見たとき以上にキレてた」

 

「お前なぁ……んで、仮面ライダークロニクルのことだけど」

 

「こいつはクセェ。クソゲー以下のニオイがプンプンするねぇ。あんなの売れるわけねぇだろ」

 

「でもSNSとか凄いことになってるぞ」

 

話題は全て仮面ライダークロニクルのことで持ちきりだ。どうやらあの放送は全国に放送していたらしい。幸いにも放送はアレで終わりらしく、虚さんのせいで聞き逃した、と言うことはないようだ。

 

「やっぱり興味あるんだなみんな。買う気満々のやつが結構多いぞ」

 

「買う気満々でも、それこそ政府とかがなんとかするんじゃねぇの?製造元を潰しに行くとかさ」

 

「だよなぁ。でも手に入れる奴は1人はいると思うぞ。それこそ裏ルートを使ったりとか」

 

「怖い世の中になったなぁ……」

 

なんて言いながら欠伸をするキリヤん。緊張感のかけらすら感じられない。でもそれだけ余裕があるってことなのかな?だとしたら結構心強いけど。

 

「なあ名人。お前だったらクロニクルガシャット欲しいか?」

 

「え?うーん………欲しくないって言ったら嘘になる」

 

「自分は欲しいな。そんな簡単に変身できるんなら、周りを押しのけてでも手に入れる」

 

「そんなに欲しいのか?」

 

「そりゃあな………人間ってのは常に競争してんだよ。周りより強くなりたい賢くなりたいって。そんでもって人間は楽するのが好きなんだよ。まあ、全人類がそうとは限らないけどな」

 

「つまりクロニクルガシャットは『楽して周りより優位になれる』アイテムってことか」

 

「金さえ払えば誰でも変身できるんだからな。それもお手軽価格で」

 

キリヤんは起き上がると携帯を見せてきた。

携帯には『仮面ライダークロニクルガシャット、購入完了』の文字が見えた。

 

「悪いな名人。ここからしばらくは別行動だ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

同時刻 生徒会室

 

「う、虚ちゃん?」

 

「?どうかしましたか会長」

 

「もう怒ってない?大丈夫?」

 

「……もう忘れてください。我ながら恥ずかしいのですから」

 

虚ちゃんの機嫌は良くなってるみたいね。だったら話を切り出すチャンスは今しかない。

 

「それじゃあ虚ちゃん。お話しようか」

 

「…………正直に言いますが、私は反対派ですからね」

 

「だよねーー!…………でもね、あの仮面ライダークロニクルが始まろうとしている今だからこそ、この計画は進めなくちゃいけないと思うの」

 

「確かに、未確認生命体と戦うよりはマシかもしれません。ですが」

 

「あの子達はもう、普通の高校生じゃないの。ISという特別な力を手に入れているのよ。あの6人、いいえ7人はこの『インフィニティーズ計画』に必要なのよ」

 

「………お嬢様、7人に言い直したと言うことは」

 

「……ええ、専用機はまだ完成していないけど、あの子は絶対戦力になる」

 

虚ちゃんがため息をつく。当然よね。あの子をもこの戦いに巻き込もうとしている。そんな私を見ればため息ぐらいでる。グーで殴られないだけマシと思おう。

 

「かいちょ〜、おね〜ちゃん、集計終わったよ〜」

 

本音ちゃんがドアを開けて入ってきた。彼女にはこの学園祭で行われた催し物への投票結果を集計してもらっていた。

 

「お疲れ様本音。では会長行きましょう。それとこの話は後ほど」

 

「そうね……それじゃあ、まずは祭りを終わらせましょうか」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

9月17日(日)PM06時00分

 

体育館

 

『それではこれより、投票結果の発表をはじめます………が、時間がありませんので上位3組のみ発表します』

 

かくしてキリヤん争奪戦の結果発表である。私としてはどうでもいい話だ。それよりも一夏の元気がないことが気になる。

 

『第3位。1年1組の『ご奉仕喫茶』!』

 

「なっ!?私たちの喫茶店が3位?何かの間違いではありませんの!?」

 

「残念だね。僕たち頑張ったんだけどなあ〜」

 

「となるとやはり生徒会の劇が上位に食い込んでくるか」

 

「何言ってんのよ。あたしのとこが一位に決まってるじゃない」

 

「それはないですわ」「それはないんじゃないかな?」「よくて4位だろうな」

 

「なによアンタら!寄ってたかって!」

 

鈴がなにやら喚いているが……そっとしておこう。

 

『第2位。生徒会主催の参加型劇『シンデレラ』!』

 

「あれ?生徒会のシンデレラが2位だよ?」

 

「となると」

 

「まさかまさかの鈴さんのクラスが!?」

 

「ふふん、当然よね!お客さんたくさん来たもの!」

 

『第1位。ドーナツ同好会の『ドーナツ販売』!』

 

1位の発表と共に辺りが静まり返った。セシリアも鈴もシャルロットもラウラも口をあんぐり開いている。

そんな中勝利の雄叫びが聞こえた。

 

「よっしゃあ!やったな本音!」

 

「やったねキリヤん!バンザ〜イ!」

 

キリヤんと本音だ。

 

「ってあんたらかい!!」

 

「当然だろ。ドーナツ買うために票を2票ずつ入れてもらったんだ。別に1票しか入れちゃいけないなんて言ってないだろ?」

 

周りは呆れてしまっている。しかしそれと同時に他の部活に取られるぐらいならキリヤんのところが勝ってくれてよかったと思っているのだろう。

 

「へへっ、どーだ!あんたら生徒会に勝ったぞ!これからも同好会は続けるからな!」

 

「続けるからね〜!」

 

『こら本音!貴女は生徒会側でしょう!』

 

虚さん、マイク越しに怒らないでください。耳に響きます。

 

 

それにしても、気になってしまう。友があんなにはしゃいでいるのに、1人壁際で座り込んでいる一夏の姿が。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

9月17日(日)PM11時50分

 

「お前、何者だ」

 

「私は、君を退屈から救いに来た………神だよ」

 

光が届かない建物中、ダグバとガドルは仮面ライダークロノスと接触していた。

そしてクロノスはダグバにあるガシャットを渡す。それは黄色いダイヤルがついた青いガシャットだった。




キリヤんが別行動とか、インフィニティーズ計画とか、ダグバがガシャットもらったりとか、色々あった58話。次からはクロニクル編本格始動です。

そんでもって次回は番外編を書こうと思います。クロニクル編はおふざけがあまりできない予感がするので。

ではsee you next game!

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